機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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いつから次回が機体紹介だと錯覚していた?





すみません、言い訳させてください
まだこの小説、オリジナル機体が1機しか出てないじゃないですか
なのでどうあがいても、最低ラインの1000文字に届かないのですよ…
オリキャラと一緒に紹介しようとも思ったのですが…
それでも届くかどうか微妙…
ということで、あとがきにスピリットの説明を載せます!
オリキャラは、あと1人出てきたら機体と一緒に説明を出したいと思います!


では、本編をどうぞ


PHASE06 大天使が進む先は

セラの視界に広がる真っ暗な空間

 

宇宙空間に飛ばされたスピリットは、動きもせず、無重力のなかふらふらと浮かんでいた

 

 

「…、なんで…、こんなことに」

 

 

ヘリオポリスの崩壊

それはセラに大きい衝撃を与えていた

今まで平和に暮らしてきたはずだった

それがこんなことになるとは誰も思わなかっただろう

だが今、その平和は壊されている

 

たくさんの思い出が詰まっていた場所が

 

 

壊されたのだ

 

 

「セ…く…!」

 

 

幼いセラは…、いや、たとえ大人でもこれは堪えるだろう

 

 

「セ…くん!」

 

 

「?」

 

 

何かが聞こえる

スピーカーからだろうか

女の人の声

 

 

「セラ君!」

 

 

これは、マリューの声だ

マリューが必死にセラの安否を確かめるためにセラの名前を呼んでいる

 

 

「セラ君!無事なら返事をして!」

 

 

「あ…、はい。無事です」

 

 

やっとマリューの声に気づいたセラは返事をする

あの大声が聞こえなかったとは…、相当混乱していたことを自覚した

 

 

「セラ・ヤマト。無事ならば艦に戻れ。位置はつかめるな?」

 

 

今度はナタルの声がした

言葉自体は厳しいが、口調はどこか、ほっとしたという感じが読み取れる

 

 

「ともかく、戻らなきゃな…」

 

 

セラは、スピリットをアークエンジェルにむけて進ませる

 

ヘリオポリスが崩壊したこと

そのことによって感じた混乱を忘れるようにしながら…

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルのブリッジ

その空気を表現するなら、ほっ、だろう

生き残るためとはいえ、民間人を戦わせてしまったのだ

そのまま戦死したとなれば大問題だ

しかし、2人とも生きていた

そのうち、ストライクは戻ってきている

故障した避難ポッドという落し物を持ってきたが

 

 

「本当に…、無事でよかったわ…」

 

 

マリューが艦長席の背もたれに、ぐたーっともたれながらつぶやいた

 

 

「本当ですよ。あのまま戦死となれば問題ですし…、第一、気分が悪いです」

 

 

「…、えぇ、そうね」

 

 

ナタルが同意の言葉を口にする

さらに、彼女らしからぬ感情のことまで口にした

それが少しおかしく、マリューはくすりと笑みを零してしまう

 

 

「しかし、あのスピリットのパイロット…、セラ・ヤマトって言ったか?奴は一体何者なんだ?」

 

 

不意にムウが口にした言葉を聞いたブリッジにいる全員が、ムウに視線を向ける

 

 

「あの坊主たちはナチュラルだって言ってたが、正直信じらんねえぞ?さっきの戦闘での動きといい、クルーゼと互角に戦ったあれといい」

 

 

そう、セラは本当にナチュラルなのだろうか?

あの操縦…。コーディネーターでもあの境地にたどり着いている者は少ないのではないのだろうか

 

 

「でも…、あの子たちはそう…」

 

 

「だが、あの動きをみて、そう言えるか?はっきり言って、あのコーディネーターの坊主よりも腕は上だと思うぞ?」

 

 

「…」

 

 

マリューは思い出す

キラがストライクのOSを書き換えていたあの場面を

あれを見たマリューは、キラはコーディネーターの中でも能力的には上だと判断した

そのキラよりも上?

ナチュラルでもすごいものはすごいのか?

それとも…

 

 

「俺はこれから先、あの坊主にそれとなく聞いてみるつもりだ。あんたらも、気が向いたら聞いてみてくれや」

 

 

「これから先…、ということは、民間人、それもコーディネーターの子供にあの機体を任せるつもりなのですか!?」

 

 

ムウの言葉を聞き、ナタルはムウに疑問を投げかける

ムウはこれから軍の大切な機体にあの子供たちを乗せるつもりなのだろうか

 

 

「それしかないだろう。あいつらしかのれないぜ?きっと」

 

 

「大尉が搭乗すれば…」

 

 

ナタルの言葉に、ムウはため息をつく

 

 

「あのなあ、あのストライクのOS見たか?あんなの、俺に扱えねえっての」

 

 

「なら、もとにもどさせt」

 

 

「それでのろくさ出て的になれっていうのか?気持ちはわかるがもっと現実をみろよ」

 

 

ナタルの言い分はわかるのだ

コーディネーターは信用できない

それはわかるのだ

だが、あの子供たちの力を借りなければ…

 

 

「…生き残れないぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

シエルは今、アークエンジェルの居住区の中の1つの部屋に、キラやトールたち、そして1人加わったフレイ・アルスターという少女と一緒にいた

 

 

「え!?じゃあ狙われてるのはこの船なの!?」

 

 

フレイはサイから聞いた内容を聞き、驚きの声をあげた

自分が乗ったポッドが故障

助けてもらったと思ったら、着いた艦はザフトに狙われている

状況を整理してみると、気持ちがわからなくもないのだが…

 

 

「だったらこの艦に乗ってる方が危ないって方が危ないってことじゃないの!?」

 

 

…うるさい

 

 

「キラ・ヤマト、いるか?」

 

そこに、地球軍の軍服を着た男

ムウ・ラ・フラガが現れる

声を聴き、顔を俯けていたキラは、視線をムウにむける

 

 

「整備の人が探してるぜ。自分の機体くらい自分で整備しろってさ」

 

 

「自分の機体!?自分の機体って何ですか!?」

 

 

ムウの言葉を聞き、キラは大声で聞き返す

自分の機体?

まさかあれのことを言っているのか?

 

 

「今はそういうことになってるんだよ。実際、あれには君しか乗れないんだ」

 

 

「確かにしょうがないと思って2回乗りましたよ!でも僕は軍人でも何でもないんです!」

 

 

「…」

 

 

シエルはこのキラの言葉を聞き、思う

戦争に参加することは、やはり嫌なのだろう

 

 

「じゃあ、いずれ戦闘が始まったとき、君は今度は乗らずに、そう言いながら死んでいくか?今、この艦を守れるのは君と、あの坊主だけなんだぜ?」

 

 

「!」

 

 

セラ君のことを言ってるの?

シエルはムウの言葉を聞き、そう考える

 

 

「お前はそれができるだけの力を持ってるだろ?なら、できることをやれよ」

 

 

「…」

 

 

キラは悩む

ムウの言うとおりだ

今、艦を、大切な人たちを守れるのは自分とセラしかいない

だが、戦うのは嫌だ

人を殺すのは嫌だ

 

 

「…、あの坊主は、戦うみたいだぞ」

 

 

「…、え?」

 

 

セラ君が…、戦う?

シエルが驚愕する

さっきキラが言ったとおり、今まで乗ったことに関してはしょうがないと言えるだろう

あそこで乗らないという選択はあり得なかった

だが、もういいのだ

もう乗らないという選択をしても誰も責めない

なのに…

 

 

「あの坊主、いってたぜ?『戦える力を持ってるのに、それを使わずにただ死ぬなんて、絶対に御免だ』ってさ」

 

 

「…あ」

 

 

シエルはつい小さく声を漏らしてしまった

その言葉は、ラウと戦う直前、自分に言った言葉だ

 

 

「卑怯だ…、あなたたちは卑怯だ!」

 

 

キラはそう言い残し、走り去っていく

おそらく、デッキに向かったのだろう

 

しかし、おそらく自分よりも幼いあの少年も戦う

なにかできることは…

シエルは考えるが、答えは出てこない

なぜなら、自分は本当は彼らとは敵同士なのだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

キラに言いたいことを言い終えたムウは、通路を歩きながら思考を巡らせていた

セラのことである

ムウはセラに聞いたのだ

「本当にナチュラルなのか?」と

だが、返ってきた言葉は、「はい、そうですけど?」の一言

はっきりとした口調

それを聞いて、信じない者は少ないだろう

だが、ムウはその少ない者の中の1人だ

 

あれだけの動きを見せられた

そしてラウとの戦い

 

ラウ・ル・クルーゼの強さ、恐ろしさは自分が一番知っていると自負している

MSの操縦技術

頭の切れ

そして人を殺すことを戸惑わない冷徹さ

 

そのラウと渡り合ったセラをナチュラルとはやはり信じがたい

だからといって、ナタルのように差別をするつもりはさらさらないのだが

 

 

「でもやっぱり一番驚いたのは、戦うと即答したところだな…」

 

 

そう、ムウはセラが戻ってきた後、キラに言ったことと同じことを言った

その答えは…

 

 

「あ、はい。じゃあ戦います」だ

 

 

さすがのムウも呆気にとられた

そのことを思い出し、笑いを零しながら歩いていくとデッキの前についていた

デッキに入ると、マリューとナタルがこれからの進路について話し合っていた

 

 

「大尉…、あの…」

 

 

マリューが入ってきたムウに気づき、表情を暗くしながら声をかける

何を聞こうとしているのかムウは気づく

 

 

「あぁ、2人とも戦ってくれるみたいだぞ」

 

 

「そう…ですか」

 

 

マリューは目線を下に落とす

子供に戦わせてしまうことを後ろめたく思っているのだろう

だが生き残るためには、彼らの力を借りるしかないのだ

 

 

「それで、これからの進路は決まったのか?」

 

 

「はい、アルテミスへ向かうことに決定いたしました。あそこは現在の本艦の位置からもっとも取りやすいコース上にある友軍です」

 

 

「傘のアルテミスか…」

 

 

たしかに、ナタルの言う通り、それが一番安全な手だろう

だが

 

 

「Gもこの艦も、公式発表どころか友軍のコードすら持ってない状態だぜ?」

 

そう、この疑念があるのだ

さらに自分たちは大西洋連邦所属、アルテミスはユーラシア連邦所属なのだ

大西洋とユーラシアは、バッサリ言ってしまえば仲が悪い

そんな所に今の状況の自分たちが行っても受け入れてくれるだろうか…

 

 

「ですがこのまま月に針路をとったとしても、途中戦闘もなく、すんなり進めるとは大尉もまさかお思いではないでしょう?」

 

 

「まあ…、そうだなぁ」

 

 

「事態はユーラシアにも理解していただけると思われます」

 

 

ムウは、ため息をつく

本当にナタルの言うとおりだ

このまま補給を受けられぬまま、月に向かっても間違いなく落とされる

ならばここはアルテミスに向かうべきだ

ムウはマリューの目を見て、頷く

マリューもムウに頷き返す

 

方針は、決まった

 

 

「デコイ用意!発射と同時にアルテミスへの航路修正のため、メインエンジン噴射を行う。のちは慣性航行に移行。第二戦闘配備!艦の制御は最少時間内にとどめよ!」

 

 

マリューが指令をだす

デコイでザフトの目をくらませ、その隙にアルテミスへ向かう

 

 

「アルテミスまで二時間ってところか…」

 

 

ムウがぼそりとつぶやく

 

 

「あとは…、運だな」

 

 

そして、大天使は、出発する

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウが、ヴェサリウスのブリッジに入ってくる

 

 

「何か動きはあるか?」

 

 

「いえ、まだ何も。」

 

 

むこうはまだ動いていない

ラウは思考を広げる

奴らはどこに針路を向ける?

月か?

いや、それは考えずらい

もっと奴らにとって安全な方法…

それは…

 

 

「ここは一旦ひいて、評議会の裁定を待つべきなのでは?条約違反とはいえ、一国のコロニーがこのようなことになっては…」

 

 

「ならば尚更このまま中途半端に投げ出していくわけにはいくまい。このまま戻ってどう報告すればいいと言うのかね?」

 

 

アデスの進言をきっぱりと否定したラウは、あるモニターを眺める

そこには、奪った機体のデータが映っていた

 

 

「ガモフに収容した機体も、使えるな…」

 

 

ラウがそうつぶやいたその時…

 

 

「大型の熱量を感知!戦艦のものだと思われます!解析予測コース、月面、地球軍大西洋連邦本部!」

 

オペレーターから報告が入る

それを聞いたラウは、奴らの取った針路を確信する

 

 

「それは囮だな。奴らはアルテミスへ向かう。ヴェサリウス発進だ。ガモフを呼び出せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セラはスピリットの整備を終えた

この艦にいる整備長、マードックに言われたからだ

 

 

「ふぅ、我ながらよくこんなの操縦できたよな…」

 

 

整備しているとき、改めてスピリットを見た

無数のボタン

2つのレバー

複雑な機体の構造

なぜナチュラルである自分がこれを操縦できたのか、不思議で仕方なかった

 

そう考えながら、セラはデッキから出て、自分に割り当てられた部屋に向かって歩く

 

 

「あ、セラ…くん?」

 

 

「…?シエルさん?」

 

 

そこに、シエルとばったり会う

お互い動きを止めてしまう

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

…話題がない

話すことがない

なぜだ?気まずい…

 

 

「戦うことに…、したんだね」

 

 

「え?」

 

 

シエルがセラを見つめながら聞いてくる

セラもシエルの目を見つめる

 

 

「…あぁ」

 

 

セラは決意を秘めた目でシエルを再び見つめる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

セラが戦う

正直、戦ってほしくなかった

 

自分の仲間と戦ってほしくない

その思いもある

だが、なぜかわからないが、純粋に、セラに戦ってほしくなかった

 

なぜ自分がセラをここまで気にかけてしまうのかはわからない

セラは自分の敵であるはずなのに…

 

 

「そっか…」

 

 

シエルは視線を落とす

もう、止められない

シエルは悟る

 

 

「死んだら…、嫌だよ?」

 

 

シエルは暗い気持ちを抑え、必死の笑顔を浮かべ、セラにそう言う

 

 

「…っ、あ…、あぁ」

 

 

セラは顔を赤く染めながらそう返す

シエルはなぜセラが顔を染めているのかがわからない

だから、こういう行動に出てしまうのである

 

 

「?どうしたの?セラ。顔赤いけど…、熱?」

 

 

シエルは手をセラのおでこに当てる

セラはさらに近づいてきたシエルに動揺する

 

 

「あ…、いや、大丈夫だから!…、ていうか、名前…」

 

 

「あ、嫌かな…?」

 

 

セラの言葉をきき、自分に呼び捨てにされたことを嫌がったと判断するシエル

シエルの目が潤む

 

 

「違う!違う!別に大丈夫だよ、シエル」

 

 

「あ…」

 

 

「俺も呼び捨てするよ。いい…だろ?」

 

 

セラが自分のことを呼び捨てにして読んでくれたことにシエルは驚くが、

拒否するつもりはないため、頷く

 

 

「じゃ、部屋にもどるよ」

 

 

「あ、うん。またね」

 

 

そう言い合い、セラとシエルは分かれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セラは、自分が死ぬことは嫌だと言ってくれた時のシエルの顔を思い出す

目は潤み、不思議な魅力を醸し出す

さらに、自分の方が背が高いため、上目づかいで見つめられたのだ

 

 

「あれは…、反則だろ…」




前書きで書いた通り、スピリットの説明です


GAT-X106スピリット
外観はエールストライクに酷似している
これという特別な武装はないが、スピードは、6機の中で最速
乗り手の腕で強さが決まると言っていい

武装
・75ミリ対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン
・60ミリ高エネルギービームライフル
・ビームサーベル
ライフルは背中に、サーベルは腰に装備

パイロット セラ・ヤマト


一部訂正しました

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