機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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誰か私にセンスを分けてくれ…


PHASE04 再び戦火は忍び寄る

空中で剣をぶつかり合わせる2機、スピリットとシグー

ほぼ互角の戦いを繰り広げる2人、セラ・ヤマトとラウ・ル・クルーゼ

 

 

「ちぃっ、ここまで機体を動かすことが出来るパイロットが地球軍にいるとは!」

 

 

ラウは悪態をつきながら、バルカンをスピリットに向けて撃つ

無数に発射される弾丸を掻い潜るかのようによけながらスピリットはシグーに接近する

スピリットはビームサーベルをシグーに向けて振り下ろす

シグーはスピリットの剣戟をかわして距離をとる

それを見たセラはビームライフルを取り出し、シグーに向けて放つ

放たれるビームはどれも正確にシグーを狙う

しかし、経験豊富なラウにとって、それらをかわすのは容易いことだ

 

 

「ふむ、動きは見事なものだが、経験不足だな」

 

 

そう、セラは見事にスピリットを駆っているが、やはり経験が不足しているのが否めない

先程の銃撃も狙いはどれも正確にシグーを狙っていた

だが、単純だったのだ

どれもこちらを正確に狙っていたため、簡単にかわすことが出来たのだ

そして、

 

 

「戦闘経験が少ないのならば、やりようはいくらでもある!」

 

 

ラウはバルカンを狙いをあまりつけずに発射する

 

 

「!」

 

 

セラはそれをかわす

いくらあまり狙いを付けずに発射したとはいえ、

それでも乱射された弾丸は所々でスピリットに当たる起動でとんでくる

セラはバーニアを吹かし、大きく横に動くことで回避する

 

 

「なっ!」

 

 

「もらった!」

 

 

回避したところにシグーが来る

あまりに突然のことでセラは驚く

シグーは重斬刀を振るう

セラは何とかシールドを割り込ませ、この攻撃はやり過ごす

しかし不安定な体制で防いだせいか、シグーが振りぬいた重斬刀の衝撃でさらに体制を崩す

 

 

「本当に経験が少ないようだね!予備動作が大きく、どちらに動くのか読みやすいよ!」

 

 

ラウは大きな砲撃をスピリットに向けて撃とうとする

このタイミングでかわすことはできない

ここでやられるのか…

セラはモニターに映るシグーをにらむ最後まで生きるという意思は消えない

間に合わないとわかっていても、セラは力一杯レバーを倒す

 

 

 

 

 

「くっそおおおおお!」

キラは急ピッチでストライクのパワーパック設置作業を行っていた

セラが戦っている

自分の弟であるセラが戦っている

なのに、兄である自分は今、何もできていない

 

 

「よしっ、できた」

 

 

作業を終えたキラはストライクのPS装甲を展開させる

そして、戦闘が行われている場所を見る

 

 

「!」

 

 

キラが見た光景は体制を崩したスピリットに砲撃を撃とうとするシグーだった

あのままでは、セラが撃たれてしまう

 

 

「セラあああああ!」

 

 

キラはストライクのバーニアを全開にし、シグーに向かう

しかし、このタイミングでは間に合わないことをキラは頭のどこかで分かっていた

だからこそ、今叫ぶ

 

 

「誰か…、誰かセラを助けてよ!!!」

 

 

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオン

 

 

 

 

 

「なんだ!?」

 

 

ラウは突然響いた轟音が鳴った方向を見る

そこには、戦艦が飛んでいた

白亜の戦艦が…

 

 

 

 

 

 

 

白亜の戦艦、アークエンジェル

その艦長席に座っているのは、ナタル・バジルール少尉である

 

 

「アークエンジェルの状態、問題ないな」

 

 

「はい、全システム、オールグリーンです」

 

 

ナタルの問いかけにアークエンジェルの操縦士、アーノルド・ノイマンが答える

 

 

「X-205、ザフトの新型と戦闘中です!」

 

 

「なにっ!?」

 

 

ジャッキー・トノムラが戦況をナタルに報告する

画面に光学映像が出される

そこには、こちらを向いているシグーが映されていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦艦だと…、コロニー内部に?」

 

 

ラウは、急に出てきた戦艦を見て驚愕する

新型のMSだけでなく、戦艦までも作られていたとは!

 

 

「くそ!」

 

 

ラウは、今度は戦艦に狙いを向ける

その瞬間、ラウを途轍もない衝撃を与える

 

 

「くっ…!被弾したか…!」

 

 

シグーは、ストライクの砲撃を受けていた

さらに見てみると、コロニーに穴をあけていた

その穴をあけたのは間違いなくストライクだろう

 

 

「MSにこれほどの火力を持たせるとは…。ヴェサリウス!被弾した!帰投する!」

 

 

ラウは母艦に向けて機体を駆りながら、スピリットのことを考える

あの動き…、コーディネーターだとしても、あそこまでの動きができるコーディネーターはかなり限られてくる

 

 

「キラ・ヤマト…か?」

 

いや、奴はすでに死んでいるはずだ

なら…、誰だ?

 

 

「…、セラ・ヤマト。…ふっ、それこそあり得んな」

 

 

奴こそすでに死んでいるはずなのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラミアス大尉!よくぞご無事で!」

 

 

「バジルール少尉…、あなたこそ、よくアークエンジェルを守ってくれました」

 

 

マリューとナタルがお互いの生存を称えあう

 

 

「守れたのは…」

 

 

「えぇ…、この2機だけよ…」

 

 

ナタルがXナンバーの機体を気にする

あの機体は軍の全技術力、さらにオーブの力を借りて完成させた機体なのだ

スペックだけなら、ジンを軽く凌駕する

それらがザフトの手に渡ることを考えたくはないのだが

残ったのは、この2機だけなのだ

 

バシユウッとハッチが開く音がする

この場にいる全員が、スピリットとストライクに目を向ける

そこから降りてきたのは、2人の少年だった

 

 

「民間人…、子供じゃないですか!」

 

 

ナタルは、根っからの軍人である

当然規律には厳しい

その彼女がこの光景を見てどう思うかなど、容易に想像がつくだろう

 

 

「へぇ、こいつは驚いたな」

 

 

微妙な空気になりかけた所に1人の男性が現れた

少しくせのついた金髪

身にまとう紫色のパイロットスーツ

 

 

「地球連合軍第7機動艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉だ。乗艦許可をもらいたいんだが、この艦の責任者は?」

 

 

男性は敬礼をしながらこちらに問いかける

マリューとナタルが、その言葉に返事をするために敬礼する

 

 

「第2宙域第5特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です」

 

 

「同じく、ナタル・バジルール少尉であります。艦長以下、艦の主だった士官は皆戦死されましたので、今はラミアス大尉がその任にあると思います」

 

 

「え…艦長が…」

 

 

ナタルの言葉を聞き、マリューは少なくないショックを受ける

その人物には何かとお世話になっていたのだ

戦死…、戦争は…

 

 

「あー、ともかく許可をくれよ。俺の母艦が落とされちまってさ」

 

 

「あ…はい。許可します」

 

 

マリューから乗艦許可をもらったムウは、トールたちと談笑しているセラとキラのもとに歩み寄る

セラとキラが、近くまで寄ってきたムウに気がつく

 

 

「?」

 

 

「なんですか?」

 

 

セラは純粋に疑問顔

キラはムウを訝しげな眼で見る

そして、ムウは口を開く

 

 

「君たち、コーディネーターだろ?」

 

 

「!」

 

 

ムウが口にした言葉にこの場にいる一部を除いて、全員が驚愕する

そして、多くの軍の兵器がセラとキラに銃を向けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

ザフトの兵、アスラン・ザラは、X-303イージスのOSの整理を行っていた

しかし、その頭の中では全く別のことを考えていた

 

イージスに乗り込む直前

地球軍の士官の傍らにいた少年

キラ・ヤマト

アスランとキラは、月の幼年学校で一緒だった

とても仲が良く、いつも一緒にいた

 

 

「いや、違う。キラじゃない。あいつなはずがない」

 

 

キラがあんな激戦区にいるはずがないのだ

 

だが、もしあいつがいたのなら…

 

 

「セラも…、いるのか」

 

 

そう、キラがいるのなら、必然的にその弟であるセラもいるはずなのだ

 

 

[クルーゼ隊長機、帰艦。被弾あり。消火班、医療班はすぐさまBデッキへ]

 

 

隊長が…、被弾?

シグーが帰投し、クルーゼがコックピットから出てくる

 

隊員たちがクルーゼに寄っていく

 

 

「隊長!お怪我は!?」

 

 

ミゲルがラウに安否を確認する

しかしラウは、まったくの無傷で、表情にも変化はない

 

 

「大丈夫だ。だが良くない状況だ。戦艦も生きている」

 

 

「「「「「!!!!」」」」」

 

 

艦内に衝撃がはしる

新型のMSだけではなく、戦艦まで開発しているとは

ますます中立とは信じがたくなってくる

 

 

「あれを放置するわけにはいかない。D装備を準備しろ!沈めにいくぞ」

 

 

「「「「はいっ!!」」」」

 

 

「!」

 

 

これからもう一度攻めにいくのだろうか

アスランは決心する

もう一度、ヘリオポリスに行くと

 

 

 

 

 

 

セラとキラは軍の人たちに銃を向けられていた

ムウが口にしたコーディネーター

今、地球軍はコーディネーターと戦っているのだ

正確にはザフトとなのだが、ザフトはコーディネーターで構成された集団なので、

まあ一応同義なのだが、今の地球軍はコーディネーターは敵、と意識している

よって、たとえ民間人だとわかっていても警戒してしまうのだ

 

 

「なんだよそれは!コーディネーターでもキラは敵じゃねえよ!」

 

 

このセラとキラへの対応にトールが激昂する

ミリアリアたちもトールのように言葉には出さないものの

兵に向けている視線は鋭くなっている

 

 

「あんたら、さっきの見てなかったのか!?こいつらはザフトの機体とたたかってたんだぞ!?まず第一、セラはナチュラルだぞ!」

 

 

さらにトールが言葉を重ねる

 

 

「銃をおろしなさい。ここは中立よ?戦争が嫌で移り住むコーディネーターはたくさんいるはずよ」

 

 

「いや、悪かったな。とんだ騒ぎにしちまって。俺はただ確かめたかっただけなんだ。あのクルーゼと互角に戦える奴を」

 

 

「!ラウ・ル・クルーゼ…ですか?」

 

 

軍人たちの会話についていけなかったセラたちにムウたちが説明してくれた

ラウ・ル・クルーゼ

ザフトのトップエース

この男によって討たれた人数は数知れず

 

 

「おいおい…、セラはそんな化け物と戦ってたのかよ…」

 

 

「あぁ、ほんとに信じられねえ。俺はな、ここに来る前からこれをなんとか操縦しようと四苦八苦してきた奴を見てきたんだ。それをここまで簡単に操縦しちまうんだからなあ…。…、と。ま、それは置いといて、これからどうすんだ?」

 

 

物思いに耽りながらつぶやくが、それに区切りをつけ、ムウは今のことに目を向ける

 

 

「奴はしつこいぜ?これで帰るとは思えねえ」

 

 

「しかし、ここは中立…」

 

 

「おいおい、ここまでしておいて今更中立なんて言えるわけねえだろ」

 

 

マリューの希望的観測をムウはすっぱり切る

 

 

「ともかくもう一度ザフトは攻めてくる。それに備えて準備しておこうぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

[ミゲル機、発進完了。アスラン機、発進用意]

 

 

ラウに発進許可をもらったアスランはイージスに乗り込んでいた

ヘリオポリスに行くために

友の存在を確かめるために

 

 

「アスラン・ザラ、出る!」

 

 

アスランはレバーを倒し、機体を前進させ、出撃する

無重力の宙のなか、イージスを駆る

 

 

「キラ…セラ…。ほんとにそこにいるのか…?」

 

 

アスランの目に、ヘリオポリスが見えてくる

 

 

「いくぞ!」

 

 

ミゲルの号令で機体を加速させる

 

ザフトの隊が、再びヘリオポリスに侵入した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




相変わらず終わり方がひどい…

こんな駄作でも楽しんで読んでくださる方がいればうれしいです!
あと、感想がほしいです…

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