機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

48 / 52
さぁ、ロイさんに暴れてもらいましょうか…


PHASE45 決別

再び放たれる閃光

その閃光は、艦隊を飲み込み、月に命中して…

 

 

「支援隊より入電!『さきの攻撃により我、艦隊の半数を消失』」

 

 

「なにっ…!?」

 

 

ドミニオンのオペレーターの報告を受けて、アズラエルが驚愕する

 

 

「…それを狙っての照準か」

 

 

ナタルがぼそりとつぶやく

 

今の照準は、月基地だった

その射線上には、支援隊

間違いなく、狙ったものだ

断じて偶然で片づけられるものではない

 

 

「ジェネシスは、目標を撃破」

 

 

ヤキンの制御室でもその報告は入っていた

これで、もう勝利は確実だ

全員が息をつく中、パトリックは更なる指示を出す

 

 

「ミラーブロック、換装を急げ!」

 

 

この言葉に、オペレーターたちが戸惑う

だが、命令は絶対

 

次はどこを撃とうというのかと、疑問を持ちながらも換装作業を開始する

パトリックの隣にいた、レイ・ユウキはパトリックの顔を見る

その顔は、無

何も感じていない

そう、何もだ

かなりの数の人を葬って、何も感じていない…?

 

 

「っ…」

 

 

ぞっとする

この様子ならば、次に撃つのは…

 

 

「!」

 

 

そこで、ユウキは思考を止める

いくら議長でも、そこまではすまい

 

…地球を撃つなど、するはずがない

 

 

 

 

「月基地を失っては、地球軍は退くしかないわ!ナタル!」

 

 

その声は当然届かない

届かないとわかっていながら、マリューは声を張り上げる

 

 

「これ以上、あれを撃たせてはなりません…!」

 

 

「矛先が地球に向けられたら終わりだぞ!」

 

 

ラクスとバルトフェルドも通信でパイロットたちに呼びかける

 

ジャスティスとヴァルキリーが三機を振り切ってジェネシスに向かっていく

三機は当然追いかけようとするが

 

 

 

「ピースメーカー隊を出せ!目標はプラント群だ!奴らを呼び出して道を開かせろ!」

 

 

アズラエルが命令を出せ

 

もうアズラエルには状況を判断できる力がなかった

怒りで見えなくなっていた

 

ジェネシスではなく、プラントを目標にする

それが良い証拠だった

 

 

「待ってください!それでは、地球の脅威を排除したことになりません!」

 

 

そうだ

プラントを撃てたとしても、ヤキンに残った者たちがジェネシスで地球を撃ってくる

アズラエルの案は、根本を解決するには至っていないのだ

 

 

「あぁもうっ!何でそういちいちうるさいんだ!?あんたは!」

 

 

アズラエルが喚きながらナタルに拳銃を向ける

 

艦橋にいるクルー全員が目を見開く

小さく悲鳴をだす人がほとんど

 

だがナタルは、鋭くアズラエルを睨みつける

 

 

「そんなものを持ち出して、どうされるおつもりですか?…艦を乗っ取ろうとでも言うんですか!?」

 

 

「乗っ取るもなにも!命令してるのは最初から僕だ!」

 

 

アズラエルはさらに続ける

 

 

「君たちはそれに従うのが仕事だろ!?なのに何であんたはいちいち逆らうんだよ!」

 

 

駄々をこねるように怒鳴るアズラエル

ナタルだけでなく、他のクルーのどこか冷たくにらんでいる

 

 

「ドゥーリットルより入電。『ピースメイカー隊発進準備完了』とのことですが」

 

 

オペレーターが報告する

ナタルを見てだ

 

 

「発進させろ!奴らを呼べ!」

 

 

だが、アズラエルが命令を出す

オペレーターはアズラエルに見えないように表情を歪ませるが、命令に背くわけにもいかない

四機に通信をつなぎ始める

 

そしてアズラエルはナタルを見下ろして怒鳴る

 

 

「いくらあんなものを振りかざそうが、プラントを落とせば戦いは終わる!」

 

 

ナタルは心の中で、それは地球を犠牲にして、と付け加える

 

 

「だいたい、コーディネーターすべてが地球に対する脅威なんだぞ!僕らはそれを討ちに来てるんだ!」

 

 

そんなことはない

アークエンジェルに、コーディネーターにも関わらず、地球のために戦っている人もいる

それを知らないのはしょうがないが、それでもナタルの中にふつふつと怒りの炎が燃え上がってくる

 

 

「自軍の損失は最小限に!そして、敵には最大の損害…。戦争ってのはそうやるもんだろ?」

 

 

「…!」

 

 

ナタルの心が一気に冷める

アズラエルの言葉は自分が考えていたこととまったく一緒のことだった

 

それを実行するには、アズラエルに従うしかない…?

 

 

 

 

「ドミニオン他数隻、転進します!」

 

 

ミリアリアが報告する

艦隊の行先は…

 

 

「くそっ!プラントか!?」

 

 

バルトフェルドがその意図に気がついて驚愕の声を出す

マリューは、迅速に方針を決める

 

 

「追います!エターナルとクサナギはジェネシスに行ってください!」

 

 

マリューが指示を出す

バルトフェルドとキサカが、モニターの中で頷く

 

 

一方、三機と交戦していたアスランとシエルも、艦から発進されていくメビウスに気づく

 

急に三機が交戦をやめ、メビウスを守るように近づいていったのだ

 

 

「あの部隊は!?」

 

 

「やらせるか!」

 

 

すぐに機体を部隊に向けて進ませる

ディアッカとカガリ、ムウもピースメイカー隊の存在に気づき、転進してくる

 

 

「来るぞ!散開!」

 

 

イザークも、その部隊の存在に気づき、隊を進ませていた

 

 

「プラントへ放たれる放火!一つたりとも通すんじゃない!」

 

 

隊員の返事の声が返ってくる

隊のMSが別々の方向に進んでいく

 

イザークの前には、レイダー、フォビドゥン、カラミティの三機が立ちふさがる

三機の砲火を必死によけながらも、核を何としても阻止しようとする

だが、避けるので精いっぱいで、迎撃できない

 

 

「くそっ!」

 

 

そして、ミサイルが発射されていく

だが、イザークは何もできない

 

 

「アスラン!」

 

 

「わかっている!」

 

 

シエルとアスランが声を掛け合う

 

ジャスティスが、ミーティアの全砲門を開き、ミサイルを迎撃していく

ヴァルキリーもライフルで正確にミサイルを撃ちぬいていく

 

それで、ミサイルの波が一旦止まった

イザークがほlっと息をつこうとしたその時

 

 

「ぐぅ…!」

 

 

背中から強烈な衝撃に襲われる

背後にはレイダーの姿

ミョルニルで殴られたのだ

 

 

「これで!」

 

 

クロトがデュエルにとどめを刺そうと、口部分の咆哮にエネルギーをためていく

 

 

「隊長!」

 

 

シホの声がする

イザークの危機を見たのだ

必死に機体を割り込ませようとするが、間に合わない

 

 

「…!」

 

 

これで、死ぬのか

 

時がゆっくりと流れていく

全ての動きがスローモーションに見える

 

だが、レイダーが急に横に流れた時、時は加速した

衝撃は何も来ない

それに、さっきのレイダーの動きは?

 

 

「…!ディアッカ…!?」

 

 

レーダーとは逆の方向を見ると、そこにはバスターの姿

バスターがレイダーを砲撃で弾き飛ばしたのだ

 

イザークが戸惑っている間にも、核ミサイルが発射されていく

迎撃しようとするアスランだが、そこにフォビドゥンが割り込んでくる

交戦しようとするジャスティスの脇を、ミサイルが通り抜けていく

 

 

「しまった…!」

 

 

迎撃し損ねた

シエルはカラミティに動きを止められている

これでは、核がプラントに…!」

 

 

「えぇい!」

 

 

そこにカガリがライフルを構える

迎撃できないアスランの代わりに、プラントに向かっていくミサイルを撃ちぬいていく

 

 

 

 

「ブルー百十七!マーク五十二アルファにアークエンジェル!接近してきます!」

 

 

アークエンジェルも、もうプラントを撃たせまいと、ドミニオンに接近していく

 

 

「さあ!あんたも自分の仕事しろよ。あの裏切り者の艦を!今日こそ沈めるんだ!」

 

 

「…」

 

 

歯を食いしばるナタル

身動きを取ることが出来ない

迷う

迷う

 

反応しないナタル

さらに接近してくるアークエンジェル

痺れを切らしたようにアズラエルがさらに怒鳴りつける

 

 

「撃て!撃たなければ撃たれるぞぉ!」

 

 

ナタルはぎゅっと目を閉じる

覚悟を決める

ここで、地球を撃たせるわけにはいかないのだ

あの兵器を破壊するためにも、核は必要になってくるだろう

 

だとしたら、自分の役目は決まっている

 

 

「推力最大!回頭二十度!アンチビーム爆雷発射!」

 

 

次々と的確に指示を出していくナタル

 

 

「ゴットフリート、照準!」

 

 

アークエンジェルと相対する

そして、全くの同時に

二隻の砲撃は火を噴いた

 

 

 

 

「くそっ!フレイ!」

 

 

「はぁあああああ!!」

 

 

何度も互いの剣をぶつけ合う

フレイの操縦技術は見事なものだった

機体の性能も、かなりいい

 

だが、それでも

パイロットとしての腕はラウにはかなわないし、機体の性能もプロヴィデンスの方が上だ

セラが勝てない道理はない

 

 

「くそっ!サイ…!」

 

 

本当に、何でここでフレイと戦っているのがサイではないのだろうか

その考えは無駄だとわかっているのだが、そう思わずにはいられない

 

きっと、サイならばフレイを正しく導くことができただろう

自分では…

 

 

「セラぁああああああ!」

 

 

フレイが砲撃をこちらに向けてくる

セラはシールドでそれを防ぐ

 

二機の戦いはまだかかりそうだ

 

 

 

 

「うあぁああああああ!!」

 

 

目の前でカラミティが爆散する

シエルに気を取られているうちに、アスランがミーティアの大剣で一刀両断にしたのだ

 

 

「カガリ様!」

 

 

一方のフォビドゥンは、ルージュを狙ってニーズヘグを振るおうとしている

それに気づいたアサギが、フォビドゥンに向けてライフルを撃つ

だが、フォビドゥンはそのビームを、リフターを展開させて曲げる

 

そしてすぐさまリフターをとじ、アサギのアストレイに向けてフレスベルグを放つ

 

アサギはそのビームをかわすが、一つ忘れていた

 

フレスベルグは、曲がる

 

 

「あ…」

 

 

曲がって、こちらに再び向かってくるフレスベルグにアサギは反応できなかった

砲撃が、アストレイを貫通する

 

 

「…な」

 

 

カガリの目の前で爆散するアサギ機

ジュリとマユラも呆然とその光景を見ていた

 

 

「…くそ…!お前えええええええええ!」

 

 

カガリが咆哮をあげながら。サーベルを構えてフォビドゥンに接近していく

だが、その直線的な動きは、シャニにとって餌そのものだった

 

 

「はっ!」

 

 

嘲笑をあげながらフレスベルグを振り上げる

カガリはそれをかわし、サーベルを振り上げようとする

 

 

「もらったぁあああああ!!」

 

 

だが

 

 

「…っ!」

 

 

急に下側からの衝撃

見ると、フォビドゥンが片足を振り上げていた

 

下から蹴り上げられたのだ

 

体制が崩れるルージュ

それを狙うフォビドゥン

 

 

「あ…」

 

 

もう、間に合わない

フォビドゥンの砲口が光る

 

 

「まったく、カガリ様は…」

 

 

スピーカーからマユラの声が流れてくる

その次の瞬間

 

カガリの目の前にアストレイの姿が

 

そして、フレスベルグで撃ちぬかれる

 

 

「ま…マユラ…」

 

 

呆然とつぶやくカガリ

だが、それで終わりではなかった

 

 

「あ…なにっ!?」

 

 

シャニが驚きの声をあげる

何とフォビドゥンに、アストレイがしがみついているのだ

身動きがまったくとれない

 

 

「ジュリ!?」

 

 

「カガリ様!今のうちにこいつを!」

 

 

ジュリが、撃てと言う

だが、今撃てば、間違いなくジュリも巻き込んでしまう

 

 

「そんなことできるか!」

 

 

当然カガリは拒否する

ジュリに従って撃ってしまえば、ジュリも殺すことになってしまう

そんなこと、できるはずがない

 

 

「カガリ様!早く!アストレイではそう長く抑えられません!」

 

 

「なら離せ!撃てるわけがないだろ!」

 

 

フォビドゥンは、アストレイよりも性能は圧倒的に上だ

当然、機体のパワーも

 

このままフォビドゥンを抑え続けるなどできないのだ

 

 

「カガリ様!!!」

 

 

「っ!」

 

 

「…私に、カガリ様の役に立たせてください」

 

 

カガリの目から涙がこぼれる

どうして…

どうしてこうなってしまったのだろうか

 

皆で生きて帰る

そう約束したのに

 

 

「あ…」

 

 

ライフルを構える

確実に、この機体を撃つ

でなければ、犠牲がまた増えていくだけ

 

 

「うぁあああああああ!!!」

 

 

引き金を、引く

 

ビームがまっすぐにフォビドゥンに向かっていく

アストレイに抑え込まれているため、リフターを展開できない

ジュリも、リフターを展開させないためにも離れることはできない

 

 

「あああああああ!!!離せえええええええええ!!!」

 

 

シャニががむしゃらに騒ぎながら暴れる

レバーを無茶苦茶に動かす

少しずつ拘束から抜けていっているが、それでも間に合わない

 

 

「カガリ様…」

 

 

ジュリの表情は笑顔だった

 

 

「…ジュリ」

 

 

目の前でビームに貫かれる二機

一緒に爆散していく

 

 

「ジュリぃいいいいいいいいいい!!!」

 

 

遂に耐えきれず、叫び声をあげた

 

 

 

 

戦闘が始まってからほぼ、キラはルースレスにかかりきりだった

七基あったドラグーンは、すでに残り四基になっていた

 

カナードに焦りが募る

最初は、ドラグーンを駆使してフリーダムを追い込んでいた

なのに、今は、フリーダムに押されっぱなしだ

 

 

「なぜだ!なぜだ!?」

 

 

ドラグーンをしまい、サーベルで斬りかかる

キラはサーベルをシールドで防ぐ

 

キラは、もう負ける気がしなかった

ドラグーンの数が減っている以前で、ルースレスの動きが単調になってきていた

 

サーベルを防がれたカナードは、後退してドラグーンを切り離す

四基のドラグーンがフリーダムにビームを浴びせていく

 

 

「無駄!」

 

 

だが、もうキラにはドラグーンの動きに完璧に順応していた

前後左右から撃たれるビームをシールドも上手く使いながらかわし、ルースレスに接近していく

 

サーベルを振り下ろす

 

ルースレスもサーベルをもって迎え撃つ

だが、キラのそれはフェイントだった

 

キラはサーベルの動きを止めると、後退する

 

 

「なっ!?」

 

 

ルースレスのサーベルが空を切る

そして、キラはライフルでルースレスを撃つ

 

 

「ふざけるな!」

 

 

カナードはビームを回避しようとするが、回避しきれず右腕が爆散する

 

もう、決まった

 

ドラグーンの数が四基

機体も損傷

カナードがキラに勝てる要素はなくなった

 

 

「殺す!殺す殺す殺す!」

 

 

カナードはがむしゃらに機体を動かす

だが、それではフリーダムを捉えることはできない

 

カナードが撃たれるのは、時間の問題だ

 

 

 

 

 

カラミティとフォビドゥンを落とし、レイダーは撤退していった

 

 

「アスラン!」

 

 

「シエル!お前はセラの所へ行け!」

 

 

「え?」

 

 

アスランが言ったことにシエルは戸惑う

自分たちは、ジェネシスを何とかしなくてはいけない

そのためにも、大量のMSがいるところを突っ切っていかなければならないのだ

 

自分が離脱すれば、このジャスティスとルージュ

この二機だけになってしまう

 

 

「行け!お前が守りたい奴を、守りに行け!」

 

 

アスランがシエルに訴えかける

 

 

「…っ。…ホントにいいの?」

 

 

「行け!こっちは大丈夫だ!」

 

 

「…わかった!ごめん!」

 

 

シエルが機体の方向を変え、飛び去っていく

それを見送り、アスランはカガリに声をかける

 

 

「カガリ…。いこう」

 

 

「…あぁ、もう大丈夫。三人のためにも、ジェネシスを何とかしなきゃな…」

 

 

二人はジェネシスに向かう

 

 

 

 

 

 

トールとロイの戦い

ロイが優勢に進めてはいたが、それも微々たるもの

ほんの少しのきっかけで、戦況はあっという間に傾いてしまうだろう

 

 

「いい加減にどけ!お前なんかに構ってられないんだ!」

 

 

ロイが叫びながらサーベルを振り下ろす

トールもサーベルで防ぎ、リーパーに蹴りを与えようとする

 

だが、ロイはそれに反応し、機体を後退させる

ムラサメの足が空を切る

ロイはムラサメにライフルを向けて、撃つ

 

 

「そんなの!」

 

 

トールはビームを容易くかわす

その後のサーベルでの追撃にも、トールは崩れない

 

サーベルでの鍔迫り合いの後、二機は同時に離れる

 

 

「くそ!」

 

 

ロイは悪態をつく

 

ロイの中で、ムラサメの存在は、ただの雑魚

その雑魚に、自分は足を止められている

 

ぎりっ

 

歯をかみしめる

いら立ちが募る

とっととこいつを殺って、セラを殺す!

 

 

「その、邪魔をするなぁあああああ!!」

 

 

ロイはバーニアを吹かせて一気にムラサメに接近する

トールは落ち着いて、接近してきたリーパーに対応する

 

サーベルを、振る

 

 

「かかった!」

 

 

ロイは、ムラサメがサーベルを振るった瞬間

足を出した

振るわれた足は、ムラサメの腕に当たる

 

 

「なっ…!?」

 

 

サーベルの一閃がぶれる

その間に、ロイはサーベルを振り下ろす

 

 

「…っ!?」

 

 

ミリィ…

 

トールの脳裏にミリアリアの笑顔が浮かぶ

もう、この笑顔を見ることは叶わない

自分は、この件に切り裂かれて…

 

 

「トール!」

 

 

「!」

 

 

リーパーの動きが止まる

なぜ?

いや、それよりも、今聞こえてきた声は

 

 

「シエル!?」

 

 

「トール!どいて!」

 

 

シエルの言葉に従って、トールは後退する

リーパーを、ヴァルキリーが襲う

サーベルがぶつかり合う

 

 

「トール!セラを!」

 

 

「…わかった!シエルも、気を付けろよ!」

 

 

トールがセラがいる方向に機体を進めていく

 

一方、シエルとロイは、同時に離れて対峙する

 

 

「…シエル、お前」

 

 

「ロイ」

 

 

シエルはサーベルを構える

 

 

「やめろシエル!俺とお前に、戦う必要はない!」

 

 

「あるよ」

 

 

シエルは間をおかずに言葉を返す

 

 

「あなたをこのままにしておいたら、必ず私の大切な人に手を出してくる」

 

 

「…セラ…か」

 

 

ロイがシエルの言葉に静かに返す

だが、その言葉には確かな怒りが込められている

 

 

「どうしてだ…。シエル!お前は俺の傍にいるべきなのに!」

 

 

「…ロイ?」

 

 

急に錯乱し始めたロイに戸惑うシエル

 

 

「セラなんかに渡すものか!シエルは俺の傍にいるべきなんだ!お前は!お前はぁあああ!!」

 

 

錯乱するロイ

叫ぶロイ

 

何で

何で、そんなぽっと出の男にとられなくてはならないんだ

セラ…

 

セラ!

 

 

「どけ!シエル!俺はセラを殺さなければならないんだ!セラを殺して、お前を取り戻す!」

 

 

ロイはシエルに叫ぶ

だが、シエルは、それをさせるわけにはいかない

決めたのだ

セラを守ると

 

 

「何を言ってるのか、よくわからないけど…。セラを殺させはしない」

 

 

「シエル!」

 

 

ダメなのか?

これだけ叫んでも、シエルには届かなくなってしまっているのか?

 

セラは、一体どれだけ俺のシエルを…!

 

 

「私はセラを守る。セラを殺そうとするなら、ロイでも…」

 

 

戦闘態勢に入るシエル

 

 

「…お前の目を覚まさせてやる。シエル!」

 

 

ロイも、サーベルを取って戦闘態勢に入る

 

視線が交錯する

そして

 

 

「シエルぅううううう!!!」

 

 

「っ!」

 

 

二機が同時に接近

 

同時にサーベルを振るう

ぶつかり合う二本のサーベル

 

お互いに、譲らない思いがぶつかり合う




ということで、シエルVSロイです
トールVSロイを期待していた方は…
すみません…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。