機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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昔の友人と会って、お前だれ?と言われてショックを受けている作者です…
名前を言ったら思い出してくれたのですが…
眼鏡かけたせいですかね?
こいつのせいで中学のころの同級生にも気づかれませんでしたし…


PHASE42 絶望の閃光

ドミニオンの艦橋

その席に座って、アズラエルは笑みを浮かべていた

遂に、戦争を終わらせる

その切り札を手に入れることができたのだ

 

 

「…アズラエル理事」

 

 

「なんでしょうか?」

 

 

斜め後ろに座っているナタルがアズラエルに声をかけてくる

アズラエルは笑顔のままナタルの方に振り向き、返事を返す

ナタルは、アズラエルの表情を見て戸惑いを見せる

 

 

「…いえ」

 

 

そして、何も言えずに引き下がる

 

 

「そうですか」

 

 

今のアズラエルが機嫌がいい

だから、ナタルに特に何も言わない

咎めない

 

 

「…見えた来ましたね」

 

 

そして、艦の前方に見えてきた

目的のものが

 

これから攻め落とすものが

 

 

「さてと、行きますよ。モビルスーツ隊を発進させてください」

 

 

アズラエルがナタルに指示を出す

艦長はナタルだが、それでも絶対に超えられない壁というものが二人の間にはある

身分という壁が

だからこそ、ナタルは何も言えない

たとえ、その指示にどんなに反論したかったとしても

 

 

「…モビルスーツ、出撃せよ」

 

 

前方からも、MSが発進してくる

自分たちの進行を知っての迅速な対応だ

 

だが、無駄だ

こちらには切り札がある

 

これを使うことに慎重な老人共も黙らせた

もう止められない

 

 

「…僕たちの勝ちです」

 

 

アズラエルは狂喜の笑みを浮かべてつぶやいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ザラ議長閣下!」

 

 

パトリックが執務室の入ってくる

それを見て、イザークの母親であり、最高評議会の議員の一人、エザリア・ジュールがパトリックの名を呼ぶ

 

 

「うろたえるな!月艦隊のボアズ進行侵攻など、想定外のことではない!」

 

 

パトリックは一喝

全員が落ち着きを取り戻したのを確認すると、次々に指示を出す

 

そう、これはあくまでも想定範囲内だ

想定よりも少し早いが、ボアズに侵攻してくること自体は想定していたのだ

議員たちが本格的に平静を取り戻していく

 

 

「しかし…」

 

 

そこに、一人の男の声が割り込んでくる

ラウ・ル・クルーゼだ

 

 

「なんだ、クルーゼ」

 

 

パトリックがラウに聞く

何か気になることがあるならば、遠慮せずに言えという念も込めて

 

 

「ボアズ突破が容易でないことは、地球軍も百も承知のはず…。今ここで、進行に踏み切った理由が気になります」

 

 

議員たちの表情がはっとする

 

ラウの言う通りだ

ボアズ進行は、今までに何回か行われていた

だが、そのたびに地球軍は大打撃を負って敗走していったのだ

それがあるはずなのに、なぜ今…?

 

 

「そんなもの、大方例のモビルスーツ部隊と、新型の機体であろう?それで勝てると踏んだのだろうよ!」

 

 

だが、ラウの言葉を一蹴するエザリア

 

 

「…だと、いいのですがね」

 

 

ラウはそれでもまだ何かあるかのようにつぶやく

 

 

「何が言いたい」

 

 

パトリックがラウに問う

 

 

「申し上げにくいことではありますが、我々にはいくつかの不安要素があります。フリーダム、ジャスティス、ラクス・クラインという…」

 

 

「…まさか」

 

 

ラウが懸念していることにたどり着いたパトリック

それは、他の議員たちも同じだった

どこか恐怖を感じているような表情を浮かべる

 

 

「まさか…、奴らの手に、再び核が戻ったと…。そう言いたいのか!クルーゼ!」

 

 

また…、あの悪夢が繰り広げられるのか?

奴らはまだ、足りないのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

カナードは、ドラグーンを操りビームを繰り出す

ビームは、寸分たがわず敵のコックピットを貫いていく

 

 

「…雑魚が」

 

 

手ごたえがない

手ごたえがなさすぎる

 

 

「張り合いがねえよ、こんなのしかいねえのか?ここには」

 

 

それは、他の三人も一緒だったようだ

オルガが不満そうにつぶやいている

 

だが、四人には不満だったものの、ある人物は四人の戦いぶりを楽しそうに見ていた

 

 

「いいねぇ…。初陣からケチのつけっぱなしだったけど、なんか強いじゃないの。あいつらもさ」

 

 

アズラエルが、モニターに映される四機の戦いぶりを見て嬉しそうにつぶやく

今までは、あの三機と、忌々しい翼を広げたMSにやられてばかりだった四機

カナードはまだあの白い機体と互角に渡り合っていたものの、他の三機は損傷を喰らい、アズラエルの機嫌を損ねてばかりだった

だが今、あの四機はアズラエルの目の前で戦果をあげている

 

アズラエルの機嫌は良くなる一方だった

 

 

「ドゥーリットルより入電です…」

 

 

そこに、オペレーターの一人が報告する

モニターに、地球軍の将校、サザーランドの顔が映る

 

 

「道は開いたようですな…。ピースメーカー隊、発進します」

 

 

「…了解」

 

 

サザーランドが言った言葉に、アズラエルは目を見開いて笑い、了承の意を返す

 

地球軍の艦隊の戦艦から次々とメビウスが発進されていく

発進していくメビウスたち、ピースメーカー隊はまっすぐにボアズを目指す

 

 

「ん?なんだ、あれは」

 

 

それは、当然ザフトの兵にも見えている

メビウス目掛けて攻撃を仕掛けようとするが

 

 

「だめだよ?君たちは僕の相手をしなくちゃ…」

 

 

その攻撃はクロトが駆るレイダーに止められ、逆に落とされる

その他のMSも、レイダー以外の三機に落とされていく

 

そして、ピースメーカー隊はどんどんボアズに近づいていき…

 

 

「ピースメーカー隊、目標まで残り四百!」

 

 

「安全装置解除!信管起動を確認!」

 

 

メビウスのパイロットたちが、引き金に手をかけ

 

 

「そぅら!死ね!宙の化け物!」

 

 

「青き正常なる世界のためにぃ!」

 

 

引いた

 

 

 

 

 

放たれた無数のミサイル

ミサイルが要塞に命中すると、とてつもない規模の爆発が数度にわたって起こる

 

全てを吹き飛ばし、全てを蒸発して消し去る

人々が恐怖を覚え逃げ出そうとするも、次の瞬間には原子レベルで跡形もなく消し去られる

 

数分後、爆発が収まってくる

その場には、ほとんど何も残っていない

残っているのは、偶然焼け残ったかけらだけ

ボアズが陥落した瞬間だった

 

 

 

 

 

「いやぁ、早い早い。さすがに、ザフト自慢の要塞も、核を撃たれちゃこの程度か」

 

 

ご機嫌に

本当にご機嫌そうにアズラエルが言う

その様子を見て、ナタルが口を出す

 

 

「アズラエル理事は…、いくら敵軍に対しても、核を撃つことに、何も思われないのですか?」

 

 

「…ふぅん?それは、軍人さんの口から出るとは思えないセリフだ」

 

 

アズラエルのセリフに、ナタルはきっと目を鋭くさせる

だが、アズラエルは何も堪えない

 

 

「勝ち目のない戦いに、死んで来いって言って自分たちの部下を出す人たちよりも、僕の方がずっとやさしいと思うけど…?」

 

 

挑発的な目でナタルを見ながら言うアズラエル

何か反論したいナタルだが、何も言えない

 

アズラエルの言葉を、少しでも正しいと思ってしまったナタルには、反論の言葉は一言も言えない

 

 

 

 

 

 

目の前で繰り広げられた惨劇

この中に自分がいなくてよかったと思ってしまう

だが、責めることができる人物はいないだろう

 

この光景を見た人物は、だれもがそう思うだろうから…

 

 

「おのれぇ…!ナチュラルども!」

 

 

執務室の中

ほぼ全員が呆然とし、思考能力を失っている中で、パトリックが怒り叫ぶ

 

 

「ただちに防衛線をはれ!残存部隊は全てヤキンへ回せ!」

 

 

パトリックが怒りを感じながらも指示を出す

怒りに呑みこまれてはならない

そう心の中で自分に言い聞かせながら

 

もうとっくに自分が怒りに呑みこまれていることを自覚しないまま

 

 

「クルーゼ!我々もヤキン・ドゥーエへ上がるぞ!」

 

 

怒りのままに、パトリックも切り札を切る

議員たちがパトリックをはっ、と見る

 

 

「ジェネシスを使うぞ!」

 

 

ラウは嗤う

遂に、この時が来た

愚か者が…

やはり、人間は滅びる運命なのだ

 

だが、まだ油断はできない

歌姫、そして最高のコーディネーター

その上に、セラ・ヤマトを加えたあの戦力は強大だ

 

 

「…ふっ」

 

 

誰にも気づかれずに笑みを深くする

 

確かに奴らは脅威だが、それでもこの運命をどうやって止める?

止めれるものなら止めて見ろ

 

ムウ・ラ・フラガ…

 

セラ・ヤマト…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラクス!」

 

 

キラを戦闘に、セラ、アスランと三人がエターナルの艦橋に入っていく

艦橋には、それぞれ役割を与えられたクルー

バルトフェルド、アイシャ、ラクス

そして、すでに来ていたのか、シエルがいた

 

 

「ボアズ侵攻というのは本当か?」

 

 

アスランがラクスに問う

ここに来る途中、その情報が耳に入ったのだ

 

 

「…いえ、事態はもっと早く…。そして、最悪の方向へ進んでしまってしまいました…」

 

 

最悪の方向?

セラたち三人が、疑問を持った表情になる

 

そこに、シエルが続きの情報を口にする

 

 

「…ボアズは、もう落ちたの。地球軍の核攻撃によって…」

 

 

「か…、核…!?」

 

 

アスランが信じられないように声を出す

セラもキラも、目を見開いて驚愕の感情を露わにする

 

 

「…なるほど」

 

 

「セラ?」

 

 

セラが急に表情を引き締めると、何やら納得したようにつぶやく

 

 

「あいつ…。そういうことか…!」

 

 

セラは確証はないものの、どこか確信していた

核が使えないはずの地球軍が、なぜ核攻撃を仕掛けれたのか

 

 

「クルーゼ…!」

 

 

ラウが、情報を流したのだろう

どうやったのかはわからない

だが、あの男ならばやりかねない

 

 

「くそっ…!」

 

 

やはり、あの時自分だけ残ってあいつを落とすべきだったか?

 

そう思った時

 

 

「ていっ」

 

 

「てっ」

 

 

シエルがセラの頭にチョップを入れる

セラはその衝撃に声を出してしまう

 

 

「…シエル?」

 

 

「セラ、今、何考えてた?」

 

 

シエルの言葉にギクッとしながらも、平静を装う努力をして口を開く

 

 

「特になにm…」

 

 

「うそ」

 

 

セラの言葉を最後まで言わせずに、シエルは言い切る

 

 

「…」

 

 

こめかみに汗を垂らしながらシエルの次の言葉を待つセラ

シエルはじっとセラの目を見て、言う

 

 

「セラの苦しみは、一緒に背負うから」

 

 

何の迷いもなく言うシエル

 

 

「これは、私が決めたこと。私がやり通すって決めたこと」

 

 

迷いのない眼でセラを見るシエル

 

 

「だから…」

 

 

シエルはセラの手を両手で握る

 

 

「一緒に…ね?」

 

 

今度は笑顔でセラを見る

 

 

「っ…」

 

 

シエルの笑顔を至近距離で目の当たりにし、顔を真っ赤にするセラ

目を逸らしてしまう

 

 

「…セラ?」

 

 

目を逸らしたセラと再び目を合わせようとするシエル

 

 

「っ!わかった!わかったから手を離してくれ…」

 

 

「…あっ」

 

 

セラに指摘されて、あわてて手を離すシエル

シエルもセラと同じように頬を赤く染める

 

 

「…そういうのは二人でやってほしいものだがな」

 

 

「いいじゃないの、アンディ。こういうのは若い間じゃないとできないのよ?」

 

 

「やれやれ…」

 

 

「キラ?わたくしたちも…」

 

 

「え?ラクス?」

 

 

上からバルトフェルド、アイシャ、アスラン、ラクス、キラである

キラ君はくたばr…げふんげふん

 

これから参戦する戦いは、今までで一番と言っていいほど厳しいものになるだろう

だが、それでも

不安にならないセラたちだった

 

 

 

 

 

 

「…よし」

 

 

リベルタスのコックピットに乗り込み、OSを立ち上げていく

 

 

「核を…、たとえ一つでも、プラントに落としてはなりません」

 

 

スピーカーからラクスの声が流れてくる

 

 

「撃たれるいわれなき人々の上に、その光の刃が突き刺されば、それはまた、果てしない涙と憎しみを生むでしょう…」

 

 

それぞれに、発進許可が出る

 

 

「セラ・ヤマト!リベルタス、発進する!」

 

 

「シエル・ルティウス!ヴァルキリー、行きます!」

 

 

「キラ・ヤマト!フリーダム、行きます!」

 

 

「アスラン・ザラ!ジャスティス、出る!」

 

 

「ムウ・ラ・フラガ!ストライク、出るぞ!」

 

 

「ディアッカ・エルスマン!バスター、発進する!」

 

 

「トール・ケーニヒ!ムラサメ、行きます!」

 

 

アークエンジェル、エターナル、クサナギからMSが発進していく

 

 

「ミーティア、リフトオフ!」

 

 

エターナルの装甲から二つの武装が切り離される

 

ミーティア

フリーダム、ジャスティス専用の追加武装

普段はエターナルの武装として使われるが、こうしてフリーダムとジャスティスに限り、装備することができる

とてつもない火力をMSに加えることができる

 

フリーダムとジャスティスが、ミーティアを装備

 

 

「行くよ!アスラン!」

 

 

「ああ!」

 

 

フリーダムとジャスティスが先導していく

それに追尾していくように他のMSも進んでいく

 

 

 

 

 

「ナチュラルの野蛮な核など、もうただの一発とて我らの頭上に落とさせてはならない!」

 

 

地球軍艦隊が、侵攻を開始した

それに対抗すべく、ヤキンからMS隊が出撃していく

 

イザークもまた、デュエルを駆り、部隊を率いて出撃していた

 

 

「隊長」

 

 

そんなイザークに、一人の部下が通信をつなげてくる

 

 

「どうした、シホ」

 

 

イザークに通信をつなげてきたのは、シホ・ハーネンフース

 

 

「頑張りましょう。絶対にプラントに核を落とさせないように」

 

 

「…あぁ、もちろんだ」

 

 

シホの激励に笑みを浮かべながら答えるイザーク

 

正直、まだディアッカやアスラン、シエルのことでの動揺が抜け切れていない

だが、こうして自分を支えてくれる部下たちがいるのだ

 

 

「散開!必ず、プラントを守り抜くんだ!」

 

 

イザークが指示を出す

ジュール隊のMSがそれぞれ別の方向に向かい始める

 

 

「隊長、ご武運を」

 

 

「シホこそ、死ぬんじゃないぞ」

 

 

「はいっ!」

 

 

シホと短く声を掛け合って、イザークとシホも分かれていく

 

 

 

 

 

「おらぁあああ!滅殺!」

 

 

レイダーがミョルニルでジンを叩き落とし

 

 

「おらおらおらぁ!」

 

 

カラミティが全砲門を開いてMSを撃ち

 

 

「はぁああああああ!」

 

 

フォビドゥンはフレスベルグで撃ちぬいていく

 

 

「…」

 

 

ルースレスはドラグーンでまわりのMSを一掃していく

 

イザークは、その様子を目撃する

あの四機は容易く自分たちの仲間を落としていく

 

 

「貴様らぁああああああ!」

 

 

デュエルを四機がいる方向に進ませる

この四機を止めなければ…!

 

ライフル、ミサイルポッド、レールガンとデュエルに搭載されている全砲門を開いてレーダーに向けて撃つ

 

 

「あ?」

 

 

レイダーはそのすべての攻撃を、ミョルニルを振り回すことで防ぎきる

 

イザークはサーベルを取って仕掛けようとする

 

 

「…あれは」

 

 

そこで、見えた

多数のメビウスがヤキンへと向かっていくのを

そのメビウスがそれぞれ一つずつミサイルを装備しているのを

 

 

「核か!?」

 

 

イザークはすぐさまそのメビウスの舞台に狙いを移す

だが

 

 

「おぉっと!」

 

 

レイダーがデュエルの進路上に機体を割り込ませてくる

 

 

「くっ…!」

 

 

それでも何とか押しとおろうとするが、レイダーの横を抜けることができない

 

そして、メビウスがミサイルを発射し始めた

 

 

「っ!あのミサイルを落とせ!プラントをやらせるなぁ!」

 

 

他の隊員に告げる

MSがミサイルを撃ち落とそうと動き始める

 

 

「させるかよ!」

 

 

「あれは落としちゃだめだよ…。きれいなんだぜ?」

 

 

カラミティとフォビドゥンがそれをさせない

 

ミサイルがプラントに向かっていく

その様子を見ていたアズラエルが、笑みを浮かべる

 

遂に、終わる

戦争が、終わる

自分たちの勝利で

忌々しい存在たちを全て滅ぼして

 

 

「くくく…。僕たちの勝ちだぁ!」

 

 

ミサイルが、爆散した

 

 

「…え?」

 

 

イザークが呆けたように声を出す

プラントに向かっていたミサイルが、命中する前に一発残らず全て爆散したのだ

プラントは、無傷

 

 

「…!あれは…」

 

 

イザークの目に入ったのは、巨大な装備を加えたフリーダムとジャスティス

そして、オーブ戦で活躍をしていた二機

宇宙に来る前に補充したのか、見たことがない、アストレイとはどこか違う機体

 

 

「…ストライク…、バスター」

 

 

さらにストライクとバスターも

この全ての機体がミサイルを迎撃していたのだ

 

 

「地球軍はただちに攻撃を中止してください!」

 

 

スピーカーから声が流れる

この声は、プラントにいる者ならだれでも知っている声

プラントの歌姫の声

 

 

「あなたがたは、自分たちが何を撃とうとしているのか、本当におわかりですか?」

 

 

MSの後方から三隻の戦艦が戦闘宙域に現れる

 

その中には、エターナルが

そこに、あのラクス・クラインがいるのだろうか

 

 

「…なっ!」

 

 

イザークの視界の中で、第二波のメビウスがミサイルを発射している

ライフルを構えて迎撃していく

 

デュエルと同じように、フリーダム、ジャスティスがミーティアの全砲門を駆使して一気にミサイルを撃ち落としていく

ストライクとバスター、リベルタスとヴァルキリーも、ミサイルを落としていく

 

 

「…あいつら」

 

 

ディアッカ、アスラン、シエル

奴らは本当に裏切ったわけではないのか?

 

 

「イザーク」

 

 

「ロイか?」

 

 

そこに、デュエルの横に、リーパーが現れる

イザークとは別にロイは部隊を持っており、イザークとは別のタイミングで出撃していた

 

 

「今は奴らのことは気にするな。核をどうにかすることを考えろ。だが、忘れはするな」

 

 

「?」

 

 

「奴らは、シエルを攫った奴らだ。そして、それに加担するうらぎりものだということを」

 

 

ロイはそれだけ言い残してミサイルの迎撃を開始する

 

 

「…裏切り者」

 

 

本当にそうなのか?

ディアッカは…、アスランは…

そして、共に戦っているシエル…

 

シエルがあれらと共に戦っていることを、ロイは知らないのか?

ならば、もしそのことを知ったらどうするのだろうか…

 

 

「…!」

 

 

イザークは頭を横に振る

ロイが言った通り、今は核を何とかするのが先だ

 

デュエルを、戦闘宙域の中心に進ませていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん、小賢しいことを…。ジェネシスの発射、いけるな?」

 

 

ヤキンの制御室で戦況を見つめていたパトリックはオペレーターに確認する

 

 

「はい!」

 

 

オペレーターは声を震わせながらも返事を返す

パトリックは声が震えていることにも気づかず、指示を出す

 

 

「全軍、射線上から退避!我らの力、見せてくれるわ!」

 

 

その情報は、当然イザークにも届いていた

 

 

「射線上から退避…?ジェネシス…!」

 

 

とっさの判断だった

無意識だった

 

 

「下がれ!ジャスティス、フリーダム!ジェネシスが撃たれる!」

 

 

通信をオープンにして、ジャスティスとフリーダムに下がるよう告げる

 

一方、アークエンジェルやエターナル、クサナギでも、ザフト軍の妙な動きは確認していた

 

 

「ザフト軍、撤退していきます」

 

 

撤退?なぜ?

まだ地球軍艦隊の攻撃は終わっていない

核攻撃はまだ準備にかかっているのか、一時止まってはいるが、それでも…なぜ?

 

 

「ヤキン・ドゥーエ後方に巨大な物体!」

 

 

トノムラが声を張りながら報告する

 

ヤキンの後方から、その悪夢の根源は現れた

 

 

「なに…?何であんな巨大なものに気づかなかったの…?」

 

 

それは、途轍もなく巨大な構造物

レーダーにも反応が出なかったのだ

 

 

ヤキンの指令室では、ジェネシスの発射シークエンスが進んでいく

 

 

「フェイズシフト、展開」

 

 

ジェネシスのPSが展開されていく

灰色だったそれは、輝く銀色に姿を変える

 

 

「Nジャマーキャンセラー起動。ニュークリアカートリッジを単発発射に設定」

 

 

「全システムオールグリーン」

 

 

オペレーターが、ついに準備が完了したことを告げる

パトリックは立ち上がって口を開く

 

 

「思い知るがいい、ナチュラルども」

 

 

モニターに映る地球軍艦隊を見て、笑みを浮かべる

 

 

「この一撃が、我らコーディネーターの創世の光とならんことを」

 

 

ジェネシスのエネルギーが貯められていく

 

それを見ていた一人の男が、パトリックとは違う種の笑みを浮かべる

 

 

「…発射!」

 

 

放たれる巨大な閃光

閃光は、容赦なく地球軍艦隊を飲み込んでいった




イザークが叫んだシーン
リマスターでのあの場面はぐっときました
流れているBGMと合っていて最高でした

こう思っているのは作者だけでしょうか…

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