機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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四十話目です


PHASE40 進む計画

負傷したムウが、アークエンジェルに戻ってきた

すぐさま医療班がムウに治療に入る

 

 

「まて…!マリュー、セラの奴に増援を出してやってくれ…。クルーゼの新型が…!」

 

 

ムウがマリューに訴える

 

 

「クルーゼ…!ラウ・ル・クルーゼか!?」

 

 

ムウが口に出した言葉にバルトフェルドが反応する

 

 

「隊長と…!?」

 

 

「セラ…!」

 

 

クルーゼの腕を知っているアスランとシエルがセラを気遣う

 

シグーでも、Xナンバーに乗る自分たちを凌ぐ腕を持っている

そんなラウが、最新鋭の機体に乗っている…

いくらセラでも分が悪いのでは?

と、皆が思い始める

 

マリューが、誰か援護に行かせようとする

だが、その時

 

 

「艦長!ドミニオンが!」

 

 

「!」

 

 

再びのドミニオンの襲撃

これでは、セラの援護に向かえない

 

 

「…」

 

 

「マリュー…」

 

 

ムウがマリューを見遣る

 

 

「第一戦闘配備!セラ君への増援は行かせません!」

 

 

「!艦長!?」

 

 

マリューが出した結論に、シエルが反応する

 

 

「ここで、私たちが撃たれるわけにはいかない!」

 

 

「!…」

 

 

マリューが、有無を言わさぬ口調でシエルを黙らせる

 

シエルにだって、そのことはわかっている

だが、それでも…

 

 

「セラは大丈夫」

 

 

「そうだな、あいつが死ぬところなんて想像つかない」

 

 

キラとアスランがシエルの両脇で声をかける

シエルが安心するように

 

 

「…そうだよね」

 

 

シエルがキラとアスランを見る

キラとアスランは、頷く

 

三人はそれぞれの機体に乗り込む

 

 

「…セラ。大丈夫だよね?」

 

 

フリーダムとジャスティスが発進していく

 

 

「…っ。シエル・ルティウス!ヴァルキリー、行きます!」

 

 

 

 

 

 

 

大型三、小型八の合計十一機のドラグーンがリベルタスに襲い掛かる

セラはリベルタスを滑るように駆り、ビームの嵐を潜る

 

少しでも気を抜けば、気づかぬ間に死んでしまうだろう死の雨

翼はもう開きっぱなしで操縦する

 

 

「さすがだね、セラ君!さすがは最高のコーディネーターすらも超える存在だ!」

 

 

「!」

 

 

ラウがセラに語り掛ける

セラは、ラウが自分の正体を知っていることに驚愕しつつも反撃のチャンスを探っていく

 

 

「お前は…」

 

 

サーベルを抜いて、ビームを切り裂いてプロヴィデンスに接近していく

 

 

「何を知っている!?」

 

 

「…ほぅ」

 

 

ラウもサーベルを抜いて迎え撃つ

二機の鍔迫り合い

 

 

「そうか!君は自分のことを知っているのか!」

 

 

「っ!この!」

 

 

セラは無理やりサーベルを振りぬく

だがラウは後退してサーベルをかわす

そして、ドラグーンを操作してリベルタスを襲う

 

 

「だが、どうやら私のことまでは知らぬか!それは罪だな!」

 

 

「なにをっ!?」

 

 

セラはドラグーンの包囲を抜け、収束砲をプロヴィデンスに向けて撃つ

だが、プロヴィデンスはそれを回避しながら、砲撃に巻き込まれそうなドラグーンを操作し、一緒に回避させる

 

その直後に再びドラグーンを向かわせる

 

 

「私は、君のせいで望まぬ命を与えられたというのに!」

 

 

「くっ!」

 

 

ドラグーンの一射が、リベルタスの肩をかする

リベルタスもドラグーンを潜り抜けてサーベルで斬りかかる

だが、ラウはサーベルでリベルタスの斬撃を防ぐ

 

 

「君のせいで、世界のすべてを憎んでしまったというのに!」

 

 

「く…っ!何を言ってるんだ!あなたは!」

 

 

ドラグーンで包囲される前にプロヴィデンスから離れる

リベルタスがいた場所をビームが横切る

 

位置を入れ替えながらサーベルを斬り合わせ、銃を撃ち合う

セラはそれを、ドラグーンをかわしながら行っている

 

 

「いいだろう!教えてやろう!本当ならムウにも教えてやりたかったのだがな!」

 

 

「何でムウさんまで入ってくるんだ!」

 

 

収束砲でドラグーンを狙う

だが、ラウの操作でドラグーンは砲撃を回避する

 

 

「ムウも当然かかわっていることだ!なぜなら、私は奴の父親、アル・ダ・フラガの出来そこないのクローンなのだからな!」

 

 

「!」

 

 

クローン?

出来そこない?

 

 

「私は君という存在を作り出すためだけに生み出された!そして、生み出した奴らは私を失敗作と呼び、捨てた!」

 

 

「くっ!」

 

 

死角から襲ってくるビームをかろうじてかわす

続けざまに襲ってくるビームの嵐

セラは心の動揺を必死に抑えながら機体を駆る

 

 

「君という存在を生み出すために、一体どれだけの数の犠牲があったと思う!?私もその一人さ!」

 

 

ラウは動きが鈍った瞬間を狙ってサーベルを振りかぶる

 

 

「ちぃっ!」

 

 

セラは、シールドを割り込ませて防ごうとする

 

 

「君のための研究費。それのためにヒビキ博士は私を生み出した!」

 

 

シールドにサーベルがたたきつけられる

勢いに押され、リベルタスの体制が崩れる

 

 

「そして、フラガの当主は私を捨てた!」

 

 

体制を崩したリベルタスに追撃をかけるラウ

 

 

「私は何だ!なんの為に生み出された!?」

 

 

「…そんなの!」

 

 

ラウの言葉に反感を覚えるセラ

その瞬間、セラのSEEDがはじける

 

 

「自分で見つけるもんだろうが!」

 

 

セラは機体を回転

プロヴィデンスに回し蹴りをお見舞いさせる

 

 

「ぐぅ!」

 

 

機体にはしる震動に耐えながら体制を崩さないようにするラウ

そして、笑みを浮かべながら再び口を開く

 

 

「そうさ!だから私は決意した!この世界に裁きを与えると…。唯一その権利がある私がなぁ!」

 

 

「そんなもの、誰にだってありやしない!」

 

 

互いに叫びをぶつけながら激闘を繰り広げる二人

その二人の位置は、アークエンジェルとドミニオンの戦闘宙域に向けてずれていっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディアッカ!」

 

 

イザークがディアッカを怒鳴る

 

自分の考えは伝えた

ただ、軍の命令に従って、ナチュラルを殺し続けたくなんかないと

 

 

「できれば、お前とは戦いたくはないけどな!」

 

 

そう言い残して、ディアッカはバスターのコックピットに戻る

イザークの表情は、俯いていて良く見えない

 

 

「…」

 

 

バスターを飛び立たせる

ずいぶん長居してしまった

アークエンジェルはどうなっているのだろうか…

 

 

「…おいおい!また襲われてるじゃねえか!」

 

 

再び戦闘に入っているアークエンジェルとクサナギ

そして、最終調整を終えたのか、エターナルも出ていた

 

ディアッカは、長距離砲撃でアークエンジェルに取り付こうとしているダガーを撃ちぬきながら戦闘宙域に向かっていった

 

 

 

「…」

 

 

イザークも、デュエルのコックピットに戻る

まさか、アスランとシエルまでディアッカと共にいるとは思わなかった

なぜ?

なぜ…

 

そこに、ラウから通信が入る

 

 

「イザーク!君は一旦ヴェサリウスに戻れ!そして、アデスにヴェサリウスを発進させるように伝えろ!指揮はアデスに任せるともな!」

 

 

「隊長!?あの、今一体何を…」

 

 

そこで、通信が切れる

 

腑に落ちない思いを抱えながらも、イザークは機体をヴェサリウスに向けるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「バリアント!てぇっ!」

 

 

マリューの号令と共に放たれる砲撃

だがその砲撃は、ドミニオンに回避され、逆にミサイルが襲い掛かる

 

 

「回避!迎撃!」

 

 

「リベルタスのシグナル、接近しています!」

 

 

マリューの号令の直後、サイが口を開く

 

 

「え!?」

 

 

「動きが複雑…。それに、付近にもう一機?戦闘中のようです!」

 

 

「あのっ!今、何かが!」

 

 

トールからも通信が入る

 

トールは、ダガーを必死に撃退していた

途中からバスターも合流してきて、少しは楽になると思った矢先だった

 

 

「…え、なんだ?」

 

 

遠くに見える多数のビームの光

それを避けるようにしてぶつかり合っている二つの光

 

 

「…え、セラ!?」

 

 

モニターには、一機はリベルタスだと示し、

もう一機は、ザフト機だと示している

 

 

「…近づいてきている?」

 

 

そう、あの光たちが、この宙域に近づいてきているのだ

 

 

 

 

 

 

 

「キラ!」

 

 

アスランが、ルースレスにライフルを向けて撃つ

ルースレスは、フリーダムを襲うドラグーンと共に後退

 

 

「くそ…!何度も何度も!」

 

 

カナードは、今度はジャスティスにドラグーンを向ける

アスランはビームの嵐を必死に掻い潜る

 

 

「アスラン!」

 

 

キラはアスランを援護しようとライフルでルースレスを狙う

 

 

「お前の相手は俺!」

 

 

レイダーがミョルニルでフリーダムを狙う

キラは機体を旋回させて鉄球を回避

 

 

「くっ…!アスラン!」

 

 

レイダーと交戦しながらも、ドラグーンに襲われているアスランを気遣う

 

 

「アスラン!」

 

 

そこに、シエルがルースレスにビームを撃つ

再びドラグーンの動きを阻害されるカナード

 

 

「この…!邪魔するなって…!」

 

 

カナードのいら立ちが募る

仕留めようとすれば邪魔される

邪魔する側にとっては当然なのだが、カナードはそれが何よりもむかついた

 

 

「何度も何度もぉおおおおおお!!!」

 

 

カナードは、なりふり構わずフリーダムに向かっていく

自分が何よりも殺したい相手が乗っている機体に

 

 

「キラ!」

 

 

レイダーと交戦中のフリーダム

ルースレスの接近に気づいていない

 

アスランは、キラに通信で呼びかける

 

 

「…!」

 

 

「キラ・ヤマト!」

 

 

サーベルで斬りかかってくるルースレスを迎え撃つ

 

 

「おいっ!お前、なに人の獲物を!」

 

 

「こいつは俺が殺す!誰にも文句は言わせねぇ!」

 

 

急に割り込む形で戦闘の邪魔をされたクロトがカナードに怒鳴りつける

だが、カナードは全く聞く耳を持たない

 

仕方なく、クロトは別の機体に狙いを付けることにする

 

キラがルースレスとの交戦に入り、アスランとシエルが残りの三機と交戦に入る

 

 

 

 

 

「発進!?隊長がそう言ったのか!?」

 

 

「はい」

 

 

アデスが驚愕してイザークに聞き返す

ラウがヴェサリウスを発進させろという命令を出したと、イザークはアデスに伝えた

 

 

「…仕方ない。ヴェサリウス、発進!パイロットは各機に乗り込め!」

 

 

アデスが命令を出す

 

ザフト、連合、オーブの三つ巴の戦闘が、目の前に迫る

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれは…」

 

 

シエルが、戦闘中に気づく

近くで戦闘が行われている

それも、複数で?

 

 

「…違う。あれは、ルースレスが使っている武装だ」

 

 

一体、誰が戦っている?

 

モニターに目を移す

 

 

「リベルタス…。!セラ!?」

 

 

リベルタスには、あの武装はついていない

だとしたら、あの武装を使っているのは相手の方だ

 

援護に行きたい

だが、いけない

こちらも三機の相手で手一杯だ

 

 

「セラ…!」

 

 

祈る

セラが、生き残ることを祈る

別に、その戦いに勝たなくてもいい

ただ、生き残ってくれれば…

 

 

 

 

 

 

 

リベルタスとプロヴィデンスの激戦は、周りを巻き込みながらの戦闘となった

この二機の戦闘宙域に入ってしまったものは、武装を失うか、命を失うかの二択

 

 

「くそっ…!だいぶ近くまで…!」

 

 

アークエンジェルや、エターナルとだいぶ近づいてしまった

だが、それをコントロールしながら戦える相手じゃない

ほんの少しでも手を抜いてしまったら、死

そんな相手と戦っているのだ

 

 

「ほう、戦闘がまたおこなわれているようだな。大分近づいてしまったが、君にとっては誤算かな?」

 

 

「ちっ!」

 

 

ラウの挑発を気にせず、戦闘に集中する

 

死角から放たれるビームを察知し、機体を駆る

ビームを避けながらライフルでドラグーンを撃つ

 

ここで、初めて一基ドラグーンを破壊する

 

 

「もうこの動きに対応してきたか!さすが、能力は高いな!」

 

 

ラウも、先程より鋭くドラグーンを操作し、リベルタスに襲わせる

だが、セラはドラグーンの動きを見破りながら機体をプロヴィデンスに接近させる

 

サーベルで、プロヴィデンスの近くにあったドラグーンを斬る

ラウはその間に機体を後退させる

 

 

「本当に素晴らしいな君は!これが復讐の兵器の力か!」

 

 

「俺は、兵器なんかじゃない!」

 

 

ラウの言葉を跳ね返しながら収束砲でプロヴィデンスを狙う

 

 

「これには、こういう使い方もあるのだよ」

 

 

ラウは、十一基のドラグーンを一斉照射

四十三門のビームで網を作り、砲撃を防御

 

 

「な…!?」

 

 

「驚いている暇はないぞ!」

 

 

防ぎきるとすぐにドラグーンを向かわせる

再び降りかかるビームの嵐

だが、セラはそのすべてに反応しかわしきる

 

 

「ちっ!本当に厄介だ、君は!」

 

 

ラウがセラに悪態をつく

どの方向、どのタイミングでドラグーンを撃っても対応してくる

さらに、逆に反撃までしてくるのだ

 

恐るべき対応能力である

ラウにとって妬ましいものだ

 

 

「セラ君!」

 

 

「マリューさん!?」

 

 

急に入ってくる通信

 

 

「今から、ナスカ級のいるところを突破するわ!戻れる!?」

 

 

「え!?ナスカ級!?」

 

 

まったく気づかなかった

ラウとの戦いに集中しすぎていた

いつの間にか、この戦闘にザフトが介入してきている

 

 

「いや…!くっそ!」

 

 

マリューに返事を返そうとするも、間を置かずに襲い掛かってくるビームがそうはさせてくれない

 

 

「すいません!…くっ!ちょっと…、今は!」

 

 

 

「セラ君!」

 

 

「なんて戦いだ…!艦長、これではリベルタスが離脱できません!」

 

 

光学映像に映される、リベルタスとプロヴィデンスの戦い

余りの展開の早さに目がついていけないほどだ

 

 

「僕が行きます!」

 

 

「キラ君!」

 

 

「すぐに連れてきますから!」

 

 

キラが、セラの援護に向かう

 

 

 

 

 

「本当に素晴らしい結果だよ!君は!」

 

 

「うるさい!」

 

 

悪態をつきながら高レベルの戦いを続ける両者

だが、このままでは不利なのはセラだった

今、セラとラウが戦っている位置は、ザフトのMSと連合のMSが争っているど真ん中だ

 

他者を寄せ付けないほどの戦いをしているせいか、割り込んでくる機影はないが、今セラは孤軍奮闘状態なのだ

 

 

「なんだって、こんな目に合わなきゃ…くそっ!」

 

 

ライフルでまたドラグーン一基を破壊

だが、まだほとんどのドラグーンが残っている

ビームの嵐が止む気配がない

 

 

「だが、君はここで!」

 

 

「俺は、死ぬつもりなんてない!」

 

 

ラウがリベルタスにサーベルで斬りかかる

セラも、ドラグーンを掻い潜って迎え撃つ

 

 

「!」

 

 

そこで、プロヴィデンスが後退した

余りのも不自然な行動

 

だが、セラの疑問は、次の瞬間晴らされた

 

 

「セラ!」

 

 

「!兄さん!?」

 

 

キラが駆るフリーダムがリベルタスを援護しに来たのだ

フリーダムは、プロヴィデンスに向けてライフルを向ける

 

 

「ちっ!」

 

 

ラウは放たれたビームをかわす

その隙に、セラとキラは後退していく

 

 

「いかせるものかっ!」

 

 

だが、ラウも逃がそうとしない

ドラグーンで二機を襲わせる

 

 

「!」

 

 

「くそっ!」

 

 

二機は、ビームを防ぎながら後退していく

だが、その間にプロヴィデンスが接近してきていた

 

 

「ちっ!」

 

 

「セラ!?」

 

 

プロヴィデンスを迎え撃つセラ

 

このままでは、撤退できない

二機とも落とすわけにはいかない

なら…

 

 

「兄さんは行って!」

 

 

「!何を!?」

 

 

「このままじゃ二機とも落ちる!」

 

 

もし、この場でプロヴィデンスを凌いでも、次は数の暴力が待っている

消耗している今の状態じゃ、とても捌ききれない

 

 

「だから、兄さんは…」

 

 

「ばかっ!」

 

 

「え?」

 

 

そこに、セラとキラ、ラウ以外の声が割り込んでくる

 

 

「もう離れないって…、そう言ったでしょ!?」

 

 

「シエル!?」

 

 

シエルが駆るヴァルキリーまで援護に来たのだ

さすがのラウも、最新鋭の機体三機は相手にしきれない

 

 

「今のうちに!いくよ!」

 

 

三機が後退していく

ラウは、それでも追撃を仕掛けようとするが、フリーダムのハイマット・フルバーストで動きを止められてしまう

その間に、三機はすでにドラグーンの射程範囲から抜け出していた

 

 

「…まあいい」

 

 

ラウは、ドラグーンでまわりの連合のMSを破壊しながらつぶやく

 

 

「ここで貴様を葬ってしまったら、せっかくの準備が台無しになってしまう…」

 

 

ラウは、ヴェサリウスが爆散していくのを傍目で見る

そして、その爆発の中から一機のMSがプロヴィデンスに寄ってくる

 

 

「…無事だったか、フレイ。あの捕虜は、連合に明け渡したね?」

 

 

「はい。あのデータも持たせました」

 

 

ラウとフレイは、話しながら連合のMSを葬っていく

 

その間、ラウは笑っていた

何か楽しみでならないというように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ばかっ!ばかばかばかばかばかばかばかばか!ばかぁ!」

 

 

「わかった!わかったから、もう殴るのはやめてくれ!」

 

 

何とか宙域から離脱したアークエンジェルとクサナギとエターナル

 

そして、コックピットから降りたセラを待っていたのは、シエルのこぶしだった

一発目は顔面にどかん

二発目からは、胸板にぽかぽか叩かれている

 

 

「あんな無茶して!本当に、セラはバカなの!?」

 

 

「ごめん!ごめんって!でも、ああするしかないって思ったんだよ!」

 

 

セラは目に涙をためて責めてくるシエルを全力全開でなだめる

だがシエルは中々止まらない

周りは暖かい目で二人のやり取りを見ている

 

助けを求めたいが、それをする前から結果は見えている

 

 

「…隊長」

 

 

「…ダコスタ君、空気を読みたまえ。ここで君が割り込んでしまうのは愚の骨頂だぞ」

 

 

「…あの、研究所を捜索した結果を報告したいのですが」

 

 

「っ!?」

 

 

ダコスタが口にした言葉を耳にして、セラの表情が豹変する

 

 

「…セラ?」

 

 

急に黙り込んでしまったセラを不思議に思い、シエルがセラをのぞき込む

だが、セラは何も反応しない

 

 

「…セラ君、君は…。自分のことを知っているんですか?」

 

 

セラの反応を見て、まさかと思ったダコスタが、セラに問いかける

 

 

「…自分のこと?」

 

 

シエルがダコスタに聞き返す

 

 

「…研究所で見つけましたか。俺と兄さんの真実を」

 

 

「え?僕?」

 

 

セラが自分のことも言い出し、反応するキラ

なぜ自分のことを?

自分の真実?

 

 

「…話せ。ダコスタ」

 

 

ダコスタに話すように命令するバルトフェルド

ダコスタは頷く

そして、主要なメンバーを連れて会議室に行く

 

それぞれが席についたことを確認し、ダコスタはファイルを出す

ファイルをテーブルに置く

 

 

「…これに、全てが書かれています」

 

 

 

 

 

 

 

「…これは」

 

 

最初に口を開いたのはカガリだった

呆然とした表情でセラとキラを見る

 

 

「…人というのは、恐ろしいものだな」

 

 

バルトフェルドがふうっと息をつきながらつぶやく

マリューとムウは、セラとキラを気遣うように見る

 

 

「…そんな、僕は…」

 

 

キラが、我ここにあらずといった状態で口をぱくぱくさせている

ラクスが心配そうにキラに寄り添う

 

 

「だが…」

 

 

そこで、再びバルトフェルドが口を開く

 

 

「セラはあまり驚かないな。最初から知っていたのか?」

 

 

「…セラ?」

 

 

バルトフェルドの言葉に、セラは俯く

シエルがセラを見る

 

 

「…オーブで…、ウズミ様に教えてもらいました。俺が、兄さんを超える存在として作られたことを。…復讐という野望を込められて生み出されたことも」

 

 

全員が沈黙に包まれる

セラは、その中で続ける

 

 

「そして今日。ラウ・ル・クルーゼと対峙して、本当のすべての真実を知りました」

 

 

「すべて…だと?」

 

 

セラの言葉にムウが口を開く

ラウから聞いた

この言葉に興味を惹かれたのだ

 

そして、セラは話し始める

自分が生まれてきて、何が起こったのか

ラウ・ル・クルーゼと、自分に何のつながりがあるのかを




セラ君とキラ君の真実が知れ渡りました

そして、セラとラウの対決はどうでしたでしょうか?
上手くかけていればいいのですが…

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