機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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はい、1話目です!



PHASE01 仮初の平和

オーブ連合首長国 資源衛星<ヘリオポリス>

 

 

「これでこの艦の最後の任務も無事終了だ

きさまも護衛の任、ごくろうだったな。フラガ大尉」

 

 

「いえ、航路なにもなく幸いでした」

 

 

ムウ・ラ・フラガ

地球軍の大尉であり、地球軍が開発したMA(モビルアーマー)のパイロットである

顔は比較的整っており、金色の髪は所々にくせがついている

パイロットとしての腕は一流であり、エンデュミオンの鷹という異名までついている

 

 

「それで、周辺にザフト艦の動きは?」

 

 

「2隻トレースしておるが、なーに

港に入ってしまえばザフトも手は出せんよ」

 

 

「中立国でありますか…」

 

 

そう、このヘリオポリスが所属しているオーブという国は、他国の争いに介入しないという理念を掲げる中立国である

中立国には攻め込まない…、暗黙の了解になっていた

が…

 

 

「聞いて呆れますね…」

 

 

ムウがぼそりとつぶやく

ムウの任務とは地球軍の新型機動兵器を運び出すための護衛だった

その新型機動兵器を保管する場所、それがこの中立のヘリオポリスなのだ

さらにこの兵器の開発にもオーブは関わっていた

ここまで地球軍に尽くした国が中立…

ムウは口にした通りに呆れていた

 

 

「ともかく君はさがりたまえ

長旅、それにずっと気を張っていて疲れているだろう?」

 

 

「…お気遣い感謝します。では、お言葉に甘えさせてもらいます」

 

 

ムウは振り返り、扉に向かう

そして、失礼しますと言葉を残し、部屋を出たのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザフト艦ヴェサリウス

 

 

「そう難しい顔をするな、アデス」

 

 

仮面をかぶり、素顔を隠した男、ラウ・ル・クルーゼは、

先程からかなり不安そうな表情をしている副官に声をかける

 

 

「はっ…しかし、評議会からの返答を待ってからでも遅くはないのでは…?」

 

 

「遅いな」

 

 

アデスの提案をラウはきっぱりと否定の言葉で切り捨てる

 

 

「私の勘がそう告げている」

 

 

ラウはポケットの中から写真を取り出しアデスに見せる

その写真には人型の機械の顔部分が写っている

 

 

「ここで見過ごせばその代価、

いずれ我々の命で支払わなければならなくなるぞ」

 

 

そう…その写真に写っていたのは…

 

 

「地球軍の新型機動兵器…

あそこから運び出される前に奪取する」

 

 

ラウは笑みを浮かべながら、そう告げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人々が、行き来する

笑み、怒り、悲しみ、様々な表情

これを見て、平和だと言わない者はいないだろう

 

ここは工業カレッジのキャンパスのなかである

この大学の学生、キラ・ヤマトは画面に目を向けながらキーボードをたたく…曰く、ブラインドタッチである

そのタイピングの速さはもう異常と言っていい速さである

 

 

キラ・ヤマト

少し黒みがかった茶髪、紫色の瞳、まだその顔立ちには幼さを残している

 

 

[では次に、激戦が広がる華南戦線、その後の情報を…]

 

 

キラは放送の声を聴き、ふとその放送が入っている画面へ目を向ける

そこには、女性のアナウンサーがこちらに向かって話していた

 

 

[新たに届いた情報によりますと、ザフト軍は先週末、華南宇宙港の手前6キロの地点まで迫っており…]

 

 

この放送を聴き、キラは表情をわずかに歪める

このヘリオポリスは中立で安心とはいえ、

やはり戦争のニュースを聴いて、気分が良くなるということはない

 

 

「お、新しい情報か?」

 

 

「トール…」

 

 

突然肩越しから現れた人物によってぼうっとしていたキラは我に返る

 

トール・ケーニッヒ

キラの同級生で親友といえる存在である

 

 

「うわ、先週でこれじゃ、華南は今頃おちてんじゃね?」

 

 

画面を見ていたトールが不意に声を出す

 

画面には立ちのぼる煙、鳴り響く爆音、建物は見るも無残な状態だった

トールが言った通り、先週でこの状態ならば今頃はザフトに占領されているだろう

 

 

「でも…華南なんて結構近いじゃない…。本土の方は大丈夫なのかな…?」

 

 

トールの後ろから別の人物が現れる

 

ミリアリア・ハウ

トールと同じくキラの同級生で、トールの彼女である

かなりのしっかり者で、トールとはお似合いのカップルだ

 

 

「大丈夫だって!オーブは中立なんだ!戦争に巻き込まれるなんてありえないって!!」

 

 

トールは、とても明るく、気楽にそう口にする

その様子がおかしく、キラとミリアリアは目を合わせた後、くすり、と笑みを零すのであった

 

 

「そういえばキラ。セラはどこ行ったんだ?」

 

 

トールがふと今気づいたのか、キラに問いかけた

 

 

「あぁ、セラなら飲み物を買いに行ったんだけど…」

 

 

「兄さん、今戻ったよ…って、トールとミリアリアもいたのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セラ・ヤマト

キラと同じく茶髪、紫色の瞳

しかしキラよりも髪を伸ばしており、肩にかかるほどである

髪をくくり、ポニーテールみたくなっていて、さらにキラと同じく幼く、中性的な顔立ちをしているため、

度々、女子と間違われる

このことがあり、髪をバッサリ切りたいと思っているのだが

前にそれを行うと、ミリアリアに「似合ってたのに、何で切っちゃうの!?」と

凄まじい説教を受けたため、少しずつ切り、今の髪形を維持するというスタイルに切り替えている

 

 

「ちょっと~…、何よ、その私たちはついでみたいな言い方は~…?」

 

 

「いやいやいや!そんな風になんか思ってないのでありますよ!?」

 

 

セラの言い方が気に障ったのか、ミリアリアが不満顔を浮かべながらセラに話す

セラは怒ったミリアリアの怖さを誰よりも知っている

なので機嫌を悪くしたミリアリアの機嫌を直そうと四苦八苦する

 

 

「ミリアリアさんをついで扱いするなんて言語道断!

そんなことをする輩がいるのなら教えてください!今、私が成敗しにいきましょう!!」

 

 

「そこにいまーす」

 

 

「なんだと!?どこだ!姿を現せ!!」

 

 

明らかに指をさされているセラは必死に気づかないふりをする

その姿が滑稽すぎて、キラたち三人はこらえきれず、声を出して笑うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひどいやひどいや…必死になる俺を皆して笑ってさ…?」

 

 

「はははは!まあいつものことじゃないか!」

 

 

先程の出来事のよっていじけているセラをなぐさめているのか…

トールが声をかける

 

今、セラたち四人はキラが運転する車に乗っていた

 

 

「そうだ!聞いた話なんだけどさ?サイがフレイ・アルスターに手紙を出したらしいぜ?」

 

 

「え!?」

 

 

トールが出した話題にキラが食いついた

 

フレイ・アルスターは大学のアイドル的存在

キラはひそかにフレイに思いを寄せているのは三人の周知の事実である

 

 

「おうおう、兄さん。ピンチやで?サイって目立たないけど、それでもしっかりしてるしどうすんのどうすんの?」

 

 

「べ…別に…僕は…」

 

 

セラがいかにもここだ!といわんばかりの勢いでキラをからかいにかかる

からかわれたキラは顔をわずかに赤く染めながら、弱弱しく否定の言葉を口にする

しかし、この程度ではセラは止まらない

 

 

「んー?何いってるのか聞こえないなー?ほら、ほら♪サイにどうやって対抗するんだy…いっっって…!」

 

 

「もう…あまりキラをからかわないの!」

 

 

調子に乗りすぎたセラがミリアリアの拳骨をくらう

かなり効いたのか、頭を抱え、首を横に振りながら悶えている

 

 

「前々から思ってたけど、セラとミリアリアって親子みたいだよね?…あ、もちろんミリアリアがお母さんだよ?」

 

 

この様子をミラー越しで見ていたキラが、感想を述べる

 

 

「…?ということは、トールが父さんになるのか?」

 

 

「え…、まあ、そうなるのかな?」

 

 

キラの言葉を聞いたセラがふと浮かんだ疑問をキラに問う

その内容を聞いていたトールとミリアリアは頬を染める

 

 

「……えー、それは嫌だな」

 

 

「どういう事だ!!!」

 

 

セラはトールが父親になるということを、げんなりした顔で否定する

それを聞いたトールが席を立つような勢いで助手席からセラに振り返る

 

 

「そのままの意味だよ」

 

 

「なにぃ!?」

 

 

このやり取りを聞いていたキラとミリアリアが声を出して笑う

言い合いをしていたセラとトールもつられて笑い出す

 

こんな感じで、目的地に着くまで笑いが絶えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当はまだ書くつもりだったけど…
キリが何となくよかった?ので、少し短いけどここまでです

最後まで読んでくださった方は、ありがとうございました!
次回もまた、読んでくださるとうれしいです!
では!

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