機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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ん…
文字数が気になるな…

やっぱり他の面白いSEEDの二次と比べたら少ないんですよね…


PHASE30 死闘のはてに

「くそぉ!くそっ、くそっ、くそっ、くそっ、くそっ、くそっ!くそぉぉぉぉぉぉ!くそっ!」

 

 

ザラ隊の母艦のロッカールーム

そこで、イザークは着替えるのも忘れて、ひたすらに壁を殴りつけていた

最後に、ニコルのロッカーを蹴りつける

拍子に、ニコルのロッカーが開く

 

 

「イザークっ」

 

 

ディアッカがイザークを大声で呼ぶ

そこで、イザークは、はっと我に返るが再び頭を怒りが支配していく

 

 

「なぜあいつが死ななきゃならないんだ!こんなところで!ぇえ!?」

 

 

イザークがアスランに詰め寄りながら叫ぶ

そこで、アスランの中で、何かがぷつりと切れた

 

アスランはイザークの襟をつかみ、壁にたたきつける

 

 

「言いたきゃ言えばいいだろう!」

 

 

アスランの脳裏にあの時の光景が浮かぶ

 

 

「俺のせいだと…」

 

 

あの時の無力さを思い出す

 

 

「俺を助けようとしたせいで死んだと!!」

 

 

イザークは、ここで気付く

目の前の男も、自分と同じように、この仲間の死にショックを受けていると

怒りを感じていると

 

イザークは、目に涙を浮かべてアスランをにらみ返す

 

 

「アスラン!イザークもやめろ!」

 

 

そこに、ディアッカが二人の間に割って入り、引き離す

 

 

「ここでお前らがやり合ったってしょうがないだろう!」

 

 

「そうだ」

 

 

そこで、今まで黙っていたロイが口を開いた

三人の視線がロイに集まる

 

 

「あいつらにミゲルはやられ、イザークも傷を与えられ、シエルも連れ去られた…」

 

 

静かなその声には、確かな怒りが込められている

 

 

「あぁ!次こそは、あいつらを撃つ!!」

 

 

イザークは、パイロットスーツのままロッカールームをあとにする

ディアッカは、イザークを追いかけて駆け出す

 

 

「俺も行く。隊長も…、気持ちはわかるが、切り替えろよ」

 

 

ロイは、アスランに労いの言葉をかけてからロッカールームを出ていった

 

 

「…」

 

 

アスランは、開いたままのニコルのロッカーに近づき、ニコルの赤服を取り出した

すると、ロッカーからばさばさと何かが零れる

アスランはその何かを見る

それは、楽譜だった

 

 

「あ…あぁ…」

 

 

アスランは思い出した

ニコルがピアノを嗜んでいた

この戦争が終われば、ちゃんとしたコンサートをやりたいと言っていたことを

 

 

「ぅ…ぁぁあああああ…」

 

 

そして、その夢は、自分のせいで潰えてしまった

 

 

「あの時、撃たれるのは!俺のはずだった!」

 

 

そう、あの刃に斬られるのは自分だったはずだ

なのに…

 

 

「今まであいつらを撃てなかった俺の甘さが!お前を殺した…!」

 

 

どこか、キラたちが自分を殺すはずがないと

キラたちと戦いたくないと思っていた

その自分の甘さが、ニコルを

 

ラウの言葉が頭に浮かぶ

『撃たねば、次に撃たれるのは君かもしれんぞ』

 

そう、自分が撃たれるはずだったのだ

だが、自分の代わりにニコルが撃たれてしまった

 

 

「…キラを撃つ」

 

 

ニコルからもらってしまったこの命

無駄にするわけにはいかない

 

 

「今度こそ必ず…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブリッツを…、討ったんだ」

 

 

「…まぁ、そう」

 

 

セラは、独房に来ていた

シエルは独房に入れられていた

まぁ、ザフトの軍人だったのだから当然なのだが

 

そして、セラは、ブリッツを撃ったことを報告しに来ていた

 

 

「…あのブリッツのパイロットはニコルって言ってね。十五歳で、ピアノが好きだった子なんだ…」

 

 

「…」

 

 

シエルが、ブリッツのパイロットのことを話し始める

 

 

「戦争が終わったら、大きいピアノのコンサートをやるんだって…」

 

 

「そっか…」

 

 

セラの心に痛みがはしる

直接手を下したのはキラだが、だからといって責任転嫁することなどできないし、するつもりもない

最初にブリッツと戦ったのは自分であり、損傷を与え、海に落としたのも自分だ

 

 

「おぉい、坊主。邪魔するようで悪いが、曹長がお呼びだぜ」

 

 

ここで、ムウがセラを呼ぶ

 

 

「あ、はい!すぐ行きます!」

 

 

セラは立ちあがって独房から出ようとする

 

 

「あ…、セラ!」

 

 

「ん?」

 

 

セラは、シエルに呼ばれ、振り返る

 

シエルは、目に不安を浮かべてセラを見る

 

 

「セラは!」

 

 

「…?」

 

 

「…セラは、死なないよね!?」

 

 

シエルは、何とか絞り出すようにその言葉を出す

セラは、一瞬あっけにとられたような表情になると、笑顔を浮かべる

 

 

「…死なないよ。こんな戦争で、死ぬつもりなんてない」

 

 

セラはそう言って、今度こそこの場から離れる

シエルは、セラが出ていった場所を未だに不安そうな目で見つめていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよぉ。ずいぶんラブラブじゃねぇの?」

 

 

「そ、そんなんじゃないですって」

 

 

ムウがセラの脇腹をつつきながらからかうように言う

セラは、表情を少し赤くさせながら否定の言葉を言う

 

 

「まぁでも」

 

 

「?」

 

 

ムウが、急にからかうような口調から真剣な口調になる

セラは、その変化を不思議に思う

 

 

「死ぬなよ。死んだら、そこで全部終わりなんだ」

 

 

ムウは、セラを見ながら言う

セラは、頷く

さっき言った通り、戦争で死ぬ気はない

 

 

「あ…。それにしても…」

 

 

「ん?」

 

 

「あの機体があったんで、あの部隊はしつこいもんだと思ってたんですけど…」

 

 

そこでムウは、あれはクルーゼ隊ではないと言おうとした

だが、セラの言葉に続きがあるようで、その言葉を飲み込む

 

 

「なんか…、違いますよね…。あの部隊じゃない…というか…。…そんなはずないですよね?すいません。変なこと言って」

 

 

「え?あ、おい!」

 

 

「早くいきましょう?曹長の雷が落ちますよ」

 

 

セラは先に行ってしまう

だがムウは、セラの言葉が気になっていた

 

…お前も感じているのか?

今、あの部隊にはラウ・ル・クルーゼがいないということを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レーダーに艦影!」

 

 

その報告を聞いて、アスランたちは身を乗り出すようにモニターを見る

そして、オペレーターが、アスランたちが待ち望んだ言葉を口にする

 

 

「足つきです!」

 

 

その瞬間、イザークとディアッカの目に火がともった

 

 

「群島の多い海域だな。日の出も近い。仕掛けるには有利か」

 

 

モンローが、アスランを見る

アスランは頷く

 

 

「出撃する!パイロットはそれぞれ所定の位置につけ!」

 

 

「今日こそ片だ!足つき!」

 

 

「ニコルの仇もお前の傷の礼も、俺がまとめて取ってやるぜ!」

 

 

「…スピリット。今日こそ…!」

 

 

それぞれが機体に乗り込み、発進タイミングを待つ

クストーが海面から出る

ハッチが開き、発進タイミングが譲渡される

 

それぞれがそれぞれの思いを持って

 

出撃した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方のアークエンジェルも、艦影を捉え、出撃したMSを確認していた

 

 

「敵影四!五時方向、距離三千!」

 

 

トノムラが敵についての報告をする

メインモニターに映る影

グゥルに乗る三機のXナンバー

そして、大気圏内の飛行を可能としているガンダム

 

 

「同方向より、熱源!」

 

 

 

「回避!取り舵!」

 

 

バスターの放ったビームが、回避したアークエンジェルのすぐ横を通過する

 

 

「アンチビーム爆雷用意!ウォンバット装填!イーゲルシュテルン機動!」

 

 

ナタルの号令で、アークエンジェルの兵器が展開されていく

 

 

「フラガ少佐とヤマト少尉たちは!?」

 

 

「一号機、フラガ少佐出ます!ストライク、スピリットは後部甲板へ!」

 

 

ミリアリアの声を聴きながらセラはスピリットを起動させる

 

 

「このままいくとは思わなかったけど…」

 

 

セラはつぶやく

心の中で思っていた

ブリッツが落とされたことで、奴らが撤退していくということを

だが、それはなかったようだ

 

 

「俺はバスターをやるが、お前らはどうするんだ!?」

 

 

「俺は、いつものように空で戦います!兄さんは…」

 

 

「甲板で射撃だね」

 

 

三人がそれぞれの役割を確認して、発進する

 

確認した通り、一号機、スピリットは空に飛びあがっていく

ストライクは、エールを装備して、後部甲板に降り立つ

 

 

「…っ」

 

 

セラは、リーパーが接近してくることに気がつく

リーパーは、サーベルを抜いて接近してくる

 

セラはライフルを撃って、リーパーを近づけないようにする

だが、ロイはビームを潜り抜けてスピリットに近づいていく

セラは、ライフルで遠ざけるのを諦め、サーベルを抜いて迎え撃った

 

 

「お前は…」

 

 

ロイは、怒りを言葉に込めてつぶやく

 

二機は、鍔迫り合いから離れる

セラはそこで、ライフルを撃つ

ロイはビームをすべてかわし、ライフルを撃ち返す

 

 

「お前だけは…!」

 

 

セラもビームをすべてかわす

だが、ビームを囮にしてリーパーが近づいてきていることに気がつかなかった

 

 

「!」

 

 

「許せないんだ!」

 

 

ロイはサーベルを振り下ろす

だが、セラも超人的な反射神経で反応し、サーベルをシールドで防ぐ

 

 

「ニコルを殺すきっかけを作り!シエルを連れ去って!」

 

 

「ぐぅううう!」

 

 

サーベルのパワーに押されるセラ

それでも何とか後退することに成功し、体制を立て直す

 

だが、戦況はリーパーが優勢だった

 

ロイはスピリットが体制を整えてすぐに襲い掛かる

本当なら、整える前に襲い掛かりたかったのだが、それは間に合わなかった

 

だがそれでも、サーベルで斬りかかり、再びスピリットの体制を崩すことに成功

セラは、苦戦を強いられていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イーゲルシュテルン四番五番、被弾!」

 

 

「ヘルダート発射管、隔壁閉鎖!」

 

 

アークエンジェルに、確実にダメージが与えられていた

 

 

「アラスカは!?」

 

 

「ダメです!応答取れません!」

 

 

そして、アラスカともコンタクトが取れない

 

その間にも、ナタルが反撃をしようと指示を出すが、空振りに終わっていく

 

 

「直上にイージス!」

 

 

「面舵ぃっ!」

 

 

さらに、ストライクとスピリットがそれぞれ交戦している間にイージスがアークエンジェルに打撃を与えようとする

イージスはアークエンジェルの真上からスキュラを放つ

 

マリューの号令もむなしく、スキュラはバリアントを貫いた

 

 

「プラズマタンブラー損傷!レビテーターダウン!」

 

 

チャンドラがアークエンジェルの損傷を報告していく

 

 

「揚力維持できません!」

 

 

ノイマンも、舵を必死に取りながら報告する

 

 

「姿勢制御を優先して!」

 

 

「緊急パワー、補助レビテーター接続!」

 

 

マリューとナタルも余裕どころか焦りを感じさせる声で指示する

 

まさか、ここまでやられてしまうとは…

 

 

「スカイグラスパーで出ます!」

 

 

そこに、トールが立ち上がって駆け出す

マリューが、トールを止めようとするも、被弾による衝撃で、それはかなわなかった

 

トールは、二号機で出撃する

だが、そのトールを待つものは、何よりも悲しい現実だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラは、デュエルの足をライフルで撃ちぬき、グゥルから落とす

だがデュエルは最後のあがき

レールガンでストライクのライフルを爆散させた

 

 

「キぃラぁあああああああ!!!」

 

 

そこに、アスランがストライクに襲い掛かる

ライフルを失ったキラは、接近戦に持ち込むしかない

 

アスランは、グゥルからジャンプ

ストライクに体当たり

ストライクは体制を崩し、落下していく

そして、どこかの島の地面に何とか着地する

 

だがキラに安心する余裕はない

アスランが、そんな余裕は与えないとサーベルで襲い掛かる

キラはシールドで防ぐ

二機は押し合いを始める

 

 

 

 

 

 

雨が降ってきた

雷も鳴っている

だが、二人はそのことに気づいていなかった

 

セラはサーベルで斬りかかってくるリーパーを迎え撃つ

二機の鍔迫り合い

 

 

「お前は…俺が落とすんだぁああああああ!!!」

 

 

その瞬間、ロイの中で何かがはじけた

バーニアをさらに吹かせ、スピリットを押し始める

 

 

「っ!」

 

 

セラは、そのことに気づくと、すぐにリーパーから離れる

だが、ロイはそうはさせないとさらに接近する

 

 

「なっ!」

 

 

「逃がさない!」

 

 

ロイはサーベルを振り下ろす

そのサーベルは、スピリットの左腕を斬りおとした

 

 

「くっ!」

 

 

「はぁぁぁああああああ!!!」

 

 

さらにロイはスピリットに蹴りを加え、体制を崩しにかかる

だが、セラも負けていない

蹴りをもらいながらも必死に機体の姿勢を制御する

 

そして、すぐさまライフルの引き金を引く

ビームはリーパーの右足を爆散させる

だが、ロイの勢いは止まらない

 

 

「そんなので終わると思ってるのか!?」

 

 

「くっそ!」

 

 

リーパーが接近し、サーベルを振り下ろす

何とかかわしたものの、再び接近してくる

 

セラは何とかシールドを割り込ませる

だが、リーパーが振り下ろすサーベルに押され、致命的な隙を与えてしまう

 

 

「…!」

 

 

「これで!」

 

 

ロイはサーベルを構える

 

 

「終わりだぁあああああああああああ!!!!!」

 

 

「っ!」

 

 

サーベルは、スピリットに突き立てられた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラとアスランは、サーベルを何度も交あわせていた

二人の戦いは全くの互角

 

技術的にはキラの方が勝っていた

だが、アスランはキラを本気で殺しにかかっている

キラはそうではない

その差が、技術の差を埋めていた

 

 

「キラ!」

 

 

「え!?」

 

 

不意に、スピーカーから聞こえてくる声

 

 

「!トール!?ダメだ!来るなぁ!」

 

 

トールは、機体の底部からミサイルを出し、イージスに向けて撃つ

だがイージスは、それを容易くかわし、シールドをブーメランのように投げる

 

投げられたブーメランは、二号機を襲う

 

 

「うわぁ!」

 

 

トールは、驚きながらも操縦桿をとる

何とかかわすが、大きく体制を崩し、地面に不時着してしまう

 

キラは、友の無事にほっとしつつも、トールに刃を向けたアスランに怒りを抱く

 

 

「アスラン…!」

 

 

そこで、キラの中で何かがはじけた

 

 

「よくもトールを!」

 

 

トールは無事だ

だが、あとコンマ数秒の差で、トールは撃墜されていた

その事実が、キラに怒りを抱かせた

 

キラは、イージスのサーベルをシールドで防ぎ、逆にサーベルをお見舞いさせる

振り上げられたサーベルは、イージスの左腕を斬りおとす

 

 

「くぅ…!」

 

 

アスランは堪らず後退

だが、キラはイージスに追撃をかける

 

 

「俺が…!」

 

 

アスランは、接近してくるストライクをにらむ

ニコルを殺した…、その張本人をにらむ

 

 

「お前を撃つ!」

 

 

アスランの中でも何かがはじけた

イージスの四肢すべてのサーベルを展開させ、斬りかかる

ストライクの左腕を斬りおとす

 

だがキラも負けていない

サーベルを斬りおとし、イージスのメインカメラを奪う

だが、アスランもサーベルでストライクのコックピット部分をえぐる

 

コックピットのえぐられた部分から、キラの視界にイージスが直接飛び込んでくる

キラの怒りが、爆発する

 

 

「アスラァァアアアアアアアアアアン!!!」

 

 

「キラァァアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

アスランは、イージスの形態を変える

クローがストライクをつかむ

そのままスキュラでとどめ

 

 

「…な!?」

 

 

撃てない

PSダウン

バッテリーが切れたのだ

これでは…

 

アスランの視界で、ストライクが動き出す

 

ここまで追い詰めて…!

 

もう終わり?

いや、まだだ!

 

アスランはテンキーを出し、コードを入力

そして、すぐにハッチを開けて脱出

 

キラは、アスランが脱出するのが見えた

 

 

「…!まさか!」

 

 

そこで、キラは答えを導いた

だが、遅かった

 

イージスの爆発

それは、ストライクを巻き込んで、すさまじいものになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く…、助かったか…」

 

 

トールは、何とか無事でいた

目立った怪我もない

 

 

「…!キラは!?」

 

 

そこで、キラの存在を思い出す

まだ戦っているはずだ

 

 

「キラ!」

 

 

再び二号機に乗り込み、飛び立つ

出撃したすぐよりも動きは鈍いが、気にしていられない

キラを援護しにいかねば

 

そこで、見えた

見えてしまった

ストライクが、イージスに捕まえられているのを

 

 

「…!」

 

 

トールは、さらに機体を加速させる

だが、中々スピードが上がらない

 

だが、イージスがPSダウンを起こしている

 

…これなら

 

トールが少し安心した瞬間だった

 

ストライクとイージスが、爆発した

 

 

「…え?」

 

 

目の前の光景が信じられない

炎が上がる

そこは、キラがいた場所

 

 

「は…はは…。そうだ…、セラは…?」

 

 

そこで、トールは目にしてしまった

 

サーベルで貫かれたスピリットが、海に落ちていったのを

 

 

「…おい」

 

 

水柱が上がる

 

なんだこれは

なんなんだ

 

 

「…セラ?…キラ?」

 

 

セラを落とした機体は母艦に撤退していく

左腕がなかったため、それが理由だろうか

だが、今のトールは、そんなものどうでもよかった

 

 

「おい…。ウソだろ?」

 

 

トールは、セラとキラに通信をつなげようとする

だが、返ってくるのはノイズだけ

 

 

「セラ!キラ!返事しろよ!おい!」

 

 

トールは必死に呼びかける

 

 

「トール?」

 

 

「ミリィ!?」

 

 

そこに、ミリアリアから通信が入る

 

 

「トール、今は戻ってきて…」

 

 

「でも!セラとキラが!」

 

 

「ディンが接近してるの!このままじゃトールが危ないの!」

 

 

「…!」

 

 

トールははっとする

もし、このまま接敵すれば、自分は落とされる

 

ミリアリアを残して死ぬことになる

 

 

「…くそぉ!」

 

 

まだ、納得しきれていないが、ミリアリアを残して死ぬ気はない

セラとキラのことは気になるが、あいつらなら、きっとこうしろと言うはずだ

 

 

「…言う…はずだ」

 

 

自分に必死に言い聞かせながら、トールはアークエンジェルに戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正面、距離五千、スピリットです」

 

 

「…そうか。…回収する」

 

 

「了解」

 

 

 




次回から、キラやアークエンジェルは少しの間、空気に近くなります

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