機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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二十七話目です


PHASE27 オーブの裏側

あの戦闘の後、アークエンジェルはオーブに入港していた

オーブの代表がいるという話を信じてくれたのか

実際、カガリが代表の娘だというのは事実だったが

 

マリューは艦長室の中で息をつく

あの脅威をやり過ごせたのはいいが、問題もあった

 

ザフトの機体のパイロット

それを収容した

 

さらに、その人物はマリューが知っている人物だった

シエル・ルティウス

ヘリオポリスで保護された民間人、と思われた

 

だが、実際はザフトの兵士で、しかも自分たちと戦っていた機体のパイロットだったのだ

 

セラが、その機体を捕獲したと報告してきて、収容を許可した

 

そして収容した後セラは、機体のコックピットを開けてパイロットのことを呼んだ

その名前が、シエル

 

シエルは気を失っていた

ナタルが独房に連れて行けと命令するが、セラは無視して医務室に連れて行った

セラを命令無視で罰すべきだとナタルに言われたが、今はあの子のことを気にしてる場合じゃない

今はアークエンジェルの補給を優先すべきだと言い、ナタルを引かせた

 

セラ、そしてそのほかのヘリオポリス組はシエルとは仲良くしていた

その他のクルーもシエルのことはよく思っていた

だから、コックピットの中にシエルがいた時は衝撃を受けた

 

 

「そして…」

 

 

そう、マリューの悩みの種はまだあった

 

スピリット、ストライクの両パイロットの技術協力を希望する

これは、オーブの代表、ウズミ・ナラ・アスハ本人から、直接要望されたものだ

 

マリューはこの要望を受けることに抵抗はないのだが、そうでない人もいるのだ

このオーブをよく思わない人が

 

 

「艦長さん」

 

 

ドアが開く音が聞こえ、ムウが艦長室に入ってきた

ほんとにいつも…

タイミングが良いのか悪いのか…

 

 

「なんですか?少佐」

 

 

笑顔を浮かべてムウを迎える

クルーに自分の不安を見せるわけにはいかない

自分は、この艦の艦長なのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やれやれ…

ムウは心の中でかぶりを振る

 

マリューは気丈にふるまってるが、間違いなく無理をしているだろう

正直、自分だってこの展開に不安を覚えているのだ

艦長のマリューが不安を持っていないはずがない

 

ムウはマリューに歩み寄る

 

 

「ま、あんたは一人じゃないんだ。まわりを使ってこそ、艦長…、リーダーだぜ?」

 

 

マリューが目を見開く

だがすぐに笑顔を浮かべる

 

 

「…そうですね。なら、私に飲み物を買ってきてくれませんか?」

 

 

「いや、俺はパシリかよ!?」

 

 

艦長室からは、しばらく笑い声が聞こえていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シエル。よかった」

 

 

セラは、シエルを医務室に運んだあと、ずっとシエルを看病していた

他の人たちも手伝ってくれたりしたが、今はセラ一人だった

 

 

「セラ…。ここは…?」

 

 

シエルが視線を巡らせる

 

 

「ここは、アークエンジェルの医務室だよ」

 

 

「アークエンジェル…、足つき?」

 

 

「あしつき?」

 

 

セラが、シエルが言った“足つき”という言葉を聞き返す

 

 

「ザフトの中では、この艦のことをそう呼んでいたの」

 

 

「…そっか」

 

 

…話がつながらない

話題が出ない

 

 

「…ここは、オーブなの?」

 

 

シエルが口を開く

 

 

「ん、あぁ。ここはオーブだよ」

 

 

「…連合はやっぱり、オーブとつながってたんだ」

 

 

「そんなことはないぞ?少なくとも、最初の警告は本気だったと思うし」

 

 

シエルの目が見開かれる

セラはそれに気づくが、さらに続ける

 

 

「もう知ってるだろ?オーブの姫がこの艦に乗ってたって。それだって、単なる偶然なんだ。詳細は話し始めたら長くなるからあまり言いたくないけど…」

 

 

セラは、シエルが横になっているベッドの傍に椅子をおいて座る

 

 

「…シエル。あの…」

 

 

シエルには、セラが何を聞こうとしているかわかっていた

 

 

「うん、私は、ザフトの軍人だよ」

 

 

「…そっか」

 

 

セラの顔が俯く

その表情はよく見えない

だが、決して明るい表情をしているわけではないことだけはわかっていた

 

 

「私は、プラントを守るために軍に入ったの」

 

 

「…」

 

 

「私は、血のバレンタインで両親を亡くした」

 

 

「!」

 

 

セラの顔が上がり、目が見開かれる

だが、セラは何も言わずにシエルの話を聞く

 

 

「本当は、ナチュラルに復讐をしようとしてたのかもしれない…。それに気づかせてくれたのは、セラだった」

 

 

「俺?」

 

 

不意に自分の名前が出てきて、つい声を出してしまう

シエルは頷く

 

 

「だから、セラとは戦いたくなかった。ううん、それだけじゃない。キラとも、ミリアリアとも、みんなと戦いたくなかった」

 

 

「それなのに、何度も戦って、やっと、セラを撃つチャンスが来て…」

 

 

「なのに、引き金が引けなくて…!苦しくて…!」

 

 

シエルの体が震えはじめる

手で顔を覆って、その間から涙がこぼれる

 

それを見た瞬間、セラは無意識のうちにシエルを抱き締めていた

 

 

「セラ…」

 

 

「大丈夫、大丈夫だから…」

 

 

シエルも腕をセラの背中に回す

顔をセラの胸に押し付け、涙で濡らす

セラはシエルの髪を撫でる

 

シエルは、守りたい人がいなかった

プラントを守りたいといっても、それは漠然としたもので、はっきりとしたものではなかった

だから、初めて守りたいと思ったセラと分かれた時、もう戦う理由がわからなくなってしまったのだ

 

 

「…ごめん」

 

 

シエルがセラの腕から離れる

三十分くらい抱き締めあっていただろうか

 

 

「ん…」

 

 

セラは、今まで自分たちが何をしていたのかを思い出し、顔を真っ赤にさせる

シエルもまた、セラと同じように顔を赤くさせる

 

二人は黙ってしまう

気まずい空気が流れる

 

 

「ちょ、押すなっ」

 

 

「見えないんだよっ。もうちょっとしゃがめカズイっ」

 

 

「あ、ちょっ!」

 

 

「「「「わぁぁあああああああ!!!!!」」」」

 

 

ドカドカドカ

 

 

「「…」」

 

 

急に医務室になだれ込んできたキラ、トール、ミリアリア、カズイを呆然と見る

 

 

「…いつから見ていた?」

 

 

「せ…セラ?これには深いわけが…。セラを呼びに来ただけで…」

 

 

「いつから見ていた?」

 

 

「セラがシエルを抱き締めたくらいの所からです!」

 

 

空気が凍った

正確に言えば、セラが空気を凍らせた

 

セラに説明したのはキラだった

恥ずかしさで正常に働かなかったセラの頭

ターゲットをキラに絞ってしまった

 

 

「にぃさぁん!!!!」

 

 

「うわぁあああああ!!何で僕だけぇえええええええ!!」

 

 

セラとキラが駈け出して行ってしまった

 

 

「あーあー…」

 

 

「助かった…な」

 

 

トールとカズイが苦笑しながらセラとキラが走っていった方を見た

ミリアリアはシエルの傍に歩み寄る

 

 

「ふふふ。シエル、セラとそういう関係だったの?」

 

 

「…!ち…違う!」

 

 

「えー?でも、抱き締めあってたよね?」

 

 

「あ…その…。それとこれとは…」

 

 

シエルはミリアリアにからかわれ続けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で艦内で追いかけっこしているのかしら?特にキラ君?あなたは反省しているのかしら?」

 

 

「「がくがくぶるぶる」」

 

 

「ははは…」

 

 

セラとキラは、マリューに叱られていた

理由は言わずもがな、艦内で追いかけっこしていたからである

 

マリューから湧き出る気迫に震えることしかできないセラとキラ

マリューから少し離れたところで苦笑するムウ

 

 

「…まぁいいわ。こんなくだらないことのために呼んだんじゃないもの」

 

 

「「ほっ」」

 

 

思ったより早くお説教が終わりそうでほっとする二人

 

 

「あなたたちには、翌朝、モルゲンレーテに行ってもらいます」

 

 

「モルゲンレーテ?」

 

 

「オーブが、あの二機の戦闘データと、技術協力を求めてきたんだ」

 

 

ようやく本題に入ったことを確認して、ムウが会話に入ってきた

 

 

「技術協力?」

 

 

「ま、中立のこの国が、連合所属の艦を助けてやってんだから、これくらいの見返りはしろってことだろ?」

 

 

「なるほど…」

 

 

身も蓋もない正論に苦笑いするキラ

 

まぁ、二人とも特に拒否する理由もなく

 

 

「明日の朝、向かえばいいんですね?」

 

 

「いえ、むこうから迎えが来るはずだから」

 

 

「わかりました」

 

 

セラがそう言って去っていく

キラもセラについていく

 

ということで、セラとキラの明日の予定は決まったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キラ!セラ!」

 

 

「…!」

 

 

「カガ…リ?」

 

 

自分たちの名前を呼びながらこちらに近づいてくるカガリ

だが、その服装は…

 

 

((…本当にお姫様だったんだ))

 

 

国の姫というにふさわしい服装

セラたちは、一度カガリのドレス姿を見たことがあったが、それでも戸惑ってしまう

 

そして、見たことがない他のクルーは呆然として動きが止まっていた

あのカガリが…?

と、全員が思っていることだろう

 

 

三人は、楽しそうに会話する

その三人を、恨めしそうに

憎しみをこめてにらんでいる人物がいた

 

 

 

 

 

 

 

なんなのよ…

なんなのよ…!

 

あんたには、そんな資格なんてないの!

あんたなんか…

 

あんたなんか!

 

 

 

 

 

 

「キ~ラっ」

 

 

「え?フレイ?」

 

 

会話の途中に、フレイが割り込んでキラの腕にしがみついた

急な出来事に、セラもカガリも反応できなかった

 

 

「キラ、ちょっとあっちの方に行きましょう?」

 

 

「え…え?」

 

 

キラはそのままフレイに連れていかれてしまう

だが、セラは止めなかった

 

 

「…はぁ」

 

 

カガリはため息をついている

セラは真面目な顔で、連れてかれているキラを見ていた

 

もう、フレイの誘惑をキラは跳ね返すことができると信じて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…んぅ!?」

 

 

急に唇をふさいできたフレイに驚くキラ

フレイの美しい顔が目の前にある

 

フレイの心地よいぬくもりが伝わってくる

このままぬくもりに身を任せたいという思いが出てきてしまう

 

けど

だけど

 

 

「やめ…ろっ」

 

 

キラは強引にフレイを引きはがす

 

 

「キラ…?」

 

 

フレイが悲しそうな表情で見てくる

だが、もうキラは動じなかった

 

 

「…もう、こんなことはやめてほしい」

 

 

「え?」

 

 

キラは、その言葉を最後に去っていった

残されたのは、呆然としたフレイだけ

 

 

 

 

 

そんな…なんで?

完璧だったのに…

もうキラは、自分のために死んでくれる人形になったはずなのに…

 

どうして?

 

フレイの頭の中に、今までずっとうっとおしいと思い続けてきた奴の顔が浮かぶ

 

セラ・ヤマト…!

あいつのせいで…!

 

許さない!

絶対に許さない!

どこまでもあたしの邪魔をして!

こんなことになったのは、全てあいつのせい…

全部!全部!!全部!!!

 

…もう、キラは後回し

今は、あいつに報いを与えなかったら、気が済まない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セラとキラは、再び医務室に来ていた

医務室には、ミリアリアが、シエルと雑談していた

 

ミリアリアは、セラが入ってきたのを見ると、意地の悪い表情になる

 

 

「あら?私はここで退散しようかしら?邪魔者はいない方がいいものね?」

 

 

「「いえ、ここにいても大丈夫です。というか、いてください」」

 

 

息ピッタリに同じセリフを言うセラとシエル

 

それを見たキラは苦笑い

ミリアリアは、ふふふと笑いを零す

 

 

「それで、何の話をしてたの?ずいぶん楽しそうだったけど」

 

 

キラが口を開く

 

 

「特別なことは話してないわ。ただ、ガールズトークをしてただけ。…セラのことも含めてね」

 

 

「!ミリアリア!」

 

 

シエルがミリアリアの口をふさごうとするが、できない

ミリアリアは、シエルの手をひらりとかわす

 

 

「そうねぇ…。たとえばぁ…」

 

 

「ちょっと!」

 

 

「ふふ、冗談よ冗談」

 

 

シエルとミリアリアは、もうすっかり意気投合しているようだ

いや、アークエンジェルにいた時から仲は良かったが…

 

 

「なぁ、ミリアリア」

 

 

「ん?どうしたの?」

 

 

それでも、セラは一つ確認したかった

 

 

「シエルは…、もうわかってるだろ?」

 

 

「…えぇ」

 

 

そう

シエルがザフトの一員だということは、艦内中に知れ渡っている

ミリアリアが知らないはずがない

 

 

「それでも…、何でこんなに仲良くできるんだ?」

 

 

セラ自身、別にシエルがザフトだろうが関係はない

だが、他人がどうだかはわからない

特に、フレイのような場合もある

 

演技という場合が

 

 

「別にそんなことはどうでもいいの。シエルはシエルよ、ね?」

 

 

ミリアリアは、最後の言葉と同時にシエルに笑いかける

 

杞憂だったかな…?

 

セラは、その様子を見て安心する

シエルは、感極まったのか、ミリアリアに泣きついている

 

…ミリアリアが、この役目はセラのでしょとかなんとか言っているが無視する

 

 

「兄さんは…、聞くまでもないよね」

 

 

「うん。僕だけじゃない。トールやサイ、カズイだって。みんなミリィと同じこと言うと思うよ」

 

 

セラは、キラの言う通りだと考える

むしろ、シエルを差別する光景が想像できない

 

だが…

 

 

「フレイは…ね」

 

 

フレイはそうはならないだろう

恐らくとことんシエルを糾弾する

 

 

「ま、そっちはセラが何とかしてくれるよね?」

 

 

「え?」

 

 

「違うの?」

 

 

セラは、シエルを見る

少し落ち着いてきたのか、顔をあげてミリアリアとまた何やら話しているようだ

その表情は笑っていて、起きたばかりの時とは大違いだった

 

 

「…いや、違くなんかない」

 

 

自分は、この少女を守る

この笑顔を壊させたりなんか絶対にしない

 

 

「…」

 

 

キラは、セラの様子を見て笑みを浮かべる

ようやく、弟に春が来たかな?という少しずれたことも考えながら

 

 

(ん、ちょっとまって…。あれ?)

 

 

そこで、キラは気がついた

もし、このままセラがシエルと良い関係になったりしたら…

 

 

(弟に先を越される?)

 

 

……

………

 

 

「セラ、やっぱりダメ」

 

 

「何が!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな発表、信じられるか!」

 

 

イザークが、テーブルを叩きながら叫ぶ

 

原因は、オーブが出した声明にある

 

 

「足つきはすでにオーブを離脱しました…ね。これ、本気で言ってんのかな?」

 

 

ディアッカが笑みを浮かべながらも、声にいら立ちを込めながら言う

 

そう、オーブに間違いなく入った足つき

オーブを監視している中、足つきが出てきたという報告は入っていない

それに、あれだけの損害を与えたのだ

監視を潜り抜けることなどできるはずもないのだ

 

 

「だが、これがオーブの正式回答だという以上、ここで俺たちが騒いでもどうにもならないのも事実だ」

 

 

「何を言ってるんだ!」

 

 

冷静なアスランの声をかき消すようにロイが叫んだ

 

 

「いつまでこんなところでぼさっとしてるつもりなんだ!シエルが連れ去られたんだ!とっとと攻めて、取り返しに行く!」

 

 

「理由はともかく、賛成だぜ。こんなの無視して攻めない?」

 

 

「ヘリオポリスとは軍の規模が違うぞ」

 

 

ロイと、それに同調したディアッカが、ぐっと黙り込む

 

冷静さを失いかけているロイでも、オーブの軍事力のことは考えられるようだ

 

 

「カーペンタリアからも圧力をかけてもらう」

 

 

アスランは、冷静な口調で続ける

 

 

「それでも、すぐに解決できないようなら…、潜入するぞ」

 

 

アスランの大胆な作戦に、ほう、と声を出すイザーク

臆病腰な作戦しか考えられないと思っていたイザークには、少し意外だった

 

 

「OK,従おう」

 

 

「…まぁ、あの軍事力の中に突っ込むのは…。冷静さを欠いていたな」

 

 

イザークがアスランの指示に従う意思の返事をする

ロイは先程の自分の言動を反省するような言葉を口にする

 

 

「ふぅん。ま、潜入ってのも面白そうだな」

 

 

ディアッカは、どこか不満そうな感じを残しているが、この状況では分が悪いと諦めたように口を開いて続ける

 

 

「それに、案外あの二機のパイロットの顔も、拝めるかもしれないしな」

 

 

そう残してディアッカとイザークは去っていった

ロイも、もう用はないと去っていく

 

ニコルは、アスランを心配そうに見ていた

そのアスランの表情は、どこか暗い影を落としていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、セラとキラは迎えに来た人たちに連れられて、モルゲンレーテの工場に来ていた

それぞれ自分の機体を収容し、エリカ・シモンズと名乗る女性について行っていた

 

 

「ここならストライクとスピリットの修理が完全にできるわ。あなたたちには、この機体を見てほしいの」

 

 

どうやら、目的地に着いたらしい

目の前に、MSの足だろうか

が、見える

セラとキラは、そのMSの全貌を目にしようと上を見上げる

 

 

「…ガンダム?」

 

 

そこには、スピリットやストライクと同じようなツインアイの機体

さらに、その隣、さらに隣にもと、何機か同じような機体が並んでいた

 

 

「これが、オーブという国の本当の姿だ」

 

 

聞き覚えのある声が背後から聞こえて振り返る二人

そこには、Tシャツにカーゴパンツという見慣れた服装のカガリが

 

ドレス姿でないことに、セラとキラがほっとしたのは秘密だ

 

 

「そう驚くことはないでしょう?あの二機だって、ヘリオポリスにあったんだから」

 

 

セラとキラの耳に、エリカの言葉は届いていなかった

 

スピリットとストライクとは違う

色がついているということは、PS装甲はついていないのか

 

 

「これはM-1アストレイ。モルゲンレーテ社製、オーブ軍の機体よ」

 

 

エリカは、セラとキラにアストレイの構造図を見せる

 

 

「…まじか」

 

 

「こんな…」

 

 

セラもキラも、信じられなかった

平和の国だと思っていたオーブが、陰でこのような兵器を開発していたとは

 

 

「それで、オーブはこの機体をどうするつもりなんですか?」

 

 

「どうって?」

 

 

セラが、エリカに聞くが、エリカは言葉の意味を上手く読み取れなかったのか、首をかしげる

 

 

「これはオーブの護りだ」

 

 

この問いにカガリが答えた

 

 

「お前も知っているだろ?オーブは他国を侵略しない。他国の侵略を許さない。他国の争いに介入しない。そのための力さ…」

 

 

オーブの三原則

これには、セラもキラも魅力を感じていた

 

 

「オーブはそういう国だった…。お父様が裏切るまではな!」

 

 

「え?」

 

 

「裏切った?」

 

 

カガリの言葉につい聞き返してしまうセラとキラ

 

何やらカガリとエリカが話しているが、セラとキラはついていけない

 

知らないのは罪だ

とか

責任はお取りになったでしょう

とか

 

意味は理解できるが、会話に入り込めない

ついていけない

 

 

「ふぅ…、まぁいいわ。来て」

 

 

いつの間に話が終わったのだろう

エリカがセラたちについてくるように言う

 

エレベーターで下に降りて一つの部屋に入る

強化ガラスだろうか

が、前面にはられている

ここは視察ブースらしい

 

 

「アサギ、ジュリ、マユラ!」

 

 

エリカが三人の名前?を呼ぶ

 

 

「はあーい!」

 

 

すると、スピーカーから元気がよさそうな女性の声が聞こえてくる

二人は驚いてびくっと体を震わせる

 

 

「あれ?カガリ様?」

 

 

「あら、ほんと!」

 

 

「なーに?帰ってきたの?」

 

 

「隣の子、なに?ちょっとかわいいじゃない!」

 

 

「他にもいるわ!こっちの子もかわいい!」

 

 

「なによカガリ様!家出から帰ってきたと思ったら二人の男の子を侍らせてきて!」

 

 

「ち・が・う!」

 

 

「「…」」

 

 

なんでだろう

なんで今日という日は、会話についてけない時が多いんだろう

 

セラとキラは、同時にため息をついてしまった




これ以上続けるといつ終わるかわからないので、強引に終わらせました…
すいません…

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