機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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二十三話目です

そろそろお気に入り登録が百を超えそうですね
とてもうれしいです!


PHASE23 紅海に出た大天使

宇宙に浮かぶ戦艦、ヴェサリウス

その更衣室に、シエルはいた

パイロットスーツに着替えるため

 

これからロイ、アスラン、ニコルと共に地球に降りることとなったのだ

近いうちに決行される、オペレーション・スピットブレイク

その準備のために

 

 

「…邪魔だな。切ろうかな…」

 

 

長くなった黒髪をすくう

戦闘の時は結っているのだが、それでも邪魔に感じるほどに長くなってきている

 

ばっさり切りたいものだが、それをしようとすると怒る友人がいるのだ

 

 

「…そういえば、セラも髪を切ったらミリアリアに叱られたって言ってたっけ」

 

 

不意にセラのことを思い出して、吹き出す

彼の髪も男にしては長かった

 

 

「シエル。着替え終わったか?そろそろ時間だから早くした方がいいぞ」

 

 

そこまで考えた時、扉の向こうでロイが自分を呼ぶ声が聞こえる

掛けられている時計を見ると、確かに降下予定時間まであと少しだった

 

 

「うん、もう出るから」

 

 

シエルはパイロットスーツの上着のチャックを閉め、更衣室を出る

扉の前には、ロイが待っていた

 

 

「よし、いこう」

 

 

ロイが歩き出し、シエルも歩き出す

 

このオペレーション・スピットブレイクが成功すれば、戦争終結がぐっと近くなる

 

戦争が終われば、またセラたちと一緒に…

 

 

「シエル?」

 

 

そう考えたとこで、ロイに声をかけられる

 

 

「…!どうしたの?」

 

 

「…いや、シエルが何か考えてるようだったから…」

 

 

ロイに心配されたシエルは笑顔で手を横に振る

 

 

「ううん、そんなことないよ?」

 

 

「…」

 

 

ロイが訝しげな眼でシエルを見る

 

 

「ほら、早くいこ?時間、危ないんでしょ?」

 

 

それにくづいたシエルは、早くいこうと催促する

ロイはしぶしぶといった感じでシエルに従う

 

そう

作戦が成功すれば、またあの人たちと話せるようになるのだ

笑いあうことが出来るのだ

 

絶対に

 

絶対に

 

 

『大気圏突入カプセル、パージします』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ!海だ!」

 

 

「久しぶりだな…。気持ちいいー!」

 

 

紅海にでたアークエンジェル

 

甲板に出ることが許可されたトールたちは、久しぶりのリラックスできる時間を満喫していた

時間が来たらクルーと交代しなければならないが、それでも皆の心は晴れていた

 

 

「でもなんか、変な感じ…」

 

 

「あぁ、カズイは海、初めてだっけ?」

 

 

地球の海を初めて見るカズイが手すりにつかまっておずおずといった感じで海をのぞき込む

 

 

「砂漠もびっくりしたけど…、こっちの方が怖いな…。深いところはすごく深いんだろ?」

 

 

「怪物が出るかもよ?」

 

 

ミリアリアの言葉に、びくっと体を震わせながら顔を引きつらせるカズイ

そんなカズイを見て、トールとミリアリアは声をそろえて笑うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

キラは、誰もいない甲板に足を踏み入れた

手すりの所まで近づき、太陽の光に当たって輝く海面を眺めた

 

キラの心が安らいでいく

ここの所は戦い戦いで、気がとがっていくのを感じていた

だからこの休憩を許可したマリューには感謝の気持ちしか湧いてこなかった

 

 

「…」

 

 

ここに来る途中、トールたち三人とすれ違った

 

そう、三人

サイがいなかった

 

なんでこうなったんだ

というか、何で自分はフレイにあそこまで固執していたんだ

 

砂漠で戦い終わった後、セラの自室に行き談話した

トールやミリアリアにからかわれていくうちに、いつものセラの様子が戻っていくように感じた

そして自分も

 

もう誰も死なせない

その脅迫概念が、じわじわと消えていった

 

もちろん、守ろうと意志は消えてなどいない

だが、気持ちが楽になったというか…

そんな感じだ

 

 

キラの精神状態が回復してきたのは、やはりセラの存在ゆえだろう

バルトフェルドという交流のあった人物を殺してしまい、どこかふさぎ込んでいたセラ

セラには悪いが、それを見て自分と同じ思いを感じている人がちゃんといる

そう安心することが出来たのだ

 

 

「お前、こんなとこにいたのか?」

 

 

声が聞こえ、振り返るとカガリが、金色に輝く髪を風でなびかせながら近づいてきていた

 

 

「カガリ?」

 

 

「いやぁ、きれいだな。本当に、いつ見ても飽きないな、海ってのは」

 

 

カガリがキラの隣に立ち、手すりに寄りかかりながら海を眺める

 

 

「…うん、そうだね」

 

 

キラもカガリと同じように再び海を眺める

 

カガリはそんなキラを見る

 

 

「…?どうかした?」

 

 

キラはそんなカガリに気がついて、問いかける

 

 

「あ…、いや、その…。お前、何かあったのか?」

 

 

「え?」

 

 

カガリの問いかけの意味がわからず聞き返してしまう

 

 

「だって、砂漠にいた時は何かこう…。抱え込んでたみたいなのに、今は何か…」

 

 

あぁ、カガリは自分の気持ちの変化に気づいていたのか

詳しくは察してはいないようだが、それでも

キラはどこか、大切な仲間を見つけて安心したような気持ちになる

 

 

「…うん。少し気持ちが軽くなったというか…。ともかく、砂漠の時とは違うよ。今の気分は」

 

 

キラは、顔を海に向けながら今の気持ちを説明する

 

カガリは、キラの言葉を聞いて笑顔になる

 

 

「へぇ、いいんじゃないか?気持ちが暗いよりはさ」

 

 

カガリも海に視線を向ける

 

と、そこでキラは思い出す

砂漠の戦いで、この少女が何をやらかしたかを

 

 

「そういえば、カガリは艦長たちに何か言われなかったの?」

 

 

「ん?」

 

 

カガリは訳が分からないといった表情をキラに向ける

 

 

「だって、カガリはスカイグラスパーに乗ったんだろ?」

 

 

「あぁ…」

 

 

カガリが視線を斜め上に向ける

 

こめかみ辺りを掻きながら口を開く

 

 

「言われた。そりゃ口うるさく。まぁしょうがないけどさ…。あの副艦長の人に軍に入れとまで言われた時は焦ったよ…」

 

 

「え!?軍に入るの!?」

 

 

キラが驚いて声をあげる

 

 

「入らないさ。キサカが止めてくれたし、艦長さんもそこまではしなくてもいいって言ってくれたからさ」

 

 

キラがほっ、と息をつく

この少女に軍になど入ってほしくない

そう思ったからだ

 

だが、カガリにはそう思えなかったようだ

 

 

「なんだよ!お前、私を足手まといとでも思ってるのか!?」

 

 

「え!?いや、そうじゃないよ!」

 

 

カガリの誤解を解くのに十分はかかっただろう

 

そこからは、二人は和やかに会話を続けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見つけた

キラを見つけた

 

キラは、カガリと共に笑顔を浮かべて会話している

 

なんで?

なんで笑ってるの?

パパを殺したコーディネーターに、そんな資格はない

 

フレイは、キラの目を覚まさせようと甲板に出ようとする

 

 

「はい、待った」

 

 

そのフレイを止める声がながれる

 

振り返る

セラだ

キラの弟、セラがいた

 

 

「やっと精神状態が治ってきてるんだ。水差さないでくれません?」

 

 

セラが挑発的な笑みを浮かべてこちらを見る

 

お前も邪魔をするのか?

ナチュラルのお前が、何でコーディネーターをかばう

 

 

「あんたには関係ないでしょ。ナチュラルのあんたには」

 

 

「いや、俺はあの人の弟だし。関係ありまくりだし。そんなこともわからないの?頭に脳みそ詰まってるの?」

 

 

その言葉を聞き、フレイはカッとして、セラに殴りかかる

だが、セラはフレイの腕をつかんでまわす

フレイの背中を軽く蹴り、転ばせる

 

 

「やめてよね。本気で喧嘩したら、フレイが俺にかなうはずないだろ?」

 

 

セラがどこかで聞いたようなセリフを言う

 

そう、これはキラがサイに言った言葉だ

 

 

 

「どう?今感じてる屈辱がサイが感じたものと同じものだよ。そして、それをサイに感じさせたのは、あんただってこともお忘れなく」

 

 

セラは、その言葉を最後にフレイから視線をはずす

そして、甲板に出て、背後からキラにのしかかった

 

あやうくキラは、海に落ちるところだったが…

 

 

「…」

 

 

フレイは諦めて自室に戻っていく

 

さっき感じた感情が、あの時サイが感じたもの…

 

フレイに何か重いものがのしかかっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シエルたちは、ジブラルタル基地に降りていた

ブリーフィングルームでこれからの方針を話し合っているのだが

 

 

「隊長!足つきを追わせてください!」

 

 

イザークがラウに食い掛かるように懇願する

 

 

「イザーク、感情的になりすぎだ」

 

 

ラウがやんわりとイザークをたしなめる

だが、イザークの勢いは止まらない

 

 

「足つきを討たせてください!」

 

 

イザークが先程より大きな声で言う

 

だがラウは表情を変えずに告げる

 

 

「足つきがデータをもってアラスカに入るのは何としても阻止せねばならん。だが、その任務はモラシム隊が受けている」

 

 

「我々の仕事です!あいつらは、最後まで我々の手で!」

 

 

「私も同じ気持ちです!」

 

 

イザークに続いてディアッカまで熱い気持ちをぶつける

 

アスランやニコルはもちろん、シエルとロイも驚いて視線をディアッカに向ける

短い付き合いながらわかる

ディアッカはこういうふうに熱くなることはないと言っていい

 

 

「ふん!俺だってね、あいつらには苦汁をのまされ続けてるんだ!」

 

 

ディアッカは思い出す

砂漠での戦い

ストライクはデュエルと戦いながらも自分の攻撃をかわし続けた

 

そのうえで自分に反撃しようとしていたのだ

 

 

「できるものなら、私も足つきを追いたいです」

 

 

「!」

 

 

シエルが隣の人物に視線を向ける

 

ロイもイザークたちに賛同したのだ

 

 

「宇宙での二度の戦い。私も悔しい思いをしました。足つきを討ちたいという思いは、二人にも劣りません」

 

 

ロイが淡々と自分の思いを告げる

 

これでは…、またセラと戦うことになってしまう

 

 

「ふむ…」

 

 

ラウが何かを考え込むように唸る

 

 

「スピットブレイクの準備があるため私は動けんが、そこまで言うなら、君たちだけでやらせてみよう」

 

 

ラウが発した言葉に、イザークたち三人の表情が明るくなる

 

 

「「はい!」」

 

 

「では、イザーク、ディアッカ、ニコル、アスラン、それとロイとシエルで隊を組み、指揮は…」

 

 

ラウはそこで言葉を切り、アスランに視線を向ける

 

 

「アスラン、君に任せよう」

 

 

「え?」

 

 

アスランの呼吸が一瞬止まる

 

自分が…隊長?

 

 

「カーペンタリアで母艦を受領できるように手配しよう。ただちに移動準備にかかれ」

 

 

アスランの様子に気づいているのかそうではないのか、そのままラウは続ける

 

 

「色々と因縁のある艦だが、君に期待する。以上だ、すぐに準備にかかれ」

 

 

ラウに言われて、部屋から出るザラ隊

 

 

「ザラ隊…ね」

 

 

「ふん!お手並み拝見といこうじゃないか!」

 

 

ディアッカとイザークがアスランに皮肉を浴びせて去っていく

 

シエルとロイは、励ましの言葉をかけてからその場から去る

 

 

「俺は…」

 

 

アスランから少し歩いたところで、ロイが口を開く

 

 

「俺が、スピリットを討つ。シエルがあれのパイロットに何をされたのかはわからないが…。俺は」

 

 

「え?」

 

 

シエルは凍り付く

 

 

「俺は、お前の婚約者だ。シエルに悪影響を及ぼす奴は、許さない」

 

 

ロイはそう言い残して、先に歩いて行ってしまう

 

シエルは何も言えない

 

ダメだと言えない

 

違うともいえない

 

自分は、敵なのだから

 

セラと…、敵なのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?何やってんだ?」

 

 

マードックが、画面をのぞき込む

 

その画面は、セラが取り組んでいるシミュレーションの画面だった

 

 

「お前さんはホントに…。少しは休んだらどうなんだ?」

 

 

「さっきまで十分休めましたよ。それに、休んでばかりもいられないんだ」

 

 

セラはシミュレーションに集中していく

 

そこで、マードックは気づいた

 

 

「…おい、お前さん。なんで敵の武装しか撃ってないんだ?」

 

 

そう、セラはずっと敵を討っていない

相手の武装を狙って攻撃しているのだ

 

今この瞬間も、スピリットのビームサーベルが相手のメインカメラを斬りおとしている

 

 

「…」

 

 

セラは、マードックの問いに答えない

もうシミュレーションに、気が行ってしまっている

 

 

「…はぁ」

 

 

マードックは話しかけても無駄だと悟り、その場から立ち去る

 

やはり、セラは幼い

人を殺したくないのだろうか

確かに、人を殺さないに越したことはないのだが…

 

 

「…そんなに負担を増やして、どうすんだよ。坊主」

 

 

少し見ただけでわかる

相手を殺さずに撃つのが、どれだけ負担がかかることなのか

 

相手の武装をピンポイントで狙わなきゃいけない

ほんの少しでも、コックピットや動力部分に攻撃が入ってしまったらアウトなのだ

 

それを実行しようとするおアイロットは、どれだけ神経をすり減らされるだろう

セラは、それをしようとしている

 

 

「やめろとは、言えねえしな…」

 

 

マードックは、後頭部を掻きながら整備の仕事に戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相手の右腕にライフルの照準を合わせて撃つ

 

相手に接近して、サーベルで両足を切り落とす

 

メインカメラを狙って引き金を引く

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

息が切れる

こんなにも体力が奪われるものだとは思わなかった

 

相手を殺さずに撃つ

 

言うだけは簡単だ

だが、実行するのはとてつもなく辛いものだった

 

 

「はぁ…、くっ!」

 

 

だが、あきらめたくない

 

もう、あの時のような思いはしたくない

そして、大切な人を失う悲しみを敵にだって与えたくない

 

これは、自分勝手な感情なのだろう

戦争とは、殺し合いなのだ

 

けど…だけど

 

このまま殺しあっていては、本当にどちらかが滅びるまで人は戦い続けるだろう

そんなのは絶対に嫌なのだ

 

せめて、きっかけにでもなれば…

 

少しだけでいいのだ

ほんの少しだけでも、戦争を終わらせることに近づければ

 

 

「…あと、少しだけ」

 

 

おそらく、あとそんなに時間もたたないうちに敵が襲ってくるだろう

だから、あと少しだけでも形にしなければ

 

セラはシミュレーションに没頭していくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザラ隊の面々がカーペンタリアに移動していく中、アスランだけ残っていた

 

アスランの機体、イージスを載せる輸送機だけ遅れていた

だがそれもやっと準備が終わり、出発するところだった

 

アスランは後部シートに腰を下ろして窓の外に広がる風景を見る

 

 

『次に会うときは、お前を撃つ!』

 

 

『僕もだ…!』

 

 

キラと最後に会話したあの時を思い出す

そして、セラも敵として立ちはだかる

 

どうしてこうなってしまったのだろう

何が自分たちを引き裂いてしまったのだろう

 

アスランはそこまで考えて、ぶんぶんと頭を振る

 

自分は隊長なのだ

私情を挟むことは許されない

そんなことでもし隊員を死なせてしまったら、自分は隊長失格どころじゃない

 

何としても、足つきを

ストライクとスピリットを討たなくては

 

自分の友は、自分の手で

イザークやディアッカ、ロイの気持ちもわからなくもない

だが、これだけは誰にも譲りたくなかった

 

アスランとイージスを載せた輸送機が、飛び立った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セラは、疲れた体をベッドに投げ出すように飛びつく

 

 

「…疲れた」

 

 

もう少し続けたいところだったが、もしこの満身創痍にも近い隊長で発進することになったらたまらない

部屋で休むことにした

 

目をつむる

セラの意識はすぐに落ちていった

 

 

 

 

 

一方のキラは、未だにカガリと談笑していた

かなりの時間しゃべっていたが、中々飽きない

 

まるで、家族と話しているような感覚…

 

そこまで考えて、あざ笑うようにその考えを捨てる

カガリとはただの友人だ

家族…、兄弟などではない

 

 

「おい、聞いてるのか?」

 

 

「あ、聞いてるよ」

 

 

カガリがキラの顔を下からのぞき込む

キラは顔を赤らめて顔を離す

 

 

「顔赤いぞ?熱でもあるのか?」

 

 

「…!ない!ないから!」

 

 

おでこに手を当てようとするカガリを制する

 

 

「…なんかあやしいぞ」

 

 

「…え?」

 

 

「お前、何か隠してるな!」

 

 

「え?え?」

 

 

カガリがキラに迫る

キラはなぜそんなことになるのかわからず、ただただ疑問符を浮かべる

 

 

「話せ!話せぇ!」

 

 

「う…わぁぁあああああ!」

 

 

カガリがさらに迫ってくる

キラは、恐怖心を覚え逃げる

 

 

「あ、こら!待て!」

 

 

カガリもキラを追いかける

 

二人の追いかけっこは三十分ほど続いた

 

ちなみに、二人の追いかけっこを止めたのは、マリューの一喝だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…」

 

 

マリューが艦長席に座ってため息をつく

キラの元気が戻ったことはいいが、元気すぎるのも問題だ

 

 

「まったく、あの二人は…」

 

 

「でも、よかったじゃないですか。ヤマト兄の様子がよくなって」

 

 

ノイマンがそう口を開く

 

事実、キラの精神状態は格段に良くなった

砂漠の時とは大違いだ

 

それは、やはりセラとカガリの存在が大きいだろう

 

 

「そうなんだけど…」

 

 

けど、まさか艦の中で追いかけっことは

さすがのマリューも呆れてしまった

 

だが、最近の艦の中の空気はいい

 

そして、ここまで敵に接触せずに来ている

出来ればこのままいきたいところなのだが…

 

 

「れ、レーダーに感!」

 

 

カズイから報告が入る

全員の表情が、一瞬にして引き締まる

 

 

「速い…!かく乱がひどく、特定できませんが、民間機ではありません!」

 

 

このまま敵と接触せずに行きたいと思ったところにこれとは…

 

ため息をつきたいところだが、そうもしてられない

マリューはすぐに館内放送で号令をかける

 

 

「総員。第二戦闘配備!」

 

 

前方から、MSが見えてくる

 

あれは、ザフトの大気圏専用のMS、ディンだ

 

外見はジンに似通っており、背中には大気圏でも飛行ができるように六枚の翼がつけられている

 

すぐさま第一戦闘配備に変更

戦闘に移っていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セラが寝はじめてから、約一時間後のことだ

第二戦闘配備が命令され、すぐに第一戦闘配備に変更になった

 

パイロットスーツに着替え、格納庫に向かう

体には少し疲れが残っている

だが、戦闘に支障はない程度だ

これならやれる

 

コックピットに乗り込む

 

乗り込んですぐに、ハッチが開き、発進許可が下りる

 

 

「セラ・ヤマト!スピリット、発進する!」

 

 

「キラ・ヤマト!ストライク、行きます!」

 

 

「ムウ・ラ・フラガ!出るぞ!」

 

 

三機が発進する

 

スカイグラスパーはそのままディンに接近していく

 

スピリットとストライクはアークエンジェルの上に乗り、ライフルで迎撃する

 

それぞれが応戦しているときだった

 

 

「ソナーに反応!数三!モビルスーツです!」

 

 

トノムラから報告

 

艦橋に動揺がはしる

 

 

「ソナーに突発音!今度は魚雷です!」

 

 

追い打ちをかけるように魚雷の反応

 

マリューが回避を指示するが、ノイマンが間に合わないことを告げる

 

 

「推力最大!離水!」

 

 

ならば、水から離れることを選択

離水すれば、自動的に魚雷を回避することが出来る

 

ノイマンが全力で操縦桿をあげる

 

魚雷が命中する前に、何とか離水することに成功

 

だが、それでほっとする暇もなく

水中からミサイルが放たれる

海面からMSの姿が確認できる

 

 

「機種特定!UMF-4Aグーンです!」

 

 

水中専用のMSも共に、アークエンジェルに襲い掛かってきた




キラさんは原作より安定してます
家族の存在は偉大です

そしてフレイさん…

どうしてあげようか…

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