機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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再会ということですが、セラ君にはまったくもって関係ありません


PHASE17 再会

自室で寝ていたセラだが、あまり寝られず、艦内を少し散歩することにした

 

 

「ほら!ちゃんと起きなさい!」

 

 

「むにゃ…」

 

 

「…」

 

 

…散歩なんかするんじゃなかった

なにが悲しくて散歩し始めて新婚のやり取りのようないちゃつきぶりを見なきゃならんのだ…

 

セラが少し歩くと。トールとミリアリアがいた

ミリアリアが着崩れていたトールの服を直していた

 

…り…じゅ…め

 

 

「あ、セラ。どうしたんだ?」

 

 

セラに気づいたトールが話しかけてくる

 

 

「…いや、少し歩こうかと思ってたんだけど。まさか歩き始めてすぐに新婚同然のやり取りを見せられるとは思わなかった」

 

 

セラの言葉を聞いて、顔を赤くするトールとミリアリア

それを見てため息をついてしまう

 

別に彼女が欲しいとかは思わないのだが…

ここまで露骨にやられると精神的にくるものがある

 

そのあと、トールたちはブリッジに交代しに行くと言うので、こっちもデッキに行こうとふと思った

途中まで一緒に行くことにする

 

 

「なぁフレイ。その…さっきのことなんだけど…」

 

 

そこで何やらフレイに話しかけるサイに遭遇する

 

…さっきのこと?

 

 

「なぁトール。さっきのことって何だ?」

 

 

「あぁ、セラは見てないんだったな。えっと…」

 

 

トールがぽつぽつと話し始める

 

サイがフレイにまたキラの看病を交代することを提案

フレイは拒否

サイがフレイに気遣う

フレイはそれすらも拒否

それだけでなく、婚約も解消することを提案

 

 

「…おいおい」

 

 

セラは開いた口が塞がらない

セラは今までのサイとフレイを思い出す

決して仲は悪くなかった

むしろ関係は良好だと言えただろう

なのになぜ?

 

今もサイはフレイに話しかけている

しかし、フレイが返事を返す様子はない

 

 

「第二戦闘配備発令!繰り返す!第二戦闘配備発令!」

 

 

ここにいる全員の表情が引き締まる

 

 

「ごめん、フレイ!話はまたあとで!」

 

 

セラやサイたちはそれぞれの持ち場に走っていく

 

 

 

 

 

 

 

 

「!敵!?」

 

 

キラが、がばっと飛び起きる

放送を聴いた

敵だ

敵が来たのだ

 

フレイがキラの横で寝たふりをしてキラの様子を眺める

 

 

「もう誰も…、死なせるもんか!」

 

 

そう言ってキラは走り出した

その様子を見てにやりと笑う

 

キラにつけた逃げられない印

これでキラは自分を守ってくれる

 

 

「守って…」

 

 

キラは、戦って

 

 

「戦って、あなたは死ぬの…」

 

 

フレイはごろりと転がり天井を仰ぐ

 

 

「ははっ…、はははっ…、はははははははははははははは!!!!」

 

 

ただ、笑う

ここまで上手くいくとは思わなかった

これはキラへの復讐

父を守ってくれなかった

 

父を殺したコーディネーターへの復讐…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、ここで敵か…。大気圏用のOSに書き換えといたよかった」

 

 

過去の自分の行動に感謝するセラ

いずれ来るとは思っていた

だがここまで早…

 

ここで違和感を持つセラ

 

遅い?

今までのザフトの猛攻を考えると遅くないか?

 

 

「敵はどこだ!ストライク発進する!」

 

 

思考はキラの声で遮られた

 

発進?

まだ敵の数も、機体の詳細すらもわかっていないのに

 

 

「まだ敵の位置すらもわかってないんだ。発進命令も出ていない」

 

 

ナタルがモニター越しでキラをにらみながら言う

しかしキラの勢いは止まらない

 

 

「何のんきなことを言ってるんだ!僕がでてやっつける!ハッチ開けて!」

 

 

ナタルは大きく息を吐く

ここまで聞き分けないとは…

 

 

「艦長!」

 

 

「言いようは気に入らないけど、出ていってもらうしかないわね…。ストライク、スピリットはっし…「待ってください」…え?」

 

 

「まずは俺一人で出させてください」

 

 

セラはマリューの命令を遮って言う

 

 

「え…、セラ君?」

 

 

「何いってるんだ!一人だなんて!僕も!」

 

 

「兄さん。ここは宇宙とは違う。OS、重力があることを想定して設定しなおした?」

 

 

「…それは」

 

 

セラの言葉でキラの勢いが一気に弱まる

 

 

「何でそんなに執着してるのかはわからない。けど、万全の状態で出れない人がいても、邪魔なだけ」

 

 

「…!」

 

 

セラはキラに容赦なく言い放つ

 

 

「OS,設定し終えたら来て。スピリット、発進する!」

 

 

セラはキラとの通信を切り、発進する

今のキラとは、話したくなかった

 

艦から出て、砂漠に着地する

体制は…崩れない

 

 

「よし、設定は上手くいったな」

 

 

セラは付近を飛んでいるヘリに気づく

ライフルを取り出し、撃つ

ビームは少しずれたもののヘリの飛行能力は奪っていく

 

 

「これは少し甘かったか。まぁ、これくらいならこのままでも少し照準をずらせばいい」

 

 

ビームを連射し、ヘリを落としていく

 

 

「…?下がっていく…!」

 

 

何機か落とすと急にヘリが下がっていく

すると、かなりのスピードで接近する機影

 

四つ足で、青い色

獣を思わせるフォルム

 

口のようなものに加えさせた二連装ビームサーベルを展開させ、突っ込んでくる

セラはそれをかわし、機体が通り過ぎるその瞬間、サーベルで切り裂く

 

後ろで機体が爆散する音が聞こえる

 

 

「…なんだ、この機体は。…バクゥ?」

 

 

モニターに映るデータを見て、今襲い掛かってきた機体の名前がわかる

 

 

「…!」

 

 

そこで気を引き締める

バクゥの何機かがこちらに接近し、残りがミサイルを撃ってくる

バーニアを操り、横にかわす

かわしながらもライフルを撃つ

 

しかし、バクゥに当たらない

 

 

「速いな!このっ!」

 

 

しかし、速いだけだ

かわして動きが止まったバクゥにサーベルで斬りかかる

 

バクゥはかわせず、斬撃を受け、爆散

 

そしてすぐに振り向きライフルを撃つ

こちらに襲い掛かろうとしていたバクゥに当たる

 

 

「な…なんだよ…」

 

 

「こんなの…」

 

 

バクゥのパイロットたちに恐怖が募り始める

 

しかし、セラはそんなことは露知らず、バクゥを落とし続ける

最初の方はバクゥの機動力に少し手間取ってしまったが、もう慣れた

もうセラの中でバクゥは宙にいるジンなどと同じ扱いになっていた

 

結構落としたかと思っていたが、バクゥはまだまだ出てくる

 

セラはバクゥの群れに機体を突っ込ませた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、バルトフェルドたちの目の前で信じられないことが起こっていた

 

宇宙用のMSが大気圏内用のMS,バクゥを圧倒しているのだ

 

 

「…OSはあらかじめ書き換えておいてのだろう。だがこれは…」

 

 

今もバルトフェルドの目の前でバクゥを落とし続ける黒い機体

基調は白いのだが、この戦闘を見ていると黒い色の方が印象に残ってしまう

 

今もサーベルを投げ、メインカメラをつぶし、サーベルを引き抜き切り裂くという荒業でバクゥを落とした

 

これをナチュラルが…いや、人間が操縦しているというのか?

 

 

「た…隊長…」

 

 

ダコスタが恐怖を浮かべた顔をこちらに向ける

この恐怖はバルトフェルドに向けられたものではない

あの黒い機体に向けられたものだ

 

バルトフェルドはダコスタに微笑む

上司として、部下を安心させるのは当然のことだ

 

ダコスタは少し体に入っていた力が抜ける

それを見て再びバルトフェルドは戦場に目を向ける

 

またあの黒い機体はバクゥを落としていた

 

…気のせいか

あの機体の動きがだんだん鋭くなっている?

 

今もバクゥを蹴り飛ばし、他のバクゥの動きを妨害

重なり合った二機を一気に斬り飛ばす

 

 

「…そろそろ何か仕掛けないと全滅だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

アークエンジェルのブリッジは沈黙に包まれていた

スピリットの、セラの戦いぶり

大気圏内用、それも機動力に優れているバクゥを圧倒しているのだ

 

ナタルでさえも、モニターに映るスピリットをぼうっと見ている

 

その時だった

 

 

「南西より熱源!艦砲です!」

 

 

チャンドラが沈黙を破る

ブリッジに一気に緊張がはしる

 

 

「離床!緊急回避ぃ!!」

 

 

マリューがすぐさま命令

 

イーゲルシュテルンを駆使しながら、こちらに撃たれたミサイルを回避していく

しかし、少し遅かった

回避しきれなかったミサイルが数発当たる

 

 

「ぐぅ…!どこからだ!?」

 

 

「な、南西20キロの地点からだと予測!」

 

 

伝わってくる震動に耐えながらナタルが叫び、サイが答える

 

 

「本艦の攻撃装備では耐えられません!」

 

 

トノムラが今の現実を伝える

 

地上に打ち込まれているNジャマーの影響でレーダーは使えない

むこうからはこちらの位置は把握されているが、こちらはできない

 

 

「スカイグラスパーで索敵する!出るぞ!」

 

 

ムウが通信をつなげて言う

 

 

「そんな!今から索敵しても…」

 

 

「ストライクも出ます!」

 

 

ナタルの言葉を遮り、今度はキラが言う

 

 

「今、OSの書き換えは終わりました!まだ不完全ですが、モビルスーツはセラが抑えてくれる…!ミサイルの迎撃くらいなら問題ありません!」

 

 

「…わかったわ。ハッチ解放!二機、すぐに発進して!」

 

 

「了解!」

 

 

キラが発進する

 

 

「敵の位置がわかったら何とかそっちに知らせる!坊主!艦を沈ませるなよ!」

 

 

ムウも発進していく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ!重力の影響か!?」

 

 

キラは発進してすぐにアークエンジェルの上に立つ

 

 

「…!」

 

 

ミサイルの第二波が襲う

キラはアグニを構え、撃つ

ミサイルの何発かに当たり、爆発が起こる

その爆発により、他のミサイルが爆発を起こす

このような現象で、飛んできたミサイルは全て落とす

 

 

「アークエンジェルは、やらせないぞ」

 

 

まだ接地圧の調整が甘いため、地面には降りられない

だが、援護はできる

今回の装備は遠距離攻撃に適している

 

再びミサイルが飛んでくる

 

 

「無駄!」

 

 

キラはここからも飛んでくるミサイルをアークエンジェルと共に迎撃し続けていく

 

遠くから戦闘ヘリも飛んでくるが、関係ない

アグニを撃つ

ミサイルを落とす

ヘリを落とす

 

アークエンジェルの守りは万全のようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

ライフルを撃つ

サーベルを振り下ろす

 

繰り返す

 

 

「…」

 

 

相手の動きが手を取るようにわかる

視界に入らない相手でも動きを感じ取れる

 

前と同じ、はじけるような感覚をまた感じた

そこから自分でも少し驚くくらい動きが鋭くなる

 

 

「…っ」

 

 

死角から撃たれたレールガンをかわす

ライフルをバクゥの足に当て、身動きをとれないようにする

バクゥの集団の間を通り抜け、サーベルでその機体を斬りさく

 

 

「くそっ!」

 

 

「なんなんだよあれはぁ!」

 

 

スピリットの動きがバクゥのパイロットたちに恐怖を与える

だが、バクゥは逃げない

ナチュラルなんかに

そのプライドが逃げるということ許さなかった

 

 

「このおおおお!」

 

 

「ナチュラルなどにぃいいいい!」

 

 

バクゥが突っ込んでくる

数で押せば勝てる

そう思ったからだ

 

だが、パイロットたちは恐怖のあまり忘れていた

 

数で押す

その作戦はすでに目の前の機体に潰されているということを

 

 

「…無駄だ」

 

 

セラはイーゲルシュテルンで相手の動きを鈍らせる

そして鈍ったところをサーベルで斬っていく

 

それを回避した機体はライフルで容赦なく撃つ

そこに再びバクゥが襲い掛かる

 

 

「今度は一機か」

 

 

バクゥが一機でかかってきたのだ

だが、セラにはかなわない

 

サーベルで斬りかかってきたので、サーベルで防ぐ

そのまま右に受け流す

バクゥが通り過ぎた所を、右足で蹴り飛ばす

 

バクゥが体制を崩したところでライフルを撃つ

バクゥが爆散したのを見て、まわりの様子を見る

 

 

「…今ので最後か」

 

 

まわりにバクゥの姿は見えない

全滅したのか、それとも撤退したのか

 

どちらにしてもこれで戦闘は終了のようだ

アークエンジェルの方でももう戦闘音は聞こえてこない

 

 

「…ん?」

 

 

そこで、スピリットの足元でうろうろしている物体に気づく

 

敵か?

だが、うろうろしているだけで何か仕掛けてくるような気配は感じないが…

 

 

「そこの機体のパイロット!死にたくなければこちらの指示に従え!」

 

 

下の、バギー…だろうか

に乗った男がバズーカをこちらに構えながら叫んでくる

 

…え、それだけで優位がそっちにあるって思ってるの?

バカなの?しn…

 

ごほん…

 

ともかく、弱い者いじめは好きではないし、アークエンジェルの方にも何やらこれらと同じようなバギーが集まっている

従った方が得策か?

 

セラは指示に従うことにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ…、今回はボロ負けもいいとこだね」

 

 

バギーに乗って撤退しているバルトフェルドがつぶやく

まさかこれほどのものだとは思わなかった

 

あの機体、スピリットと言っただろうか?

ストライクもなかなか脅威に感じたが、あれは別格だ

 

バクゥのスピードにすぐさま対応した

そして何よりもあの操縦能力

あれがナチュラルだとは信じられない

上は一体何を見た来たのだろうか…

 

 

「まったく…。楽しくなりすぎるのも問題だな…」

 

 

バルトフェルドの顔には笑みが浮かんでいた

あの圧倒的な力を見てなお、笑みを浮かべる

 

やっとだ

やっとこのつまらない戦いが変わる

あのレジスタンスの相手をするのも、もう飽きてきた

 

これからが

 

 

「本当に楽しみだ…。なぁ、ダコスタ君?」

 

 

「え?あ…はい?」

 

 

急に話しかけられたダコスタがつい肯定の返事をしてしまう

 

それを見てバルトフェルドは声を出して笑う

ダコスタからは疑問符が出ている

 

バギーが砂の上を走っていく

次の戦いでは、どうしてやろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レジスタンスだぁ!?」

 

 

ムウが大声を出す

 

先程、戦闘が終わったとたんに武装集団に囲まれた

その対応にムウは呼ばれたのだ

 

 

「えぇ。何で自分が…とは思わないでくださいね?張り切って出たはいいけど、結局何もできなかったんですから」

 

 

ムウの隣にいるマリューが満面の笑みを浮かべてムウをのぞき込みながら言う

 

その通りだ

敵の母艦を発見すると言って出たはいいものの、発見する前に戦闘は終了

セラとキラの凄さを再確認することとなったが、自分的には悲しい出来事だった…

 

 

「さてと、まあそれは置いといて、どう見る?」

 

 

「敵か、味方か…」

 

 

「銃口は向けられてない…。俺、こっちの方は苦手なんだけどな…」

 

 

マリューはムウのぐちに、ふと微笑む

ムウはパイロットだ

対人戦の訓練も受けてはいるが、まったくの専門外

 

不安を持つのも無理はない

 

だが、何もしないままにもいかないのだ

 

 

「開けますよ?」

 

 

ムウが頷くのを見て、ハッチの開閉ボタンを押す

 

ハッチが開かれ、砂の地面に足を踏み出した

 

まわりを見ると、基本男たちがまわりを埋め尽くしていた

一人、少女がいるようだが

 

一番先頭にいるひげを生やし、顔に傷跡がついた男がこちらに歩いてくる

 

 

「俺たちは明けの砂漠だ。俺の名はサイーブ・アシュマン。あんたらは、地球軍だな?」

 

 

男、サイーブがこちらに話しかけてきた

 

 

「地球連合軍第八艦隊所属、マリュー・ラミアスです」

 

 

「あれ?第八艦隊ってのは全滅したんだろ?」

 

 

マリューが挨拶すると、まわりに比べて幼い少年が口を開いた

マリューはつい頭に血が上り、少年をにらんでしまう

 

 

「アフメド、やめろ」

 

 

サイーブがアフメドを制するように手を振る

アフメドはまったく堪えてないようだが、サイーブの指示に従う

 

 

「あんたらは、砂漠の虎を相手に戦ってきたのか?」

 

 

ムウがサイーブに尋ねる

サイーブはムウの問いに答えずムウをじろじろ見る

 

 

「あんたの顔…。どこかで見たことあるな」

 

 

「ムウ・ラ・フラガだ。…この辺に知り合いはいないがね」

 

 

ムウが苦笑気味に答える

 

 

「エンデュミオンの鷹と、こんなとこで出会えるとはな…」

 

 

サイーブが初めて笑みを浮かべて口を開く

 

ムウもマリューも少し驚く

さっきのアフメドという少年もそうだが、ずいぶん情報を知っているようだ

 

 

「色々知っているようね。では、私たちのことも?」

 

 

マリューが聞くとサイーブはまた無表情に戻る

 

 

「…地球軍の新型特装艦、アークエンジェルだろ?クルーゼ隊に追われて地球に逃げてきた。そんであれが…」

 

 

「X105ストライクに、X106スピリット。地球軍の新型機動兵器、そのプロトタイプだ」

 

 

マリューとムウが、サイーブとは違う声が聞こえてきた方に目を向ける

 

そこには、金色の髪をたなびかせた少女

他の人たちとはどこか違う

 

それに、どこかセラとキラに似ている?

 

マリューとムウが少女を見つめていると、サイーブが口を開く

 

 

「ま、お互いが何者か分かったところでめでたし…と言いたいところだがな。こっちとしちゃ、とんだ災いの種に降りてこられて驚いてんだ。

あんたらがこれからどうしていくのか…聞かせてもらいたい」

 

 

「…協力してもらえる…ということかしら?」

 

 

サイーブの油断ならない雰囲気を感じ、マリューは少し警戒しながら言葉を発する

 

 

「話をしてえんなら銃を下ろしてもらわなきゃな」

 

 

サイーブは念のために待機させておいた兵の存在に気がついていたらしい

 

マリューは手をあげ、合図する

 

サイーブは、スピリットとストライクにも目を向ける

 

 

「あれらのパイロットもだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人とも!降りてきて!」

 

 

マリューから降りてくるように指示が入った

 

セラはベルトをはずし、ハッチを開け、降りていく

 

面倒なことになったなぁ…

 

セラが砂の地に足をつける

キラも降りてきたところを見て、キラに歩み寄る

 

 

「セラ、無事でよかったよ」

 

 

キラはいつもの笑顔で言葉をかけてくる

あの戦闘前とは大違いだ

 

一体何が…

 

と、考えているところに、金髪の少女がキラの前に立つ

 

 

「お前…」

 

 

「?」

 

 

キラを見て何か驚いているようだが、セラには何が何だかわからない

キラにもわかっていないようだが

 

 

「なぜお前があんなものに乗っている!」

 

 

少女がキラに殴りかかる

しかし、コーディネーターであるキラは、不意打ち気味のこぶしをつかんで受け止める

 

え?なに?これ?

 

セラが困惑していると、キラも何か思い出したような表情になる

 

 

「離せ!このバカ!」

 

 

「ぐっ」

 

 

「あ」

 

 

少女は無理やりキラの手を放す

その拍子にキラに少女のこぶしが当たる

 

セラはそれを見て、小さく声を出す

 

 

「君は…」

 

 

キラが呆然とした目で少女を見る

 

少女は怒りに満ちた目でキラを見る

 

関係ないセラ

 

まわりは何が何だかわからないような目でこのやり取りを見ている

 

セラは、まわりに一つだけ言いたかった

 

 

「俺、降りてこなくてもよかったんじゃね?」

 

 

セラの言葉は誰にも届くことなく、砂漠の風に流されていった




ということで、カガリさん再登場です

セラ君はカガリさんとは会っていません

蚊帳の外です

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