機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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キラが目覚めます

そして…


PHASE13 覚醒

リーパーがスピリットにサーベルで襲い掛かる

セラは腰のサーベルを抜き放つ

二つのサーベルは合わさるが、セラは構わず無理やり振り切る

 

 

「ぐぅ…!」

 

 

リーパーが勢いに押され後退

追い打ちをかけようとすると、横からビームが飛んでくる

 

 

「…ちっ!」

 

 

セラは舌打ちしながらスピリットを横にずらす

 

 

「…あれが、ザフトの新型か」

 

 

そこには白い機体、ラスター

ラスターは再びスピリットに向けてライフルを撃つ

セラはそれに反応しつつ、密かにこちらを狙っていたリーパーに向けてライフルを撃つ

 

 

「…!なんで!」

 

 

なぜこちらの思惑を実行する前に対応されるのか

ロイはいらだつ

 

 

「落ち着いて。冷静さを失ったら…」

 

 

そこにシエルがロイに声をかける

 

 

「…あぁ、大丈夫だ」

 

 

シエルの声を聴き、落ち着きを取り戻したロイ

サーベルで斬りかかってきたスピリットをかわし、すれ違いざまに拳を入れる

 

 

「…ぐぅ!」

 

 

コックピットに伝わる衝撃に耐えながらリーパーからの追撃をかわすセラ

 

しかしそこで終わらない

追撃をかわした所にラスターが襲い掛かる

サーベルでこちらに斬りかかってくる

 

 

「ちっ!」

 

 

シールドを取り、それを防ぐ

そして逆の手でサーベルを振り下ろす

ラスターもシールドで防ぐ

 

二機の押し合いになる

 

 

「シエル!」

 

 

「っ!」

 

 

ラスターが急に後退する

そこにすぐさまリーパーが後ろから襲い掛かる

 

 

「くそっ!」

 

 

セラはそれに何とか反応し、シールドを何とか割り込ませる

しかし、その体制は不安定

後ろに体制が崩れてしまう

 

 

「今度こそ!」

 

 

リーパーがサーベルで斬りかかる

 

しかし、セラは冷静だった

セラはサーベルを持った方の腕を伸ばしながら機体を回転させる

 

 

「…!」

 

 

慌ててロイは後退

後退させなければ、サーベルの餌食にされていた

 

そして後ろから襲おうとしていたラスターも後退

 

 

「…くそっ!本当にしぶとい!」

 

 

ロイはこれで終わると思っていた

体制が崩れた所に自分は追撃

たとえ自分が対応されたところで後ろからくるシエルが仕留めるはずだった

 

だがスピリットは、セラは自分の想像を超えていた

 

 

 

セラは今度はラスターに狙いを向ける

ライフルを向け、撃つ

 

ラスターはそれをかわす

 

そのかわした方向を、セラは読んでいた

ラスターにすぐさま接近

 

これは、初めてラウと戦った時、ラウが見せた予備動作を見て移動する方向を予測するという業である

なぜかあの機体は予備動作が大きかった

 

サーベルをラスターに振り下ろす

 

 

「…!」

 

 

シエルはセラのやったことに驚きつつもサーベルで対抗

鍔迫り合い

 

 

「シエル!」

 

 

ロイがサーベルを持って接近

 

しかし、鍔迫り合いをしながら位置をずらす二機によってスピリットに襲い掛かれない

 

 

「くぅ!」

 

 

「…!」

 

 

その時だった

 

 

「セラ!アークエンジェルがブリッツに取り付かれたの!戻ってきて!」

 

 

ミリアリアから通信が入ったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラはデュエルと交戦していた

 

お互い、位置をずらしながらライフルを撃ち合う

 

 

「この!もう逃がすものか!」

 

 

デュエルはサーベルを取り出し、こちらに接近してくる

 

キラも背中のサーベルを抜き、迎え撃つ

 

二機の鍔迫り合い

 

 

「ええい!」

 

 

デュエルはストライクから離れ、ミサイルを撃ってくる

 

キラはイーゲルシュテルンでミサイルを破壊

爆発が起こり、爆炎でデュエルの姿が見えなくなる

するとすぐにデュエルが煙を裂いて、サーベルでストライクに斬りかかる

 

キラも反応し、サーベルで対抗

再びの鍔迫り合い

 

今度はキラが後退

デュエルに向けてライフルを撃つ

 

 

「そんなもんに!」

 

 

イザークはそれを容易くかわす

 

二機の戦いはさらに激しさを増す

 

はずだった

 

キラに動揺が走る

ミリアリアからの通信によって

 

 

 

 

 

 

 

 

スピリットは二機を相手に互角に戦い、ストライクはデュエルと交戦

ゼロはガンバレルを展開し、バスターと渡り合っている中

アークエンジェルにブリッツが接近していた

 

 

「ブリッツの反応をロスト!」

 

 

「ミラージュコロイドを展開したんだ!艦長!」

 

 

「わかってるわ!アンチビーム爆雷!対空榴散弾頭を!」

 

 

ブリッジの中を大声が飛び交う

セラたち三人が奮闘している中、迷惑をかけるようなことをするわけにはいかない

 

 

「ビーム角からブリッツの位置を推測!」

 

 

「榴散弾頭、てえっ!」

 

 

予測されるブリッツの位置に弾を撃つ

 

ブリッツはミラージュコロイドを解除し、シールドでそれを防ぐ

姿が見えたブリッツに集中砲撃

 

必死にブリッツに対抗する

しかし、奮闘むなしくアークエンジェルは少しずつ損傷を受けていく

 

 

 

 

 

 

 

 

「セラ!キラ!戻って!アークエンジェルがブリッツに取り付かれた!」

 

 

ミリアリアの通信はセラとキラにしっかり届いていた

 

セラとキラは一瞬アークエンジェルに気を取られてしまう

 

 

「「もらったぁ!」」

 

 

ロイがセラにサーベルで襲い掛かり、イザークはその隙をついて、ストライクが装備していたエールストライカーにサーベルを突き立てる

 

セラは何とかそれを防ぐ

キラはエールストライカーの爆発を防ぐためにシールドを出す

 

 

「くそっ!艦隊はまだか!」

 

 

ムウが二人の様子を見て、そうぼやく

自分はバスターとの交戦で、アークエンジェルの援護に向かえない

 

しかし、それはセラとキラも同じ

 

セラとキラの視界の中で、アークエンジェルが攻撃を加えられている

 

 

「セラ!キラ!早く来て!もうもたない!!!」

 

 

ミリアリアの悲鳴のような大声が聞こえる

 

 

(アークエンジェルが…)

 

 

(やられる?)

 

 

((そんなこと…))

 

 

((させるかぁ!!!))

 

 

その時

 

 

セラとキラの中で、何かがはじけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セラはリーパーに向かってライフルを撃つ

 

それをリーパーはかわす

 

セラはラスターの時と同じ要領でリーパーに接近

サーベルを振り下ろそうとする

そこでセラはその行動を中断

 

メインカメラを向けずに、ライフルを後ろに向かって撃つ

 

 

「!」

 

 

こちらを見ずにビームを撃ってきたセラに驚きながらも銃撃をかわすシエル

 

 

「シエル!このっ!」

 

 

ロイがサーベルでスピリットに襲い掛かる

それを見たセラはサーベルを戻す

リーパーの剣を真剣白羽取り

 

 

「なにっ!」

 

 

さらにセラはリーパーの胴体を蹴り、リーパーを後退させる

ロイは衝撃に耐えれずサーベルを手放してしまう

セラは奪い取ったサーベルを投げ、リーパーのメインカメラに刺す

 

 

「…!ロイ!」

 

 

そこでセラの攻撃は終わらない

視界を奪われたリーパーのコックピットに向けてライフルを撃つ

 

これで終わりか…?

いや、あの機体が助けに入ってくるか

 

セラの予想通り、ラスターが間に入りシールドでビームを防ぐ

 

セラはラスターが次の行動に入る前にサーベルで襲い掛かる

 

 

「…!」

 

 

シエルは何とか反応し、サーベルを防ぐ

 

 

「…くっ、ロイ!撤退して!」

 

 

「なっ…、シエル!何を…」

 

 

「その機体状態で戦ったって落とされるだけ!」

 

 

「…!」

 

 

シエルに言われ、ロイは考える

 

確かにシエルの言うとおりだ

このまま戦っても、急に動きが鋭くなったスピリットに落とされてしまうだろう

だが、シエルを一人で戦わせるのも…

 

 

「ロイっ!」

 

 

「…くっ!わかった!死ぬなよ!」

 

 

シエルの意志に負け、撤退するロイ

 

セラは追撃を仕掛けない

仕掛けようとしても目の前の機体が邪魔に入るだろう

 

だからセラは、目の前の機体を落とそうとサーベルで斬りかかる

 

 

 

 

 

 

これが…、セラの本当の力…

 

シエルは初めて目の当たりにするセラの実力に驚く

最初に見た隊長との戦い

そこからここまで腕をあげるなんて…

 

 

「でも、負けるわけにはいかない…」

 

 

自分にだって、守りたいものがある

 

シエルはサーベルで斬りかかってくるセラを迎え撃つ

 

 

 

 

 

 

 

 

デュエルが再びサーベルで斬りかかってくる

 

キラにはその太刀筋が、はっきり見えていた

 

キラは小さな動きでよけ、デュエルの肩にサーベルを突き立てる

 

 

「なぁっ!」

 

 

イザークは驚いて後退

ストライクにビームを撃つ

 

キラはそのビームをサーベルで斬る

 

 

「な…ビームをサーベルで!?」

 

 

イザークが驚愕している中

キラはストライクのバッテリーが危険域に入っていることを把握

 

バッテリーが切れる前にブリッツをアークエンジェルから離そうと、ブリッツに向かう

 

 

「…え?」

 

 

急に鳴り響くアラートにニコルは戸惑ってしまった

 

 

「うわぁ!」

 

 

コックピットに衝撃がはしる

 

キラはブリッツに蹴りを入れた

アークエンジェルに少しでも時間を作ろうとした

 

 

「…!」

 

 

そこに、デュエルが接近

ビームを撃ってくる

 

キラはビームをかわしながらデュエルに接近

バッテリーの減少によって使えなくなったサーベルを投げ捨てる

 

アーマーシュナイダーをコックピット付近に突き立てる

 

 

「うわああああ!!」

 

 

デュエルのコックピットに小さな爆発が起こり、イザークのヘルメットが割れ、その破片が顔に刺さる

 

 

「いたい…痛いいいいいいいいい!!!!」

 

 

イザークの声は通信をつないでいたディアッカ、ニコルの耳に届く

 

 

「ディアッカ!撤退しましょう!艦隊が来る!」

 

 

「くそぉ!」

 

 

ディアッカがデュエルをつかみ、撤退を開始する

 

 

「ルティウスさん!撤退です!」

 

 

「!わかった!」

 

 

ニコルはシエルに通信を送る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セラとシエルはサーベルを何度も斬り合わせる

何度もすれ違う

 

ライフルを撃ち合う

何度もかわす

 

 

「…」

 

 

セラは考える

あの機体が撤退してから格段に動きが良くなっている

 

ラスターが再びサーベルで斬りかかってくる

セラはそれを迎え撃つ

 

今度はすれ違うのではなく、鍔迫り合い

 

セラはリーパーにしたように蹴り飛ばそうとする

 

シエルも同じことをしようとしていた

 

二機が同時にはじかれる

しかし、お互いバーニアを吹かせ再び斬りかかろうとする

 

 

「うおおおおおおおおお!!!」

 

 

「はあああああああああ!!!」

 

 

互いの咆哮は、互いの耳に届かない

 

セラはサーベルを振り下ろす

 

シエルはサーベルを振り上げる

 

しかし、セラのそれはふりだった

セラは急停止

ライフルをラスターに向ける

 

 

「…!」

 

 

シエルは慌ててシールドを出す

 

だが、ビームが来ない

 

その時、機体に衝撃がはしった

 

 

「あぁっ!」

 

 

シエルは声を漏らしてしまう

 

セラが向けたライフルも、ふりだった

シールドを構えれば、視界が一部ふさがれてしまう

そこをセラは利用したのだ

 

だが、シールドを構えている相手にビームを撃っても無駄

サーベルも、コックピットには入れられない

 

だからセラは、体当たりを選択したのだ

 

体当たりを受けたラスターの体制が崩れる

セラはそこをつく

 

サーベルを振り下ろす

 

 

「くっ!」

 

 

シエルはレバーを倒す

その行動のおかげでコックピットの損傷は免れ、その代わり左腕を斬りおとされた

 

ラスターは後退する

 

 

「ルティウスさん!撤退です!」

 

 

その時、ニコルから通信が入った

 

いつの間にか、かなりの時間が経っていたようだ

このままでは月艦隊と鉢合わせになってしまう

 

 

「わかった!」

 

 

シエルはそう返事を返し、すぐに前を見据える

セラがそう簡単に撤退させてくれるとは思わなかったからだ

 

シエルは機体を母艦がある方向に向ける

 

シエルの予想通り、セラはライフルをこちらに撃ちながら接近してくる

 

それをかわしながらなおも機体を前進させるシエル

 

 

「…!」

 

 

シールドを後ろに向ける

スピリットが振り下ろしてきたサーベルがシールドに当たる

 

不意に、スピリットが下がった

スピリットがいた場所を、ビームが横切る

 

 

「ルティウスさん!今のうちに撤退を!」

 

 

ニコルだ

撤退に手間取っているシエルを援護したのだ

 

セラは機体を後退させた

この隙を逃すわけにはいかない

 

シエルは最大速度で撤退していく

 

 

「…ここまでか」

 

 

セラがつぶやく

ここから追いついても、恐らく母艦の射程に入ってしまう

それに

 

スピリットの色がグレーに変わっていく

 

フェイズシフトダウン

バッテリーが切れたのだ

 

ラスターとの一騎打ちになってから、バッテリーが少なくなっていることに気づき

ライフルをあまり使わずサーベルで交戦していたのだが、ここで限界が来たようだ

 

 

「俺も戻るか」

 

 

さっきから通信がうるさいのだ

戻れ戻れと

 

セラは機体をアークエンジェルに向けて進ませた

 

艦に戻って説教を受けたのは別の話

 

そしてその後、ついに、待望の、艦隊との合流を達成した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シエルはガモフに機体を着艦させた

 

ふうっと息をはく

 

よく、生き残ったな…

 

死ぬかと思ったことも何度かあった

 

セラは強かった

 

 

「シエル!」

 

 

コックピットから降りたシエルを呼ぶ声がした

目を向けるとロイがいる

 

シエルが無事だということに安心したのか、満面の笑みだ

シエルもロイに笑みを向ける

 

しかし、その笑顔の裏では違うことを考えていた

 

セラと戦った

これからも戦うことになるだろう

 

嫌だな…

 

 

「…!」

 

 

一瞬でた思考を打ち消す

 

セラは敵だ

討たなければならない敵なのだ

自分はザフトで、セラは地球軍に手を貸していて

だから、戦わなければ…

 

ならないんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこまで言わなくても…」

 

 

「なんかいった?」

 

 

「いえいえいえ!なんんんんんにも!」

 

 

「「「ハハハ…」」」

 

 

セラは帰艦した後、撤退命令を無視した説教をマリューに受けた

ナタルはマリューの剣幕に圧倒され、参加できなかった

 

さらにその後、ミリアリアに説教を受けた

…ミリアリアの彼氏はセラではなく、トールである

 

 

「もう、心配させないで…」

 

 

「大丈夫だって。俺たちの息子は強いんだから」

 

 

「…もういいよ」

 

 

まったくセラの子供ネタをやめようとしない二人にもうやめさせることを諦めるセラ

 

さらに二人はピンク色の空気を広げ始めた

 

 

「おい、何とかしろよ。あの二人の子供だろ」

 

 

「無理に決まってるだろ。てか、あの二人の本当の子供でもあれを止めるのは無理だ」

 

 

上からサイ、セラだ

そしてその会話を聞いていたキラとカズイは苦笑い

 

トールとミリアリアは変わらずいちゃいちゃいちゃいちゃ

 

四人はため息をつく

 

 

「「「「はあああああああ…」」」」

 

 

 

 




はい、主人公も種割れです

だけど、カガリも種割れしてたし、まだわかりませんよ?

あれ?カガリはナチュラルですよね?

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