機動戦士ガンダムSEED 夢の果て   作:もう何も辛くない

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あぁ、いいサブタイトルが思いつかん…


PHASE07 迷いを捨てて

アークエンジェルがアルテミスに向かって出発して30分くらいたっただろうか

ブリッジに警報が鳴り響く

 

 

「大型の熱量感知!戦艦と思われます!距離200、イエロー3317マーク02チャーリー!進路、ゼロシフトゼロ!」

 

 

「なに、同方向に向かっているのか!?」

 

 

報告を聞き、皆が気づかれた!?と恐怖する

 

 

「だが、それにしては遠い…」

 

 

そう、おそらく敵艦と思われる反応は、こちらと並行として移動しているものの、距離が離れているのだ

気づかれていないのでは?

そう希望を持つ人が出始める

 

 

「目標はかなりの速度で移動…、横軸で本艦を追い抜きます!…、艦特定!ナスカ級です!」

 

 

それを聞いたムウは気づく

ザフトの隊が、ラウが何をしようとしているのか

 

 

「…、読まれてるぞ。先回りしてこちらの頭をおさえるつもりだ!」

 

 

ムウは自分の考えを口にする

それを聞いた全員がはっと表情を青くさせる

 

 

「ローアシア級は!場所は!」

 

 

「本艦の後方300に進行する熱源!いつのまに…」

 

 

ナタルの質問にチャンドラが答える

 

2艦に挟まれた…

 

 

「やられたな…。このままではローアシア級に追いつかれて見つかる。だが逃げようとエンジンを吹かせればナスカ級がこちらに転進してくるってわけだ」

 

 

マリュー、ナタル、そしてブリッジにいる他のクルーが黙り込む

わずかに見えていた希望が打ち砕かれた

 

 

「なあ!2艦のデータと宙域図を貸してくれ!」

 

 

ムウの声にこの場にいる全員がはっと我にかえる

 

 

「な、なにか策があるのですか?」

 

 

マリューがムウにどもりながら聞く

 

 

「…、それをこれから考えるんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

[セラ・ヤマト、キラ・ヤマトの二名はブリッジへ。繰り返す。セラヤマト、キラ・ヤマトの…]

 

 

先程流れた第一戦闘配備の放送

そして今流れた指示

 

 

「戦闘になるのか…」

 

 

キラはつぶやく

放送された言葉に従い、ブリッジに向かう

 

 

「あ、兄さん」

 

 

「…、セラ?」

 

 

そこに、セラとばったり遭遇する

セラもブリッジに向かうのだろう

セラも自分と同じく、戦う選択をしたのだから

 

 

「兄さんも呼ばれたんだろ?早くいこう」

 

 

「…うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?トール?それにみんなも。その恰好…」

 

 

セラとキラはトールたちに出会った

しかし、トールたちが着ていた服は、地球軍の軍服だった

 

 

「あぁ、これ?ブリッジに入るなら、軍服着ろって言われたんだよ」

 

 

「え…え?」

 

 

セラの問いに答えるトール

しかし、その答えの意味を、キラもセラも読み取れなかった

 

 

「ぼくらも艦の仕事、手伝おうかと思ったんだ。おまえらだけに負担をかけたくなんかないしな」

 

 

サイがセラとキラに説明する

 

 

「それに、子供に戦わせて、母親が何もしないっていうのもどうかと思うしね?」

 

 

「んなっ!」

 

 

ミリアリアが茶目っ気を込めた言葉を、主にセラに向けて言う

 

まだあの時のネタを引っ張るか…

セラはげんなりする

だがまわりはそんなセラの様子を気にすることもなく、笑いに包まれる

 

セラとキラの心は確実に、軽くなっていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

セラ、そしてキラはパイロットスーツを着てデッキに入る

それを見たムウは、2人に寄っていく

 

 

「やっと、やる気になったってことか?その恰好は」

 

 

ムウはキラに向けて声をかける

 

 

「あなたが言ったんでしょ?この艦を守れるのは僕たちだけだって。」

 

 

キラは決意を込めた目でムウをにらみながら言う

 

 

「戦いたいわけじゃないですけど、僕だってこの艦を守りたいんだ」

 

 

ムウはキラの目を見て大丈夫だと判断する

そして、セラの目を見る

 

聞くまでもなく、大丈夫のようだ

 

 

「よし、作戦を説明するぞ」

 

 

・・・・・・・・

 

 

ブリーフィングを終えたセラたちは、それぞれの機体に乗り込む

セラは、スピリットのOSを起動させる

モニターの画面に光が入る

 

そこに、ムウからの通信が入る

 

 

「そろそろ俺は出る。この作戦はタイミングが命だからな、後は頼む。坊主どもは、とにかく艦と自分を守ることだけを考えろ」

 

 

「「はい!」」

 

 

ムウは通信を切り、ゼロを発進させる

 

 

「ムウ・ラ・フラガ、出るぞ!戻ってくるまで沈むなよ!」

 

 

 

 

 

 

セラはコックピットで発進の許可が出るのを待っていた

今、キラが乗っているストライクがエールストライカーを装備しているところなのだ

 

 

「セラ」

 

 

「え、ミリアリア?」

 

 

突然、モニターにミリアリアが映る

なぜ彼女が?

手伝うと言っていたが、何をしているんだ?

セラは疑問に思う

 

 

「以後、私がモビルスーツ及び、モビルアーマーの戦闘管制となります。よろしくね?」

 

 

ミリアリアは、「よろしくお願いします、だよ!」と叱られる

それを見ていたセラは笑いを零す

自分は一人じゃない

兄もいるし、こうして仲間も自分をサポートしてくれる

 

 

「私語は慎め!アークエンジェルがエンジンを吹かせばあっという間に敵が来るぞ!」

 

 

「…はい!」

 

 

ナタルの忠告を肝に銘じる

 

セラはレバーを握りしめながらアスランのことを思い出す

アスランも来るのだろうか

この船を沈めに

自分の仲間を殺しに…、来るのだろうか

 

 

「ストライク、発進シークエンスを開始します。装備はエールを選択。スピリットも発進準備をお願いします」

 

 

聞こえてきたミリアリアの声

発進するのか

…戦闘が、始まるのか

 

迷いを消し、前を見つめる

ハッチが開かれ、宇宙が見える

そこに出れば、敵が襲ってくる

 

 

「キラ・ヤマト、ガンダム、いきます!」

 

 

キラが発進したらしい

自分も発進しなければ

 

 

「スピリット、発進、どうぞ!」

 

 

耳に入る声を聴き、レバーを倒す

 

 

「セラ・ヤマト、スピリット、発進する!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリッジのチャンドラが一番最初に気づいた

 

 

「前方より熱源一、後方より熱源三、接近してきます!MSです!」

 

 

来た

ナタルがチャンドラの報告をきき、反応し、指示を出す

 

 

「対MS戦闘用意!ミサイル発射管、13番から24番コリントス装填!バリアント両舷起動!」

 

 

トールやサイたちも正規の兵ではないものの、必死にコンソールに向き合う

すると、敵機の情報を調べていたチャンドラが再び声をあげる

 

 

「機種特定!これは…、Xナンバー、デュエル、バスター、ブリッツ、そしてイージスです!」

 

 

「そんな…、奪ったGをすべて投入してきたというの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艦が大きく揺れる

戦闘が始まったのだろうか

 

シエルは自室の中の椅子に座っていた

戦闘が始まるのなら布団にうずくまろう、危ない

 

シエルもトールたちと一緒に手伝おうとも考えた

だが、それをしてしまえば、自分の同僚を裏切ることになってしまう

そう考えると、踏ん切りがつかなかったのだ

しかし、セラが心配でもある

…キラもだが

 

「…ロイ」

 

 

今、プラントにいるはずの自分の婚約者の名をつぶやく

 

ロイ・セルヴェリオス

ザフトで有名、地球軍からは恐れられている指揮官

デルト・セルヴェリオスの一人息子で、自分と同じ赤服

特に恋愛感情は持っていないが、自分を気にかけてくれることはよくわかる

なので、悪い感情は持っていない

 

そのロイは、今心配しているだろうか

おそらく、もう自分がMIAだ

という情報は入っているだろう

 

しかし、その自分は生きていて、しかも敵である人物の安否の心配までしている

罪悪感が募る

 

 

「セラ…」

 

 

シエルは祈る

セラが無事なように

自分の大切な人たちが無事なように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストライクに乗って出撃したキラは、イージスを見つける

 

 

「アスラン…!」

 

 

2機は接近し、すれ違う

 

 

「キラ!」

 

 

スピーカーからアスランの声が流れる

 

 

「やめろ!俺たちは敵じゃない!同じコーディネーターであるお前が、なぜ俺たちと戦わなくちゃならない!」

 

 

アスランは必死に呼びかける

再び蘇ってくる迷いを、キラは振り払う

 

 

「でも…、あの艦には、友達が乗ってるんだ!セラを守りたいんだ!」

 

 

「!…、キラ」

 

 

「君だってどうして…。戦争なんか嫌だって、君だって言ってたじゃないか!」

 

 

キラもアスランに叫ぶ

なぜ自分たちが戦うのか、戦わなくてはならないのか

 

その時、二機の間を一筋のビームが割って入る

 

 

「なにをもたもたやっている、アスラン!」

 

 

イージスとは違う機体がストライクに襲い掛かる

その機体は

 

 

「…、デュエル?じゃこれも!?」

 

 

キラはストライクを後退させる

デュエルはビームライフルを撃ちながらストライクを追おうとする

が、それを一筋のビームが遮る

 

 

「…!なんだ!」

 

 

イザークは自分を狙うビームをかわす

そして、ビームが飛んできた方向に機体を向ける

 

そこにはセラが駆る、スピリットが迫っていた

 

 

 

 

 

 

 

「兄さんは、アークエンジェルを!ブリッツとバスターが、アークエンジェルを攻撃してる!」

 

 

「!わかった!」

 

 

ストライクは、アークエンジェルに向けて移動を開始する

 

 

「行かせるか!」

 

 

デュエルがストライクを追おうとする

 

 

「させない!」

 

 

セラはスピリットを、デュエルの進行上に割り込ませる

スピリットをみて、イザークはいら立ちを募らせる

 

 

「くそぅ…、邪魔をするなぁ!」

 

 

デュエルの肩に差してあるビームサーベルを抜き、襲い掛かる

セラもまた、スピリットの腰に差してあるビームサーベルを抜く

 

二機はサーベルを斬り合わす

一旦離れたデュエルは背中を向けたスピリットに向けてビームライフルを撃つ

 

 

「…!」

 

 

セラは背後から何かを感じ、それを避けるように機体を動かす

もと機体がいた場所をビームが横切る

 

 

「なにぃ!?」

 

 

まるで、背後からビームがわかっていたかのようなよけ方

それにイザークが驚愕する

しかし、いつまでも驚いてはいられない

スピリットが凄まじいスピードでこちらに接近してきている

 

デュエルはビームをスピリットに向けて撃つ

しかし、当たらない

スピリットは、セラは止まらない

 

 

「く…!速い…!」

 

 

「はぁっ!」

 

 

セラはビームサーベルを一文字に振るい、デュエルを真っ二つにしようとする

 

 

「…!」

 

 

だが再び背後から何かを感じる

セラは行動を変更

サーベルを振るう腕を止め、機体を横に移動させる

 

ビームが飛んできた方向を見ると、そこにはイージス

 

 

「イザーク!大丈夫か!?」

 

 

アスランは機体をデュエルに近づけ、安否を確認する

 

 

「…ぁぁ」

 

 

イザークは、珍しく素直にアスランに返事を返す

しかし、アスランはそれを珍しがっている暇はない

 

セラ…、お前がそれに乗っているのか…?

 

アスランは信じられない思いでいた

セラはナチュラルだ

いや、そうでなかったとしても、キラと同じく最近まで民間人だったはず

MSに乗ったばかりのはずだ

だが、スピリットをうまく操縦している

先程、イザークに接近した時のあのスピード

思う存分に機体の性能を引き出していたのだ

 

 

「イザーク、ばらばらに戦ってはあれは倒せない。連携して戦うぞ」

 

 

アスランは全力で迷いを押し殺し、イザークに告げる

 

 

「うるさい!そんなことはわかっている!」

 

 

イザークはアスランに大声で返事を返す

 

 

「いくぞ!」

 

 

「命令するな!」

 

 

「…」

 

 

第二ラウンドが始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンチビーム爆雷発射!イーゲルシュテルン、モビルスーツを近づけるな!」

 

 

アークエンジェルは、ブリッツとバスターに取りつかれていた

必死の防戦を展開する

 

 

「ストライクは!スピリットはどうした!」

 

 

「スピリットはイージス、デュエルと交戦中!ストライクはこちらに向かってきています!」

 

 

ストライクが来てくれる

これで少しは展開が楽になるか

 

クルーの心は少し軽くなる

しかし、安心しきるわけにはいかない

まだ目の前の脅威を払えてはいない

 

 

「ゴットフリートを使う!艦、左ロール角30、取り舵20!」

 

 

アークエンジェルの戦いも激化する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵艦隊、距離740に接近!

 

 

「ガモフより入電。本艦においても、確認される敵戦力はモビルスーツ二機のみとのことです」

 

 

ラウは報告を聞き疑問を覚える

ムウが、いない?

 

 

「あのモビルアーマーはまだ出られないということか…?」

 

 

「そう考えてよいのでは?」

 

 

そろそろ修理が完了してもいいころなのだが…

 

ラウは必ずムウが何かを仕掛ける

そう肝に銘じながら、戦況を見つめる

 

 

 

 

 

 

 

キラは、アークエンジェルに攻撃を仕掛けていたブリッツ、バスターと交戦を開始しようとしていた

ビームライフルをバスターに向けて撃つ

 

 

「!何!?ストライク!?」

 

 

ディアッカはビームをかわしながら、ストライクがここにいることに驚く

 

 

「イザークたちは何をやってるんだ!」

 

 

一機逃がすなんて!

悪態をつきながらストライクに砲撃を撃つ

ストライクはそれをよけ、ライフルを撃ってくる

 

 

「ディアッカ!」

 

 

ニコルが駆るブリッツがライフルをストライクを狙って撃つ

 

 

「くっ…!」

 

 

キラは新たな機体の参戦に焦る

一対二

その状況がキラを焦らせる

だが、セラも同じ状況で戦っているのだ

ここで自分だけ退くわけにはいかない

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

肩に差してあるビームサーベルを抜き、二機に向かって接近していく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!」

不意にラウは顔をあげる

感じたのだ、あの感覚を

背筋にはしる冷たい感覚、不快な感覚を

 

 

「機関最大、艦首下げ!ピッチ角60!」

 

 

「は?」

 

 

アデスの反応の鈍さにいら立ちがはしる

 

…くる!

 

 

「本艦底部より、接近する熱源!モビルアーマーです!」

 

 

「なに!?ぐわぁ!」

 

 

ヴェサリウスに震動が起こる

ラウにはこの揺れを起こした張本人がわかっていた

 

 

「機関損傷大!艦の推力低下!」

 

 

「第五ナトリウム壁損傷!火災発生!ダメージコントロール、隔壁閉鎖!

 

 

次々と入るヴェサリウスのダメージの報告

アデスが怒りを露わにし、撃ち落とすように指示を出すも空回り

 

 

「ムウめ…!」

 

 

ラウはこの状況を作り出した張本人の名を、憎しみを込めつぶやいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フラガ大尉より入電!作戦に成功!すぐにこちらに戻るとのことです!」

 

 

「!」

 

 

作戦成功の報告を聞いたマリューは、ほんの少し表情を緩ませる

これで、母艦が損傷した彼らは退くしかない

 

この戦闘の終わりが見えてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

イージスが撃ってくるビームをよけながら、デュエルのサーベルの攻撃を受け止める

再び戦闘を開始してから、二機は上手く連携をとっている

反撃の隙がなかなか出てこない

 

 

「くそッ…!」

 

 

またイージスがビームを撃ってくる

動作の直前、直後などの嫌なタイミングで撃ってくるのだ

先にイージスをなんとかしたい

だが

 

 

「でええええい!!」

 

 

「くっそ…!邪魔だ!」

 

 

デュエルが執拗に接近してくる

反撃しようにも、イージスの援護によってそれを実行できない

逃げの一手しかきれない

 

だが、このままでは不利だ

バッテリーも少なくなってきた

 

 

「隙ができないなら…、作り出す!」

 

 

セラは後退していたスピリットに急ブレーキをかけ、逆にデュエルに接近させる

 

 

「なに!?」

 

 

急に行動を変えたスピリットに反応できなかったイザーク

スピリットはデュエルに体当たりをかまし、ひるんだ隙に、イージスに向かって接近する

 

 

「イザーク!くそぅ!」

 

 

アスランは反撃を喰らったイザークに接近しようとするが、接近するスピリットに対応するため、その行動を中断

ビームサーベルを抜く

 

セラもまたスピリットの手に握りしめられているビームサーベルで仕掛けようとする

 

アスラン…

 

迷いを捨てる

守るためだ

いけ!

 

 

二機のサーベルが合わさる

機体の位置を変えながら鍔迫り合いをし、離れる

 

アスランが、今度はビームライフルで仕掛けようとした時

 

ヴェサリウスに向けてビームが向かっていった

アークエンジェルが撃った陽電子砲、ローエングリンだ

 

 

「あぁ、ヴェサリウス!」

 

 

ヴェサリウスは必死の回避行動によって右舷をかするだけですむ

だが、もう戦闘能力はない

撤退をするしかない

 

 

「くそっ、撤退だ!イザーク!」

 

 

「うるさい!」

 

 

イザークはアスランの言葉に聞く耳を持たず、スピリットに向かって突っ込む

だが、スピリットはイザークをあざ笑うかのようにかわす

 

 

「このおおおおお!!」

 

 

ライフルを取り出し、撃とうとする

だが、その瞬間、手にあったライフルが爆散する

スピリットがデュエルよりも先にライフルを撃って、デュエルのライフルを爆散させたのだ

 

 

「な…、くそっ!」

 

 

「イザーク、もう無理です!」

 

 

「イザーク!悔しいが、ここは撤退しようぜ!」

 

 

戻ってきたディアッカとニコルもイザークに言う

イザークもさすがにきついと思ったのか

 

 

「…くっ!」

 

 

不満を感じながらも撤退を開始した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シエルはデッキに向かっていた

戦闘が終わり、戻ってきたセラたちの様子を見るためだ

 

デッキに入ると、たくさんの人たちがスピリットのまわりに集まり、セラの名前を呼んでいた

 

 

「あの…、どうかしたんですか?」

 

 

シエルは近くにいたおじさん

コジロー・マードックに声をかけた

 

 

「あぁ、あれに乗った坊主が降りてこないんだよ。ストライクの方の坊主は降りてきたんだが…」

 

 

「…」

 

 

シエルは何も言わず、スピリットのコックピットに向かう

下の方から自分を呼び止める声が聞こえるが、ここは無視する

 

コックピット付近にあるボタンを押し、ふたを開ける

 

中にはレバーを握りしめたまま、震えているセラがいた

 

 

 

…、終わった?

いや、まだかもしれない

また襲ってくるかも…

 

 

「セラ?」

 

 

「…、シエル?」

 

 

いつの間にかふたが開けられ、目の前にシエルがいた

シエルはセラの手を握る

 

 

「大丈夫だよ…?もう、終わったの…」

 

 

「あ…」

 

 

終わったのか?

本当に?

 

シエルはセラがかぶったヘルメットを外し、セラの頭に手を置く

 

 

「よく、がんばったね…」

 

 

「…っ」

 

 

あぁ、ほんとに終わったんだ

この戦闘が

 

 

 

 

セラは、それからしばらくシエルに撫でられていた

そのあと、そのことでトールたちにからかわれたのは別の話である

 

 

 

 

 

 




シエルの婚約者が出てきました
活躍はまだ先になると思いますが…

最後の場面
原作ではキラとムウの場面でしたが、
セラとシエルのやり取りに変え、原作と少し違うふうにしてみました
どうでしたか?

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