VALKYRIE PROFILE ZERO   作:鶴の翁

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 誤字脱字に目を配り、前書いた話と矛盾がないように気をつけて書くと、唯でさえ遅い執筆が更に時間がかかります。
 それでもゴリ押しではありますが、何とか書けていけてると思います。


第12話

 広場に居た全ての人間がヴェストリの広場を去った後、レナスが見つめていた場所、何の変哲もない青い空の一部がまるで揺れ動く煙の様にグニャリと揺らいだ。

 だが、それも一瞬のことでその場を注意して見ていなければ気付くものなど居なかったであろうその揺れは、後にも先にもその一瞬だけであり、残ったのは今日という天気の良い日を体現した只々青い空が広がっているだけだった。

 

 場所は変わり、此処はトリステイン魔法学院本塔、最上階にある学院長室。

 室内にはこの魔法学院の長であるオールド・オスマンが何か魔法を使っていたのか、軽く杖を振るうとそれを机に立てかけ、自身の椅子に深くもたれかかった。その傍らにはコルベール教諭が目を閉じ、顔にシワで彫りを作るほど難しい顔をして黙り込んでいた。

 ちなみに本来ここにいるであろう彼の秘書である緑髪の女性は席を外しているようで不在である。

 

「のぅ、コルベール君。彼女をどう思うかね?」

 

 決して軽いとは言えない空気の中、オスマンは今日の天気でも聞くかのような軽さでコルベールに問いかける。

 コルベールはピクリと反応はしたものの、未だに目を閉じたままで口を開きはしなかった。

 いや、どう答えたら良いかと考えているのだろう。しきりに唸り声を上げながら目元に作っているシワを一層深めた。

 

「……昔、私はメイジ殺しの傭兵に会ったことがあります」

 

 突拍子も無い答えにオスマンはいきなり何を言い出すのかと思ったが、何か理由があるのだろうと考え、黙ってコルベールの言葉に耳を傾けた。

 

「敵としてではなく、私は彼に戦い方を教授して貰うよう上からの命令で彼の元を訪れました。齢七十と言うかなり高齢な御仁でしたよ」

 

 目を開けたコルベールの瞳はどこか懐かしむような感じをしており、その視線は学院長室の窓の外にある青い空へと向けられた。

 

「私も昔は、他のメイジ達と同じように魔法さえ使えれば平民などに負けるはずが無いと考える人間でした。が、彼と模擬戦と称して戦った際、そこで私の考えは大きく変わりました」

 

「ふむ……負けたのかね?」

 

 えぇ、と軽くコルベールは頷く。

 

「完敗でした。手も足も出ないとはこのような事を言うのだなど実感しましたよ。そこから私は短い間ですが彼の元で体術を学びました。その際に師に一度尋ねたことがあります。『どうすればそこまで強くなれるのか?』と」

 

「その答えは君の納得のいくものだったのかね?」

 

「えぇ、師はこう言っていました。『物心付いた頃からずっと生きる為だけに戦ってきた。休む間もなく、自身を生き永らえる為だけにこの歳になるまでずっと、ずっと戦い続けた』と、私もそれを聞いて師の強さに納得しましたよ。達人と呼ばれる人間の強さとはそこまでに至る長い年月によるものだと感心もしました。しかし――」

 

 コルベールは一度そこで言葉を区切ると再度目を瞑った。

 

「彼女は……確かに強いです。それも私の師と同等かそれ以上に……。師と同じように型にブレがなく、洞察力も観察力も申し分無いと言えましょう。それこそ我が師の様に何十年と戦い続けたような風格まであります。ですが、その域に達するには彼女はあまりに若すぎる」

 

「その年齢にして君の師の域まで辿り着いた、とは考えないのかね?」

 

「確かにそれも考えましたが、以前彼女とこの場で会話した時に彼女は十数歳の時に村を出たと言っていました。我が師の様に物心付いた時からではなく、それなりに成熟してから旅だったと。それまで体を鍛えていたとも誰かに剣術を学んでいたとも彼女は言っていませんでした。それこそ普通に生活していただけだと……。しかし、我々に言っていないだけであって本当はやっていたかも知れませんが、そうだとしても彼女があれほどの剣術の腕前に達するにはやはり若すぎる気がするのです」

 

 コルベールの言葉にオスマンはなるほどとだけ言うと、机から水ギセルを取り出し軽く吸うと紫煙と共に軽く息を吐いた。

 

「オールド・オスマン。彼女について王室へ報告すべきでしょうか?」

 

 コルベールの言葉にオスマンは眉をひそませながら口から水ギセルを離した。

 

「む? 逆に聞くが何故君は彼女について王室へ連絡せねばならんと言うのかね?」

 

「この頃王室は反乱分子や他国との外交問題で頭を悩ませていると聞いております。彼女ほどの手練が陛下の力となれば、少なくとも反乱分子位は抑えられるでしょう。それに最近小耳に挟んだのですが、平民だけの特殊な部隊が編成されたと聞いております。彼女ならばそこに――」

 

「ならぬ」

 

 コルベールの言葉を遮るようにオスマンが声を発する。

 それに驚きつつも否定されたのが納得いかないのかコルベールはオスマンへと詰め寄る。

 

「何故ですか!? オールド・オスマンもこの国の現状は知っておられるでしょう! ならば――」

 

 オスマンはコルベールの前に手をかざし待ったをかける。

 

「コルベール君。君は忘れていないかね? 彼女はこの地の人間ではない。それも自身がいた場所へ帰ることを希望している。そんな彼女に我々の都合でこの地に留まらせる訳にはいかんじゃろう?」

 

「ですが、彼女は今尚旅を続けていると言うことは安住の地を求めてではないでしょうか? ならば、この地で、しかも王室に仕えると言う条件は決して悪い条件ではないはずですが……」

 

「それは彼女自身が決めることじゃ。我々が押し付けて良いものではない。この件は王室へ報告はせぬ。しばらくは様子を見ようではないか。それで良いな?」

 

「……わかりました」

 

 オスマンの言葉に渋々ながら了解すると、コルベールはオスマンへ一礼し学院長室から出て行った。

 コルベールが出て行ったことにより一人になったオスマンはまた水ギセルを口にし一服する。

 水ギセルの紫煙がオスマンの口から吐出され、この場の静寂に包まれるかのように静かに霧散する。

 

「……コルベール君が騒ぐのも無理は無い。あれ程までの剣の使い手はわしも見たことがないのう。さながらイーヴァルディの勇者か伝説のガンダールヴと言ったところかのう」

 

 オスマンは一人納得したように微笑むと席を立ち、窓から外を眺める。

 

「はてさて、今後どうなるものか、神のみぞ知ると言ったところかのう」

 

 誰に言うでもなく、オスマンはホッホと笑いながら自慢の髭を撫でるのであった。

 

 

 

 

 

 程なくして、オスマンに呼び出された。ルイズとレナス、それにギーシュであったが、お咎めがあるわけではなく、厳重注意とだけ言われ、早々に帰された。

 決闘騒ぎから数日が経ったが、あの日からレナスの周りでちょっとした変化が起きていた。

 厨房ではマルトーから『我らの女神』と呼ばれ、断っているのに、料理の質を上げられたり、上等なワインを飲ませようとしたりと唯でさえ騒がしい厨房が、レナスが行く度に更に騒がしくなるのだ。

 使用人のメイド達からもお姉様と慕われ始め、ルイズと共にいない時は彼女達に囲まれる。

 もてはやされるためにあの決闘を行ったわけではないのだが、結果として自分の知名度が上がったことにレナスは少々後悔していた。

 決して彼等や彼女達の好意が嫌な訳ではないが、何をするにしろ何処に行くにしろ、誰かが付いて来てしまう為、レナスは行動が少なからず制限されていた。

 そのせいもあってレナスは決闘騒ぎの日からこの地の歴史を調べるために、魔法学院の図書室より数冊本を借り、自分へあてがわれた使用人寮の自室で本を読むことが多くなっていた。

 ちなみに図書室の使用許可はオスマンから直々に頂いているので問題はなく、ルイズにも調べ物があるからと許可を取ってあるので講義を受けに行っているルイズに付き添う必要もない。

 

「なるほど、どの本を見ても文字はある程度ミッドガルドと同じ字面をしているな。所々形を変えてはいるが、基本は同じか」

 

 シャナリと乾いた音を立てながらページをめくり本を読み進めていく。

 不意に誰かがこちらへ近づいてくる気配を感じたが、使用人の誰かだろうかと思い、特に気にも止めずにいたが、その気配はこの部屋の前に来るとピタリと止まった。

 そして、比較的大きなノック音が部屋全体に響く。

 しかし、ノックにしては乱暴であり、扉の中央辺りではなく、かなり下の方……足元辺りからドンドンと音が聞こえる。ノックと言うより蹴りつけているみたいだ。

 

「ちょっとプラチナ! 居るんでしょう!? 重たいから早く開けなさい!」

 

 声からしてルイズの様だが、何か運んでいるのか両手が塞がっているようで足で蹴るようなノックをしたのだろう。

 余り良い予感はしないが開けないわけにもいかず、やれやれと本を閉じてから、扉を開けた。

 するとそこには大きめの木箱に溢れる程大量の手紙らしき物を入れたルイズの姿があった。

 

「ちょっとどいて!」

 

 悲鳴混じりの声を上げながら、言われた通りルイズが通れるように扉を大きく開き扉が閉まらないように体で抑える。

 ルイズはヨタヨタとその木箱を置ける場所を素早く目で探すと本が積まれたテーブルを見つけ、本の事などお構い無しにテーブルへとスライドさせるように置いた。

 積まれていた本がバサバサと床に落ちるが、一刻も早くその木箱を置き、休みたかったのか雪崩落ちた本など気にせず、ベットへと腰を降ろした。

 

「……これはなんだ?」

 

 レナスはルイズに持ち込まれたものが何なのか聞きながら、落ちた本を拾っていく。しかし、木箱によりテーブルの上に置く場所が無くなった為、仕方なく本を椅子の上へと積み上げる。

 

「手紙よ」

 

「見れば解る。誰になんの手紙だ?」

 

「あんたに! 内容までは知らないわよ!」

 

 明らかに何か知っている風ではあったが、機嫌が悪いようなのでそれ以上は聞かず、とりあえず、中を見れば解るかと一つ手に取って見てみる。

 可愛らしい封筒に、差出人らしき者の名前が小さく書き添えられてあるが、それよりも目を引くのは大きく『プラチナお姉様へ』と書かれた文字であった。

 何故か嫌な予感がしてならないのだが、中身を見らずに捨てるわけにもいかず、手にした手紙を開封して内容を確認する。

 

「これはまた、なんと言えばいいのか……」

 

 なんとなく予想はしていたが、書かれていた内容は私に対する賛辞の嵐であった。

 格好良かった、素敵でした、見惚れました、など決闘時に私を見た女生徒からのファンレターであった。

 山のように積まれた手紙をパッと確認した限りどれも同じような封筒の書き方をしてある為、内容も同じようなものだろう。

 しかし、中には『決闘状』などと書かれた封筒も見て取れる限り、全てがファンレターと言うわけではなさそうだ。

 少々目眩を覚えながらも、軽く溜め息を付きながらルイズへと目をやる。

 

「ルイズ――」

 

「知らないわよ。私じゃなくてあんたへの手紙なんだからあんたが対応しなさいよ? 良かったわね。魔法が使えなくともそれだけ人気が出るのね。私と違って」

 

 明らかに自虐とも皮肉とも取れる言葉を吐いて、プイッとルイズは頬を膨らませながらそっぽを向いた。

 子供扱いすれば怒るくせに、言動も行動も子供っぽいルイズに思わず苦笑いする。

 

「本を呼んでいる場合ではないか……」

 

 純粋な好意による手紙なのだ。決闘状はまだしも、ファンレターと見て取れる手紙を無下にするわけにもいかず、レナスは一枚一枚開封し中を確認していく。

 それを横目にルイズはジッとレナスを見続けていたが、何か思いついたのか、よし、と小さく溢すとベットから立ち上がった。

 

「プラチナ。明日街に行くわよ」

 

 手紙を読み続けていたレナスがルイズの言葉に顔を上げる。

 

「街へ? いきなりどうした? それに明日の講義はどうする?」

 

 ルイズは何にも知らないのねと呆れた顔をする。

 

「明日は虚無の曜日でお休みよ。あんたに剣を買ってあげるわ」

 

 剣か、あの騒ぎからどうするか考えてはいたのだが、またあのような騒ぎが早々に起こる訳ではないと考えていたためレナスは後回しにしていた。

 自分でも調達出来ないことはないのだが、入手先を聞かれるのは困る。しかし、ルイズが買ってくれるのであれば、武器の入手先を聞かれる心配がなくなる。

 レナスはそう考えるとルイズの好意を素直に受け取ることにした。

 

「そうか、すまないな。なら、明日は頼む」

 

 手紙の束を片付けながらルイズにそう言うと任せなさいとだけ言ってルイズはこの部屋を出ようとした所で立ち止まった。

 

「そうそう、明日もいつも通りに起こして頂戴。それなりに距離のある場所だから向こうに着く頃にはお店も開いているはずよ」

 

 お願いねと、最後に付け加え後ろ手に手を振りながら部屋を出て行った。

 ルイズが出て行った後、レナスは山のように積まれた手紙と借りてきた本を読み切る。

 だが、神と云えど、レナスはホムンクルスと融合した半人半神の神である為、流石にあれだけの量の手紙を読むと疲れが出たのか、目元を抑える。

 

「天界の仕事程ではないが、流石にこれはこれで疲れる」

 

 手紙と本の山を片付けると、レナスはベットへと潜り込んだ。

 本来必要としない睡眠だが、疲れを取る際には人間と同じように食事をしたり、睡眠をとることで神も疲労を緩和出来る。

 半人半神であるレナスに取ってもそれは同じことである。むしろ半人半神であるからこそ、その効果は他の神よりも効果的であり、その分他の神よりも疲労は強く出るのであった。

 そこまで酷い疲労ではないが、街に行くとなるとその分学院より何が起こるか解らないため、レナスは疲労を残さぬよう眠りに付くのであった。

 

 

 

 

 

 翌朝、レナスは日の出と共に起きると、中庭へと向かった。

 誰も居ないことを念入りに確認し、その身から剣を取り出す。

 『神剣グランス・リヴァイヴァー』世界を滅ぼそうとした邪神を討伐し、その後レナスの愛剣として、常に側に持ち続けた神剣である。

 レナスは剣をしっかりと構え、自身の型にブレがないかを確かめるように剣を振るう。

 縦、横、下段、切り上げ、突き。隙が出来ぬよう、素早く正確に、いつもの様に敵と戦うように剣を振るう。

 一通り型を確かめると、剣をその身に仕舞い込んだ。

 じんわりと滲む汗を浄化の力で清めてからルイズの元へと向かう。

 実はレナスが召喚される前のルイズの起床時間はこれよりも遅いのだが、レナスがこの世界に来てからルイズの起床時間はレナスの訓練後とレナスが勝手に決め込んだ為に早くなっていた。

 それについてルイズも反論したが、いつも朝食をギリギリに摂るような生活基準ではまともに頭も働かないとレナスに言われており、実際身支度する時間も朝食の時間も講義を受けるまでの時間に余裕が出来、最初の講義の時間からスッキリした頭で望めた事から渋々ルイズは了承した。

 そんな訳で、いつもの時間にルイズを起こし、身支度を済ませてから互いに朝食を摂る。

 その後は正門前でレナスはルイズが来るのを待っていた。

 

「待たせたわね」

 

 ルイズは馬を二頭連れて正門へと現れた。

 

「そういえば、あんた馬は乗れるの?」

 

 一通りの事は何でもこなせるとルイズに言い、一頭の手綱を受け取る。

 

「そっ、ならさっさと行きましょう。お昼より早く付くだろうから、買い物を済ませてから向こうで昼食を摂ることにしましょう」

 

 そう言うと、ルイズも手綱を握りしめてヒラリと馬へとまたがる。

 続くようにしてレナスも馬へとまたがり、二人は正門から学院を出て行った。

 

 

 

 

 

 時間は少し戻り、ルイズの隣の部屋。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーの自室。

 どこかの扉が閉じる音で目が覚める、彼女にしては休日にしては早めに起きたなと思いながらも、再度寝直すつもりもなく、ゆっくりと身支度を整える。

 その後窓を開け、部屋の換気をしてから、朝日をその身に当て大きく背伸びをする。

 ふと、下の方で動く人影があり、それに目を向けると、隣人であるルイズとその使い魔であるプラチナと呼ばれる女性が学園から出て行く所であった。

 

「あら? お出かけかしら?」

 

 レナスが男であれば先の決闘騒ぎでキュルケも今の他の女生徒達のように見惚れたかもしれないが、キュルケは強い女性に引かれる性質は持ち合わせておらず、特に彼女達への強い感心を持ってはいなかった。

 

「さて、じゃあ、私はどうしようかしらねぇ? ぶらぶらしてれば誰かしら声をかけてくれそうだけど――」

 

 今日の予定をどうしようかと思いながら、去っていく二人の姿を目で追う。

 するとその視界を遮るように青い影が、キュルケの前を通り過ぎた。

 

「あれはタバサ?」

 

 飛び去る青い鱗を持つ竜の背に、同じく青い髪を持つ小柄な少女をキュルケは視界へと収めた。

 彼女はキュルケの級友の中で一番仲の良いタバサと呼ばれる少女であり、キュルケは急ぎ飛び去ろうとする彼女を呼び止めた。

 

「ちょっとー! タバサー! どこに行くのよー!」

 

 彼女の呼び掛けに、呼び止められたタバサと呼ばれる少女は気付いたのであろう。

 彼女を乗せている竜が空中で急停止すると、その身をクルリと翻し、キュルケの元へと戻ってきた。

 

「なーに? そんなに急いでどこに行くのよ?」

 

 窓枠に頬杖を付きながら此方まで戻ってきたタバサに声をかける。

 

「彼女を追う」

 

 簡潔に、それ以上は不要とばかりの言葉数にも関わらず、キュルケはそれを理解したが、別の疑問が出てきた。

 おそらくタバサの言う彼女とは、ルイズ達の事だろうが、何故タバサが彼女を追うのかそれが理解できなかった。

 

「ヴァリエールを? 何? 貴方達何か接点なんてあったかしら?」

 

 率直な疑問をタバサに投げかけると、タバサは頭を横に振り否定する。

 

「違う。ミス・ヴァリエールじゃない」

 

 と、なると彼女が追おうとしてるのはもう一人の方、ルイズの使い魔となったプラチナと言う女性の方なのだろう。

 

「プラチナを? タバサ、彼女に何か用事でもあるの?」

 

 今度は頭を縦に振り肯定する。

 

「そっ、なんの用事があるか分からないけど、あの方角だと街の方よね? ちょうどいいわ。今日暇してたのよね。私も付いて行くわ。いいでしょ?」

 

 キュルケがそう言うと、タバサは再度頭を縦に振り、竜の高度を落とし、キュルケが乗りやすい様にする。

 

「乗って」

 

 それだけ言ったタバサに対し、ありがと、とだけ返すと、キュルケは窓から身を乗り出しそのまま竜の背へを乗り込んだ。

 

「相変わらず貴方の風竜、シルフィードには惚れ惚れするわね」

 

 キュルケの言葉にタバサの使い魔であるシルフィードと呼ばれる風竜はキュイキュイと嬉しそうに鳴くと、女子寮を軽く越えるほどまでに上昇する。

 そして、当初の目的である彼女達への追跡を始めると、キュルケは爪の手入れを始め、タバサも小脇に抱えていた本を捲り読書を始めるのであった。




 実はもうちょっと先まで書こうかと思っていたのですが、頭の処理と時間に追われた為、ここまでにしておきますね。
 中途半端でごめんなさい。

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