問題児と悪魔の妹が異世界から来るそうですよ?   作:亡き不死鳥

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うまくカットができない……
字数が普段の倍くらいになってしまいました
それとフランのギフトネーム公開です。

感想にギフトネームの案を出してくださった
void0さん、ありがとうございます


白夜叉降臨

 

 

 

 

サウザンドアイズの店員を説得?し、ノーネームを店内に招き入れようとしたところに白い子供が弾丸のように店内から飛び出し黒ウサギを捕獲して飛んでいき、街道の向こうにある水路まで吹き飛んだ

 

「きゃあーーー……!」

 

ポチャンと音がして悲鳴が遠のいた

 

「……おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンでぜひ」

 

「ありません」

 

「なんなら有料でも」

 

「胃薬でも渡してから言ってください」

 

真剣な表情の十六夜に疲れ切った顔をした女性店員。そんな二人など知ったことではないとばかりに黒ウサギを強襲した白い髪の幼い少女は、黒ウサギの胸に顔をなすり付けていた

 

「し、白夜叉様!?どうして貴方がこんな下層に!?」

 

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろに!フホホフホホ!やはり黒ウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

「し、白夜叉様!ちょ、ちょっと離れてください!」

 

白夜叉と呼ばれた少女を無理矢理引き剥がし、頭を掴んで店に投げつける。それを十六夜が足で受け止め…ようとしたのを止め、そのまま避けた。真っ直ぐ店員に向かって行った白夜叉は店員の手により優しく叩き落とされた

 

「ゴハッ!お、おんしら!飛んできた初対面の美少女を受け止めぬとは何事じゃ!おんしに至っては叩き落としおったな!?」

 

「申し訳ありませんオーナー。手が滑りました」

 

「ぶっ叩いといてよく言うわい」

 

そっぽを向く店員を汚れを取りながら白夜叉が呆れたように見つめる

 

「貴方はこの店の人?」

 

なんとなく話しかけづらかった雰囲気の中飛鳥が白夜叉に話しかける

 

「おお、そうだとも。このサウザンドアイズの幹部様で白夜叉様だよ御令嬢。仕事の依頼なら年齢のわりに発育が良い胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

 

「オーナー。それでは売り上げが伸びません。ボスが怒ります」

 

普段の調子を取り戻してきたのか冷静な声で女性店員が釘を刺す。するとようやく水路から上がってきた黒ウサギが濡れた服を絞りながら複雑そうに呟いた

 

「うう……まさか私まで濡れることになるなんて」

 

「因果応報…かな」

 

悲し気に服を絞る黒ウサギと反対に、濡れても全く気にしない白夜叉は店先でフラン達を見回してニヤリと笑った

 

「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同志か。異世界の人間が私の元に来たということは……遂に黒ウサギが私のペットに」

 

「なりません!どういう起承転結が、あってそんなことになるんですか!」

 

「まあいい。話があるなら店内で聞こう」

 

「店の方に連れていきましょうか?」

 

「んにゃ、一応規定ではノーネームは入れられんからな。まあ身元は私が保証するしボスに睨まれても私が責任を取るからいいが、まあ今回は私の私室でいいだろう」

 

「わかりました。ついて来てください。ご案内します」

 

店員と白夜叉に着いていき五人と一匹は和風の中庭を進み、縁側で足を止める。障子を開けて招かれた場所は香の様な物が焚かれており、風と共に五人の鼻をくすぐる。和室の上座に腰を下ろし大きく背伸びをしてから白夜叉はフラン達に向き直った

 

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えているサウザンドアイズ幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

「…外門ってなに?」

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門のことです」

 

黒ウサギは簡単に説明して大雑把な上空からみた箱庭の図を描き四人に見せた

 

「……超巨大タマネギ?」

 

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

 

「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」

 

「そういえばお腹空いたね」

 

「俺とフランはこっちに来てから何も食ってないからな。お嬢さま達は喫茶店にいったらしいが」

 

「貴方達が世界の果てにいっていたからでしょう?」

 

「話が逸れ過ぎですよ!」

 

身も蓋もない感想に加え、他の話題に移転してしまいガクリと肩を落としながらツッコミをする黒ウサギ。対象的に白夜叉は笑いながら二度三度頷いた

 

「随分と愉快な例えだ。その例えなら今いる七桁外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。さらに東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は世界の果てと向かい合う場所になる。彼処には強力なギフトを持ったものたちが住んでおるぞ。…その水樹の持ち主などな」

 

白夜叉は黒ウサギの水樹に目を落とす。白夜叉が指すのはトリトニスの滝の蛇神の事だろう。それと同時に店員がお茶とお茶請けにバームクーヘンを持ってきた

 

「して、一体誰がどのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

 

「いえ、この水樹は十六夜さんが蛇神様を素手で叩きのめしてきたのですよ」

 

「なんと!?クリアではなく直接倒したとな!?ではその童は神格持ちの神童か?」

 

「いえ、神格持ちなら一目見れば分かるので違うと思います」

 

「それもそうか。しかし神格持ちの蛇神を倒すとは。種族の力では蛇と人はドングリの背比べなのだが…」

 

うーむ、と唸りながら考えこむ白夜叉。話が止まったので黒ウサギが問いかけた

 

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

 

「知り合いもなにも、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

黒ウサギの質問に豪快に笑う白夜叉。それを聞いた十六夜は物騒に瞳を光らせた

 

「じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

 

「ふふん、当然だ。私は東側のフロアマスター、階級支配者だぞ。この四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者なのだからの」

 

"最強の主催者"

その言葉に十六夜、飛鳥、耀の三人は一斉に瞳を輝かせた。そしてフランはついに我慢出来ずバームクーヘンを食べ出した

 

「つまり、貴方のゲームをクリア出来れば私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

 

「無論そうなるのう」

 

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

十六夜、飛鳥、耀の三人は白夜叉相手に闘志を剥き出しにしていた。白夜叉もそれに気づき高笑いをする。フランは未だにバームクーヘンを食べ続けている

 

「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

 

「え? ちょ、ちょっと御三人様!?」

 

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている」

 

「ノリがいいわね。そういうのは好きよ」

 

「ふふ、そうか。ならばゲームの前に確認しておく事がある」

 

 白夜叉は着物の裾から"サウザンドアイズ"の旗印ーーー向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、表情を壮絶な笑みに変えて一言、

 

「おんしらが望むのは"挑戦"かーーーもしくは、"決闘"か?」

 

 刹那、五人の視界は意味を無くし、様々な情景が脳裏を回転し始める。黄金色の穂波が揺れる草原、白い地平線を覗く丘、森林の湖畔。様々に世界が流転し、五人が投げ出されたのは、白い雪原と湖畔ーーーそして、水平に太陽が廻る世界だった。

 

「なっ!?」

 

余りの異常さに全員が言葉を失う。先程居た和室から一変、薄明の空に水平に廻る白い太陽。まるで星一つ、世界を一つ創り出したかのような奇跡の顕現だった

 

「今一度名乗りなおし、問おうかの。私は"白き夜の魔王"ーーーー太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への挑戦か? それとも対等な決闘か?」

 

少女の笑みとは思えぬ凄味に皆が息を飲む。その姿にフランは自分の姉を思い出して居た。小さい体に絶大の威圧を纏い他者を圧迫する。しかしどこか着いていきたいと思えるカリスマを両者とも持っているのだ。

 

「水平に回る太陽と……そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

 

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ私が持つゲーム盤のひとつだ」

 

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤!?」

 

「如何にも。して、おんしらの返答は?『挑戦』であるならば、手慰み程度に遊んでやる。ーーだがしかし『決闘』を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」

 

「…………っ」

 

四人が黙り込む中黒ウサギは白夜叉の話の邪魔をしないように黙っていたが心中穏やかではなかった。今日会ったばかりだが皆が皆バカではない。命を軽々しく投げ出したりはしないと思うので決闘は断るだろう。だがフランの存在が黒ウサギを慌てさせる。フランは見た目同様精神年齢が幼く見える。てんゐとのギフトゲームで隕石を軽々破壊し、人を簡単に殺しえる力を振り回している。今回もてんゐの時のように決闘を選ばないか心配でしかたがなかった

 

そんな黒ウサギを他所に、しばらく静寂を保っていた十六夜がゆっくりと手を挙げた

 

「参った。降参だ白夜叉。今回は黙って試されてやるよ」

 

『試されてやる』との可愛らしい維持の張り方に一頻り笑った白夜叉は笑いを噛み殺して他の三人にも問う

 

「く、くく………して、他の童達も同じか」

 

「……ええ、私も試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じ」

 

「そうか。……で、おんしは?」

 

「………」

 

ジッと白夜叉を見つめるフランに問う。黒ウサギはアワアワしながらフランの返答を待った

 

「……私も同じで」

 

フランの答えによりヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギはホッと胸を撫で下ろした

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!階層支配者に喧嘩を売る新人と新人に売られた喧嘩を買う階層支配者なんて冗談にしても寒過ぎます!」

 

なんて言ったものの黒ウサギの中には無意識とはいえもう一つの心配があった。そして十六夜も。隕石を破壊する。これだけならば十六夜も黒ウサギもできる。だがフランは手を握り締めるだけで壊してみせた。何をしたのか、どうやったのか。そしてそれが生物にも効くならば……もしフランと白夜叉が本気でぶつかり合えば、白夜叉を殺してしまうのではないか…。そんなことすら思わせるフランのギフトに二人は薄ら寒いものを感じていた

 

「さて、そろそろ始めようか」

 

そんな二人を気にする様子もなく白夜叉はゲームをはじめた。風の如く現れたグリフォン。耀がギフトゲームで命を掛けると言い出し一悶着あったり、ゲームをクリアした耀が風を纏い空を歩いたり。耀のギフトである丸い木彫り細工を白夜叉が買い取ろうとして断られたり。

 

だが普通なら真っ先に騒ぎそうなフランがこのゲーム中ぼうっとしたまま何も言わなかった。それを心配した黒ウサギが話を聞いても「なんでもない」としか言わなかったので、耀に木彫り細工を取り上げられしょんぼりしていた白夜叉にギフトの鑑定を依頼した。するとゲッ、と気まずそうな顔になる白夜叉

 

「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外どころか無関係も良いところなのだがの」

 

ゲームの賞品として依頼を無償で引き受けるつもりだった白夜叉は困ったように白髪を掻きあげ、着物の裾を引きずりながら四人の顔を両手で包み込んで見つめる

 

「どれどれ……ふむふむ……むむむ……うむ。四人とも素質が高いのは分かる。しかしこれではなんとも言えんな。おんしらは自分のギフトの力をどの程度把握している?」

 

「企業秘密」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

「ある程度は」

 

「うおおおおい?いやまあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まんだろうに」

 

「別に鑑定なんていらねえよ。人に値札貼られるのは趣味じゃない」

 

ハッキリ拒絶する十六夜に同意するように頷く飛鳥と耀。フランだけは気まずそうに顔を背けた。

 

「ふむ。何にせよ主催者として、星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらには恩恵を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だがコミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

 

白夜叉がパンパンと柏手を打つ。すると四人の眼前に光り輝く四枚のカードが現れる。カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた

 

コバルトブルーのカード

逆廻十六夜・ギフトネーム

"正体不明"(コード・アンノウン)

 

ワインレッドのカード

久遠飛鳥・ギフトネーム

"威光"

 

パールエメラルドのカード

春日部耀・ギフトネーム

"生命の目録"(ゲノム・ツリー)

"ノーフォーマー"

 

ブラックのカード

フランドール・スカーレット・ギフトネーム

"破壊の申し子"(ザ・チャイルドデストラクション)

"恒久の狂気"(セーブ・ド・クレイジー)

"狩人の求眼"(ハンティングアイズ)

"日下歩行"(デイウォーカー)

"兎の首飾り"

"水神の護符"(ウォータルディフェンス)

 

そのカードをみて黒ウサギは驚いたような興奮したような顔で三人のカードを覗き込んだ

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「スペルカード?」

 

「ち、違います!というか皆さんなんでそんなに息が合ってるのです!?このギフトカード!は顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの生命の目録だって収納可能でそれも好きな時に顕現できるのですよ!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に流すんですか!あぁもうそうですよ!超素敵アイテムなんです!」

 

黒ウサギの怒鳴り声を聞き流しながら四人はカードを物珍しそうに見つめる。そして各々のギフトネームを確認する。十六夜も飛鳥も耀も自分のギフトネームなど考えたこともなかったので興味心身だ。そんな中、フランはギフトカードをやや恨めしそうに睨みつける

 

【破壊】【狂気】【狩】

 

嫌な単語ばかりが目にはいる。もうこのカードも壊しちゃおうかな……

 

「フランちゃんギフトの数多いですね」

 

「……黒ウサギ」

 

「そういえばてんゐさんから貰ったギフトって結局なんだったんですか?」

 

そういえば貰ったままそのままだったと思い出し、懐を探り貰ったブレスレットと紙を取り出し内容を読む。

 

『名称【水神の護符】

なくさないようにブレスレットの形にしといたよ。姫ちゃんと遊んだ時に貰ったんだー。これは着けていれば水疱瘡や水膨れ、水がつく物なら何でもござれの護符さ。吸血鬼は流水が苦手だろう?あたしの好意だと思って受け取っときな

 

 

P.S ギフトカードに入れちゃうと効果が無くなるので首飾り共々ちゃんと常備するように

 

てんゐちゃんより』

 

「……あれ?普通ですね」

 

「普通じゃないのもあるの?」

 

「ええ。…というか悪い物も多いのですよ。てんゐさんにとっては幸福も不幸もどっちもギフトに変わりないですからね。前は一回だけ賭けで勝てる壺を売りに出していたり、相手にプレゼントすると渡された相手が不幸になる藁人形を売り出して大儲けしていたそうです。報復もあるそうですがてんゐさんには幸運が付いているのでなんだかんだでいつも逃げ延びてるそうです」

 

「へー、大変なんだね」

 

「なんだ黒ウサギ、その娘はあの悪ガキを倒したのか?」

 

「はいな。十六夜さんとフランちゃんは世界の果てへ遊びに行った後、なんと神格持ちをそれぞれ倒してしまったのですよ」

 

先程まで十六夜のギフトについて話していた白夜叉が今度はフランを興味深そうに眺めてきた

 

「ちょいとばかしギフトカードを借りても良いか?」

 

「………いいよ」

 

嫌そうに顔をしかめた後素直にギフトカードを渡した。

 

「……………」

 

「し、白夜叉様?顔が怖いですよ?」

 

「……ん?ああすまんすまん。此奴の瞳のギフトが変異していたので気になってな」

 

「ギフトが変異、ですか?」

 

「うむ、狩人の求眼。これ自体は珍しくも何ともない。手元に目に見えた物を手繰り寄せるギフトなのだが……おんしの場合引き寄せられる物が限定されている。なにか心当たりはないか?」

 

「……私の能力で少し」

 

「……ふむ。話したくないか。なら此処では聞くまい。では皆の衆、私の部屋へ戻るぞ」

 

パンッと白夜叉が手を叩くとそこは既に元の店内であった

 

☆☆☆

 

六人と一匹は店前に移動し、耀達は一礼した

 

「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい」

 

「あらダメよ春日部さん。次に挑戦する時は対等の条件で挑むのだもの」

 

「ああ。吐いた唾を飲み込むなんて格好つかねえからな。次は渾身の大部隊で挑むぜ」

 

「白夜叉、また来るね」

 

「うむ、楽しみにしていよう。……ところで、今更だが一つだけ聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているか?」

 

「名前とか旗の話なら聞いたぜ?」

 

「それを取り戻すために魔王と戦うことも知ってるわ」

 

「……では、おんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな」

 

「そうよ、打倒魔王なんてカッコいいじゃない」

 

「カッコいいで済む話ではないのだがの……まあそれでも魔王と戦うことを望むというなら止めんが……そこの娘二人。おんしらは確実に死ぬぞ」

 

飛鳥と耀を見つめ予言をするように断言した。言い返そうとしたが白夜叉の助言は物を言わさぬ威圧感があった

 

「魔王の前に様々なギフトゲームに挑んで力をつけろ。小僧とそちらの娘はともかく、おんしらの力では魔王のゲームを生き残れん。嵐に巻き込まれた虫が無様に弄ばれて死ぬ様はいつ見ても悲しいものだ」

 

「ご忠告どうもありがと。肝に銘じておくわ。次は貴女の本気のゲームに挑みに行くから、覚悟しておきなさい」

 

「ふふ、望むところだ。私は三三四五外門に本拠をかまえておる。いつでも遊びに来い。……ただし黒ウサギをチップに賭けてもらうがの」

 

「嫌です!」

 

「むぅ。つれない事を言うなよぅ。私のコミュニティに所属すれば生涯遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」

 

「それもう明らかにペット扱いですから!」

 

怒る黒ウサギ、笑う白夜叉。店を出た五人と一匹は待ちわびたと言わんばかりの笑顔の女性店員に見送られてサウザンドアイズの支店を後にした

 

しかしノーネームについても、ついにはフランの元気は戻らなかった

 

☆☆☆

 

サウザンドアイズ支店

 

フラン達が去った後、白夜叉私室へ客人を招いていた。その人物はプラチナブロンドの髪を特注のリボンで結び、紅いレザージャケットに拘束具を彷彿させるロングスカートを着た少女だった

 

「おんしに頼みたい事がある。実は少々気になる奴が居てな。おんしと同じ吸血鬼、金髪に、背が低い娘だ。特徴的な羽をしておるから直ぐにわかる」

 

「そうか。貴女のおかげで私は逃げ延びていられるんだ。それくらいしよう。それで、どこのコミュニティかな?」

 

「クフフ、その娘は最近ノーネームに入ってな。コミュニティの復興を手伝うらしい」

 

「……正気か?冗談だとすれば私はそいつを叩きのめさずにはいられないぞ?」

 

「それも含めて、ノーネームを監視し危険があれば報告してくれ。だが気をつけろよ?あやつらの中には神格持ちを倒した者が二人いるからな。無論件の娘がその一人だ。それと……接触に関してはおんしの判断に任せよう」

 

「……承った。早速向かうとしよう」

 

「頼んだぞーーーレティシア」




感想批判お待ちしてます

次の次くらいにガルド編に入る予定でいます

次回!レティシアの呼び方はどうなるのか!?
作者も決めかねているので本当にどうなるのやら

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