問題児と悪魔の妹が異世界から来るそうですよ?   作:亡き不死鳥

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可愛いは正義

つまり可愛いフランは絶対正義

白夜叉編を一気にやろうとしたけど多分無理だったんで一旦ここまで


千の瞳……の前

 

 

日が暮れた頃、噴水広場に飛鳥と耀に合流した黒ウサギの説教と質問が飛び交っていた

 

「なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですかぁ!!しかもゲームの日取りは明日!?それも敵のテリトリー内で戦うなんて!準備している時間もお金もないんですよ!?一体どういうつもり…って聞いているのですか三人とも!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」……かも」」

 

「黙らっしゃい!というか飛鳥さんと耀さんは反省の色が見えません!」

 

「別にいいじゃねえか。見境なく喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ」

 

「十六夜さんは面白ければいいかもしれませんけど、このゲームで得られるのは自己満足だけなんですよ?この"契約書類"を見てください」

 

黒ウサギの渡したギアスロールを十六夜とフランが覗き込む。その賞品の内容は…

 

「勝ったらホストは全ての罪を認め裁きを受けた後コミュニティを解散する…か。なるほどこりゃ確かに自己満足だ」

 

「負けたら罪を黙認する。ん〜、放っておけば勝手につかまるんじゃないの?」

 

一通りの話を聞いていたフランが思ったことを口にした。フランの言うとおり"フォレス・ガロ"は子供の誘拐に加え、それを人質に他のコミュニティに出来レースのゲームを仕掛けさせコミュニティを拡大した。さらに誘拐した子供を既に殺しているというではないか。それならわざわざゲームをしなくても勝手に裁かれるだろう。しかし……

 

「私はね、フラン。私は道徳云々よりも、あの外道が私の活動範囲内で野放しにされる事が許せないの。ここで逃がせばいつかまた狙ってくるに決まってるもの」

 

そう飛鳥が堂々と言い放った。結果より結果が出るまでの過程が気に食わないらしい。そんな態度を見て黒ウサギの方が折れた

 

「はぁ〜、仕方のない人達です。まあ腹立たしいのは黒ウサギも同じデスからいいとしましょう。それに"フォレス・ガロ"程度なら十六夜さんかフランちゃんが一人いれば楽勝でしょう」

 

「何言ってんだ?俺は参加しねえよ?」

 

「フランは…ムグゥ」

 

「フランも参加しねぇってよ」

 

「ムグ!?」

 

「当たり前よ。貴方達を参加させる気なんてないわ」

 

「ムムゥ〜」

 

口を十六夜に塞がれたフランに構う事なく話がどんどん進んでいく。黒ウサギもそれをスルーしながら十六夜と飛鳥に食ってかかる

 

「だ、ダメですよ!コミュニティの仲間なんですから協力しないと」

 

「そういうことじゃねえよ黒ウサギ。いいか?この喧嘩はコイツらが売って、ヤツらが買った喧嘩だ。なのに俺達が手を出すのは無粋だって言ってるんだよ。わかるだろ?フラン」

 

「……うん、わかった」

 

「良い子だ」

 

グシャグシャっとフランの頭を撫でる。それを見ているとなんだか兄妹を見ているようだとノーネームの全員が思った。

 

「……ああもう、好きにしてください」

 

黒ウサギも怒気を抜かれ結局許可を出すのだった

 

☆☆☆

 

その後黒ウサギがギフトの鑑定をしてもらうということで"サウザンドアイズ"というコミュニティへ向かうことになった

 

「サウザンドアイズとは特殊な瞳のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北、上層下層の全てに精通する超巨大コミュニティです」

 

「へー」

 

黒ウサギの説明を聞き流しながら黒ウサギ、十六夜、飛鳥、耀、フラン、あと猫の五人と一匹は商店へ向かうペリベッド通りを歩いていた

 

そんな中、月と街灯ランプに照らされた桃色の花を散らしている木を見上げ、飛鳥は不思議そうに呟いた

 

「桜の木……ではないわよね?花弁の形が違うし、真夏になっても咲き続けるはずがないもの」

 

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ?気合いの入った桜が残っててもおかしくないだろ」

 

「……?今は秋だったと思うけど」

 

「あれ?お姉様が三日前に雪合戦に誘ってきたけどなぁ?」

 

ん?と噛み合わない四人は顔を傾げる

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのデス。元いた時間軸以外にも歴史や文化、生態系など所々違う箇所があるはずですよ」

 

「パラレルワールドってやつか?」

 

「近いです。正確には立体交差並行世界論というのですが、まあ説明は省きます」

 

黒ウサギが話を断ち切る。どうやら店に着いたらしい。しかし視線の先の店は割烹着の女性店員が看板を下げようとしていた

 

「まっ」

 

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

バッサリ切り捨てられた

 

「なんて商売っ気のない店なのかしら」

 

「ま、全くです!閉店時間五分前に客を締め出すなんて!」

 

「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切出入を禁じます。出禁です」

 

「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!?」

 

キャーキャー喚く黒ウサギに店員が冷めた目を向ける。するとその間に小さな影が入った

 

「黒ウサギをいじめちゃだめ!」

 

「フランちゃん!」

 

フランが黒ウサギを守るように立ち塞がったのだ。流石に子供相手に強く言おうとは思わないのか身を屈めフランと視線を合わせる

 

「いいですかお嬢さん。こちらは仕事なのです。仕事に例外を作ってしまっては問題なんですよ」

 

「う〜。こ、今回だけ!お願い!」

 

「ですから例外を作ることは出来ないんですよ」

 

「……どうしても?」

 

「どうしても、です」

 

全く引いてくれそうにない店員を涙目で睨みつけるフラン。そして覚悟を決めたとばかりに声をだした

 

「い、入れてくれないと店員さんに怖いことするよ?」

 

「ほほう、怖い事とは恐ろしい。お嬢さんに一体何をされてしまうのでしょう?」

 

飄々とした態度を崩さない店員にフランがついに怒った。それを見た黒ウサギが血の気が引くのを感じる。もしフランが隕石を破壊した技を店員に使えばサウザンドアイズそのものを敵に回してしまう

 

「も、もう謝っても遅いよ?」

 

「それは大変ですねぇ」

 

「じゃあいくよ!」

 

フランが体を小さくするように蹲る。黒ウサギにはそれが飛びかかる準備にしか見えなかった。急いでフランに近づき…

 

「フランちゃん!まっ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

世界が止まった。

 

両手を頭の上で威嚇するポーズをとるフラン。しかし容姿と相成って可愛いポーズにしか見えない

 

「あ、あれ?怖くなかった?」

 

「「「「「………」」」」」

 

「え?く、黒ウサギ?飛鳥?耀?十六夜?店員さん?」

 

本当に時が止まったかのように動かない五人を不安気に見回す。視線は集まっているのに反応がないというのはかなり怖い

 

「う〜。うーーー!!」

 

ついには蹲り頭を抱えてカリスマガードのポーズに移行した。まるで小さい女の子を虐めているような状況に、……ノーネームの四人は店員を睨みつけることにした

 

「わ、私の所為ですか!?」

 

「わー泣かせたー」

 

「最低ね」

 

「……最低」

 

「店員の風上にも置けないひとデスね」

 

十六夜に便乗し飛鳥、耀、黒ウサギまで店員を攻撃し始める

 

「あぁーーーもう!分かりましたよ!少々お待ちください、御客様!!」

 

視線に耐えきれなくなり、店員はドカドカと店の中に入って行った。

 

「おいフラン。お前の怖さに恐れをなして店員が店の人呼んでくれるってよ」

 

「……ほんと?」

 

「ええ、あまりの怖さに私達まで固まってしまったわ」

 

「……うん、凄い怖かった」

 

「さすがフランちゃんです!」

 

「え、えへへ〜」

 

慰められたフランは先程の姿が嘘の様に最高の笑みを浮かべた

 

((((かわいい……))))

 

その笑顔にノーネームの四人、十六夜までもが見惚れてしまった。やはり可愛いが正義なのは異世界でも不変の定理のようだ

 

「……許可がおりました。どうぞ中に…」

 

「イヤッホォォォォォイ!黒ウサギィィィィィ!!」

 

出てきた店員が五人を中に勧めようとすると、店員の横から弾丸のようなスピードで何かが飛び出てきたと思ったら黒ウサギが吹き飛んだ

 

「………なにいまの?」

 

「…もうやだここ」

 

もしかすると今日一番苦労したのはこの店員なのかもしれない




フランをカリスマブレイク

……私は私の思うがままに手を進める。何人たりとも私の手を止めることはできないのだー(棒)

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