問題児と悪魔の妹が異世界から来るそうですよ?   作:亡き不死鳥

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一気にいこうかと思いましたが、色々挟もうと思ったので一旦切りました。

しかし4話を投稿したらお気に入りが
80から280に増えててめっちゃ驚きました

すごい嬉しかったです!


世界の果てへ

 

 

 

箱庭二一○五三八○外門前

 

 

ジン「…………遅い」

 

 

☆☆☆

 

「はっ!」

 

「わ、どうしたの黒ウサギ」

 

「ジン坊ちゃんを外門に待たせてるのを忘れていたのですよ!そんなわけで皆様を箱庭までご案内します!黒ウサギの後についてきてください!」

 

外門前に子供達に出迎えするように言っておきながら遊んでしまっていた黒ウサギが焦ったように四人に声を掛ける。

 

「ジン坊ちゃん?」

 

「黒ウサギ達のコミュニティのリーダーでごさいますよ。十一歳と小さいながらも頑張ってコミュニティを纏めているしっかり屋さんです。まあ諸々のことはついてから説明いたします」

 

そう言って黒ウサギは四人に背を向け歩き始めた。それに飛鳥、耀が続き、フランもついて行こうとすると十六夜がある方向を向いたまま動こうとしていないのが目に入った

 

「十六夜はこないの?」

 

「いや、ちょっと世界の果てでも見に行こうと思ってな。どうだ?お前も行くか?」

 

「世界の果て……うん!行く!あ、ちょっと待って」

 

「ん?」

 

シュダッと勢いよく走りだし目の前から消えたかと思うと、一瞬のうちにもとの位置に戻っていた

 

「何処行ってたんだ?」

 

「飛鳥と耀の所。流石に行き先は知らせた方がいいかなって」

 

「おいおい黒ウサギには知られてないだろうな?」

 

「そこはバッチリ!」

 

Vサインを出し満面の笑みを浮かべる。それに答えるように十六夜もサムズアップし、

 

「じゃあ行くか世界の果てへ!」

 

「おー!」

 

掛け声に合わせピョンと十六夜の肩に飛び乗る。軽く体制が崩れたがまあいいかと結論を出しこのまま向かうことにした

 

「振り落とされるなよ?」

 

「もっちろん!」

 

ドンッという音と地面に小さなクレーターを作り、二人の少年少女は空へ飛び上がった

 

 

☆☆☆

 

 

そんなことが起きてるとは知らずウキウキとスキップでもし始めそうなテンションの黒ウサギはなるべく早足にならないようにゆっくりと歩いていた

 

(始め見た時は問題児だらけでどうしようかと思いましたが、フランちゃんのおかげで警戒されずに仲を深められたのですよ!)

 

だけど…とそこで少しネガティブになってしまう。黒ウサギは四人に隠していることがある。黒ウサギのコミュニティはざっくり言うと崖っぷちーーから突き落とされた状況なのだ。言うなれば底辺の底辺。誰も入りたくないようなコミュニティに騙して入れようとしているのだ。

 

(う〜、今更ながら罪悪感が芽生えてきたのですよ…。いえ!黒ウサギはもう覚悟を決めたのですよ!こうなったら皆様には絶対にコミュニティに入っていただきます!)

 

黒ウサギがそんな決心をしているとようやく箱庭に辿り着いた。一人の少年が三人に気づき駆け寄ってきた

 

「お帰り黒ウサギ。そちらの女性二人が?」

 

「はいな、こちらの四名様が……」

 

クルリと振り向くとカチンと固まる黒ウサギ

 

「……え、あれ?もう二人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて全身から"俺問題児!"てオーラを出してる殿方と、満面の笑みでデストロイしてくる可愛らしいお嬢様が」

 

「ああ、十六夜君とフランちゃんのこと?彼等なら『ちょっと世界の果てまで行ってくる。夕御飯までには戻るから心配しないでね』って言って消えたわよ」

 

「な、なんでとめてくれなかったんですか!」

 

「『お願い♡』って可愛く言われたもの」

 

「それなら……いやいや、それならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

 

「『黒ウサギには秘密ね。しー』って言われた。あれは断れない」

 

耀は指を一本立てて鼻の前にかざすポーズをする。

 

「う、嘘で……はないのでしょうね……」

 

ガクリと肩と耳を垂れさせる黒ウサギ。そんな黒ウサギとは対照的にジンが蒼白になって叫んだ

 

「た、大変です!世界の果てにはギフトゲームのために野放しにされている幻獣が」

 

「幻獣?」

 

「は、はい。ギフトをもった獣を指す言葉で、特に世界の果て付近は強力なギフト持ちもいます?出くわせば人間ではとても太刀打ちできません!」

 

「人間では……ね。そういえばフランちゃんは人間ではなかったわね」

 

「なんだろう?翼が綺麗だった」

 

「恐らくは吸血鬼の一種だと思いますよ。黒ウサギのコミュニティも前に先輩の吸血鬼がいたのでなんとなく分かるのですよ!……ってそんなことを言っている暇ではありませんでした!ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、御二人のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「わかった。黒ウサギはどうする?」

 

「問題児達を捕まえに参ります。事のついでに、『箱庭の貴族』と謳われるこの黒ウサギの力をお見せしてやるのですよ!」

 

バッと黒ウサギから怒りのオーラを全身から噴出させ、髪を淡い緋色に染めていく。そして外門に跳び上がり外門の柱に垂直に張り付くと、

 

「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフをご堪能なさいませ!」

 

全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去り、あっという間に三人の視界から消え去った。それを見てポツリと飛鳥が言葉を零す

 

「箱庭のウサギは随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」

 

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが……」

 

「そう。では黒ウサギも堪能くださいと言っていたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入りましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」

 

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一歳になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。御二人の名前は?」

 

「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」

 

「春日部耀」

 

「それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね、軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」

 

ジンの手を取ると、胸を踊らせるような笑顔で外門をくぐるのであった

 

 

☆☆☆

 

 

一方世界の果てを目指している二人の問題児は……

 

「十六夜はやーい!もっともっと!」

 

「いいぜ!振り落とされんなよ!」

 

……ある意味箱庭ライフを満喫していた

 

 

 




書いていると自分の予定通りに筆が進むか心配になりますね(苦笑)

さて……ガルド戦どうしようか……

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