問題児と悪魔の妹が異世界から来るそうですよ? 作:亡き不死鳥
というわけでどうぞ
『ギフトゲーム名"弾幕ごっこ"
ホストマスター、フランドール・スカーレット
プレイヤー一覧、黒ウサギ、逆廻十六夜、久遠飛鳥、春日部耀
ホストマスター側勝利条件、全プレイヤーの撃墜
プレイヤー側勝利条件、スペルカード1枚の一人以上の攻略(ただし制限時間は1分とする)
宣誓、上記を尊重し、ホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します』
小一時間程たちようやく一つのギフトゲームが開催された
「最低限の事項のみを書きましたがこれでいいでしょう。これで皆様方がゲームを承認すればゲーム成立です!」
「OK、受けて立つぜその勝負」
「私もよ」
「うん」
「ではこれにてゲーム成立ですね!ではフランちゃんに今回のゲームを説明してもらいましょう!フランちゃんよろしくお願いしますね」
「はーい!弾幕ごっこはね、撃ったり避けたりするゲームなんだけど、今回は私のスペルカードを避けるだけでいいの!」
「避けるだけ?そんな簡単でいいのか?」
十六夜は拍子抜けしたような表情でフランに確認する。
「普段はお互いに撃ち合うんだけど……十六夜弾幕撃てる?」
「あの光の玉の事を言ってるなら無理だ、としか言いようがないな」
「私も無理ね」
「……私も」
「でしょ?だから今回はれんしゅーなの!」
「……スペルカードってなに?」
今度は耀が質問した。スペルカードという単語自体皆聞いたことがなかったので特になにも言わずフランの説明を待つ
「ん〜、簡単にいうと弾幕をほぼ一定の動きに定着させて完成させた必殺技みたいな感じかな。予め使う枚数を決めておいて、それを全部攻略されるか被弾しちゃったら負け。で、スペルカードを使う時は頭の上に掲げて名前を宣言するの。宣言しないで使ったら反則負けね」
「へー。面白いわね。例えばどんなスペルカードがあるの?」
飛鳥は興味心身といった様子でフランのスペルカードを見たいと言い、フランも嬉々として懐からカードを取り出した
「えーと今回は……クランベリートラップを使うね!」
「弾幕の名前なのですよね?どんな弾幕か想像がつきませんね」
「うし!そろそろ始めようぜ!百聞は一見に如かずってくらいだ!余裕でクリアしてやるぜ!」
十六夜の言葉によりギフトゲームが始まった。
「じゃあいっくよー!」
しかし、
「禁忌……」
飛鳥も耀も黒ウサギも、十六夜でさえも気づかなかった。いや、知らなかったのだ。
「クランベリートラップ!!」
人外蠢く幻想郷で流行る遊びが気楽にできる筈などないなことに
☆☆☆
フランがスペルカード名を宣言すると魔法陣が現れ弾幕を蒔きはじめた。
その時十六夜達が思ったことは「やはりこの程度か」だった。必殺技と言っていたのでどれほど恐ろしいのかと思ったがそこまででもなかったからだ。
十六夜と黒ウサギは弾幕を跳んで避け、飛鳥は玉の隙間に滑る様にして回避し、耀も再び猫の様に飛び跳ね回避した。
しかしそこからだった
「!?春日部さん!避けて!」
「な!?」
耀が避けた場所へまるで待ち構えるかのように弾幕が迫ってきたのだ。
「弾幕よ!止まりなさい!」
その瞬間弾幕のうち一つがピタッと止まった。…かと思いきや直ぐに動きを取り戻した。だが一瞬でも止まれば回避の時間は十分取れたので耀は被弾せずなんとか躱していた。
「……ありがとう」
「どういたしまして。……でもこの弾幕に私の能力はあまり使えなそうね」
「…まだ来る。油断しないで」
「当然よ。これくらいで音をあげてられないわ」
そうして再度二人は弾幕を避け続けた
一方もう片方では
「ヤハハ!どうした黒ウサギ、もうへばったか!」
「ご冗談を!箱庭の貴族である黒ウサギはそうやすやすと負けたりしないのですよ!」
「お、また来やがったな。オラァ!」
迫り来る弾幕を十六夜が殴りつけることで吹き飛ばしていく。そうして空いた隙間に飛び込むことで弾幕を避け続ける。十六夜も黒ウサギも身体能力の高さを生かしてひょいひょい避ける。しかし爆発的な跳躍力ではなく繊細な回避を求められるため少々やり辛さを感じていた
「いいね!落ちるなよ黒ウサギ!」
「もちろんですとも!黒ウサギも本気で行かせていただきます!」
しかしそんな辛さなどないとばかりに楽しそうに避け続けた
飛鳥も耀も十六夜も黒ウサギもそして当然フランも、皆が皆同じことを考えていた
『面白い』
フランドールは遊べる相手がとても少なかった。お姉様と門番の美鈴、たまにくる魔理沙と霊夢。たったそれだけ。たったの4人。それでもさらに4人現れた。自分と遊んでくれる相手。自分と『友達』になってくれるかもしれない相手が。
久遠飛鳥はお嬢様生まれだ。しかも命令すれば誰も逆らえないゆえに不自由なく過ごし、綺麗な洋服に身を包み優雅に振る舞うのが当然だった。しかし今は泥だらけになって必死に『遊んでいる』。
春日部耀は友達ができず動物とばかり戯れ友達も動物だけだった。話しはできる。一緒に遊べる。それでも全く同じ状況、感情にはなれなかった。彼等は自分と違い人間ではなかったから。でも今は隣で励まし合い助け合える『人間の友達』と遊べている。
逆廻十六夜は特別な環境ではなかった。いつも退屈し楽しそうなことを探していた。自分は他人と違う、故に孤立した。対等な相手などいなかった。自分とまともに遊べる奴などいなかった。それが今はどうだ?自分の『相手』どころか隣で共闘できる『仲間』がいる。
黒ウサギはかつて人間のコミュニティ最大と言われたコミュニティに所属していた。しかし今は天災と言われる魔王にギフトゲームで負け、旗と名前を奪われ、ノーネームと蔑まれ、異世界の人材を頼らざるを得ない始末。しかし今この瞬間、黒ウサギはその事が完全に頭から抜け落ちていた。弾幕への恐怖すら無くなっていた。頭にあることはただ一つ、
『面白い』。本当に『面白い』!
たった1分間の僅かな時間。その時間だけは箱庭の貴族も、異世界の問題児も関係無く子供のように笑っていた
気がつくと、弾幕は止んでいた。
殺伐とするよりも和気藹々としていた方が自分好みなのでこうなりました。
感想に他の東方キャラを出すかどうかと書かれていたので答えます。
A:紅魔郷のキャラを出そうと思ってます。というか後でドバッと出そうかと考え中です。
感想ありがとうございました!とても励みになります!