仕事が忙しく中々PCを触る機械がありませんでした…
今回は霞視点が長いです!
それでは、どうぞ!
霞side
シミュレータールームを五人で出て、途中で神宮司軍曹と別れて私達四人は博士の執務室に向かいました。
執務室に着いた後、博士はいつものイスに座って言いました。
「さて、話してもらうわよ。あんた達がどうしてこの世界にやってきたのかを」
「………」
「なーによその鳩が突撃砲を食らったような表情は?」
博士、突撃砲では鳩さんは死んでしまいます。
「いえ、先生があっさりと俺達がこの世界の人間じゃないと信じきったものですから…今までの世界では銃を向けられてましたし…」
「ああ~それね…あたしも最初は何抜かしてんのかと思ったわよ。でも、あんた達の戦術機の動き方や生身での身のこなし方をその外見で二十歳以下に見えるガキが出来るわけないわ。それに…アレを見れば認めざる終えないわよ」
博士はそう言って顎でソファーの方を指し、お二人の武器があることを見せます。
「あんた達のあの武器は……この地球の何処を探しても作れないわ」
「こりゃまた言い切ったねぇ。何を試してそう断定したんだ? 見たところ何故かピッカピカなんだが」
「ウチの解析班のバカがね、その武器が解析不能だからって爆発させて解析しようとしたのよ。私が駆け付けた時にはもう間に合わなかったわ…」
「……ほう、人様の物を勝手にぶっ壊そうと?」
「でもその爆発の中、あんた達の武器は原型を保っていたのはおろか、傷一つなかったわ。その事実だけであんた達がこの世界の住人じゃないってわかるわ」
「……で? その爆発させたバカは今何処だ?」
「全ての権限剥奪をして独房の中にぶち込んだわ。一人でこの横浜基地を滅ぼせるかもしれない奴の怒りを買うような行為をしたからね。現にあんた、キレ気味じゃない」
はい、今この部屋は見えない何かによってビリビリと震えています。
「…懸命な判断です、先生」
「おいこら武、まるで俺がバーサーカーみたいに言うじゃねぇか?」
「事実だろ?」
「てめぇ…」
博士がおっしゃるのは間違いありません。
あの時、検査として徴収したお二人の武器を解析しても結果はエラーが出て不明。
強度を測るとしてプレスで徐々に圧力をかけても逆にプレスが負け、お二人の武器の型が出来上がりました。
他にも今現在使える技術全てを使って解析しても只頑丈なだけ以外、何も分かりませんでした。
その中、その解析班の中で権力のある男の人がじれったくなり、爆発で木っ端微塵にして解析すると言い出して実行したのです。
私と博士が急いで駆けつけた時には丁度爆発が起こった後でした…ですが、お二人の武器は傷一つ無く静かに佇んでいました。
その爆発で隔離室が
その男の人は全権剥奪と独房入りとなりましたが、結果的にその武器はこの世界の物じゃない事を博士は認識したのです。
「ところで、何で霞は俺達を端っから信用していたんです?」
「それはあたしが聞きたいわよ。あの時別室でリーディングしろと言っても『しない』の一点張りだったもの。社、あんたこいつらの事をどうやって知ったの?」
…わかりました。
「私は…鑑さんをリーディングしている時に、ビジョンを見ました」
「「「ビジョン?」」」
そう、それはタケルさんと黒崎さんがこの世界にやってきた時のことです。
私はいつものように、鑑さんをリーディングしていました。
毎日リーディングしていても『タケルチャンに会いたい』が延々と流れて来ていました。
ですが、タケルさんと黒崎さんがここ横浜基地を訪ねて来る少し前に…急に私は眩暈を起こしました。
シリンダーに寄りかかって耐えてましたが、持ちこたえれず意識を失いました。
「い、意識を失ったって…霞!?」
大丈夫です、と私はタケルさんに答えて話しを続けます。
意識を失い、目が覚めると…私はどこかの巨大なハンガーに浮いていました。
直ぐに自分は夢を見ていると分かり、どこのハンガーかと見渡すと…私の目の前に佇む機体に目を開きました。
戦術機の三倍はある二つの巨体…本で見た、日本の鬼と西洋の悪魔を連想させる頭部。
強靭な腕にはそれぞれ刃が三本対に生えており、赤と白のツートーンカラーの戦術機が静かにハンガーに固定されて佇んでいました。
『タケルはどこだ…』
『ケンジはどこだ…』
どうやって動けたかは覚えてませんが、私はその二機に近付いてみると突然、声が聞こえてきました。
誰が話しかけて来ているのか辺りを見回しますが、誰もいません。
『『お前は…』』
まさかと思い、二機の戦術機に目を向けると、二機の瞳の部分に光が点っていない頭部が私に向いていました。
『お前は知っているのか?』
『お前からタケルを感じる…』
『お前からケンジを感じる…』
『『何故お前から感じる…?』』
信じられませんでした…戦術機が私に話しかけてきていたなんて。
ですが突然、ハンガー轟く様に揺れ始めました。
私は何が起こったのかわからず、慌てていると二機の叫びと思われる声を聞きました。
『『武/賢治はそこかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』』
突然、ハンガーに固定されていた二機が起動して暴れ出しました。
焦てて整備班と思われる人達がハンガーに入って来ましたが、二機は固定ボルトを全て引き千切り、私に手を伸ばして迫ってきました。
私に直接衝撃は来ませんでしたが、見えない何かに押された様に私の身体はハンガーをすり抜けて外に出てしまいました。
そして、その外の光景にもまた…何も言えなくなりました。
――――赤黒い空間、視界を埋め尽くすばかりの異性体
――――その異性体と戦う巨大な戦術機の軍団
ふと視線を戻すと、私の視界を埋め尽くす、いえ、視界に入りきれないばかりの巨大な赤い戦艦が目に入りました。
その戦艦の艦首と思われる場所から放たれた一筋の膨大なエネルギー光線は、瞬く間に異性体を一掃してしまったのです。
『少女よ、お前がタケルの言っていたヤシロ カスミか?』
『!?』
その光景に驚いて見ていると、違う声がしました。
誰が私に話しかけているのか辺りを探していると、私の身体は人知れず戦艦の真正面に移りだしたのです。
私の目の前には戦艦の艦首、その中にいる赤いマフラーをした男の人が一人、私を見据えていました。
『少女よ、お前がタケルが言っていたヤシロ カスミか?』
『…貴方は、誰ですか?』
『俺は流 竜馬、お前がシロガネ タケルが言っていたヤシロ カスミか?』
シロガネ タケル…最初は分かりませんでしたが、誰の事だろうと思うと突然、膨大な情報量が流れ込んできました。
私の頭を撫でてくれるヒト
私に思い出を教えてくれたヒト
恩師を目の前で失い崩れるヒト
鑑さんを抱いて泣き叫ぶヒト
桜の木の下で光に包まれて消えていくヒト
―――――私…あなたがどこの世界にいても…ずっと見ています
―――――ああ、ありがとう
―――――また、ね
―――――タケルさん
すべての映像を見た私は思い出しました。
私に…ただの道具として存在していた私に、人間としての思いを教えてくれた人を。
『…はい、私が社 霞です』
『そうか、タケルはお前達を護れなかった事をここに来てもずっと深く悔やんでいた。ここに来たのは何かの巡り合わせだろう…タケルは強くなったぞ。お前達をこれで護る事が出来ると言っていた』
私達を…護る?
何故ですか…?
武さんは、世界を救いましたのに…何故?
『タケルは確かに、お前の居た世界を救った…だがその代償はあまりにも大き過ぎた。自分の大切な仲間と愛する者を代償として世界を救った事に納得していないタケルは、ここに連れて来られたのだろう』
…タケルさん。
『タケルはお前の世界に昨今戻った。後はお前達が導いてやれ、タケルの未来を』
―――ドガァァァァァァン!!!
流さんの言葉を皮切りに、艦首の下で爆発が起こりました。
『ガォォォォォォォォォォオオオオオン!!!』
爆発箇所から、さっきの二機が飛び出してまた私に迫ってきました。
二機の掌が私を掴もうとした時、そこで私の意識は途切れ、目を覚ましたのです。
「…私がタケルさんと黒崎さんがここに来るのを知っているのは、この出来事があったからです」
賢治side
「そういうこと…社が積極的に私と外に出ようとしたのはそういうことがあったからなのね?」
「はい」
俺と武は唖然とした。
まさか、霞ちゃんがエンペラーにまで行ったのか…でも何故だ?
それに、霞ちゃんが言うその巨大な二機の戦術機…恐らく。
「賢治、霞が言っていた鬼と悪魔ってやっぱり…」
「ああ、ゲッターロボ…それも俺達の相棒だ」
だが何故だ?
何故竜馬さんは霞ちゃんを呼び寄せた?
まさか、この世界に戻って来たのも、俺があの世界に引き寄せられたのも竜馬さんの仕業なのか?
「ちょっとちょっと、何二人で納得してるのよ。あたしにも説明しなさいよ」
…これは説明してもいいのだろうか、激しく悩むぞ?
「ええっと、実は俺が二度目の世界で役目を終えて消える時に、翡翠色に輝く霧に包まれたんです」
「翡翠色に輝く霧?」
「はい、それに包まれて意識を失って…気が付いたら、どこか巨大な…横浜基地のハンガーの10倍はあるところにポツンと立っていました」
「そのハンガーで俺は武と出会ったってわけだ」
ここから先は大まかに博士に説明した。
インベーダー・ゲッターロボ・ゲッター線
そして、未来永劫【時の狭間】のことを。
「何で機体ごとこっちに来なかったのよ!」
「知るか! 俺もこっちに来たのはまったくの予想外なんじゃ!」
普通に武に武器の資料を渡して武が消えたと思ったら俺までここに来ていた始末だ。
本当に訳分からんよ…
「ところで、俺はエンペラー艦では武器や装備、機体の設計をしていたからこっちで早速始めたいんだが…」
「へ~ぇ、あんたそんなことができるの? 面白そうじゃない、何か案件をあたしに見せなさい」
「ほいほい」
とまぁ、設計図は明日と言うことにして【時の狭間】のことをもちっと説明したんだが…ゲッター線のことに目を光らせてしまってその事について一晩語った。
語った後に博士が『あたしの常識を返せぇぇぇぇぇぇえ!!』と暴れだしたので、俺と武は霞ちゃんを連れて執務室から脱出した。
あの人、生身でパソコンを大雪山おろしするとか…どんだけ?
―――エンペラー艦―――
『ガォォォォォォオオオオオオオオオン!!!』
「………」
「いいのか?」
「ん?」
霞が見た二体が何処かへと掛けて行くのをエンペラー艦の艦首で見ていた【流 竜馬】に【神 隼人】と【車 弁慶】がやって来た。
「あの二体だ。我々の貴重な戦力だろう?」
「あの二体はあいつ等以外の言う事は全く聞かん…もう戻っては来ないさ」
「竜馬の命令すら聞かないからな、あの二体は…」
「ふっ、問題は奴等だけで二人を見つけ出せれるかだな」
「その心配はない」
「ん?」
「タケルの世界に、いい案内役が点々と居る…そいつ等が道標になるさ」
「道標…?」
「ああ…」
賢治と武の相棒は追う。
自分の相棒と共に戦う為に…
『ガォォォォォオオオオオオオオオオオンッ!!!』
いかがでしたでしょうか?
最後に竜馬達がプチ出演でした!
感想、アドバイスをお待ちしております!