十番目になれなかった男、ゼロへ   作:deke

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どうも。dekeです。生きています。











ep11 ああ、有情

「まあ、ホッパーさん!」

 厨房にホッパーが顔を出したところ、偶然通りかかったシエスタは銀のトレイをとり落とした。よっぽど驚いたらしい。

「なんてこと……そんな姿…」

「ああ、これはさっき」

「知っています! と、とにかく座ってください」

 椅子を運び、奥に向かって料理長、ホッパーさんがいらっしゃいましたとあわただしく声をかけると、どこからか包帯と薬壜を持ちだしてきた。ホッパーが椅子に腰をおろすと、すかさず腕をとって傷をしらべはじめた。

「ひどい…さあ、手当てしてさしあげますから、上着を脱いで…ああでも切ったほうがいいかしら……」

「いや、その必要はなさそうだ」

 ホッパーは、シャツをまくり上げて、筋肉たくましい上半身を出すと、シエスタはきゃっと言って両手で顔を覆った。

「…………」

「…ひどいものでもない」

「そんな…あんなに殴られていたのに、あざ一つないなんて」

 シエスタはそう言い、顔を赤らめたまま、こわごわとした手つきでホッパーの腹を触った。

「どうやら、俺は、傷の治りが早い体質のようだな」

 他人事のように言ってはみたが、回復が異常に早いことはホッパーも自覚している。ベルトの出現が原因なのかそれとも姿が変わったことに関連しているのか。どちらにせよ、負傷はすべて回復している。

 厨房にやってくるほんの少し前、ホッパーはヴェストリの広場にいた。日はとうに落ちている。双月と窓からこぼれる蝋燭の灯が、広場を照らしていた。光源はそれだけだったが、ホッパーの視界は真昼のように明るかった。暗さに目が慣れることの比ではなく、まるで日中のようにヴェストリの広場の端から端までを見通していた。ベルトの出現は身体の変化だけでなく、平常時の感覚強化を促したらしい。ルイズがとりだした懐中時計の針の位置を読むことなど簡単だった。

 同時にホッパーの耳は、大勢の人間の発する『音』――心音、呼吸、衣擦れ、会話――をとらえていた。意識を集中することで、音を詳細に聞き分けることができた。分厚い石壁の向こう、本塔上階にある食堂から無数に聞こえてくる無数の音が、大人数が集まって歓談するという漠然としたイメージを脳内に再現する。

 強化された視覚と聴覚の働きはこの厨房に来てさえ、その効果を発揮していた。料理人たちの時折こちらにおくる視線。マルト―が後ろから近づいてくることすらホッパーには見えていた。

「よう、ホッパー。聞いたぞ。貴族の小僧っ子に、だいぶ痛めつけられたようだな」

 シエスタとの会話が耳に入っていたらしいマルト―が声をかけてくる。ホッパーは首を回して後ろをむいた。

「シエスタ、手が止まってるぞ。はやく手当てしてやれ」

「でも……見てください。治ってるんです」

「はあ?」

 間抜けな声を出したマルトーは、ホッパーを立たせると、身体のあちこちを押したりつまんだりして痛むか? と訪ねた。どこも痛まない、とホッパーは答えた。それが済むと、肩を回せ、屈伸しろ等々指示する。ホッパーは素直に応じた。

 ありえない、とつぶやきが漏れる。ホッパーの顔、腹、足にさえ、打ち身はおろか骨折さえないことを、マルトーは証明したのであった。

「おまえ、実はメイジだったのか? 水系統の」

「…俺は、杖なんかもっていない」

「それじゃどうして?」

「…そういう体質なんだ」

 ホッパーにそう言い切られて、マルトーは曖昧に頷いた。

「いや、怪我が無いならいいけどよ…………しかし、よくもまあ貴族と決闘なんてやろうと思ったな」

「…なりゆきで、しかたなくだ。できれば、決闘は避けたかった」

「謙遜するなよ。勝ったんだから、自慢したっていいんだぜ」

「…自慢することでは、ない」

 まぎれもない本心だ。面倒事は避けるのが一番いい。俺と同じことを、昼間料理長は言ったじゃないか。

 一瞬何を言っているのか分からないといった表情の後、マルト―はブフッと噴き出した。太った腹を抱えて笑うついでにホッパーの背中をバシバシ叩く。ホッパーは椅子から転げ落ちそうになった。

「くくっ。そういえばそうだった。お前さんはそういう奴だったな。ぶふっ」

「…何故笑う」

「いや、悪い悪い……けどよ、聞いた話じゃ魔法の鎧でもってゴーレムを倒したそうじゃないか。そんなものがあるなら、なぜ最初から使わなかったんだ?」

「…料理長。それこそ、他人の都合というやつだ」

 ベルトの出し方が分からなかった、とは言わないでおく。

「ははっ、言うじゃねえか。あとマルト―でいいぜ。今更他人行儀にする仲でもないだろ」

「…そうか。なら、そう呼ばせてもらう」

 そこに、あのー、と声がかかる。振り向くと、年若い料理人が立っていた。

「早く仕事に戻ってくださいよ、料理長。鍋が焦げちまいます」

 今行く、とマルトー返事を返すと、年若い料理人は姿を消した。そしてホッパーたちのほうを向くと言った。

「やれやれ戻らにゃならんか。勝利記念ってことでもてなしてやりたいが、まず飯はいいとして……ああ、そうだ。シエスタ、お前さん今日はもう上がりだろう? 薬と包帯片づけたらフロランスの古いのを振る舞ってやれ」

 はいと返事をしたシエスタがてきぱきと片づけをして厨房の奥に消える。マルトーは肩を寄せてきた。

「あいつ、だいぶ慌てていたようだな。薬は薬でもありゃ食中りの水薬だ」

「…………」

「しかしおまえさんひどい格好だな。着替えはもってるのか? 古着でいいなら俺らのをやってもいいぜ」

 他愛ない世間話をするような口調で言うわりに、声は低く抑えている。マルトーは言った。

「シエスタに元気がないっていう、アレのことなんだがな……お前には伝えておこうと思う」

「…………」

 ホッパーはマルトーの顔を見た。マルト―の赤ら顔に、わずかだが憤慨したような表情が浮かんでいる。

「つい三日前だ。宮廷からの勅使にしつこく絡まれてな。かなり嫌な思いをしたはずだ」

「…絡まれた、だと?」

「そのときは俺が割って入ってうまくごまかしたんだが……よりによって今日の昼に、またちょっかいかけられたようだ」

「…………」

「その場に居合わせた連中は、関わりを恐れてみんな見てみぬふりさ。たまたま通りかかったオールド・オスマンがとりなさなかったら、明日にでも奉公先が変わっていたかもしれん」

 ひそめた声とは裏腹に、眉間に怒気を含んだしわが寄っている。憤りを隠せぬ様子でマルトーは続けた。

「なにより仲間が助けてくれなかった、ってのに一番ショックを受けたようでな……仲間の気持ちも分かるだけに、余計納得がいかない。だから、少々時間をかけて、自分の中で折り合いをつけていくしかないんだ」

「勅使というのは?」

「モット伯爵という。宮廷の権威を笠に着て威張り散らす貴族の典型みたいな野郎さ……そいつは公務を終えるまでこの学園に滞在している」

「メイドたちは普段仲良くしているのではないのか?」

 ホッパーはシエスタの顔を脳裏に思い浮かべた。ホッパーが見る限り、メイドらと働いているときの彼女に同僚との隔たりを感じさせる様子は無かったのだが。

「何も無いときはみんな仲がいいさ。けど”普段仲のいい間柄”が、いざ何か起こったときの”頼れる関係”にはならない。根っこは気のいいやつらなんだがな」

「…なるほど。そういう事情が、あったのか」

「勅使がいなくなるまで、シエスタは不安を抱えて過すことになるんだ……何かあったら、ホッパー、おまえシエスタを助けてやっちゃくれないか」

「…ああ。俺に、出来ることがあれば」

「頼んだぜ」

 言うだけ言うとマルト―は踵を返して調理場に戻っていった。固太りの背中が料理人でごった返す空間へ消えてゆく。

 昼にシエスタが見せた思わせぶりな表情に、ようやく合点がいった。親しくしていたはずの人物が助けてくれなかった――きっとシエスタは、裏切られたような気がしただろう。

 ルイズがそんな目にあっていたら、きっと俺はルイズを庇うだろう。そうする自信はある。しかし、対象がルイズではなくシエスタだったら。いやシエスタでなく、顔も名前も知らない誰かが窮地に立たされているとしたら、俺はその誰かを助けるだろうか?

 忙しそうに働く料理人たちの様子をホッパーはぼんやりと眺めた。メイドたちの姿もちらほら見える。配膳のワゴンがガチャガチャとやかましい音を立てて、ホッパーの脇を通り過ぎて行った。

 煮炊きの煙が漂う調理場は、薄青い煙に包まれて咽っぽく、おまけに騒々しい。それぞれの会話が耳に飛び込んでくる。

 煮込み料理は完成したか? 皿が足りないわどうなってるの? 配膳がいつもより遅れてるぞ ハーブ取ってくれ このド阿呆!てきぱき働きやがれ!!

 『変身』したときほどではないにしろ、厨房にいる人間が発する『音』を同時に知覚する。乱雑に。無闇に。俺の意志に関係もなく。

 ああもうだから言ったのに! 今日のまかないは? こっちだって精一杯やってんだからさあ 決闘見た? あのクラスの成績のことなんじゃが 

 視界がぼやける。意識すればするほどに『音』が聞こえる範囲が広がっていく。厨房。大広間。そして外。頭の中でそれらがおぼろげなイメージを形成し、崩れ、再び別のイメージを作りだす。目の前の景色と脳内のイメージの境界が溶解し、『変身』したときのような多重視界を再現していた。

 薪がまるで足りないぞ スープの配膳が終わりました お待たせしました今夜の賄いととっておきのワインを――――

 ああ。もう。

「…うるさいな」

「え、あ、あの、私何か…………」

 

 視界が回復した。

 

 眼前に、おろおろしているばかりのメイドが一人。木杯と酒瓶を抱えたシエスタが、困った顔をしてそこにいた。

 そうだ。ここは厨房。煙で咽っぽく喧騒で満ちている空間に、俺はいる。 

「いや。その…つまりだ」

 ふと漏らした独り言が原因だ、ということは容易に想像がつくので、

「今のはシエスタ、君に対してではなく、いわば無意識の内に発した言葉であって」

 気づけば身振り手振りまで。必死になって弁解していた。

「…………」

「俺が厨房に来るのは昼過ぎか夜遅い時間で。皆が忙しく働いていることろを見るのは、初めて、なんだ。単に賑やかだなと、思っただけで。ただの……独り言なんだ」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

 弁解した効果があったのか、シエスタに困惑した様子は無くなった。が、今度はあっけにとられたような表情をしている。その変化の意味を図りかねたホッパーが対応に窮していると、

「プッ」

 笑われた。

 

 

 

 シエスタが盛りつけてくれたシチューを、ホッパーは黙々と食べた。裏ごしした豆に野菜と塩漬け肉を炊きこんだシチューである。添えた香草がほどよく香る。

「これは、うまいな」

 顔を上げてホッパーは言い、椀を上げてかきこんだ。

 シエスタが気を利かせてくれたのか、いつもより具が多く、舌触りが滑らかなのはバターをたっぷり使っているからに違いない。いつもは薄味に感じてしまうが、このシチューは格別だ。

「美味しいのは当然ですわ。貴族の皆様にお出しするものと同じものですから」

「なんだって?」

「他の人には内緒ですよ。ほらこれも」

 手に取った小ぶりなパンを、シエスタは割って中身を見せた。

「…白いな」

「小麦だけを使用した、高級品です」

「…………」

「ホッパーさんの勝利記念ですよ。今夜は特別です」

 シエスタはそう言うと、木杯にワインを注いだ。

 よく見ればシエスタの前に並んでいる料理は、ホッパーが食べているものと同じである。自分の食事も確保するあたりちゃっかりしているようだ。

「フロランス産のヴィンテージワインだそうです。さあどうぞ」

 琥珀色の液体をホッパーは一息に飲み干した。酒の善し悪しを判ずる知識はないが、舌に感じる刺激と鼻に抜ける香りが素晴らしい。少なくとも先日の酒盛りで振る舞われたものより上質な酒である。

 シエスタは空になった杯に再びワインを注いだ。

「おかわりはいかがですか? この鴨のパイ包みは絶品ですよ。このブリーを見てください。切り口がつやつやしています。デザートにはクックベリーパイを用意しています」

「わかった。わかった」

 ホッパーは手を振って、勢い込むシエスタをなだめた。

「…全部食べるさ。しかし、いいのか? ”貴族の食事”なんだろう」

「胃袋にしまえば問題ありません」

 おいおい。

「と、いうのは冗談でして」

「…………」

「威張り散らしている貴族を、平民が倒したんだって。苦戦するふりをして、最後は余裕綽々で負かしたって、厨房のみんなが大喜びしたんです」

 つまり、俺のやったことは、平民からすれば英雄的行為に受け取られたようだ。いや、英雄というのはいきすぎで、強力な助っ人が現れたような気分ということか? うまく言い表せないけれど。

 飯を食いに厨房に出入りするようになってからは、タダ飯をあずかるばかりでは図々しいような気がして、簡単な仕事であれば自分から申し出て手伝うようにしていた。人一倍体力と腕力に優れたので、水汲みから荷運び、そしてまき割りまで、貴重な労働力としてたいへん歓迎された。その甲斐あってか、厨房のみんなからは、すでに同僚や”仲間”として認知されたのかもしれない。

 それでも、だ。俺のやったことは、降りかかる火の粉をはらったようなもので、貴族に対し敵対する意図はなかった。言ってみれば男と男の意地の張り合いだった。今回はギーシュと対立したものの、あのとき蔑みの言葉を投げかけたのが平民だったとしても、俺のとる行動はギーシュにむけたそれと変わらないのだ。そこの違いを、厨房のみんなは理解しているだろうか?

「…そうおだてられても、な」

「まあ、みんなちょっとうかれているだけですから。1週間もすれば熱も醒めますよ…………まあ、それはそれとして」

 好奇心を抑えかねたというふうに、シエスタは言った。

「いろんな憶測が飛び交っているのは確かです。素性の知れない使い魔は…私が言ったんじゃありませんよ? 元々は貴族だったとか、大商人の総領だとか。今のところ、現役の傭兵というのが有力なうわさです」

「…なぜ」

「なぜもなにも、あの鎧を見た人はそう思いますよ。鎧を一瞬で身に着けるマジックアイテムなんて、誰も見たことも聞いたことありません。おまけに着た人を力持ちにする魔法が鎧にかかっているんですから。『東方の出身』というのが噂に拍車をかけています」

 シエスタは俺が記憶を失っていることを知っている。教えたというより、質問攻めに耐えきれなかったホッパーが、ボロをだしたというのが正しい。

「そもそも全身を覆う鎧は、大貴族かお金持ちの騎士さまの持ち物ですし…」

 誤解だ、といいかけて、ホッパーははたと口をつぐんだ。

 鎧だって? だとすれば鎧は俺の身体そのものだ。そんな生易しい代物なんかじゃあない。左手がベルトに触れたとき、脳がパンクするほどの情報量のなかには、この身体の機能に関するものも含まれていた。その機能が、この身体が、ある目的のために特化していることも――――

 ホッパーは左手に刻まれた奇妙な文字列を眺めた。案外傭兵という指摘もあたっているかもしれない。もう一度腹に触れれば、あの姿に変われるだろうか。間近で変わる瞬間を見せつけたら、シエスタはどんな反応を示すだろう。

 韜晦する心持で、腹部に手を当てがった。…が、なにも起こらなかった。

「…………」

「ホッパーさん?」

「…………」

「怖い顔してますよ? …やっぱりどこか痛むんですか!?」

「…いや、なんでもない。噂する連中に会ったら伝えてくれ。俺は貴族でもなければ傭兵でもないと…………食事を続けよう。おかわりをくれ」

 親切な彼女はすぐにおかわりを用意してくれたが、さっきまでうまいと思っていた食事も、なぜか一段と味が落ちた気がした。

 早々に食事を終えて、食器を片づけていると、シエスタがさっと近づいてきた。

「ホッパーさん。私、ちょっと気になることがありまして…」

 シエスタは、若干歯切れ悪く言った。

「着替えのことなんですが…」

「…ああ」

 ホッパーは、シエスタの言わんとすることを察した。

「…あるにはある。が、予備は一着だけだ。どうにもならん」

「失礼ですが、暮らしお金は?」

「…召喚されたとき、俺の持ち物は、何も無かったそうだ」

 シエスタはホッパーの顔をちらっと見た。

「ミス・ヴァリエールの身の周りのお世話もなさっているとか、お聞きしましたが」

「…厨房に来れば三食つきで、たまに酒も出る。ルイズが授業に出ている間は暇だから、昼間は風呂にだって入れる」

「あの、ホッパーさん?」

「…要するに、だ」

 ホッパーは天井を仰いだ。

「…簡単なことだ。ルイズによると、俺は使い魔であって、使用人ではないらしい。身の周りの世話をかってでてたところで、ルイズは俺を雇い入れたわけではないから、つまりはご主人様へのご奉仕ということになる」

「…………」

「…いやなに、大丈夫だ。必要なものがあれば購入する…と、一応言っていた…はず」

「…………」

 シエスタはだいたい事情は飲み込めたようだ。その証拠にホッパーを気の毒そうな顔で見つめている。シエスタはホッパーの手を取ると、両手で力強く包み込んだ。

「つらいことも多いけど、私たち頑張って生きていきましょうね」

「…あ、ああ」

 だがすぐに、はっと気づいた顔をしたシエスタは、ぱっと手を離した。はしたないことをしたという自覚があったらしい。こほん、と咳払いすると、

「私でよければ、いえ、私だけじゃありません。マルトーさんや厨房のみんなだってきっとホッパーさんの力になります。だからくじけちゃダメですよ。いつだって頼ってください」

「…すまん。世話になる」

「こういうときは助け合いです。でも、ここは、『ありがとう』というところですわ」

「…………」

「…………」

「…ありがとう」

 黒い眼にじーーーっと見つめられたホッパーは、ついに根負けして言った。ルイズ以外の他人に関わるまいと心に決めていたにも関わらず、なぜシエスタの身上にこだわったのか、その理由が今分かった気がした。この少女だけだったのだ。その素朴な優しさゆえに、召喚されて以来ルイズ以外で心を許したのは。

 使った食器を片付け終えると、ホッパーはシエスタと別れた。手伝うことはあるかと聞いたところ、マルトーは、怪我人はさっさと休めと言って笑った。

 おやすみなさい、と挨拶をしたシエスタの姿がみえなくなってから、ホッパーは厨房を辞して寮塔へむかった。

 記憶≪メモリー≫を得る以外目的を持たなかったこの俺が、いまではすっかり使用人たちと馴染んでいる。ましてあのそばかすが印象的なメイドの身上まで気にかけるとはどういう心境の変化だろうか、と心の中で苦笑いした。

 気がゆるんでいる、とは思う。実際今の生活に居心地のよさを感じている。

 ――記憶≪メモリー≫を、あきらめたつもりはない。

 とホッパーは思った。厨房にはマルト―のような気のいい連中もいる。この学院にいては孤立無援というわけでもない。ルイズとの契約にこだわらずとも、道は開けるのではないだろうか。

 ――『鎧』について調べてみる必要がありそうだ。

 とはいえ、調べ物をしようにもホッパーに伝手もなければ、文字も読めない。やはりルイズにいろいろと頼むことになるだろう。

 自然と気が急いて、寮に足を踏み入れると小走りになった。そしてルイズの部屋の前に立ったとき、鍵がかかっていることに気付いた。

 迂闊だった。『鎧』を気にかけるあまり、ルイズの所在を失念していたのだ。食堂前で別れるときにどこで落ち合うか約束するべきだった。

 ホッパーに当初あてがわれた部屋は、編入生がくるとかでつい昨日追い出されたばかりだ。ゆえに自室で待つという選択肢はない。

 ホッパーがドアノブを破壊した扉はとうに新しいものと交換されていた。そのため廊下に並ぶ扉のなかで1個だけ妙に浮いた存在感を放っている。まさか扉を蹴破って押し入るわけにもいかぬ。しばし思案する。

 …………。

 ――探しに行くか。

 まだ食堂にいるだろうか。すれ違いにならなければいいけれど。

 階段へ足を向けると、ちょうど上がってくる足音を聞きつけた。

 ルイズかと思ったが、歩幅が広いので別人だろう。踊り場から姿を現したのは、

「あら、あなた…」

 燃えるような赤毛に褐色の肌。キュルケだった。

「ホッパー、だっけ? そんなところでなにしてるの?」

「…ルイズを、探しに」

「なんで?」

「…部屋に、入れなくてな。鍵は、ルイズが持っている」

 ふーん、とキュルケ。

「合鍵は?」

「…持たせるには、信用が足りないとか」

 お困りのようね、とキュルケ。彼女は言った。

「なら、私の部屋で待てばいいじゃない」

「…………」

「殿方を自室に招くなんて本当はいけないことだわ。あなたははしたないと思うかしら?」

「…いや」

「優しい人」

 キュルケはすっと寄ってくると、ホッパーの手をさぐって握った。

「ヴァリエールを待ってる間お話ししましょう? 学園に突然現れた謎の騎士さま。ああ、あなたはどこからやってきたの?」

 ホッパーは黙って話を聞いていた。騎士だのなんだのと、他人が何を思い何を言うかは他人の勝手である。内心では話の齟齬を訂正するのがただ面倒だった。

 とはいえ、話の内容自体は悪いものではない。一か所で待つことができるなら、それに越したことはないのだ。が、「お話ししましょう」とはどういうことだ? 男を自室に引き入れるにしては、少々無防備すぎやしないだろうか? なにか裏がありそうだ。

「…少し聞いていいか?」

「どうぞ」

「…あなたはルイズと……仲が良くない、と記憶している。俺は、ルイズの使い魔だ。そんな俺に、なぜ……声をかけたんだ?」

 キュルケは手を振りほどくと、周囲に人の目がないことを知ってか、大胆にもホッパーの腕に自分の腕を絡ませてきた。

「なぜって、そんな野暮なことおっしゃらないで」

 身体が密着しているので、何がとは言わないが、むにゅんと柔らかいものが押し当たる。キュルケは顔を寄せて、そっと囁いた。

「あたし、恋をしているの。あなたに」

 何を言いだすかと思えば。恋。

 …恋?

「素敵だったわ…ゴーレムをあっという間に倒したあなたの姿。武器を持たずに、素手でやっつけちゃうだなんて! 粗野という人もいたけど、あなたからはそんな言葉では言い表せない野性を感じたわ…あたし痺れたのよ!」

 頬は上気し、熱っぽい口調でキュルケは言う。

 対してホッパーは冷静だった。

 ホッパーは、キュルケの取り巻きたちを思い出した。彼女に取り入ろうと、歌劇もかくやと、クサいセリフを吐いていたあの男たち。彼らがどのような人物かは知らないが、今思えば、キュルケの手連手管の駆け引きにのせられた連中ではなかったのか…。

 嫌な予感がした。

 誘いにのったところで俺がどうにかなるわけでもない。己の性分は充分自覚している。俺を口説こうとしても、彼女はそのうち飽きるに違いない。しかしキュルケと顔を合わすたび口喧嘩を起こす我が主は、それを見てどう動くだろう。確実に、誰も得しない方向に行動するのは目に見えている。

「…いや。やめておこう。話がしたいなら別の機会に」

「そんなことおっしゃらないで。私といるのがお嫌なの?」

 キュルケは悲しそうに言った。

「…いや。そうじゃないんだ……」

 一人、階段を上がってくる。その人物は、ちょうど下の踊り場にいて、さきほどから聞き耳をたてていたのだ。その足音に、ホッパーは覚えがあった。

 …………。

 ――来た。

 と思ったとき、ルイズは現れた。

「ツェルプストー…!!」

 矮躯から、魔界堕ちした羅将の如き黒々としたオーラを漂わせている。ホッパーの嫌な予感は的中した。

 ギン、と怒りに炯々と光る眼をホッパーへむけて、

「ホッパー」

「…なんだ」

「その女から離れなさい」

「…ああ」

 キュルケが抱きついている腕を器用に外して、ホッパーはキュルケから離れた。だがルイズはそれで満足しなかったらしく、ホッパーの手をとると、キュルケを追い越して、自室の前まで引っ張っていった。

 黙ってられないとばかりにキュルケは、

「待ちなさいヴァリエール。人の恋路を邪魔するなんて、なってないわね」

「説教されるいわれはないわ、ツェルプストー。あんたに相手してほしい男どもが他にも沢山いるでしょう」

「今はホッパーに恋してるの。好きになったの。どうしろっていうのよ」

「人の使い魔に手ぇ出すほうがどうかしてるわ!!」

 ルイズは叫ぶと、鍵を開ける手ももどかしく、ホッパを自室に引っ張りこんだ。バタンと乱暴な音をたてて扉が閉まる。

 騒々しかった廊下に静寂が戻った。

 静かになった廊下に、きゅるきゅると鳴き声が響く。

「あら、フレイム。いたの?」

 主人の帰りを待ちわびたサラマンダーが、部屋から顔をだしていた。縦に裂けた瞳がじっと主人を見つめる。

「なんでもないわ。もう寝ましょ」

 何でもないふうを装って、キュルケは自分の使い魔に話しかける。それを聞いて安心したのか、使い魔は頭を引っ込めた。

「諦めないわよ…フォン・ツェルプストーの女は皆、恋の狩人なんだから」

 ルイズの部屋を横目にキュルケはつぶやいた。

 

 

 

 申し出を断ったときは、合理的な判断を下したと思った。

 思われたのだ。

 なのにどうだろう。あれから五分と経っていないのに、ルイズの自室にて、ホッパーは床に正座させられ、肝心の主人はベッドに腰かけて乗馬用の鞭を片手にペチペチ鳴らしている。

 ホッパーはルイズの顔色を窺った。眉間に皺をよせ、唇の端を釣り上げている。どうやら怒りレベルは中程度のようだ。だがルイズは興奮するとさらに頭に血が上るタイプ。受け答えは慎重にせねば。

「この盛りのついた野良犬~~~~~~ッッッ!!!!」

 訂正。怒りレベル大。つまりは最初からクライマックスだ。

「犬ッ!! 犬ッ!! 犬ッ!! 犬ッ!!」

 叫んで、ルイズは鞭を次々に振り下ろした。ホッパーはそれを、上半身を器用にくねらせて回避する。ルイズが疲れて動きを止めるまで、鞭はかすりもしなかった。

「ぜぇはぁ」

「…やましいことは、なかったんだ」

「…………」

「…弁解しても、いいだろうか?」

 こくり、と肩で息するルイズが頷く。どうやら一時休戦のようだ。

「…そもそも。キュルケに」

「キュルケに誘われてホイホイついていこうとしたんでしょう」

 即座に息を整えたルイズが言葉厳しく切り返す。

 半分当たっているといえば当たっているのでホッパーは言葉に詰った。いや、まだ活路はある。考える時間をあたえず、とにかく会話を続けるのだ。ルイズがこちらの出方を、それに対する対応を練らないうちに。

「…実は探」

「探しに行くべきよね、私を。労を惜しまずに」

「…他人の好」

「好意にみせかけた罠よ。色ボケ一族のいつもの手だわ」

「…断じて、色香に惑わされたのではなく。あくまでルイズ、お前のために」

「へぇ、私のため? ご主人様を置き去りにする使い魔なんて聞いたこともないわ」

「…………」

 だめだ。手詰まりだ。

 機先を制すつもりが、出た先すべてつぶすカウンターをくったホッパーはたじたじとなった。

 …いや待て。

「…いつから会話を聞いていたんだ」

「キュルケが世迷言を言いだしたあたりから」

 口説き文句を世迷言とばっさり切り捨てるルイズである。

「…ならば、俺が断りを入れたことについては」

「もちろん、聞いていたわ」

 どうだまいったか、とでも言いたげな表情だ。

「…ならば、疑いは、晴れるはず」

 今度はルイズが言葉に詰まる番だった。怒りが先行するあまり、ことの成り行きをよく考えていなかったらしい。しまった、とでもいうような顔をした後、ぷいと顔をそらした。

「べ、別に疑ってなんかいないわよ。あの色魔にたぶらかされてないかちょっと試しただけなんだから」

「…事実誤認とは、このことだな」

「と、とにかくっ」

 キュルケが二人きりになったのをいいことに、ホッパーを凋落したのだと思っていけれど……ホッパーにうしろめたさを隠すような態度は見受けられない。どうやらホッパーは、誘惑をきっぱり断ったようだ。

 ルイズは咳払いして、

「誘いにのらなかったのは立派よ、ホッパー。でも一つだけ忠告しておくわ。あの女に関わっちゃダメ。絶ッ対、ダメ」

「…なぜ。そこまでキュルケを……その、嫌うんだ?」

「なぜもなにも敵よ、敵。先祖代々のね」

「…穏やかじゃないな」

 またもや黒いオーラが立ち昇る。

「フォン・ツェルプストー家はね、私の実家ヴァリエール家と国境を挟んだ隣りにあるの」

 まず国境がどこだと問いたかったが、話の腰を折ることになるのでやめておいた。

「戦争になれば……いえ、戦争だけじゃない。森、水源、狩場…争いが起こるたびに真っ先に杖を交えてきたのよ」

「…国境、ということは。キュルケは、この国の生まれでは、ないと」

「ん、ああ、キュルケはトリステイン王国の隣の国、ゲルマニアの留学生。言ってなかったっけ?」

 先祖代々血で血を洗う争い代々繰り返してきたと。両家の遺恨を重ねた結果が、今のルイズとキュルケの関係の基盤を形成しているというわけか。

 恨みは深そうだ。

 とは言うものの、キュルケの場合憎んでいるというよりは、ルイズをからかって遊んでいるだけにも見えるが。ルイズにしても「嫌い」よりは「苦手」にしているというのが事実のような気がする。

 …………。

「…ちょっと。待ってくれ」

「なによ」

「…二つの家は、戦争をしてきたと。そういうなら、なぜ悪口が『色魔』や、男がどうとかになるんだ?」

 両家の因縁に因るならば、人殺し、と言うほうがまだしっくりくる。そもそも、周囲に男を侍らせる様子を皮肉るなら、キュルケへの個人攻撃に終始するはずではないか。

「ああ、それはね」

「…………」

「ゲルマニアは、新しくできた成り上がりの国なのよ。戦争に戦争を重ねて、一番強い都市国家が覇権を握った経緯があるわ。あの国では、お金さえあれば土地も身分も買える………野蛮だわ」

「…ある意味では、自由だ」

「そうね。でも限度があるわ。少なくともここトリステインでは、男女の交際は慎み深くあるべき……なのに、なのにあの国は」

 …………。

 ああ。

 なるほど。

「……積極的に仕掛けるのが普通、と」

「その通り! そしてなにより許せないのは!!」

 声高らかにルイズは咆えた。

「私の家は、あのフォン・ツェルプストー家に何度も辱めを受けたわ! 婚約者をとられたり、奥さんをとられたり……例えば200年前のヴァリエール家の当主は、その当時のツェルプストーの男に恋人を奪われたのよ! それから――」

 なんとまあ業の深い。

 しばらく寝取った奪った騙されたと話が続いたので、ホッパーは適当に相槌を打って聞き流した。相当恨み?は深いようだ。

 ところで。ルイズがまくしたてる間に、窓の外で何かが燃える音と誰かの悲鳴が聞こえたが……ここは三階だ。多分聞き間違いだろう。

「――ということがあったの。これで分かった?」

「…だいたい、分かった。実家は、隣り同士。寮でも、隣り同士、と」

「話聞いてた? …まあ、その通りよ。隣部屋だって知ったときは、私は運命を呪ったわ」

 話し続けて喉が渇いたのか、ルイズは水差しからカップに水を注ぐと、一息に呷った。

「…ふう。しかし厄介なことになったわ。まさかキュルケに目をつけられるなんて…」

「…?」

「あんたの身が危ないって言ってるの。取り巻きの男どもを見たでしょう? キュルケに気にいられたことが知れたら、まず間違いなく袋叩きにされるわ」

「…まさか。ここは、学院だ。そんなことは……」

「…………」

「…あったのか。過去に」

 こくり、と頷くルイズ。

「小競り合いがあったってだけ。でもまあ、昼間の決闘騒ぎを見た人なら、あんたにちょっかいかけようって気は起こさないかもね」

「…そうでもない」

「なんで?」

「…ゴーレムだから、勝てた。風や、火球には……対処しようが無い」

「あんた騎士でしょ。杖、持ってないの? 他には…剣とか」

 また騎士ときた。

「…持っていないと、何度言えば」

「『鎧』は持ってるのに? ……そう言えばあのベルトは何? あんなマジックアイテムどこで手に入れたわけ?」

「…答えようが、ない。俺だって……分からないんだ」

 言ううちに、ちょっと悲しくなってきた。ベルトや『鎧』にしても、元から確信があったわけではないのだ。記憶≪メモリー≫の手掛かりには違いないが、むしろ謎が深まるばかりだ。

「面倒ね…記憶が無いっていうのは」

「…マジックアイテム、といったか。ルイズは何か知らないか?」

 ちょっと考えた後、ルイズは言った。

「…聞いたことないわね。土の魔法で『鎧』を生成してるのかしら。怪我の回復はおそらく水系統…にしては回復が早すぎるし……あとは身体強化? これは…ううん、だめね。予想がつかないわ」

「…そうか」

 落胆するでもなく、以外と冷静な声が出た。得体の知れないモノが、秘密がこの身体に『鎧』として隠されている。理解不能なことは理解不能として、頭の中に留め、次の手を打つまで。BAREとの決着が、まだついていないのだから。

「…では、専門家など……伝手はないだろうか」

「んー、あるにはあるけど…アカデミーっていう、一年中魔法を研究しているようなところ」

「ならば」

「あまり…頼りたくないのよね」

 強張った表情で、ルイズは言った。

「尊敬しているけれど、ちょっと苦手な人だから…」

「…ムウ」

 ならば無理強いはすまい。

 ……あれ? ひょっとして詰んだ?

 その後、数十秒の沈黙。

 ルイズの「苦手な人」発言の後、空気が若干重くなっている。

 ひょっとして聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうかと、ホッパーは自戒していた。

 ルイズは指先に自分の長い髪を指に巻き付けてクルクルしている。

 再度会話の糸口を探すべく、ホッパーが頭をフル回転させていると、

「本題を忘れていたわ」

 ぽつり、と一言。

「明日街に行くわよ」

 なにをいきなり。

「…授業は?」

「明日は虚無の曜日。休日よ」

「…確かに、気晴らしは必要だが。出かけることが、本題なのか?」

「必要なものを買いに行くだけよ。キュルケのせいですっかり忘れていたわ」

 物憂げな様子で、ルイズはため息をついた

「夕食の最中に連絡があったの。来週行われる使い魔の品評会に、姫様がいらっしゃるわ」

 使い魔の品評会とは、名前からして内容を予測できるが、姫様とはどういうことか。いまいち会話のイメージが掴めない。

「姫様というのは、この国の?」

「そ、アンリエッタ王女殿下。品評会は毎年開かれる行事だけど……まさか姫様が来られるなんて…なんでも急に決まったことだそうよ」

「…………」

 姫様。アンリエッタ。王女殿下。今は亡き先王の一人娘。民衆の人気者だとか何とかと一応シエスタから聞いている。王族を目にする機会は、貴族であっても滅多にないことなのだろう。それでルイズは緊張しているに違いない。

「そのボロボロの服を取り換えなきゃね。あんたも着替え欲しいでしょう? だから明日は、トリスタニアに行くわ」

「……。分かった」

 衣服について自分でもどうにかしなければと思っていたところだ。ルイズの提案にのるとしよう。

 とそこまで考えて、思い当たった。食はともかく、衣住はルイズの世話に与かる身だ。お礼ぐらい言ってもいいのではないだろうか。

「…………」

「……」

「…………」

「…なに? 人の顔をじっと見たりして」

「…いや。その。手間をかける。…ありがとう」

「あんた勘違いしてない?」

 まるで常識を疑うようなルイズの声。

「必要なものはそろえるわ。そもそも下僕は、主人に対して感謝の気持ちを常に持っているものよ。口に出すことじゃないの。わかったら早く寝なさい。明日は早いんだから」

「…………」

 使い魔から下僕に降格(昇進?)したことにそれなりにショックを受けたホッパーは、黙って寝る支度をした。

 そして体を横たえたものの、今日はいろいろなことがありすぎて、なかなか眠れなかった。




あとがきというより、言い訳を。


 もう1話くらいこの春にとうこうできたらいーなーと思っております。


 昨年は「ギーシュボコったしもういっか」ぐらいに思っていたのです。ゼロ魔二次創作のテンプレを消化したことに満足していたのです。
 ですが重大なことに気がつきました。
 ゼロ魔のテンプレは消化しましたが、仮面ライダーのテンプレはまだ消化しきれていないことに気付きました。そうです。あの技です。あの技を出さない限り、ただでさえ薄いライダー要素が無くなってしまうではありませんか。dekeは愕然としております。
 ということで。出します。「ライダーキック」。

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