乙女ゲー世界はモブの中のモブにこそ、非常に厳しい世界です   作:N2

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ちょっと息抜きで、短めですが、何かあまり深く考えずに書いてみた。

あまり時系列は気にしない感じでお願いします。
2学期始まってすぐくらいのイメージです。


閑話 ちょっとリオンとお話してみた

 「リオンは、オリヴィアさんやアンジェリカさんと付き合おうとかそういう気持ちはないの?」

 

 お茶会の準備はしたけど、例によって手持ち無沙汰な俺とリオンでダラダラしていたから、ちょっと聞いてみた。

 

 「いや、あの2人は身分的にアウトだろ」

 

 いや、意外と前からいけるんじゃないかと思ってんだよなぁ。

 

 「でもオリヴィアさんは、浮島に連れていって暮らせるじゃん。王都に適当な正妻を屋敷に放り込めばよくない? ぶっちゃけ金は何とかなるでしょ」

 

 「でもなぁ。それも何か酷くない?」

 

 リオンは煮え切らないな。

 

 「いいでしょ。学園女子なんかそんなもんだよ。オリヴィアさん妾にして、オリヴィアさんとの子供に跡を継がせればオッケーじゃん」

 

 「正妻文句言わない?」

 

 「ワインに毒でも入れれば?」

 

 茶目っ気たっぷりに提案してみた。

 

 「いや怖いよお前は! 何で殺す!?」

 

 やっぱり駄目か…… 最終手段として有りだと思うんだよね。

 

 「う~ん、じゃあアンジェリカさんは? 実際アンジェリカさん今立場が微妙だよね。王太子との婚約破棄の影響が上位貴族では大きくて…… リオンならレッドグレイブに頼み込めばいけそうだよ」

 

 身分が高すぎるから皆が遠慮するが、レッドグレイブ家の豪腕なら、リオンを娘婿にしそうなんだよなぁ。

 

 「いや、それでも男爵は無理だろ。伯爵くらいなら可能性ありそうだけど…… そういやリックはクラリス先輩はどうなんだ」

 

 リオンが堪らないとこっちに話を振ってきた。あまり結婚願望なさそうだな。

 

 「リオンならいけそうだけど…… 僕かい? そもそも領地無しの爵位だけだからね。絶対に無理でしょ」

 

 爵位持ちの領地無しなんかほとんど苛めに近いよなぁ。

 

 「いや、仕官すれば良くね?」

 

 「爵位持ちで仕官するとなぁ。学園卒業後だから結婚してないと白い目で見られそうじゃない?」

 

 「それなぁ…… はぁ」

 

 その時、俺の脳天から脊髄にかけて雷が走り落ちた。

 最近この閃きは嫌な予感がするな……

 

 「しかし、僕は気付いた!」

 

 「何に?」

 

 リオンは気付かないか。まぁ、領地持ちだししょうがない。

 

 「爵位持ち領地無しだから仕官する。であれば、嫁は準男爵や騎士家の女の子でいいんじゃね!?」

 

 「あっ!? 領地経営や付き合いがないからか!」

 

 そもそも人も物も土地すらないのだ。

 

 「そう! だから僕は普通クラスの女の子をお茶会に誘ってくる!」

 

 俺、もう、何も怖くない。

 

 「あっ!? てめぇふざけんなぁ! マルティーナさん! クラリス先輩! リックが血迷いやがったぁ!!」

 

 「あぁ!? ばか、止めろ! 2人を呼ぶんじゃない!!」

 

 リオンが空き教室から廊下に顔を出して大声を上げた。まぁでもそう都合よく――

 

 「あら? どうしたのリック君?」

 

 「エーリッヒ様はたまに血迷いますが?」

 

 くっ、何てタイミングのいい。ティナ、酷いじゃないか。

 

 「聞いて2人とも! こいつ領地無いからって準男爵や騎士家の女の子を嫁にしようとしてるんだ!!」

 

 てっめぇ、いきなり核心をぶちこみやがった!? しかも凄くいい笑顔しやがって!

 

 「あらあら、それはよくないわね」

 

 「エーリッヒ様は馬鹿ですか? 阿呆ですか? とち狂ったのですか?」

 

 いたたたたたっ!! 右肩と左肩を両方から握りこまれてソファーの中央に座らされた。

 

 「浮島ぐらいお父様に言って何とかしてもらいましょう。管理はアトリーに任せて、リック君は仕官して王国軍を掌握すればいいわ。そうして軍事力で何とでも出来るわよ!」

 

 貴方ならやれるわ! と凄く男をやる気にさせる笑顔とボディタッチでクラリス先輩は誘惑してくるが、それって軍事クーデターじゃねぇか!!

 リオンもドン引きしてるよ!

 ファッ!? 乳首回りを指で円を描かないで!

 

 「全く何を言ってるんですか。クラリス先輩は」

 

 マルティーナが、しなだれかかりながらクラリス先輩を注意する。そう軍事クーデター良くない! もっと言ってやって!

 

 「小生意気な貴族家をいくつか潰せばいいんです。そうすれば、浮島も経営基盤もごっそり頂けます。楽じゃないですか」

 

 おぃぃいい!? ティナ、お前もう空賊だよ! 歴史上最悪の空賊だよ!! 王国軍の討伐案件じゃねえか!!

 リオンが顔を青くして出ていったよ!!

 

 「クラリス先輩は早く結婚相手を探した方がいいんじゃないんですか? 御身分も高いですし」

 

 マルティーナがクラリス先輩に喧嘩を売り出した!?

 

 「あ、あらぁ、言うわね。ティナさんも学園の女子に評判悪いわよ。男子も遠慮しているっていうじゃない」

 

 そう、クラリス先輩の言うようにマルティーナは学園女子と折り合い悪いんだよね。

 

 「ヘルツォークに相応しい男子がおりません!!」

 

 「別に貴女がヘルツォークを継ぐのでは無いのではなくて? それに辺境の男子なら気概は十分でしょう」

 

 それはいけないクラリス先輩。ティナには王国本土で左団扇させるんだ。

 間違っても仕官した奴に嫁がせて、宿舎で団地妻をさせてはいけない。洗濯屋さんに狙われてしまうじゃないか!!

 

 「実戦経験が足りないじゃないですか」

 

 「20年前のファンオース公国侵攻戦に参加していないところは、結局実戦経験なんて無いに等しいところがほとんどよ」

 

 俺を挟んで言い合う2人。リオンと話していただけなのにどうしてこうなった?

 しかし、領地無しの爵位持ちか…… ジルクと将来の事は相談しようかな。

 実は、ジルクと一番立場が近い俺。

 

 その時またしても俺の脳天から脊髄にかけて雷が走り落ちた。

 もうええっちゅうねん!!

 

 俺、ジルクと友達になろうかな。

 

 この考えを2人に話してみたら、クラリス先輩には笑顔で右頬を張り飛ばされ、ティナにはゴミを見るような目で左頬を張り飛ばされた。

 うん、文句は言えないな。




う~ん、途中からリオンがいなくなってしまった。

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