『妖精大戦争 〜 東方三月精』
△△△
・難易度を選択して下さい。
【Easy 】 かんたん
超かんたん バカにすんなって
【Normal 】 のーまる
ふつう らくしょうだね!
【Hard 】 ハード
むずかしい でも気にしない!
【Lunatic 】 狂おしい
ゲキムズ! まとめて冷凍浄化してやる!
【Extra 】 おまけ
>> 【Perverse 】 ひねくれ者
△△△
>> 難易度 ひねくれ者
・キャラクターを選択して下さい。
>>
ひねくれた難易度をひねくれていないキャラでやる。そんなひねくれた貴方にお勧めです。
・キャラクターの性能
能力 《静電気を操る程度の能力》
・ショット
静電気を蓄える事で威力と範囲が強化されます。
グレイズとチャージ(後述)をする事で、溜める事が出来ます。
・ボム(スペルカード)
蓄えた静電気によって放電現象を起こします。離れた弾幕や敵も攻撃出来ます。
なお使い過ぎにはご注意を。
・ライトニングチャージ
数秒間、ショットボタンを押し続ける事でチャージショットのようなものを使います。
ボタンを離すとサイネリアを中心にバリアを張ります。
バリアに触れた弾幕や敵は感電し、消滅します。全ての弾幕に対して有効です。
能力により、全ての弾幕が引き寄せられたり離れたりします。
グレイズでやる気がどんどん上昇します。
とにかく見極める事が大切。
△△△
Loading なう ・・・
私は『
昔から『霧の湖』に住んでいて、最近になってようやく自分の名前と意思、そして能力が出来た妖精だ。
黄色の服、茶色の髪。昔と今の私は全く姿が違う。
それでも遊んでいた仲間達はすぐに、私が変わった、成長した事に気付き、お祝いの言葉をくれた。
けど、そんな事もついこの間の出来事。
「……なんで、こうなっちゃうの?」
目の前には、荒れ狂う吹雪。
今の季節は春。あの春妖精が猛威を振るっている筈の季節。
なのに、この『霧の湖』には氷河期が来たみたいに荒れている。
「ッちょっと!! 皆どうしたの!?」
「……!!」
「……! ……!!」
「……!! ……!?」
「……!!」
……駄目だ。皆『力』に
「……くっ!」
……私の声は、あの彼女達にはもう届かない。
この辺りに漂っている『力』を止めないと、皆は戻らない。
……周りを見渡しても、私以外に正気を保っていそうな妖精は居ない。
なら、私が『コレ』を止めないと!
そうして私は羽を広げて力の感じる方向、『強烈な冷気が渦巻いている』湖の中心に向かおうとすると、
今までバラバラに遊びまくっていた皆が、一斉にこちらを向いた。
「ひっ……!?」
「「「……」」」
「……み、みんな……?」
「「「……!!」」」
「ひゃあぁ!?」
声を掛けてみても、皆から返ってきたのは弾幕だけ。
弾幕はどれも青く、その全てが私へと向かってくる。
その内半分は、私から離れていき、
残りの半分は、私へと軌道を変えた。
ッ……いつもの事だけど……私の能力はつくづく弾幕に向いてないわね……ッ!
薄い黄色の羽を精一杯動かして、変則的な軌道を描く弾幕を避ける。
私の能力は《静電気を操る程度の能力》だ。
下敷きを髪の毛に擦りつけたら勝手に動く、あの現象を操る能力を持っている。
その気になれば、今のところ人の髪の毛を勝手に動かす程度なら出来る。
……とは言え、能力に気付いてからそれほど年月も経っていないし、上手く操作しているとは言えない。
今だって、その能力を完璧に操れていないから、こんな風に弾幕が引き付け合ったり反発したりするんだから。
「ッ……どいてよっ!!」
「……!?」
不規則な弾幕をすり抜けて、目の前にまだ広がっている弾幕にさっきから溜まっていた静電気を流す。
弾幕から弾幕、そのまた弾幕に電気が流れ、その弾幕を放っていた皆に繋がった。
たかが静電気と言っても、私の操る電気はそれなりに強い。
チルノちゃんほどじゃあないけど、一対一で妖怪と戦っても勝てると思っている。
……次々と皆が『一回休み』になっていく。
皆が倒れていき、散っていく中、私は突き進む。
吹雪が荒れ狂う、その『チルノ』ちゃんの下へ。
▼▼▼▼▼▼
どんどん風と雪が酷くなってきている。
それと共に、私を狙う
「つっ!」
「……!! ……!」
「て! ッお願いだから、邪魔しないでよッ!!」
飛んできて分裂するナイフを避け、伸ばした掌から弾幕を撃つ。
……それも静電気で勝手に軌道が変わっちゃうんだけどね。
それでも隙間を縫うように移動して、少しの間だけでも安全な場所を見付けて弾幕を放つ。
真っ直ぐ飛んでいく私の黄色い弾幕は、次々と皆へ命中して落としていく。
まだ新たに妖精が来た。今度はひまわりを持った
この吹雪の中、決して手に持った向日葵を枯らす事無く私に弾幕を撃ってくるのは凄いけど……。
「通させてもらうよっ!」
「……!!」
でも向こうも意地でも通さないと弾幕を放ってくる。
無尽蔵に小弾を放ち、私を通さないようにランダムにばらまいて道を封じている。
それらもまた三分の一くらいが離れていき、残りの三分の二くらいが近付いてくる。
……この能力のおかげで、ネリアちゃんはやけに避けるのが上手ですよね、って大ちゃんが言ってくれた事がある。
正直に言えば、あの時は嬉しいような嬉しくないようなとても複雑な気持ちになった。
でも、結果として、
私は妖精の中で一番避けるのが上手くなった。
弾幕を全て潜り抜ける。
後ろは振り向かない。私の能力で弾幕は『引き寄せられる』事はあっても、決して『追ってくる』事はない。
「……!?」
「どいてって……言っているでしょ!」
羽を広げ、一気に近付く。そんな私を見てか、ひまわり妖精が眼を閉じて防御の姿勢を取る。
そのままの速度を維持したまま、私は妖精の横を通り過ぎる。
「!? ……!?」
「ごめんねっ!」
横を通った時に、能力が勝手に発動する。
弾幕が
溜まった電気は彼女を『一回休み』にはしないものの、そのまま痺れて下へと落ちていった。
……多分、この高さなら大丈夫だと思うけど……ちょっと心配。
でも、それよりも今は目の前の事に集中!
五人の妖精が目の前に居る。手前に二人、奥に三人。
「「「……!」」」
「「……!!」」
五人全員が同時に力を溜め始め、そしてまた『同時に』弾幕を射出してきた。
『手前は球体状に、動きが一度止まる紛らわしい弾幕を』『奥の三人は小さな壁のような弾幕をランダムに』それぞれ撃ってきた。
「っ!?」
「……!!」
ランダムに放たれる赤い弾幕は、上に四個ずつ、横に四個ずつ、弾が並んで構成されている。
壁と言っても、弾幕同士の隙間は結構大きくて、その隙間に割り込むのは結構簡単だ。
……けど、それよりも単純に早い……っ!
それでも抜け道を探し続けながら、弾幕を潜り抜けていく。
途中、球体状になって止まっていた弾幕も徐々に加速して飛んできたけど、既に壁を潜り抜けるために遠く離れていた私にとって、それの密度は大したものじゃなくなっていた。
そんな風に潜り抜けつつも五人に向かって撃ち続けていた私の弾幕が上手く当たったのか、五人の弾幕はすぐに止んで道が開けた。
とは言え、道の向こうにもまだ
「ふっ……!」
雪が降り続ける中、素早く息を吸って、また私は飛び続ける。道の向こうへと進み始める。
私が……。
「私が……私が止めないとっ!!」
▼▼▼▼▼▼
肩で息をしながら、目の前の『彼女』を見る。
いつもならほわほわとした笑顔を浮かべて、皆を落ち着かせている彼女は、不気味なほど無表情だ。
「……大ちゃんも、なの……?」
「……」
声を掛けても、彼女……『大妖精』に届かないのは分かってる。
あの顔と身体から溢れ出ている迫力は、いつもの彼女じゃなくなっているなんて、分かってる。
……分かってるよ。
「……」
「っ!」
何も私には言ってくれないまま、彼女と私は弾幕ごっこを始める。
周囲から力を集め、それを一気に弾幕へと変えて撃ち出す。
それは虹色みたいに綺麗で、同時に全方向にランダムに撃ち出されている。
ある所はやけに集中していたり、ある所はやけに薄かったり、
でも、大体集中している所は、私に向かっている弾だったりする。
それをアクロバット飛行でもするかのようにすり抜け、こっちからもショットを撃ち始める。
私のショットがこっちに飛んできたと気付くと、大ちゃんも回避する為に弾幕を放つのを止めた。
今度は私の番だ。静電気を溜めて放電をし、その流れに沿って弾幕を放つ。
狙い通り弾幕はギザギザ、不規則になって飛んでいき、大ちゃんの行動範囲を狭めていく。
「くっ!」
どんどん狭まっていく弾幕に、大ちゃんが汗を垂らしているのが一瞬だけ見えた。
でも、顔は無表情のままで、荒く息を吐いている。
……そんな状態にさせているのが私だという事が、とても辛い。
けど……手加減なんて出来ない。
「うあああっ!?」
「っ……!」
結局、大ちゃんは最後まで避け続け、彼女に当たったのは静電気も尽きかけて単にランダム弾を撃っているだけのような弾幕になりかけている時だった。
……逆にそれで出来た急激な変化のおかげかな?
叫び声をあげて、ショットにあたって吹き飛ばされていった大ちゃんに、つい弾幕を止めて駆け寄ろうとしてしまう。
それが、もしかしたら駄目だったのかもしれない。
すぐさま羽を広げて体勢を整えた大ちゃんは……あの大ちゃんとおんなじだとはとても思えないほど、私を『睨んで』きた。
「!?」
「……」
彼女はまた周囲から力を集め始め、私を中心に円を描くような軌道で青白く小さな弾幕をばら撒きつつ、私に向かってそれなりに大きい弾幕を連続で放って来た。
大きめの弾幕は真っ直ぐ私の方へ飛んでくるのではなく、少しばかりカーブを描きながら私の方へと飛んできている。
即座に軌道を見極め、後ろへと下がってショットを放つ。弾幕が服に掠っていくけども、私自身にダメージはない。
大ちゃんはずっと移動をしているけども、時たま進行方向を変えて逆回転にしたりして弾幕に緩急を付けている。
私は私で放射状に弾幕を張って、
そんな、ある意味一方通行の弾幕ごっこがようやく終わった。
私が渾身の力を詰めた大きい弾幕を、事前に放っていた放電で痺れていた大ちゃんに撃ち込んだのだ。
弾に当たって弾き飛ばされた大ちゃんは、そのままくるくる回転しながら落ちていく。
「……っ!!」
……もう、見ていられない。
もしまだ彼女が私に敵意を持っていたら、確実に今の私は隙だらけだ。
でも、もう友達を攻撃して倒して、それで落ちていく彼女を見捨てるなんて私には出来ない。
湖に落ちそうになる前に、ギリギリで彼女を受け止める。
受け止めた衝撃で、足の先が冷たい水に浸かり、一気に体が冷めていく。
「ッッ……! っ大ちゃん! 大丈夫!?」
「……う……」
大ちゃんを抱えて、何とか地面のある所まで運んであげる。
幸い、大ちゃんの戦いの余波のおかげか、近くに襲ってきそうな妖精は居ない。
「ねぇ!? 大ちゃんってば!!」
「……ネ、リアちゃん……?」
「……良かった……! 意識も戻ったのね!!」
「? ……いたっ……」
「だ、大丈夫!?」
「うん……なんとか……」
私の攻撃のせいで、大ちゃんの身体は怪我だらけだ。
それでも、彼女は私に心配掛けさせない様に、身体をゆっくりと起こそうとする。
「……本当に大丈夫?」
「うん……平気」
「……ごめんね……ああするしかなかったから……」
「ううん、良いよ……だって私がおかしくなってたんだから……寧ろ私の方から、止めてくれてありがとう……」
「……ごめんね」
大ちゃんは優しい。
でも、その優しさが……時に辛くなる。
少しの間、大ちゃんの回復を待つ。
……でも、今この霧の湖は吹雪で荒れている。とても休めるような環境じゃない。
「……大ちゃん、飛べる?」
「う……うん、瞬間移動は無理みたいだけど……」
そういえば、瞬間移動を使えたんだっけ。大ちゃんは……。
「……どうして?」
「移動しよう。ここに居ても休めないよ」
「……わかった……」
「私は……『この吹雪』を止めてくるから、大ちゃんは魔法の森で休んでて」
「っ、そうだ! チルノちゃんが……!!」
……やっぱり、この吹雪はチルノちゃんが原因だったんだ。
一歩、霧の湖に踏み出した私を、大ちゃんが私の手を握る事で止めてくる。
「無理だよ!! ネリアちゃんでも止められないよ!! 魔理沙さんもこの間倒しちゃったんだよ!?」
「でも、この吹雪は止めなきゃ!! チルノちゃんが本当に退治されちゃうんだよ!?」
妖精でも、力を持ち過ぎれば、妖怪になる。
妖怪になれば、自然からのエネルギーは貰えなくなって、『一回休み』が無くなる。
そうなる前に、チルノちゃんを止めないと……!
「それは……大丈夫だよ」
「え!?」
飛ぼうとするのを止め、大ちゃんへと振り返る。
大ちゃんの身体や表情はとても辛そうだけども、その意見は確信があるようだった。
「……どういう事……?」
「……大丈夫……チルノちゃんは、大丈夫だから……だからネリアちゃんは、『春妖精』を、止めて……!」
「ええ!? リリーちゃんを!?」
春妖精、『
能力を持つ妖精で、『春を伝える程度の能力』を持っている。
……春になるととても強くなる妖精で、私たちの中では春には近寄らない方が良いっていう話になっていた筈。
今私たちが見ている風景は真冬そのものだけど、季節的には春だ。
「倒せるか分からないよ? それに、リリーちゃんもおかしくなってるんでしょ?」
「……今のネリアちゃんなら……大丈夫だよ」
「え?」
「……わからないかな……今の私たち、いつもじゃ考えないような事まで、考えてない……?」
「……」
……確かに、そうかも知れない。
『いつもの私』ならば、静電気を集めようと弾幕にもっとすれすれな状態で飛ぶだろうし、好奇心に負けてもっとあのブリザードの真っ只中に突っ込もうとするだろう。
……そして何より、
『自分が今どんな状況に居て、そしてこれからどうすれば良いのかを、自分が出来る事や範囲等と照らし合わせて、物事を考えている』
『メリットとデメリットを比較して、面白いかどうかは論外として考えている』
こう言うとおかしいと思うけど、私たち妖精の日常からは到底ありえない事だ。
「……ネリアちゃんの弾幕……いつもより流せる電気の量が多くなったりしなかった……?」
「それは……そうかも知れないけど……!」
「……なら、大丈夫だよ……」
「けど……!」
躊躇う私に、大ちゃんが私の眼を見て言う。
……それも、いつもの大ちゃんみたいなふわっとした笑顔じゃない、真剣な顔だった。
けど、睨んでも居ない……真剣に、チルノちゃんやリリーちゃんを心配していて、そして決意のある顔だった。
「行って、リリーちゃんの所に……私はチルノちゃんの所に行く」
「っ、大丈夫なの!? まだ休んでいた方が……」
「大丈夫だよ……『あのヒト』がようやく帰ってきたのに、私だけ休んでられないし……それに、今自由に動けるのは、ネリアちゃんだけなの……」
そう言って立ち上がった大ちゃんは、よろけて倒れそうになる。
慌てて手を取り、身体を支えてあげる。
「ほら!! やっぱり危ないじゃん!」
「大丈夫……今自由に動けて、皆を助けられるのは、ネリアちゃんだけなんだから……」
「でもっ!?」
それでも渋る私に、大ちゃんが顔を下げる。
そして、私の手を、今度は自分から掴んで──────
「……ごめん……行って!!」
「!?」
いきなり景色が移り変わる。
真っ白で雪しか見えない景色から、いきなり花が咲き乱れて暖かい場所へ。
そしてそこでいきなり『ドン!!』と身体を押されて、たまらず尻餅をついてしまった。
「いたッ……ちょっと! 大ちゃ……!?」
「……ネリアちゃん……り、リリーちゃんを助けてあげて、ね……」
顔をあげて文句を言おうとして、大ちゃんの顔が更に真っ青になっているのを見て、つい言葉を失う。
そして次の瞬間には、大ちゃんが瞬間移動をしてこの場から何処かに行ってしまった。
……さっき、大ちゃんは『瞬間移動は無理』って言ってなかったっけ……?
なのに私は、霧の湖から離れた『魔法の森』に居る。
ああ……私、友達にとても辛い事させちゃったんだ……。
既に倒れても仕方ない状態だったのに、更に大変な事をやらせたんだ……。
酷い自己嫌悪。こんな自分が嫌になる。
「……!?」
「……。……!」
「「……!!」」
後ろで、妖精が騒いでいる。
多分彼女たちはこの『春の陽気』に中てられたんだろう。酷いくらいに陽気だ。
そして、この陽気を出しているのは、この森の奥に居るんだろう。
大ちゃんが頑張ってくれたんだ……私がちゃんと受け継がないと……!!
真上から落とされる炎弾を地面を蹴って避け、その勢いで強く飛翔する。
木々を盾にして、ショットを撃って皆を倒していく。
「……すぐに向かうからね、大ちゃん……!」
私が今、出来る事は……。
この場を活性化させている『春妖精』を正気に戻して、チルノちゃんの所に戻る事。
……そして、また昔の私たちに戻れるように頑張る事!!
涙を拭って、また飛んできた弾幕を避ける。
泣いている暇なんてない。今この瞬間にも、大ちゃんが倒れたりチルノちゃんが妖怪に近付いて行ったりしているんだから。
春の香りが私を陽気に誘おうとしてくる。
森を進むたびに、また皆が弾幕を張って私を追い返そうとする。
朦朧となりそうな自分を、軽くピリピリさせて復帰する。
「ッっ、立ち止まってなんていられないんだよ!!」
「……!?」
ジグザグに飛翔して弾幕を回避しつつ、ショットを撃って皆を落としていく。
それでも道を進むにつれて、弾幕の速度や範囲が強くなっていく。
五方向にまっすぐ飛び、小さな弾が一列に並んだ弾幕。それは私へと真っ直ぐに飛んでいる。
けれども、私に近付くにつれてそれらはバラバラの方向へ飛んでいく。
「痛っ……!」
「……!」
「……。……!!」
左右から私を通せんぼするかのようなに現れる妖精達。更に不規則に近付いたり遠のいたりする弾幕。
弾幕だけを見過ぎてもいけない。真っ直ぐ私へと飛んでくる弾幕だけを見ていても駄目。
全てを認識しなくちゃいけない。私がどれだけ弾幕に影響を与えているか、即座に判断しなくちゃいけない。
「くっ……! 行け!!」
「……!?」
目前に迫った弾幕に、身体に溜めていた電気を流す。
操った静電気は弾幕へと繋がり、そしてそれを撃っていた妖精にも繋がった。更にその妖精同士にも繋がる。
『ピチュン!』という音が響いて、目の前で通せんぼをしていた皆が一斉に消えていなくなった。
……皆、『一回休み』になったんだ。私の力で。
誰だって、『一回休み』にはなりたくない。
人間が『どうせすぐに復活するだろ』とか言うけど、私達にだって痛いとか怖いという感情はある。
弾幕と放電している電気の隙間から、きつい顔をしている皆が見えた。
……私も、この陽気に中てられてしまえば、あんな顔を見る事もなかった。
あんな表情をさせてしまう事もなかった。
でも私は、種族よりも……今は、友達を優先する。
これが終わった後に、妖精達から湖を追い出されたとしても、私は。
「友達を助けるんだ……!!」
▼▼▼▼▼▼
花が、咲き乱れている。
春が、満ち溢れている。
彼女の通った所は一瞬で春になる。
光の三妖精は、『春の時の春妖精には絶対適わない』って言ったとかなんとか。
「春ですよー♪」
「……リリーちゃん」
目の前の彼女も、やっぱり何処か力に中てられている。
春を伝えに来た筈なのに、誰も居ないこんな森の奥に居る。
身体に力を籠める。いつでも動き出せるように。
とは言っても、既に道中で数々の弾幕で、私の服はボロボロだし傷もそこらじゅうにある。
今の私は、決して弾幕に最適な状態とは言えない。
でも、止めないといけない。
友達だから、友達だからこそ、友達を守る為に。
「ッ……行っけェェェッ!!」
いきなり自キャラとして出しても愛着がわかないし不自然。
……という、顕著な例。そして自虐ネタ。
『夢現』、というか前回の話にて、足りない言葉を追加いたしました。
物語に支障は出ない、筈。