『ヤマトの世界は死亡率が半端ないから何とか生きよう』 作:零戦
「敵ガミラス艦隊が突撃しますッ!!」
「ちぃ、体当たりする気だな」
体当たりとはな……そのまま降伏は難しいか。
「き、キリシマに敵先頭艦が接近ッ!!」
「機関最大ッ!! 波動防壁を展開して敵先頭艦に突撃だッ!!」
「は、はいッ!! 機関最大ッ!!」
センダイは戦列から離れてキリシマに向かって増速する。キリシマの右舷に敵先頭艦が近づこうとしているがキリシマのショックカノンが砲撃して命中。
敵先頭艦は命中の衝撃で一瞬速度を落とした。
「ぶちかませェッ!!」
そして敵先頭艦の側面にセンダイの艦首がめり込んだ。
「艦首ショックカノン撃ェッ!!」
艦首にあるショックカノンが唸り、敵先頭艦は側面に大きな破口を開けて轟沈した。
「……被害はッ!!」
「波動防壁を展開していたため各部損傷認められずッ!!」
……何とかなったな。
『八雲、済まなかったな』
「いえ、御無事で何よりです」
土方司令官にはそう言って戦列に戻る。周囲には敵ガミラス艦隊はいなかった。
「ガミラス艦隊は全滅したようです」
「……そうか。長きに渡る戦いだったな……」
これまでに何人の同期が宇宙に散った事か……。
「キリシマから信号。このまま天王星方面に向かい、ガミラス基地を叩くようです」
「一気に叩き潰す気だな土方さんは……」
第一艦隊はそのまま天王星方面へ向かうのであった。
「艦長、地球です」
「おぅ、帰れたな」
地球に帰れたのは木星宙域会戦から五日後の事である。
第一艦隊は天王星と海王星及び付近の衛星を調べて、天王星の衛星チタニアに無人のガミラス基地を発見した。
無人であり、目ぼしい物はなかった。恐らく破棄したんだろうな。
第一艦隊はチタニアを占領してチタニアを防衛線にする事にした。
国連司令部にもその旨を報告しており、司令部はチタニアに部隊を派遣する事にした。
「……それが俺達か……」
俺はセンダイの艦橋でそうぼやいた。チタニアに向かうのはセンダイの他には駆逐艦四、輸送船四隻だ。
「全く、地球で休暇したいのにな……」
「まぁ施設隊の護衛ですからね。早めに終わる事を祈りましょう」
俺の呟きに川崎副長がそう答えた。そして艦隊は四日かけて衛星チタニアに到着した。
「ガミラス基地をそのまま接収して使用か。まぁ費用は掛からなくていいからな」
俺は工程資料を見ていた。まぁガミラス人も肌以外は殆んど地球人と変わらんからな。
「太陽系内にいるガミラス艦隊は全滅した。後はヤマトが帰ってくる事だな」
俺はそう思った。そして施設隊は宇宙軍の宇宙港を建築していた。
艦艇建造能力は無いが、修理や補給が出来る簡易港のようだな。
まぁタイタンにも基地は作るみたいだが、旧作を考えると司令部かもしれんな。
「艦長、どうやら火星に地下都市を築く部隊が向かっているようです」
「ふむ、漸くだな。まぁ火星もまだテラフォーミング中だからなぁ……」
火星はまだテラフォーミング中だ。南極圏にあった氷を溶かして海を形成していたが地球のような姿になるにはまだ時間が必要だからな。
そのため、作物が育つように火星にいた人々は排泄物は地面に捨てて肥料にしていたらしい。
まぁ、それはさておきだ……。
「波動砲が今後どうなるかだな」
「何か言いましたか艦長?」
「いや何も……」
2199だと波動砲は一切使えなくなるはずだ。もし、そうなれば白色彗星の時はどうなるか……。
……負けるよな……彗星を取っ払うには波動砲が必要だからなぁ……。
取りあえず2199の展開で無いことを祈るが……村雨型巡洋艦が出ている時点でムリダナ。
何か策を考えないとあかんなこれは……。
「……艦長は先程から何を唸っているんでしょうか?」
「ほっとけ」
八雲の奇行を見ていた航海長と副長はそう言っていたのであった。
それから季節は十二月に入った。人類が滅亡するまで一ヶ月を切っていたがヤマトはまだ帰って来なかった。
しかし、十二月二日にヤマトとの交信が回復してコスモリバースシステムを受け取っている事が判明して国連宇宙軍は歓声を上げた……が、俺は喜べなかった。
旧作だとコスモクリーナーDだが、ヤマトからの交信ではコスモリバースシステムと言っていたからな。
……何事も無けりゃあいいけどな……。
それから数日後、第一艦隊から通信が来た。
『八雲、申し訳ないがヤマトを護衛してほしい。万が一、ガミラスの残存艦隊が襲撃に来るのは防ぎたい』
「判りました。チタニアにいる全艦を出します」
チタニアにはセンダイと駆逐艦四隻と停泊しているからな。五隻の艦艇は直ぐに出撃準備を整えてチタニアを後にした。
「真田副長、レーダーに感あり」
「総員戦闘配置ッ!!」
「ま、待って下さい。これは……友軍ですッ!!」
「何?」
「識別反応……村雨型宇宙巡洋艦一、磯風型突撃宇宙駆逐艦四隻ですッ!!」
「国連宇宙軍が何でこんなところに……」
航海席に座る島がそう呟いた。
「波動エンジンを搭載した艦艇かもしれません。うちの家でもそのような話はありましたから」
砲雷長の南部が島にそう言った。兎も角、ヤマトは艦隊と合流したのであった。
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