『ヤマトの世界は死亡率が半端ないから何とか生きよう』   作:零戦

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第五話

 

 

 

 火星からの輸送任務は五日で終わった。まぁ地球からの距離が近い事もあったからな。

 この輸送任務により地球艦艇の建造日程は進み、巡洋艦七、駆逐艦十二、輸送船八隻が新たに竣工して新しい乗組員が訓練しているのであった。

 また、電力回復のために廃墟となっている地表に大量のソーラーパネルを設置して発電を行う事になった。

 これは前から行っていたが、時折地球に飛来してくる遊星爆弾の影響で破壊されていたがガミラスの冥王星基地が陥落した事により遊星爆弾が飛来するのは無くなったのだ。

 また、地球に繁茂しているガミラスの植物を焼き払い、汚染を出来るだけ遅らせていた。

 だがそれでも汚染の浸食を完全に防げる事は出来なかった。

 

「……それで火星への移住計画ですか?」

「そうだ。火星は地球よりかは攻撃の被害は少ない。火星へ地下都市を築くのだ」

 

 俺は第一艦隊旗艦キリシマの司令官室で土方司令官と話していた。

 火星は国連宇宙軍の基地は存在していたが、第二次火星会戦の時にガミラス艦隊の攻撃で壊滅していた。それ以降、メ号作戦までは無人星であった。

 

「先に基地を築いてから移民を始める。だがその前にだ」

「……太陽系の何処かにいるガミラス艦隊を撃滅する事ですね」

「そうだ」

 

 土方司令官は太陽系の地図を出した。

 

「前回会戦の時、天王星方面からガミラス艦艇は接近してきた。つまり天王星及び海王星の衛星にガミラスの基地がある筈だ。それを完全に叩く」

「……今の艦艇で叩けるでしょうか?」

 

 今の第一艦隊には戦艦一、巡洋艦九、駆逐艦二十隻とメ作戦前の同戦力程度まで揃っていたのだ。更に輸送船から改装した小型空母ホウショウとホウリュウがコスモファルコン(隼)を二四機ずつ搭載して100式を四機搭載していた。

 

「叩かなくてはならんのだ」

 

 土方司令官はそう主張した。確かに太陽系のガミラス艦隊を叩かないと移民は勿論、コスモナイト90があるエンケラドゥスへおいそれといけないからな。

 

「判りました、全力を尽くします」

「出撃は五日後の0700だ」

 

 少しばかり休暇は出来るな。何時もの店にでも行くとするか。

 俺はキリシマを後にした。

 

 

 

「よぅ親父。熱燗一つね」

「らっしゃい。熱燗一つ」

 

 俺は横須賀基地の近くにある居酒屋「やまと」に来ていた。

 この居酒屋の親父は元国連宇宙軍に所属していたらしい。乗艦していたのは日本所属の探査艦やまとで店の名前もそれに因んだ事とか。

 

「お連れさんが来てるよ」

「お連れさん?」

「あ、来た来たぁ」

 

 奥のカウンター席には幽々子が既に飲んでいた。顔も薄く赤くなっている。

 

「もう酔っているのか?」

「むふふ~良いじゃない別に~♪」

 

 幽々子はそう言って日本酒を飲み、焼き鳥を頬張る。俺も熱燗が来たので御猪口に日本酒を入れて一気に飲み干した。

 

「さぁて今日は飲むわよ~」

「……お前が仕切るのかよ……」

 

 その日、居酒屋「やまと」はどんちゃん騒ぎとなるのであった。

 

 

 それから五日後、第一艦隊は横須賀基地を出撃して一路天王星方面へと向かった。

 目的は太陽系に残留しているガミラス艦隊の撃滅だ。

 

「第一航空戦隊は駆逐艦ハタカゼとヤカゼと共に第一艦隊の後方へ展開せよ」

『了解しました』

 

 第一航空戦隊司令官山口多聞一佐は土方司令官に敬礼をして護衛艦艇と共に後方へ下がる。

 

「全艦警戒を厳とせよ。ホウショウとホウリュウは100式を出して偵察せよ」

 

 直ちに空母から八機の100式が発艦して敵ガミラス艦艇を探しに行く。

 

「………」

「やはり来ますかな?」

 

 キリシマ艦長の山南一佐は土方司令官にそう聞いた。

 

「……奴等は既に死兵だ。戦局を打開するには我々と戦うしかあるまい」

 

 

 

――衛星チタニア――

 

「トーレス司令。テロン艦隊です」

「……テロン人め、一か八かの賭けに出たな。ならば我々も乗ってやろう」

「それでは……」

「全艦に出撃命令ッ!! 無論私も出るッ!!」

 

 チタニアに停泊していた残存ザルツ空間機甲旅団は出撃して一路第一艦隊へと向かったのであった。

 

 

 

――木星宙域――

 

「100式より敵ガミラス艦隊発見の報告ですッ!!」

「全艦戦闘配置につけッ!!」

 

 木星宙域を航行していた第一艦隊に戦闘警報が鳴り響いた。第一航空戦隊は既に後方へ展開していた。

 

「敵ガミラス艦隊、二時の方向から接近ッ!!」

 

 二時の方向から接近してきたガミラス艦隊は第一艦隊を通り過ぎて回頭。

 そのまま航行して同航戦へと布陣した。

 

「右砲戦用意ッ!!」

 

 改装されたキリシマの三八口径三五.六サンチショックカノン三基が旋回してガミラス艦隊に照準した。

 

「照準良ろしッ!!」

「撃ちぃ方始めェッ!!」

 

 全艦から一斉に砲撃が開始された。エネルギー弾はそれぞれが照準したガミラス艦艇の装甲を貫いた。装甲を貫通されたガミラス艦艇は次々と撃沈していく。

 

「そんな……馬鹿な……」

「トーレス司令ッ!! 今の砲撃でケルカピア級三 、クリピテラ級四隻が撃沈ッ!! 残存は我がデストロスを含めてケルカピア級一、クリピテラ級四隻のみですッ!!」

 

 シュタイトはトーレスにそう報告をする。

 

「……このままでは我々はシュルツ司令と同じ運命だ。全艦に告ぐッ!! このまま敵艦隊に突撃するッ!!」

「トーレス司令ッ!! それでは……」

「……我がザルツはデスラー総統に立派に戦ったと言わねばならんッ!! 退艦する者は即時退艦せよッ!!」

 

『………』

 

 しかし、退艦する者は誰一人いなかった。

 

「……誰もいないようですな」

 

 シュタイトはフッと笑った。

 

「……行こう。ザルツの武人魂(もののふだましい)をテロン人に見せるのだッ!!」

『ザルツ万歳ッ!!』

 

 ガミラス艦隊は経路を変更して第一艦隊に突撃を敢行した。

 

 

 

 




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