『ヤマトの世界は死亡率が半端ないから何とか生きよう』   作:零戦

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第四話

 

 

 

「トーレス司令、どうやらテロン人は鉱石を輸送しようとしています」

「ふむ……テロン人め、プラートが墜ちたからと言って油断しているようだな」

 

 天王星の第三衛星チタニアにはザルツ混成機甲旅団の残存艦隊が停泊していた。

 メ二号作戦が発令される前、ザルツ空間機甲旅団司令官のシュルツは艦隊の壊滅を危惧してチタニア――プリルトに少数ではあるが艦艇を回していた。

 戦力としてはデストリア級一、ケルカピア級五、クリピテラ級十四隻が艦隊司令官ヴァルラ・トーレスの元にあった。

 

「全艦出しますか?」

「……いや、クリピテラ級二隻でいいだろう。いくらテロン人でもあの艦隊にヤマトのようなゲシュタム・ジャンプ出来るエンジンは無いだろう」

 

 トーレスはそう判断した。しかし、輸送艦隊のセンダイ以下艦艇には次元波動エンジンが搭載され、かつ主砲はショックカノンに切り換えられていた。

 二隻のクリピテラ級はそれを知らず、そのままチタニアの港から出撃して一路エンケラドゥスに向かうのであった。

 

 

 

 

――衛星エンケラドゥス――

 

「作業は順調のようだな」

「はい、予定通りの0455には終われると思います」

 

 俺はセンダイの艦橋から作業現場を見ていた。作業現場ではコスモナイト90を積み込んでいる作業員が仕事をしていた。

 

「100式から何か連絡は?」

「今のところは定時連絡のみです」

「……出ると思いますか?」

「杞憂であればいいんだがな」

 

 ガミラスが出てこなかったらいいんだよ。

 

「艦長、そろそろ交代の時間です」

「そうか、じゃあ後は頼む。何かあったら連絡してくれ」

「判りました」

 

 俺はそう言って艦橋を後にした。取りあえず腹減ったから飯にすんべ。

 

 

 

――食堂――

 

「隣、良いかしら?」

「ん? 幽々子か。幽々子も飯か?」

「えぇ。一息つけそうだからね」

 

 俺は幽々子と共に並んでざるそばを頼んだ。

 

「相変わらず好きねざるそば」

「当たり前だ。週三日はざるそばだ」

 

 昔からそばは好きだからな。基本麺類は好きだしな。

 

「フフフ」

「……何だよ?」

「いいえ、何も」

 

 幽々子はそう言って豚生姜焼き定食大盛を食べるのであった。(お代わりして三食分)

 

『艦長ッ!! 敵艦ですッ!!』

 

 その時、放送が流れた。

 

「総員戦闘配置だッ!!」

 

 俺はそう叫び、食堂にいた他の乗組員も自分の部署へ走った。俺はそのまま艦橋へ上がった。

 

「状況はッ!?」

「偵察に向かった100式二号機から天王星方面から駆逐艦二隻が此方へ向かっているようです」

「……ガミラスの残存艦艇か。輸送船の作業状況は?」

「作業は繰り上げていますがまだ掛かるようです」

「……迎撃には駆逐艦ハタカゼを除いた艦艇で行う。波動エンジン始動ッ!!」

 

 駆逐艦ハタカゼと輸送船を残して残りは迎撃に向かった。

 

「ガミラス艦、四時の方向から接近ッ!!」

「全艦波動防壁展開ッ!! 右砲戦用意ッ!!」

 

 センダイの二十.三サンチショックカノン三基が旋回して接近してくるガミラス艦に照準をした。

 

「敵艦発砲ッ!!」

 

 駆逐艦が発砲してくるが、命中弾は全て波動防壁で守られている。

 

「照準良ろしッ!!」

「全艦撃ちぃ方初めェッ!!」

 

 センダイが砲撃を開始した。センダイが放ったエネルギー弾は見事先頭の敵駆逐艦を貫通して爆沈した。

 

「敵先頭艦撃沈ッ!!」

「続けて照準を敵二番艦に合わせッ!!」

「……照準良ろしッ!!」

「撃ェッ!!」

 

 センダイが再び発砲して敵駆逐艦の装甲を貫通させ撃沈した。

 

「敵艦全滅ッ!!」

「良し、引き続き警戒に当たれ」

 

 俺はそう命令を出したが、地球に帰還するまでガミラス艦艇が来る事はなかった。

 

 

 

――衛星チタニア――

 

「馬鹿な……テロン人はヤマト以外の艦船にゲシュタム・ドライブを搭載しているのか……」

「トーレス司令、如何なさいますか?」

 

 映像衛星から見ていたトーレスはショックを受けていた。傍らにいる参謀のバリル・シュタイトはトーレスにそう聞いた。しかし、トーレスは首を横に振った。

 

「いや、下手に動けば此方がやられる可能性がある。テロンも再びあの衛星に来るはずだ。その時を狙う」

 

 トーレスは慎重にそう判断したのであった。

 

 

 

「艦長、地球です」

「おぅ、帰れたな」

 

 あれからガミラス艦艇を警戒していたが襲ってくる事はなかったな。

 

「横須賀基地に帰港するぞ」

 

 輸送艦隊は地下基地の横須賀基地に到着した。そして作業をしていると土方司令官がセンダイに乗艦してきた。

 

「土方司令」

「輸送任務御苦労だったな。ガミラス艦に出会したそうだな?」

「は、戦闘映像は先程司令部に送りました」

「……冥王星の残存艦隊だと思うか?」

「私個人の考えでしたらそう思います。恐らく作業している我々を見つけて冥王星の敵討ちと思って襲来したと思います」

「ふむ……少し話がある。艦長室に来い」

 

 俺と土方司令官は艦長室に入った。

 

「恐らく、次回の輸送任務の時には全力で来るだろう」

「そうでしょう。ですが、此方の艦艇は……」

「艦船は増強出来る。今回の大掛かりな輸送である程度の艦船に次元波動エンジンを搭載出来るが……艦船を建造する資材が足りん」

「では火星から……?」

「うむ、火星の鉱山からの輸送を頼みたい。ガミラス艦艇と遭遇する確率は極めて低いだろう」

 

 地球の資源はある程度取り尽くされている。(それでもまだまだある)地球は火星からの資源を頼っていた。

 

「判りました。発進準備が出来次第発進します」

「頼む。それと乗組員は新人の兵も乗り込む」

 

 今回も多くの乗組員が移動した。まぁ移動は仕方ないだろうな。

 そうでもしないと兵を育てられないからな。そして一日休暇をして三日後の0500に巡洋艦二、駆逐艦八、輸送船八隻の艦艇が地球を発進して火星へ向かうのであった。

 

 

 

 




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