『ヤマトの世界は死亡率が半端ないから何とか生きよう』   作:零戦

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第三話

 

 

 

「艦長、前方に衛星エンケラドゥスです」

「おぅ、漸く見えたか」

 

 地球を出発してから六日、しぐれと輸送船二隻は無事に衛星エンケラドゥスに到着した。

 

「敵ガミラスの揚陸艦がエンケラドゥスに不時着しているようです」

「……確かにな」

 

 不時着したような感じで撃破された揚陸艦はエンケラドゥスから噴射された水が雪のように降り積もっていた。

 

「索敵レーダーは全部感度を上げておけ。停泊している時が一番危険だ」

「はい、レーダー類は全て感度を上げておきます」

 

 後は輸送船がコスモナイト90の鉱物を採掘して積み込むだけだな。

 

「それじゃあ俺は少し休憩する。何かあったら連絡してくれ」

「判りました」

 

 俺は一日振りの休憩にありつける事が出来た。(トイレ行く時以外はずっと艦橋にいた)

 

「……休憩するにしてもベッドだけだしな……」

 

 艦長室はあるが、ベッドと小さな机のみだけだ。

 

「……佐渡先生から貰ったリハビリの紙でも見てリハビリしとくか」

 

 結局、休憩が終わる十分前まで俺はリハビリを続けたのであった。

 そしてコスモナイト90の積み込みは一日過ぎた0725まで続けられた。

 

「艦長、二隻の輸送船からコスモナイト90の積み込み作業を完了したと……」

「よし、0735に発進する。全艦発進準備にかかれッ!!」

「了解ッ!!」

 

 そして十分後の0735に三隻はエンケラドゥスから発進して一路地球に向かうのであった。

 

「ガミラスからの攻撃が無い事を祈るだけだな」

「……そうですね」

 

 俺の問いに川崎副長はそう答えた。それから六日後、祈りが通じたのか何とか三隻は地球に帰還する事が出来た。

 横須賀基地に到着した三隻には基地の兵士達から拍手が送られてきた。

 

「……何とかなったな」

「艦長、第一艦隊司令官の土方宙将から電文。「直チニ司令部ヘ出頭セヨ」です」

「人使いが粗いな土方宙将は……仕方ない、行くとするか。副長、悪いが後は頼むぞ」

「判りました」

 

 俺はしぐれを副長に任せてキリシマの司令部へ出頭した。

 

「八雲、入ります」

「うむ」

 

 部屋に入ると、土方宙将は机で書類処理をしていた。

 

「……八雲、輸送任務御苦労だった」

「は、ヤマトがガミラス艦隊を駆逐してくれたおかげで何とか出来たものです」

「うむ、君が運んでくれたコスモナイト90のおかげで艦艇建造も捗る。何せ船体は完成しているが肝心の波動エンジンが製造出来んからな」

 

 俺達が持って帰ってきたコスモナイト90によって波動エンジン搭載艦を建造するらしいからな。

 

「そして八雲にはまた輸送任務に付いてもらいたい」

「判りました。シグレに戻って準備します」

「いや、シグレではない」

「え……?」

「八雲、君には新造の巡洋艦センダイの艦長をやってもらう」

 

 土方宙将はそう言って人事異動の書類を俺に渡してきた。

 

「波動エンジンを搭載した村雨型巡洋艦ですか?」

「そうだ。君が持ち帰ったコスモナイト90で波動エンジンを搭載させられるからな」

 

 そして書類には一尉から三佐へ昇進するとの事だった。良いのか昇進して……。

 

「新たな輸送艦隊は巡洋艦一、駆逐艦五、輸送船七隻だ」

「責任は重大ですね。健闘は尽くします」

 

 そして俺はシグレ艦長から巡洋艦センダイ艦長へと異動した。

 

「……まさか副長はお前だとな」

「土方司令官の配慮でしょうね」

 

 センダイ副長はシグレ副長だった川崎一尉だった。他の艦橋スタッフもしぐれから異動したみたいだ。ただ、戦術長は違う奴だ。

 まだ来てないがな……。

 

「遅れてごめんなさいねぇ。私がセンダイ戦術長の西行幽々子よ」

「……何でお前なんだよ幽々子……」

「知り合いですか艦長?」

「……同期だ」

「宜しくねぇ」

 

 幽々子はそう言って他の奴等に挨拶をしている。それと、東方が好きな読者はお気付きだろう。この西行幽々子、名字が西行以外は東方projectの西行寺幽々子にそっくりだ。

 俺も最初は嘘かと思ったが声も夢想夏郷で担当しているあの人に似ている。今もトレードマークであるZ〇N帽を被っているし大食いも備えている。(胸もかなり大きいがな)

 恐らく、イレギュラーの俺がいるから少し世界観が狂っているのかもしれないな。

 まぁ、月の超年増がいたら無条件で納得したがな。

 

「……まぁ良いや。それと輸送艦隊は新たに第一輸送艦隊と名を変える。各員出撃作業を怠るな」

 

 俺はそう言って艦長室に向かい、机に座ってセンダイのデータを見た。

 

「……光線砲を撤去して二十サンチのショックカノンか……」

 

 センダイには村雨型巡洋艦のように二十サンチ連装高圧増幅光線砲は搭載されておらず、代わりに二十.三サンチ連装ショックカノン三基を搭載している。

 今までの主砲は砲身が無い無砲身だが、ヤマトを真似て三八口径の二十.三サンチ連装ショックカノンに交換していた。

 

「……ま、戦闘にはならんと思うから大丈夫だと思うが……心配だな」

 

 俺はそう思った。まぁ艦載機は100式空間偵察機二機だから偵察飛行をさせて警戒するしかないな。

 そして訓練は僅か一日で一通りやって三日後に船団を率いて再びエンケラドゥスへと向かうのであった。

 本当は訓練をもう少しやりたかったが、コスモナイト90を収集して波動エンジン搭載艦を揃えたい上層部の思惑もあるから仕方ない事だな。

 

「駆逐艦ハタカゼが遅れています」

「速度を合わせろと伝えろ。全艦に波動防壁の故障は無いか確認させておけ」

「判りました」

 

 出てくるなよガミラス……。

 

 

 




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