『ヤマトの世界は死亡率が半端ないから何とか生きよう』 作:零戦
俺は土方教官と共に病室を出てとある会議室にいた。
「それで土方教官……失礼、土方宙将、自分に用とは一体……」
「……八雲、イズモ計画の事は知っているな?」
「はぁ、一応は」
というより、イズモ計画は俺も参加するように言われていたが、俺自身はヤマトに乗るのは恐れ多かったから断っておいた。
やっぱアニメを見てた人間には一度は乗ってみたいけどな。その分、死ぬ確率は多いけど。
「イズモ計画は一年前に破棄されてヤマト計画となった」
「ヤマト計画……」
……遂にだよなぁ。
「そこでだ。抜錨時にガミラスが攻撃をしてくるかもしれないからキリシマと共に出撃して月軌道上で待機してくれないか?」
「船の護衛ですか?」
「うむ、艦名は宇宙戦艦ヤマトだ」
「……日本人なら誰でも知っている名前ですね。それにしても戦艦ですか」
「あぁ、イスカンダルから波動エンジンの供与を受けた宇宙戦艦だ。今は残存する艦艇にも換装する予定だ」
ふむ……2199と旧作が織り交ざっているな。
「判りました。元聯合艦隊旗艦を守らなければなりませんね、リハビリを急がせてシグレに乗艦します」
「うむ、連続になるが済まない」
土方宙将とそう話して俺は中央大病院に向かってリハビリを始めた。
「うん? リハビリの日にちが早いのぅ。何かあるのか?」
「……ちょっと任務がありますから」
「……そうか、ならきつくしないといかんのぅ」
「……へ?」
その日のリハビリはかなりきつかったと記載しておく。きついすよ佐渡先生……。
そして数日後、ヤマトが発進するために月軌道にまで土方宙将が乗艦しているキリシマと共に駆逐艦シグレは出撃する事になる。
「ヤマトの警護か……ガミラスが来ない事を祈るしかないな」
「こんな時に来てほしくないですね」
出撃するシグレの艦橋で俺と川崎副長はそう話していた。まぁ惑星間弾道ミサイルが来るがな。
「索敵レーダーは感度を最大にしておけ」
「判りました」
さて、後は惑星間弾道ミサイルの到着だな。
そして惑星間弾道ミサイルは到着した。
「敵弾道弾、月軌道へ。本艦到達まで後六分三十秒ッ!!」
「間に合うのか?」
ヤマトの第一艦橋で戦術長の古代がそう呟いた。
「あ、月軌道に艦影ッ!! 第一艦隊旗艦キリシマと駆逐艦シグレですッ!!」
――戦艦キリシマ――
「敵弾道弾の回転軸を狂わせ軌道を変える。目標敵座標Bッ!! 全火器を一斉集中ッ!! 撃ェッ!!」
キリシマが全火器を発射した。
「キリシマが全弾発射ッ!!」
「全弾撃ェッ!!」
キリシマとシグレが攻撃を開始して惑星間弾道ミサイルに命中した。
「全弾命中ッ!!」
「………」
弾道弾は進路を変えたと思ったが噴射ロケットが作動して誤差修正をした。
「敵弾道弾、進路を修正しましたッ!! 高速プラズマの衝撃波が来ますッ!!」
「回避急げェッ!!」
キリシマとシグレは寸でのところで弾道弾を回避する事に成功したが、敵弾道弾はヤマトに向かって直進した。
「間に合うか……」
地上の映像を見ていたが、ヤマトは原作通りに抜錨して主砲で敵弾道弾を迎撃してこれを破壊した。
「ヤマト健在ッ!!」
「……危なかったな……」
実際知っていても冷や汗ものだなこれは……。
「ヤマトは?」
「安定翼を展開して上昇中です。合流まで後三六〇秒です」
そしてヤマトはあっという間に地球大気圏を離脱して我々と交差しようとした。
「キリシマが発光信号を送っています」
「我々も送ろう。ヤマトに発光信号、『必ず帰ってこい』。総員、ヤマトに敬礼ッ!!」
俺以下、艦橋にいた全員がヤマトに敬礼をした。ヤマトは速度を上げて月軌道を抜けて火星へと向かった。
「キリシマより発光信号。全艦帰還する」
「よし、帰還しよう。速度上げぇ」
キリシマとシグレは地球へ帰還するのであった。
――二月十六日――
この日、ヤマトから送られてきた報告で冥王星のガミラス基地は壊滅して地球に遊星爆弾が降る事は無くなった。
それは直ぐにニュースとして放送され、一先ず国民から安堵の息が出た。
嬉しい事なんだが、俺は第一艦隊司令官に就任した土方宙将に呼ばれた。
「八雲、入ります」
「うむ」
「司令官、御呼びとは?」
「うむ、実は輸送作戦を頼みたい」
「輸送作戦……ですか?」
「そうだ」
土方司令官はそう言って太陽系の地図を俺に見せた。
「報告ではヤマトは機関の修理に土星の第二衛星エンケラドゥスに放棄された採掘場でコスモナイト90を補給した。お前はシグレと高速輸送船でエンケラドゥスに向かってコスモナイト90を補給して地球に帰還してほしい」
「成る程、資源の輸送ですね。キリシマの出撃は無理なのですか?」
「キリシマは波動エンジンに換装中で出撃は無理だ。出撃出来るのはシグレしかない」
成る程ね。コスモナイト90の輸送か……。
「判りました。作戦が成功するように祈って下さい」
「頼んだぞ。出撃は1800だ」
そして駆逐艦シグレは高速輸送船二隻と共に横須賀基地から出撃したのであった。
「地球大気圏を離脱しました」
「よし、シグレを先頭に単縦陣とする。速度巡航」
「速度十エスノットヨーソロー」
そして三隻の艦隊は衛星エンケラドゥスへと向かった。
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