『ヤマトの世界は死亡率が半端ないから何とか生きよう』 作:零戦
「どうした新見!?」
「司令官、これを見て下さい!!」
新見がそう言って俺に映像を見せた。見せたのは勿論、白色彗星の映像だ。
「白色彗星が突然聯合艦隊にワープをしてきました。その影響でヤマト機動部隊はヤマトを残して壊滅、アンドロメダ以下の聯合艦隊にも多数の損害が出ました」
やはり損害は出たか。俺らも助けに行くか迷ったが……。
「全艦全速前進。聯合艦隊と合流する。空母は隼を出して聯合艦隊の上空警戒に勤めよ」
「私達も行くのかしら?」
「決戦だからな」
幽々子の問いかけに俺はそう答えた。空母翔鶴と瑞鶴からは隼が二四機ずつ計四八機が発艦をして聯合艦隊に向かったが……。
果たして間に合うかだな……。
「全艦砲撃開始せよ!! 怒りを込めて撃ち尽くせ!!」
アンドロメダの艦橋で白色彗星の本体と対峙する土方はそう吼えた。生き残りの艦艇はショックカノンの砲撃を開始した。
「……駄目です司令!! 周囲を覆っているガス帯により攻撃が命中しません!!」
「砲撃を続けろ!!」
土方はそう下して砲撃を続けるが、それでも攻撃はガス帯に阻まれた。
「司令、このままでは……」
「……」
副官の問いかけに土方は無言だった。そうしているうちに白色彗星から大型ミサイルが撃ち出された。
「大型ミサイル接近します!!」
「対空防御!!」
アンドロメダは素早く対空戦闘を開始して飛来してくる大型ミサイルを迎撃する。他の艦艇も迎撃をするが、回避に間に合わない艦艇はいる。
「巡洋艦デ・ロイテル、キャンベラ轟沈!! 更に戦艦ユタも撃沈!!」
「……(ここまでとは……白色彗星、侮りがたし……)」
オペレーターからの報告を聞きながら土方はそう思った。
「……(何か……何かないか……)」
土方はそう思い、白色彗星に視線を向ける。白色彗星は相変わらず上部の都市はガス帯で覆われている。しかし、下部の隕石はほぼ無防備のように思えた。
「……まさか……」
「後方から小型機多数接近します!! 味方の隼です!!」
何かに気付いた土方だったが、その時に旧式艦隊から発艦した隼四八機が飛来した。
「彗星上部はガス帯で攻撃は不可だな。ならば下部の隕石だ!!」
攻撃隊長の高橋三佐はそう命令をして四八機は一斉に彗星下部に向かっていった。
「大帝!! 此方も迎撃機を出されては……」
「慌てるなサーベラー。ゲーニッツ、直ちに都市航空隊を発進させよ」
「はは!!」
白色彗星の大帝であるズォーダーは慌てる事なく命令を出して下部の戦闘機発進口から迎撃戦闘機パラノイアが多数発進していく。
「(……しかし妙だ。何故地球は下部を攻撃するのか?)」
ズォーダーが平定した星々は都市を狙っていたが、全てガス帯に阻まれ戦う力を失い降伏していった。
「……まぁいい、奴等に止めを刺せ!!」
ズォーダーの命令により大型ミサイルは更に発射されていく。
「大型ミサイル多数接近します!!」
「迎撃!! 回避航行急げ!!」
百以上の大型ミサイル群をアンドロメダ以下の艦艇は回避しようとするが、半分近くはミサイルが命中して轟沈したり戦列から離れていく。
「ミサイル六本来ます!!」
「対空防御!!」
「ま、間に合いません!!」
そして迎撃から免れた二発の大型ミサイルがアンドロメダの後方に命中した。
「機関部に被弾!! 推進力が低下中です!!」
「ダメコン急げ!!」
「駄目です漂流します!!」
推進力が極端に低下したアンドロメダは漂流を始めてしまう。アンドロメダの漂流に他の艦艇は混乱をしていた。
「アンドロメダがやられた!?」
「落ち着け!! 態勢を立て直すのだ!!」
「正面に大型ミサイル直撃します!!」
「しま―――」
戦艦鹿島は大型ミサイルが艦橋に命中して爆沈してしまう。それは他の艦艇も同じ事だった。
しかし、そこへ旧式艦隊から第二次攻撃隊が飛来してきた。
「味方艦艇を援護する。大型ミサイルを叩け!!」
第二次攻撃隊隊長の嶋崎三佐はそう命令をして空対空ミサイルを発射して巡洋艦の直撃コースの大型ミサイルを撃破した。
「隼隊の援護を受けながら離脱する!!」
ガミラス戦役から生き残っていたベテランの艦長はそう判断をして最大速度で離脱していく。それでも戦おうとする艦艇はいたが、大型ミサイルの餌食となってしまった。
結果として、戦場から何とか離脱出来たのはアンドロメダを含めた戦艦五、巡洋艦十九、駆逐艦四七隻だった。
白色彗星は離脱した艦艇を追おうとせず、そのまま地球へ進路に向けるのであった。
「………」
「……長官、急ぎ非常時宣言を出すべきです」
一連の戦闘を視聴していた芹沢参謀長は藤堂長官にそう意見具申した。
「判っている。まずは大統領に報告をして――」
『それには及ばない藤堂長官』
そこへモニターが変わり、北米出身の地球連邦大統領が現れた。
「大統領」
『負けた……そうだね』
「只今残存艦艇を集結させるところです。まだ市民には報告をしないで頂きたい」
『もう遅い。既に市民には発表したところだ』
「な――!?」
大統領の言葉に藤堂は唖然とするのであった。