『ヤマトの世界は死亡率が半端ないから何とか生きよう』   作:零戦

11 / 12
第十一話

 

 

 

 

「司令官、ヤマトの電文を傍受しました」

「内容は?」

「ヤマト以下の機動部隊は敵白色彗星の敵機動部隊を攻撃、敵空母は全て撃沈した模様です」

「判った」

 

 ……ここまでは原作通りだな。 後は土方総司令がバルゼーを倒すだけだな……。

 

「ねぇ八雲君」

「どうした幽々子?」

「艦隊もアステロイドベルトから木星方面に進出したらどうかしら? もしもの事態に備えた方が良いと思うの」

 

 ふむ……幽々子の言葉も一理あるな。それに此方には旧式ではあるが鳳翔と鳳龍、最新鋭の翔鶴と瑞鶴の四隻があるから土方艦隊の支援も出来るな。

 

「……よし、艦隊は木星方面まで前進する。輪形陣を維持しろ」

 

 旧式艦隊はゆっくりと木星方面へ航行するのであった。

 

 

 

「ヒペリオン艦隊は出撃せよ!!」

 

 アンドロメダの艦橋で土方はそう指令を出した。それに呼応するかのようにヒペリオン宙域に待機していた栗田宙将補のヒペリオン艦隊がバルゼー艦隊の後方に展開しようとした。

 

「後方から地球艦隊!!」

「挟み撃ちのつもりか? 後方の地球艦隊の数は?」

 

 第六機動艦隊司令官のバルゼー中将はそう問う。

 

「大型艦一、中型艦三、小型艦八隻の艦隊です」

「……小規模艦隊か。恐らくは我が艦隊を撹乱するつもりだろうがそうはさせん。第二艦隊は回頭!! 敵艦隊を撃滅せよ!!」

 

 バルゼーの指令を受けた第二艦隊は回頭、照準をヒペリオン艦隊に定めた。

 

「敵艦隊の一部が回頭、此方に直進してきます!!」

「……敵艦隊は衝撃砲を使用する気だな。全艦隊列を解除!! 之字航行に移行しつつ砲雷撃戦始め!!」

 

 ヒペリオン艦隊旗艦香取の艦橋で栗田宙将補はそう指令を出した。艦隊は直ぐに散開して之字航行に移行して各艦は砲雷撃戦を開始した。

 

「何だあの回避は!?」

 

 第二艦隊司令官はヒペリオン艦隊の軌道に唖然としていたが砲撃命令を出した。第二艦隊は衝撃砲を使おうとしたが、之字航行で回避しているヒペリオン艦隊に命中するはずがなかった。

 

「よく狙うんだ!! 落ち着いてやれば必ず当たるぞ!!」

 

 栗田宙将補は戦術長を励ます。そのおかげなのか、香取の砲撃で大戦艦と駆逐艦を一隻ずつ仕留めた。だがそこまでだった。第二艦隊は正確な射撃をしてヒペリオン艦隊の艦艇はその数を減らしていった。

 

「ヒペリオン艦隊の戦況不利!!」

「………」

 

 副官の報告に土方はただじっと画面を見ていた。そしてヒペリオン艦隊は戦艦一、駆逐艦二、パトロール艦一にまで減少した。

 

「……残存艦は直ちに第一艦隊まで後退せよ!!」

 

 栗田宙将補は炎上する香取の艦橋に残っていた。艦橋にはちらほらと戦死した乗員が倒れていた。

 

「機関最大!! 敵艦隊に突入する!!」

 

 炎上する香取は最後の力を振り絞って第二艦隊に向かう。第二艦隊は正面から向かってきた香取に衝撃砲を放った。

 

「……無念だ。土方総司令、後を―――」

 

 栗田はそれを言う前に爆発に呑み込まれた。

 

「ヒペリオン艦隊壊滅!! 残存艦は駆逐艦シムス、ヴァンパイア、パトロール艦やまゆきです」

「……全艦砲撃用意!!」

「全艦砲撃用意!!」

 

 地球艦隊の第一艦隊はヒペリオン艦隊の残存艦を加えてバルゼー艦隊と艦隊決戦に赴いた。

 

 

 

「第一艦隊の状況は判るか?」

「……まだ受信出来ていません」

 

 木星方面に急行していた俺達だが、空母翔鶴が機関の故障で停止を余儀なくされていた。

 

「……アンドロメダの電文を傍受しました!!」

「よし、戦況は?」

「どうやら……ヤマトの機動部隊に艦載機の支援要請を発信したようです」

「支援要請? それなら此方も……」

「まだ早いと思うわ八雲君。此方のパイロットはヒヨコだらけよ」

「……確かにな」

 

 ヒヨコを戦場に送ったら鷹に食われるわな。

 

「……もう少し前進しよう。ただし警戒はしてくれ」

 

 潜宙艦でドカンとはなりたくないからな。

 

「……アンドロメダからの通信を傍受!!」

「通信内容は?」

「……回頭百八十度、反転攻勢に転じよです!!」

「……敵が何かの罠に引っ掛かったか。土方総司令の指揮なら……」

 

 勝てるな。それから十数分後にはアンドロメダから全艦宛として敵艦隊の撃滅を報せる電文が届いた。

 

「勝てたのは良いが……」

「残存戦艦十一、巡洋艦三二、駆逐艦七九隻は微妙なところねぇ」

 

 幽々子はそう呟くが、バルゼー以外の艦隊は恐らく小規模だろう。問題は白色彗星本体だな。上手くガス滞を凪ぎ払えるかだな。

 

「司令官、少し休憩されてはどうですか? 出撃してから一回も交代していません」

 

 船務長が不意にそう言ってきた。確かに出撃以降、ずっと艦橋にいたけどさ……。

 

「司令官、私も賛成です。十分でも休んで下さい」

 

 新見さんにも言われたよ。

 

「判った。十分だけな」

 

 俺は艦橋を後にして艦長室に戻る。

 

「……ふぅ」

 

 水を飲んで一息ついた。ベッドに倒れると寝そうだから止めとこか。

 

「八雲君?」

「ん? 幽々子か」

 

 幽々子が部屋に入ってきた。てか仕事は?

 

「航海長に任せたわ」

「お前な……」

 

 テヘペロすんな、可愛いだろうが。

 

「ねぇ八雲君……この戦、勝てると思う?」

「……勝つしかないんだよ幽々子。俺達に後は無いんだ」

「……そうよね。勝ってやまとで飲みたいしね」

 

 幽々子はそう言って笑う。

 

『司令官大変です!! 急いで艦橋に戻って下さい!!』

 

 その時、新見から連絡が来たが、まさか……。

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。