『ヤマトの世界は死亡率が半端ないから何とか生きよう』   作:零戦

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第十話

 

 

 

 

「これはどういう事だ土方総司令!!」

『白色彗星の艦隊を確認して集結命令を出させたまでだ』

 

 土方は防衛軍司令部と通信をしていた。勿論、独断専行をしている土方に抗議をしていた。

 

「土方総司令、防衛会議の決定まで待ってほしい」

『藤堂長官、防衛会議なんぞ待っていられません。そんな悠長な事をしていれば敵はあっという間に地球に接近します』

 

 新たに防衛軍長官に兼務として就任した藤堂平九郎極東管区行政長官はそう言ったが土方総司令に反論された。

 

「貴様は指揮系統を何と心得ているのだ!!」

『貴様に言われたくないぞ芹沢』

「ぐ……」

 

 土方総司令の指摘に芹沢は口をつぐんだ。芹沢自身、ガミラス戦役の時に幾度か現場の声を無視した独断専行をしていたからだ。

 

『藤堂長官、時間がありません。御決断を』

「………」

 

 土方の問いに藤堂は目を閉じて沈黙した。それを見た土方は帽子を深く被った。

 

『……それでしたら私の権限で全艦艇を集結させます。なにせ艦隊の指揮は私にありますからな』

「土方君!!」

 

 土方はそう言って通信を切った。

 

「長官!! 直ちに止めさせるべきです!!」

「………」

 

 芹沢参謀長の言葉に藤堂は沈黙を守るのであった。

 

 

 

「土方総司令から集結命令だと?」

「はい、我々旧式艦艇もタイタンに集結せよとの事です」

 

 全艦艇集結かよ、独断専行過ぎるぞ土方さん……。

 

「取りあえず補給が済み次第タイタンに向かう」

「それと艦長、補充要員が……」

「補充要員? 誰だ?」

「私よぉ」

「……何でいるんだよ幽々子」

 

 何故か艦橋に幽々子がいた。

 

「今日付で川内戦術長よ」

「……お前な……」

 

 人事部が阿鼻叫喚しているぞ……。

 

「俺は知らんからな」

「あら、八雲君なら大丈夫よ」

 

 幽々子はそう言った。それから出撃準備が整い、川内は他の旧式艦艇と共にタイタンに向かった。そして月方面を航行している時、防衛軍司令部から電文が来た。

 

「出撃を止めろ?」

「は、防衛軍司令部から先程の命令は土方総司令の独断だと……」

「……無視しろ」

「宜しいのですか?」

「……構わん。防衛軍司令部に打電、命令を出すのは土方総司令なりだ」

 

 防衛軍司令部からは何度か電文が来たが、他艦も無視していたらしい。

 

 

――タイタン基地――

 

 

 

「艦長、土方総司令から出頭命令です」

「判った。すぐ行く」

 

 はて、何かあったかな? 俺はすぐにタイタンの基地司令部へ向かった。

 

「八雲、参りました」

「入れ」

 

 長官室に入ると土方総司令がいた。

 

「八雲、君に来てもらったのは他でもない。君に旧式艦艇の司令官をしてもらいたい」

「旧式艦艇の司令官……ですか?」

「そうだ」

 

 土方総司令はそう言ってデータを見せた。

 

「タイタンに集結している旧式艦艇は村雨型巡洋艦八、磯風型駆逐艦二四、小型空母鳳翔と鳳龍だ。霧島は定期点検で動けん。動かせるのはこの艦艇だけだ」

「しかし、自分は三佐です。他の艦長達は黙っていませんよ」

「そこのところは根回しはしてある。というよりも他の艦長達も君の司令官には賛成している」

「え……?」

「ガミラス戦役を生き残っている旧式艦艇の艦長は君しかいないからな。他の生き残りは現役艦艇だ」

 

 そういやそうだったな。てか辞令が来てないから移動していないだけなんだけどな……。(後に判った事だが芹沢参謀長が俺を土方総司令と面識があったから土方総司令への妨害をしていたらしい)

 

「それと新造空母の翔鶴と瑞鶴も編入させる」

「あの五航戦ですか?」

 

 翔鶴と瑞鶴は大東亜戦争時に戦没した翔鶴型航空母艦の事だ。大気汚染で海が干上がった時に艦体を発見して回収、今は波動エンジンを搭載した本格的な宇宙空母だ。

 

「本来なら吉良宙将補の空母部隊に配備したいが、先日就役したばかりで第一線に配備出来ん」

「それを旧式艦艇の部隊に?」

「そうだ。これを見てくれ」

 

 土方総司令はそう言って俺に艦隊編成表を見せた。

 

「艦隊の大半はアンドロメダを旗艦とする第一艦隊に配備している。栗田宙将補のヒペリオン艦隊といった敵艦隊を撹乱させる小規模の艦隊しかない。旧式艦隊は火星宙域或いはアステロイドベルトに待機しておいてくれ」

「判りました。準備が整い次第出撃します」

「うむ」

 

 俺と土方総司令は互いに敬礼をして長官室を出た。

 

 

「司令官、ヤマトの機動部隊が出撃していきます」

 

 副長からそう報告がきた。今は艦長から司令官に昇格しているが、何か慣れないな……。

 艦橋から見ているとヤマトを先頭にした機動部隊が出撃していた。確か戦闘空母はアメリカのレキシントンにサラトガ、イギリスのフューリアス、グローリアス、ヴィンディクティヴの五隻だったな。

 

「……頼むぞ……」

 

 俺は宇宙に消えていく六隻の艦隊に敬礼で見送った。それから数時間後……。

 

「司令官、土方総司令から出撃命令です!!」

「判った。全旧式艦艇は出撃する」

 

 俺の命令は直ぐに旧式艦艇に伝えられ、川内から順次発進していく。旧式艦艇の発進を見届けた土方総司令は視線を参謀に向けた。

 

「全艦艇発進する!!」

「了解!! 全艦艇発進せよ!!」

 

 連合艦隊はヤマトの機動部隊を追うようにタイタン基地を出撃するのであった。

 

 

 

 




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