Dies irae ~Von der großen sehnsucht~   作:tatuno

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第七章です。
よろしくお願いします。


第七章

「おい羽矢。

どういうことだ。」

 

「……。」

 

羽矢は口をもぐもぐさせている。

 

「話が違うぞ。」

 

「……。」

 

羽矢は口に頬張ったパフェを飲み込み言った。

 

「え?」

 

「「え?」じゃないよ………。」

 

俺が言いたいことは一つだった。

 

「なんだよ!このパフェの値段!」

 

「払えるでしょ?」

 

「払えるよ!

払えるけども……7000円ってなんだよ……。」

 

「私パフェが1000円なんて言ってないよ。」

 

確かに言ってない。

つまりまんまと騙されたわけだ。

パフェなんて普段あまり食べないから標準の値段を知らなかったが、1000円と思い込んだ俺が馬鹿だった。

……7000円って。

財布が一瞬ですっからかんになる。

 

しかも時間内にこの巨大なパフェを食べろと?

無理だろこんな量。

ぼったくりじゃん…。

 

「ほら。祐君も食べて。」

 

「あ…ああ。」

 

これは羽矢に時間内に食わせるのは無理そうだ。

一人で完食の制限はない。

ならば俺も食べて財布の中身を守らなければ。

俺は羽矢からもう一つスプーンを受け取りパフェをついばみ始めた。

 

「これって……みたい。」

 

「ん?何か言った?」

 

羽矢が小声で何か言ったがよく聞き取れなかった。

 

「何も。」

 

なんで照れてるんだろう。

確かに周りから見れば恋人とかに勘違いされるかもしれないが、俺と羽矢はそもそもそんな関係じゃない。

変なやつ。

 

食べながら気づいたが、あっちの方にも巨大パフェを頼んでるやつがいる。

三人座っていて、男一人に女二人。

巨大パフェは女二人で一つずつ。

奢りとか言ってるけど、時間内に食べれなかったら男が一万円以上も払うのか……。

気の毒だ。

でも、あいつどっかで見たことあるような……

 

 

 

 

 

 

………ってあいつ藤井蓮じゃん。

その横にいるのは確か綾瀬香純だったか。

うちの学校の表ミスの称号を持ってる人気者の。

 

目の前に座ってる金髪の女の子は誰なんだろうか。

留学生?

見たことないな…。

にしても、金髪の方食べるの早いな。

対抗して表ミスの方もがっついているが、あれは無理そうだ。

食べ切れなさそう。

 

「…あの人達友達?」

 

羽矢が聞いてきた。

 

「いや、隣のクラスなだけ。話したことはないよ。」

 

「友達ちゃんと作らなきゃだめだよ?」

 

「失礼な。ちゃんといるよ。」

 

何人かだけど。

 

「ほら…さっきから手が止まってるよ。残り二分しかない。」

 

見るとパフェは半分も減っていなかった。

 

「……絶対間に合わない。もう無理だ。」

 

 

この後大人しくパフェ代を払い、羽矢に夜まで買い物に付き合わされてしまった。

 

全部俺のお金で。


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