Dies irae ~Von der großen sehnsucht~   作:tatuno

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第六章です。
よろしくお願いします。


第六章

────少年。

 

御身には武器を取る資格がある。

 

いずれ降り懸かる災厄を振り切るためにも、この回帰の中で渡り合うためにも。

貴様は気付いているはずだ。

 

自分の何たるかを。

 

目を背けるな。

刮目せよ。

 

敵の闘志を。

自らの闘志を。

 

そして

自らの内の無の闘志を。

 

敵を過ぎろ。

友を過ぎろ。

 

我が槍で

 

全てを貫き通せ。

 

さあ、唱えよ。

御身の覚悟を。

 

己自身の渇望を!────

 

 

 

 

 

──────………。

 

…夢?

なんだ今の……。

 

夢なのに妙に鮮明に焼き付いている。

真っ暗闇の中に声だけが聞こえていた。

男の声だった。

聞いたことのない声。

勇ましく力強い。

幾つもの修羅場を乗り越えてきたようなイメージだった。

 

……ということはあの人か?

 

俺の聖遺物に宿る男の声だとすれば間違いない。

だとすれば仮にも尊敬している人物だし、嬉しいものだ。

目を背けるなと怒られたけど……。

 

期待に応えねばならないが、自分としては何から背いているのかさっぱりだ。

 

全く分からない。

 

まあそこらへんは後々考えよう。

 

今日は学校が休みで、昨日の夜にメールで羽矢から一緒に出掛けないかとお誘いが来た。

どうせ暇だったんで承諾してしまったわけだが。

 

今は朝8時ちょい過ぎ。

着替えて待ち合わせ場所に行けばちょうどぐらいの時間だ。

 

「……行くか。」─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────「遅い。」

 

「ごめん。ちょっと計算を間違えた。」

 

「ふーん…。」

 

羽矢はとても怒った顔で見ていた。

 

どこで計算を間違えたんだろうか。

思い当たる節がない。

 

「まあいいけど。祐君が数学が大の苦手だってことは知ってるし。」

 

「………。」

 

何も言い返せない。

ここ最近数学のテストで赤点すれすれの点数をとっている。

それだけでなく他のテストも数学に引っ張られるかのようにやや下がり気味。

 

対して羽矢はほとんどの教科が満点に近い。

 

もうこいつに何をやっても勝てない気がする……。

 

「……それはそうと何で今日は俺を誘ったんだ?」

 

「タワーにあるレストランのパフェが食べたい。」

 

「………は?」

 

「大きいサイズのパフェ。時間内に食べたらタダ。」

 

「………は?」

 

「時間内に食べたらタダ。」

 

「は?」

 

「パフェが食べたい。」

 

「………。」

 

どういうことだ?

奢って貰いたいのか?

でも時間内に食べたら金払わなくていいんだろ?

 

……………。

 

「あっ!

お前まさか保険のつもりで俺呼んだな!」

 

「別に。」

 

「いや、絶対そうだろ!こっち見ろ!」

 

なんだその顔。

超後ろめたそうじゃねえか。

 

「まあ……どうせ1000円ぐらいの値段だろ?

それなら払ってもいいぞ。」

 

「ありがとう。」

 

笑顔になった。

機嫌とれたなら、まあいいだろう。

高い買い物だけどこれぐらいなんとかしよう。

 

「じゃあ、行くなら行こうぜ。そのパフェ食いに。」

 

「うん。」

 

そして俺と羽矢はそれぞれの学校の事を話題にしながら、町の中心にあるタワーに向かった。


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