Dies irae ~Von der großen sehnsucht~   作:tatuno

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第四章です。
話の進み具合はあまり変わりませんが、よろしくお願いしますm(_ _)m


第四章

────「ちょ!ちょっとまっエボォッ!!」

 

「ほらほら!まだまだいくよ!」

 

「も、もうちょっと手加減を…アタッ!!」

 

「ちゃんと形をイメージしなさい!このくらいじゃ死なないとは思うけど…あなたもう満身創痍じゃない。」

 

「くッ!んなこと言われても…アデッ!!」

 

結果的に言えば、活動段階まではできてしまった。

攻撃をする際に攻撃範囲が延長するというのが俺の活動。

腕や脚が伸びるわけではない。

だが何故か狙って攻撃するとそこに届くのである。

この活動で俺は気づいた。

 

やはり博物館で見たあれだ。

主君に死ぬときまで忠を尽くした古今独歩の武将の武器。

俺はこの武将を知った時、彼みたいになりたいと思った。

あらゆる逆境に負けず、自分の信じる道を進む彼みたいに。

その尊敬する武将が持っていた武器を使えるとなると光栄ではあるが……。

よりにもよって聖遺物としてとなると複雑な気分だ。

 

「…って、ゴバッ!!」

 

「ちょっと何ぼぉ~っとしてんのよ!」

 

今俺は形成をするための練習みたいなものをしているわけだが…。

簡潔に言うと、ルサルカから手の平サイズの石を大量に投げつけられている。

 

ただ投げるだけならいい。

でもあいつの力はまず人外の力だ。

活動ができるようになって、俺の身体も少し強化されたがそもそもレベルが違う。

本人は仲間内では非力な方らしいが…。

 

何度も何度も石を投げられいくつかは避けきれずに当たっている。

 

「アハハハハッ!!」

 

なんか楽しんでるし…。

そうか…こいつドSか。

普段ぶりっこしてたのは猫を被っていたのか。

これがこいつの本性。

 

「へぶッ!」

 

いやこれ、下手すりゃ死ぬ。

こんなんでも非力なのは本当なんだろうが。

だからこそまずい。

コントロールが悪過ぎる。

さっきから頭に当たりそう。

さすがに頭に当たれば即死は免れない。

なんとか避けたり、活動段階を利用してやりくりしているが、このままじゃ埒が……。

いずれ本当に頭に直撃してしまう。

当たったら終わる。

 

死ぬ。

早く。早く形成を………って

 

あれ?

止まった?

 

…………石が全然飛んでこない?

急に飛んでくる石がピタリと止まった。

 

不思議に思いルサルカを見ると、彼女は遠くを眺めて突っ立っていた。

表情にはとても怪訝な顔。

何があったんだろうか。

 

「どうした?」

 

「……ごめん。ちょっと用事ができちゃったみたい…。」

 

また急に…。

 

「そういえば用事ができるかもしれないっては言ってたな。」

 

「ええ…。ついに鬱憤が爆発しちゃったみたいね…。」

 

鬱憤?鬱憤ってなんだろうか。

 

「こっちの話よ。あなたは知らない方がいいわ。

それにもうなんとなく形成のイメージは掴めてるんでしょ?」

 

「ああ…まあな。」

 

確かにもうイメージはできている。

後はもう出すだけの段階だ。

 

「それじゃあ大丈夫ね。悪いけど急がないと行けないから…。」

 

「おう。ありがとな。

ルサルカさんのおかげで助かった。」

 

俺の言葉を聞いた瞬間、ルサルカの顔は笑顔へと変わった。

 

「やっと名前で呼んでくれたね!うれしい!

でも、さんはよそよそしいから付けなくていいわよ。」

 

それはしょうがない。

俺は女子の名前を呼ぶときは絶対にさんを付けるようにしている。

呼び捨てにしてるのは羽矢ぐらいだ。

 

「今度呼ぶときは呼び捨てでお願いするわ。…それじゃあまたね。」

 

「まあ努力する…またな。」

 

こうして俺は今日の約束事を終わらせた。

つらかったけど、ルサルカもなんだかんだで良いやつなんだなと思った。

結構教えてくれたし。

でも、一体どうしたんだろう。

急に何かに感づいたように……。

 

分からないけど、確かに嫌な予感はする。

まあ気にするなと言われたし、考えるのは止そう。

 

それにルサルカから言われた通りイメージはしっかりとできている。

それが素直に出せれば……俺は次の段階に進める。

 

絶対にやってやる。

恐らく今後巻き込まれる事のためにも、俺は負けられない。

 

「……とにかく今は家に帰るか。疲れた。」

 

そうして俺は学校を後にし、今日を終わらせた───。


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