Dies irae ~Von der großen sehnsucht~   作:tatuno

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第二章です。
気長にお願いします。


第二章

次の授業は体育だ。

正直苦手。何で授業に体育があるかが分からない。

どうせなら体育は武道をやって欲しい。それならいろんな武道の経験があるから楽だ。

 

ていうか寝たい。

 

「屋上でサボってくる。」

 

祥二に言い残し、教室を出た。去り際、祥二はものすごい呆れた顔だった。

 

その後用を足し、トイレから出て屋上で寝ようと向かったのだが、そこにはルサルカ・シュヴェーゲリンと一人の男がいた。

 

「誰だっけ……。」

 

名前が出てこない。隣のクラスだった気がするが…。

 

「てか、あいつらもサボりか?」

 

次の体育は隣のクラスと合同で行われる授業だった。一人でゆっくり寝たかったんだけどなあ。別の場所探すかと思ったが

 

「ツァラトゥストラってなんだ?」

男がルサルカに言った一言。

 

俺はこの言葉に変な胸のざわめきを覚えた。

 

ツァラトゥストラ?

なんだそれ?

聞いたことない。

どんなものかも分からない。

なのに……

 

知っている?

 

既知感。そんなわけの分からない感覚。

 

彼─藤井蓮は質問を続けている。名前をやっと思い出した。

 

 

 

実は最近自分の異変に気づいていた。

 

 

変な既知感がある

痛覚が鈍い

勘が鋭くなったのも最近

 

そして──殺人衝動が起こる。

 

誰でもいい。

殺したくて殺したくて仕方がないって思う。

誰かが憎いわけでも、恨めしいわけでもない。

そしてただただ

 

 

「力が欲しい…。」

 

「…ねえ。」

 

俺の身体に何が起こっているのか……。

 

「ねえってば!」

 

「……あ。」

 

しまった。考え込み過ぎて気がつかなかった。

俺の目の前には話しを終えたルサルカが立っていた。

これはまずい。

 

「もしかして……話し聞いてた?」

 

「……ああ、聞いてしまった。」

 

いろいろ考えていたが話しはしっかりと聞こえていた。

彼女らが普通の人でないこと。

同じような仲間がいること。

何が目的なのか。

全部うやむやに答えていたので本解は全く分からないが…

 

蓮と何かあったことぐらいは分かった。

           

そして、ルサルカの影に何かがいる。

落下防止のフェンスが彼女の影に触れた瞬間ボロボロになってしまったのを見てしまった。

 

「まあ、あなたが普通の人なら内容は理解できないでしょうけど…………怪しいわねあなた。」

 

危険だ。

こいつに…いや、こいつらに目を付けられれば恐らく……

 

──死ぬ。

 

「殺さないわよ。」

ルサルカは呆れ気味に言った。

 

「今あなた殺されるって思ったでしょ?できないこともないけど私、無闇に人なんて殺したくないわ。」

 

できないこともないって……

人殺しをだぞ。こいつなに言ってんだよ。

 

「それに今そういう期間じゃないのよ。だから今は殺さない。」

 

今は……か。

期間外だからってのもおかしい話だが…。

 

ちょっと待て。俺が今気にするのはそこじゃない。

 

「…………怪しいってのはどういうことだ?」

 

「……あなたがもし、私の言ってることが理解できるならだけど。

何かの可能性があるわ。」

 

何かの可能性。俺の異変。

 

「…………もしも俺に…その何かの可能性があるというのなら

その力の使い方を俺に教えてくれないか?」

 

何かと言ったがなんとなくは分かっていた。

 

力だ。

俺にはルサルカと同じ力を持っている可能性がある。

そんな気がする。

 

「ふーん………あなた、敵かもしれない私にそんなこと言ってもいいの?

可能性の存在に明確に気づいているってことを公言したようなもんじゃない。今の。」

 

あ。

思ったことをつい口に出してしまった。

これは本当にまずい。

とか思いながら俺は再び黙り込んだ。

 

するとルサルカは急に笑い出し始めた。

 

「アハハ!あなた面白いわね!

あなたみたいな真面目な人私好きよ。

……いいわ。教えてあげる。」

 

正直びっくりだ。

俺も言ったあとにしまったと思ったが、ルサルカが言うことは全く予想してなかった。

 

「いい……のか?」

 

「どうせ今暇だし。もしかしたら後々役に立つかもしれないから、特別よ。」

 

敵かもしれないやつに学ぶのはどうかとも思うが、今はこれが最善な気がする。

自分の身体の異変を知らなければいけない。

それにルサルカは蓮との話で意味深なことを言っていた。それを聞く限りじゃこの学校のやつら全員が何かしらに巻き込まれる。

俺はそんな危険そうなことに巻き込まれたくない。

ならば、未然防止になるかもしれないことに手を出しても問題ないだろう。

それにルサルカは本当に俺を殺す気がないようだし、ないうちに利用しないわけにはいかない。怖いけど。

……でも一応感謝しとこう。

 

「ありがとな。」

 

「いえいえ。じゃあ今夜学校で待ち合わせしましょ!」

 

「分かった。」

 

このことは祥二にも言わない方がいいな。そもそも説明し難い。

 

「そういえば名前は?」

 

「ん?」

 

「名前よ!あなたの名前聞いてなかったわ。」

 

なるべく個人情報をこいつに教えたくないが…しょうがないか。

 

「龍野。龍野祐。」

 

「私はルサルカ・シュヴェーゲリン。よろしくね!ユウくん!」

 

 

「わっ!」

抱きついてくるなよ…。俺あんまりこういうの馴れてないのに。

ていうか馴れ馴れしい。

 

「ちょ…ちょっと離れて…。」

 

「いいウブな反応!可愛い!」

 

 

俺はルサルカのことを一瞬いいやつかなと思ったが、ちょっと苦手なタイプのようだ。


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