Dies irae ~Von der großen sehnsucht~   作:tatuno

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第十二章です。
よろしくお願いします。


第十二章

今は夕方頃。

あれからずっとふらふらと街を歩いている。

 

実は今日は月曜日で学校だったのだが、そこはサボリということで……。

というか今更行っても遅い。

 

結局あの時の祥二は何が言いたかったのかよく解らなかった。

前からああいうやつだったけれど……。

全てを見てきたような雰囲気。

 

まあ、さすがにそれはないはずだろう。

あいつの勘がそれほど優れているということだ。

だったら今まで通りあいつの言うことは聞くべきだと判断するが………。

 

果たしてこれでいいんだろうか。

祥二の話通りならば、予想を超える範疇で人が大量に死んでるということじゃないのか?

 

ならあの黒円卓の連中。

あいつらを止めるべきではないだろうか。

止める力もすでに持っている。

 

それに、藤井蓮。

あいつも仲間が多い方がいいはずだ。

明日の学校の時にでも話し合えば……

 

 

「ばあっ!」

 

「わっ!」

 

びっくりした…。

目の前に現れた見覚えのある少女。

 

「ルサルカ……。」

 

「次はさん無しで呼んでくれたわね。

元気にしてた?」

 

「……元気にしてたもなにも。

お前こそ学校来てなかったけど大丈夫なのか?」

 

「うーん。そこそこかな?

ところでユウくんはこんなところで何してたの?」

 

「まあ…いろいろあってな。」

 

ルサルカにこそ聞かなければならないことがある。

こいつはついさっき考えていた元凶の仲間の一人だ。

 

俺はルサルカと並んで歩き出した。

 

暫く沈黙が続いた。

ルサルカも何かを察してるのだろうか。

 

「…お前、今まで何やってた。」

 

「別に何もしてないわよ?」

 

「嘘を言っても無駄だ。

あの特訓の後とか、何かあったんだろ?

あの夜からの行方不明者。

あれに関係しているのは知ってる。」

 

「……あなたの友達から聞いたの?」

 

「まさか知っているのか?」

 

「さっき会ったわ。」

 

あいつ……。

ルサルカと接触する俺の友達なんて、祥二しか存在しないだろう。

 

「ああ。その友達から大まかに聞いた。

お前の所属する聖槍十三騎士団のことなんかをな。」

 

「あー……知っちゃったか。

何者か知らないけど、あなたの友達に私はとことん嫌われてるみたいね。」

 

ここまで一度も目を合わせていない。

気づけばまた公園へと戻って来ていた。

そこで俺たちは再び向き合う。

 

スワスチカが開いた影響か、人一人存在していない。

平日ではあるし、もう暗くなっているのもあるが…。

 

「あなたの友達に言われたわ。

利用しようとするなって。

彼の道は彼が決めるべきだとね。

まあ、確かに最初あなたを利用しようと考えたことは事実だし。それは謝る。

ああして面として言われちゃうと何もできないわ。

だからあなたも私たちの事に首突っ込んじゃダメよ。」

 

「……。」

 

祥二のやつ。

随分勝手だ。

彼の道は彼が決めるとか言っておきながら、全く俺に決定権を与えていない。

 

「ルサルカ。」

 

ならば俺は、お前の言葉通り、俺の道を行かせて貰うことにする。

 

「俺はお前らみたいなやつらを知った上で見過ごす訳にはいかない。

お前の優しさには感謝するが、それでも止めなきゃいけない。」

 

普通のやつならそうするはずだ。

俺には止める術があるのだから。

 

「そう…。

実際あなたとは戦いたくなかったけれど、私も黙って殺られるわけにはいかないわ。」

 

俺とルサルカは身構える。

 

「にしても、初対面の怪しい男とよく何もいざこざなく話せたな。」

 

この俺の言葉にルサルカはふと驚いた顔をした。

 

「へ?男?

会ったのは女だったわよ?」

 

「……は?」

 

女?それって……。

 

 

 

 

 

───「龍野祐にルサルカ・シュヴェーゲリン。」

 

「ッ!」

「…!」

 

右側の方から聞こえた声。

急な殺気に悪寒が走る。

俺とルサルカは声が聞こえた所から距離を取るように飛び退いた。

 

見ると見覚えのある男。

 

「フハハ。少し気を張っただけでその飛び退きようか。」

 

カール・デーニッツがそこにいた。


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