Dies irae ~Von der großen sehnsucht~   作:tatuno

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この話はある男の物語を書いています。


行間

─────どれぐらい繰り返しただろうか。

 

記憶が次々と上乗せされる。

 

この風景は何回目だ。

もう学校は飽きた。

 

友達も同じことしか喋らない。

本当につまらない。

 

聖槍十三騎士団。

こいつらも何回同じことをするのか。

 

当初は巻き込まれるだけだった。

 

ただただ。

こいつらから逃げるだけの一般人────だった。

 

 

知らぬ間に俺にも同じ技が使えるようになっていた。

超人的な肉体を手に入れ、一般人とは程遠い存在に─────。

 

 

 

───そしてまたこの風景。

また同じ学校。また同じ授業。また同じ友達。また同じ会話。

 

もううんざり。

退屈。

 

今度は奴らに少し手を出してみた。

 

ヴィルヘルム・エーレンブルグ。

ルサルカ・シュベーゲリン。

櫻井螢。

ロート・シュピーネ。

トバルカイン。

リザ・ブレンナー。

 

みんな大したことはなかった。

だがその中のシュピーネが不思議なことを言っていた。

 

スワスチカ

黄金錬成

ヴァルハラ

エインフェリア

などなど。

ここにきて初めて聞く言葉だ。

 

その後、

ウォルフガング・シュライバー。

ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン。

エレオノーレ・ヴィッテンブルグ。

 

この三人が現れた。

今までの奴らより強かった。

 

苦戦したが、それでも倒した。

最後に残っていたヴァレリア・トリファを斬り伏せたが────

 

 

そこに二人の男が登場した。

 

ラインハルト・ハイドリヒ。

メルクリウス───カール・クラフト。

 

二人とも予想外の出来事とは言っているが、微塵もこの顔から予想外な感じではなかった。

特に水銀の名を持った男。

全てを見透かしているような顔だ。

なんでも分かっているような顔。

 

うざい。目障り。

こんな顔、見たくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────しばらく激闘を演じた。

 

何撃か当てているが、この二人はものともしていない。

どころかメルクリウスに至っては攻撃が当たる感触すらしない。

俺も一度も攻撃は受けていないが、このままではただの消耗戦。

こちらが疲れ果てて負ける。

その前に大きいダメージを一撃でも与えなければならないだろう。

 

気づけば俺のエイヴィヒカイトは次の位階へと達した。

 

 

 

創造(Briah――)

 

 

この位階なら─────

 

 

 

 

 

 

 

 

────だが無意味だった。

創造位階に達したところでこいつらに適うはずがなかった。

 

もう終わりだ。

殺されてまた、回帰するのか……。

またあの退屈な日々に

 

もう、嫌だ───

 

 

 

 

 

 

 

─────えっ?

お前ここで何やって……。

 

気付いていたのか。

それより──何庇ってんだ。

 

心臓をラインハルトに一突きされ絶命している。

俺のせいで──俺のせいでこいつは死んだのか?

 

お前はそもそも人を庇うような奴じゃないだろ。

何でこんなことを……。

 

 

「友を失うことは悲しいかね?

では、もう一度チャンスをやろう。

二度とこの恐怖劇(グランギニョル)に加わるな。

 

邪魔だ。

 

そこの友と、この永劫回帰が終わるまで、何度も何度も青春を繰り返すがいい。

覚えていればだが。」─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───再び時は戻った。

 

メルクリウスも案の定、俺の記憶も能力も元に戻らないことに気付いていない。

それがバレれば癌細胞さながらに消されていただろう。

 

もう俺は仲間をあんな死に方にさせない。

二度と巻き込まない。

 

 

 

 

 

 

───と思ったのに。

何でお前は奴らに接触している!

 

それにまさかエイヴィヒカイトを?

 

今までと違う。

 

 

まさか。

 

そんな、まさか────。


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