Dies irae ~Von der großen sehnsucht~   作:tatuno

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第十一章です。
よろしくお願いします。




第十一章

────「おう。」

 

「祥二…。」

 

今の時間帯は昼一時頃。

祥二と待ち合わせしていたので公園に今到着した。

 

「お前の送ったメール。

アレはどういうことだ。」

 

聞きたいことが山積みだ。

内心信じられない自分がいる。

 

「まあ落ち着け。龍野。」

 

打って変わって祥二は至って冷静だった。

 

「まずは謝る。ごめん。」

 

と頭を下げた。

 

「何で謝る…。

別に俺は怒ってるわけじゃない。

後ろめたいことがあるなら、まずはいろいろ説明してくれ。」

 

ゆっくりと祥二は頭を上げる。

 

「隠してたことを謝らなければと思ってな……。

まずはお前の察しの通り、俺はお前と同類ってことだ。」

 

同類。

つまり祥二も聖遺物、エイヴィヒカイトの力を持っているということ。

 

やはりと言えばやはりだが…。

 

「一応聞かせて貰うけど、何で話さなかったんだ?」

 

「理由は二つ。

まず一つが、お前のことは最近気づいた。

お前とルサルカが接触しているのを気づいた時に、まさかと思ったんだ。」

 

「ルサルカが聖遺物を持っていたのも知ってたのか。」

 

「ああ。

ルサルカ・シュベーゲリン、それと櫻井螢。

あいつらに関してはすでにな。」

 

「すでに?」

 

「それは追々話すよ。

後もう一人いるが…。

お前がこっち側の人間だって確信したのは昨日だ。」

 

「昨日のこと見てたのか?」

 

「いや、見てはいない。

気配的なものかな?

明確ではないけど、お前の気配が強くなるのを感じた。」

 

「お前そんなもの分かるのか?」

 

「特に同じ力を持ってるやつのはな。

お前だってそれぐらい分かるだろ?大体。」

 

まあ、確かにルサルカや櫻井の異変にはすぐに気づいた。

それに昨日の永篠やデーニッツだって同じように。

明らかに何かが全然違うと。

 

「それにしてもお前のことは全然気づかなかったが……。」

 

「ああ……それも追々。

お前に一つ聞きたい。」

 

「なんだ?」

 

「昨日お前らが戦ったやつらはどんな奴らだった?」

 

どんな奴らって言われてもな……。

 

「名前は永篠高士。もう一人はカール・デーニッツって名前だった。

なんかとりあえず危なそうな雰囲気は出してたよ。」

 

「デーニッツ……。

こっちも結局はドイツ絡みか……。」

 

「ドイツ?

どういうことだ?」

 

祥二は近くにあったベンチに腰掛けた。

 

「まずはこの街に起こってることを説明しなきゃいけない。

お前も座れ。長くなる。」

 

「ああ…。分かった。」

 

俺がベンチに座ると、祥二はこの街のことについて話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

──────聖槍十三騎士団。黒円卓。

 

第二次世界中。

ナチスドイツの裏で結成された十三人の集団。

 

最初はただのオカルト集団だったらしい。

 

ラインハルト・ハイドリヒ。

この男によりこの集団は化け物となった。

聖遺物を操る呪術エイヴィヒカイトを操る異能の集団に──。

 

正確に言えば彼についているメルクリウスという男の秘術らしいが……。

 

二人の男、ラインハルトとメルクリウス。

こいつらが今街で起こっている異変の全ての元凶。

スワスチカというものを開き何かを企んでいるんだという。

 

それが猟奇殺人や行方不明者などと関わっているらしい。

 

具体的な目的は祥二は教えてくれなかった。

このことに首を突っ込んでは駄目だと。

 

 

「藤井蓮」に任せるべきだと。

 

 

彼もやはり関わっていた。

祥二のあの時の言葉はそういう意味だったのかと思い出す。

 

藤井蓮と話すな。関わるな。

 

もし、首を突っ込めば

メルクリウスとやらに踊らされるはめになると。

 

繰り返されるの意味がよく分からなかったが、このことも祥二は口を濁した。

 

結局大事なところは教えてくれてないような……。

 

とにかく、このメルクリウスという男。

こいつは危険だということか。

 

 

だが、祥二としては一つ問題があるらしい。

 

昨日現れた永篠高士とカール・デーニッツ。

こいつらが分からないという。

 

急に現れた。

今まで存在していなかったと。

明らかにこいつらは物語の異物。

 

祥二はそう言う。

 

何をするか分からない。

何を目的としているのかも。

 

「分かったのはそのカール・デーニッツってやつが世界大戦中の人物ってことだ。

最初は黒円卓と何か関係があると思ったんだが、そうじゃないらしい。

そもそもデーニッツは俺の知る限り聖槍十三騎士団のメンバーじゃない。」

 

一体何しにこの街に……と祥二は唇を噛む。

 

うーん。

ちゃんと聞いているものの、訳が分からない。

話の核心を濁しているから、理解しようにもできない。

いずれ分かると祥二は言ってるが……。

 

「まあ、何にせよだ。

そいつらも危険人物であることは間違いない。

だから、お前に少しでも情報を聞き出そうと思ったが……。」

 

「俺も急に襲われたから正直あいつらの目的は分からない。」

 

というかお前も分からない。

 

「そうか……。すまないな。

いろいろ話して。」

 

「本当だよ……。

そもそも何でお前は、そんないろいろと知っているんだ。」

 

祥二はベンチから立ち上がった。

 

「………追々話すよ。」

 

またそれか。

ていうか隠してることに対して最初謝ったのにまだ何か隠すつもりなんだろうか。

 

「とにかくお前も恐怖劇(グランギニョル)に巻き込まれずに頑張れ。

メルクリウスに目を付けられないようにな……。」

 

と言い残し祥二はその場から去っていた。

俺は話に対しての疑問符が一向に止まらず、しばらくその場から俺は動くことができなかった。─────


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