Dies irae ~Von der großen sehnsucht~   作:tatuno

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第十章です。
よろしくお願いします。


第十章

あの後、無事に家に帰ることができた。

傷は負っていないが、疲労が溜まっている。

早く寝たい。

 

そして、今後のことについていろいろ考えたい。

恐らくあいつらとはまた戦うことになる。

 

まだ本気を出していないと言っていたのが気掛かりだ。

なにか対策を練る必要があるが……

 

「ねぇ。聞いてるの?」

 

「……ごめん。聞いてなかった。」

 

だが、今はこの状況である。

部屋で羽矢に説教されている真っ最中だ。

 

家に帰ってみると、羽矢が心配して家の前で待っていた。

それと連絡したらしく、祥二も待っていた。

それともう一人。

 

「でも無事で何よりだと思うけど……。」

 

この男は島谷翔。

 

俺の中学生の時の友人で、羽矢と同じ高校へと通っている。

今も交友関係である。

 

「お前は黙ってろ。」

 

「うるさいシスコン。」

 

ちなみに祥二とは何故か仲が悪い。

 

「あ?お前に言われる筋合いはない。」

 

「まあまあ。

二人とも落ち着いて…。」

 

「…祐君聞いてるの?」

 

「はい。」

 

本当になんだこの状況。

 

「前からだよね。

さっきみたいにすぐ人を庇おうとする癖。

公園でもそう……。

あの時は気が気でなかったし、何も言わなかったけど。

そんなことだとすぐに早死にするよ。」

 

「でも、人間らしいだろ?」

 

「全く人間らしくない。」

 

「……ごめん。」

 

でも、俺はそんなことを考えていたんじゃない。

 

「羽矢を大事に思って、あの時は言ったんだよ。」

 

「何それ……そんなの、本当に…ずるいよ…。」

 

ずるいのというのが分からないけれど、そう思ったのだからしょうがない。

 

現にあいつは羽矢に目を付けていた。

あの場では逃がして確実に正解だった。

それとこの力のことも何て説明すればいいか分からない。

 

「取り敢えず、もう俺のことは大丈夫だから帰れよ。

もう遅いし。」

 

これを聞き、祥二は島谷とにらみ合っていたのを止めた。

 

「確かに大丈夫そうだし。もうここらで帰ろう。」

 

「俺に命令するな。」

 

「まだいいでしょ。」

 

島谷は祥二を睨みつけ、羽矢は何故か俺を睨みつけている。

 

「親はいないし、遠慮がないのは理解できるが、俺はもう疲れてるんだ。」

 

「祥二が言うならともかく、まあ、龍野に言われちゃしょうがないな。」

 

「じゃあ私は残る。」

 

お前も帰れよ…。

 

「二人共、悪いが羽矢を送ってくれないか?」

 

 

その後、ごねる羽矢を二人はなんとか連れて帰ってくれた。

 

本当に今日は疲れた。

 

三人が帰ってから俺は汚れた体を風呂で洗い流し、そしてベッドに吸い込まれるように眠った。────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────ああ。ここか。

 

あの立て札があるってことはここは……

 

「一言坂だ。」

 

俺の考えを汲み取るような一言を言って、腕を組んで大男は立っていた。

 

「忠勝さん…。」

 

「さんなどとよそよそしい。

忠勝と呼べばいい。」

 

やはりこの男は紛れもない本多忠勝らしい。

まさかこんな形で会えるとは思わないだろう。

 

「流石にさんは付けさせてもらいますよ。

俺はあなたを尊敬しているんで。」

 

「フッ。何も尊敬されるようなことをしていたつもりはないのだがな。」

 

戯れ言をと忠勝は言う。

 

実際に憧れを抱いてるのは本当なんだけれども。

 

「そういえば忠勝さん、いくつか聞きたいことがあるんだけど。」

 

「何だ。」

 

こうやって話す機会があるのなら、せっかくだしいろいろ質問しておくべきだ。

 

「まずは、とっくに死んでいるはずの忠勝さんは何故ここに存在して?」

 

「知らん。」

 

「幽霊ということで?」

 

「さあな。」

 

「じゃあ、あの聖遺物の槍は本物の蜻蛉切?」

 

「どうだろうな。」

 

うーん……。

なんかこの人何も知らないな…。

 

「気づいたらこうなっていた。

どのような経緯で聖遺物へ宿ったのかも分からん。

貴様に会ったのは…………。」

 

「?

どうした?」

 

何かを思い出したようだ。

 

「博物館にいた時だ。

女が話しかけてきた。」

 

「女?」

 

「ああ。見えていたわけではない。

だから顔は見ていないが、その女が言っていた。

彼に力を貸して欲しいと。」

 

「彼って、俺のことか?」

 

「現にこうなっている。

拙者はお前を見た時にその「彼」だと思った。」

 

その誰か分からない女が俺に力を?

 

言っていることが本当なら。

今日起きたことも全てを見越していたことになる。

 

一体何者なんだ…。

検討もつかない。

 

「少年。

そろそろ時間だ。」

 

「え?あ、ああ。」

 

「誰かが貴様を呼んでいるぞ。」──────

 

 

 

 

 

 

 

そして目が覚めた。

朝だ。

まだぼーっとしている。

 

横で何かの音が聞こえてくる。

 

携帯のバイブの音。

その携帯を見ると、祥二からのメールだった。

 

開いて内容を見るが、

俺はその内容を見て一気に眠気が吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「話しがある。

昼に公園で待っている。

 

 

昨日のスワスチカの場所で。」


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