ハイスクールD×D Dragon×Dark   作:夜の魔王

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学期末

 オカルト研究会の部室にはいつものメンバー(・・・・・・・・)に加えて、スーツを着崩したアザゼルが来ていた。

「俺がこの学園に滞在できる条件はグレモリー眷属の悪魔が持つ未成熟な神器(セイクリッド・ギア)を正しく成長させることだ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』ってけったいな組織の抑止力の一つ――特に対『白い龍(バニシング・ドラゴン)』専門だな」

「ハハッ、そりゃ面白いや」

 そう言って笑ったのは、オカルト研究会の部員の一人、黒縫朧だった。

「いや、お前何でここにいるんだ?」

「部員だからだ」

「いや、お前敵だろ」

「その前にここの生徒で、ここの部員だよ」

 アザゼルに何事も無いかのように答えた。

「まさかあなた、スパイじゃないでしょうね?」

「ハハハ、逆スパイならしてやってもいいですよ」

 きつい目つきで睨むリアスに、朧は笑って返した。

「信用できないわ」

「でしょうね。ふぅ……俺の信頼はどこからも最底辺ですねぇ。一部を除いて」

 朧はため息を吐いた言葉は、誰の耳にも届かなかった。

「俺のことは気にしないで続けてください。何を聞こうと言うつもりはありませんし」

 そう言って朧はソファに横になった。

「そういや、さっき何で面白いって言ったんだ?」

「そうだったな。白龍皇は他数名と独立したチームがいる事はご存知ですか? 一応俺が作ったようなものですが」

「ああ。判明してるメンツは白龍皇と孫悟空をだけだけどな」

「残りのメンバーとオカ研のメンバーとの対比がそれなりに面白いんですよね。ちなみに俺もその一人ですが」

 朧はそう言って、木場とゼノヴィア、それに小猫へと視線を向ける。

「どういうことだ?」

「これ以上は内緒です。言ったら面白くないでしょう?」

 そう言った朧は不貞寝(ふてね)するかのように転がった。

「それじゃあ、話を戻すぜ。聖魔剣の。お前、禁手(バランス・ブレイカー)状態でどれくらい戦える?」

「現状では一時間が限界です」

「駄目だな。最低でも三日は()たせろ」

「俺は限定条件付きで十秒ですけど……」

「話にならん。お前は一から鍛え直す。白龍皇は禁手(バランス・ブレイカー)状態で一ヶ月は保つぞ」

「そんなに長いのにどうやって測ったのか?」

 一ヶ月間鎧で過ごしていたと考えるとシュール過ぎる。

「そういうお前は、どれくらい続くんだ?」

「いえ。俺は禁手化(バランス・ブレイク)なんてできませんよ」

「何?」

「嘘じゃないですよ。禁手(バランス・ブレイカー)なんてそうそう至れるものでもないでしょうに。しかも俺は最近まで普通に生きてたんだから、そんな生き方で禁手(バランス・ブレイカー)になれるようなら、禁手(バランス・ブレイカー)禁手(バランス・ブレイカー)と呼ばれてないでしょう?」

「そうかよ」

(まあ、実際は一度至りかけたんだけど)

 

 アザゼルは朱乃とバラキエルに関する話をした後、一誠の方を向いた。

「おい、赤龍帝――イッセーでいいか? お前、ハーレムを作るのが夢なんだってな?」

「ええ、そうッスけど……」

「だったら俺がハーレムを教えてやろう。これでも過去に数百回ハーレムを形成した男だぜ?」

 それを聞いた一誠が感銘を受けたかのように目を見開いた。

「騙されるなイッセー。数百回形成したということは、数百回崩壊したということだぞ。しかもアザゼルは堕天使の幹部が次々と結婚しそうな中、一人だけ独り身街道まっしぐらなんだぞ」

「ちょっと待て! なんでそんな事知ってるんだよ!」

「風の噂で聞いたんだ」

 風は何でも知っていた。

 

「当面の目標は赤龍帝の完全な禁手化(バランス・ブレイク)。それとお前らのパワーアップだな。夏休みの間に修行して達成するべきだ」

「いいですね、修行。俺も昔やりましたよ。天界の居候連中相手に。たまに熾天使(セラフ)が出て来てマジ焦ったなぁ……」

「それしみじみできるようなエピソードじゃねえぞ。普通に考えたらトラウマもんだ」

「確かに、燃える天使とか夢に出てきそうですねぇ……」

 朧が天界にいた時、一番死にかけた時のことを思い出して、虚ろな表情で笑った。

 

「ククク、未知の進化を始めた赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)。それに聖魔剣。更に停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)だ。俺の研究成果を叩き込んで独自の研究形態を模索してやる」

 アザゼルは危険な笑いをした。

「あーあ、アザゼルの危険な一面が(あら)わになっちゃったよ。死ぬなよお前ら。――ところでアザゼルさんや、俺の神器(セイクリッド・ギア)は?」

「お前は既に独自路線走ってるから無理」

「見放された!?」

 


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