千雨は凡人(ただ)の女子中学生です   作:おーり

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お久しぶりの更新
おいおい、もう前話から1年半以上経ってね?
執筆に時間かけ過ぎじゃね?
書き辛かったらキンクリすれば良かったんじゃね?
でもこれはやっておかなきゃダメかなーって思(以下愚痴の為に省略



ナギ・スプリングフィールド杯、開催!

 

 

 『――優勝は、ジャック・ラカンあーんどハルハラ・ヤクミコンビィーーーッ!!!

  なんていうか他の選手との実力差が圧倒的過ぎて順当に過ぎる結末でしたーッ! 特にラカン選手がッ!』

 

 

 

 

 

 さて、時は流れてグラニクスより一ヶ月後の現在オスティア。

 とんとん拍子で事は進み、大人Ver.ネギ先生とラカンのおっさんの無敵コンビは、見事(かんたん)にオスティアで開催されているナギ・スプリングフィールド杯を制覇。

 賞金100万ドラクマは得られたから、先生の当初の(あくまで先生としての)目的である『ナギの過去』を教えてもらえる手筈に相成るわけだ。

 ……完全に先生だけの事情に此処まで引き摺られてきている現状に乾いた笑いしか生まれやしねぇな。

 マジでアタシら必要ないだろ? とっとと帰らせてくれよ麻帆良に……。

 

 

 

 

 

 『優勝おめでとうございますお二方! ところで順当すぎる結末でしたけど、何故ラカン選手は今大会に出場しようとしたのでしょうか?』

 

 

 

 

 

 若干白けた目で客席から舞台上へと視線を向けていると、時間が空いてしょうがないのか、実況のおねーさんが優勝コンビにインタビューをしているところだった。

 しかし観客も含めて、興味の程は大体がラカンへとベクトルが向いている。

 見た目がどうしたってピンクのモヒカンだからな、今のネギ先生は。ファンの方も実際それほど居ない状況らしいし、無理もない。

 

 

 

 

 

 『まあ気まぐれなんだけどな、こんな単調過ぎる結果じゃあ客共も納得もいかねぇだろう?

  ――つーわけで、俺様からちょっとばかしのサプライズを用意したんだ』

 

 

 

 

 

 あれ、やな予感。

 そう思った次の瞬間には、にやりと何か企んでいるような笑みを浮かべたラカンのおっさんは、傍に居るピンクのモヒカンへと全力のパンチを繰り出した――っておい。

 

 

 

 

 

 『ぬほぉッ!? い、いきなり何をするザンスかぁラカンさんッ!?』

 

 

 

 

 

 焦っているはずなのに、キャラを崩さずに緊急回避するネギ先生。

 そのキャラ、実は気に入っているのか?

 まあ、――もう無駄だけど。

 

 

 

 

 

 『言ったろ? 客だってイージーゲームなんざお呼びじゃねーんだよ。

  血沸き肉躍る、弱者が強者を食らおうとす(ジャイアントキリング)る意地。

  拮抗した実力者同士の、どちらが強いのだ、と手に汗握る緊張感。

  勝って当然、負かせて当然の、有象無象を有耶無耶に撒き散らす鎧袖一触なんかじゃねぇ――、

 

  ――コイツら(拳闘ファン)は、本物の漢の戦いって奴が観たいのよ。

 

  つーわけで、本気でや()り合おうぜ。ネギ(・・)……!』

 

 

 

 

 

 手を大きく広げて、会場中の観客らの、本当の欲求(要求)って奴を代弁するラカンのおっさん。

 ――だがそれに賛同する声は、今は一切無い。

 ついでに言うと会場は水を打った様な静寂に包まれたまま、観客の誰もが見入るだけで、声を発しようとはしなかった。

 何故ならば――、

 

 

 おっさんの拳は、外されたわけでは無かった為だ。

 

 

 ――取り外されたのは、サングラスに、モヒカン付きのかつら。

 白日の下に晒されたのは、赤き髪と端整な顔立ち。

 袖の破れた革製ジャケットを着たままではいるものの、そんなファッションなど取沙汰されない、会場が見知った顔が其処にはあった。

 

 

 

 

 

 『――…………! こ、これは、まさか……!

  な、なぁーんということでしょーうっ! ハルハラ・ヤクミ選手の正体は、あ、あの(・・)、ネギ・スプリングフィールド選手! かつて拳闘の話題を独占し! 姿を晦ませた伝説が! 今! 此処に再び登場しましたーーーッッッ!!!』

 

 

 

 

 

 ――………………にゃんだって?

 

 

 

     ×     ×     ×     ×     ×

 

 

 

 

 

 『さぁ! 俄然面白くなってきました!!! 【英雄の息子】(ヴイ)(エス)ッ【伝説の漢】ッ! 一時期拳闘士ファンの間でまことしやかに囁かれた夢の好カードが、今まさに実現と言うこの光景ッ!

  果たしてどちらに軍配が上がるのかッ! ワタクシもう目が離せませんッ!

  この勝負の行方! どう見ますか!? 緊急特別解説者のクルト・ゲーデル総督っ!?』

 

 『どうも、行方を晦ませた“彼”が公の場に現れたと聞いて飛んで参りましたオスティア新総督です。お気軽にクルトきゅん♪または総督ぅ☆と御呼びください。

  彼が行方を晦ませていた間、一体何処でどうしていたのかを問い質したいところですが、呼ばれた以上は仕事を済ませようかと思います。

  そうですねぇどちらか、と言えばラカン氏に軍配が上がるのではないかと推測します。あの人普通にバグキャラですからね。しかし、これまでのハルハラ・ヤクミとしての戦績を窺ったところ実力者としては十二分……。その上、件のバグキャラと唯一互角に渡り合ったその上を往くチート英雄の息子でもあるのですから、ひょっとしたら、という期待も込められそうな気もします。

  ……というか、もう見た方が早いので解説は控えましょう。ホラホラ、ネギ選手がラカン選手にフルボッコですよ? ここからどうやって戦況を覆すつもりなのでしょうね?』

 

 

 

 

 

 「…………おい神楽坂、ネギ先生ってひょっとして魔法界じゃかなり有名なのか」

 

 

 実況のおねーさんが興奮冷めやらぬ声で叫ぶと共に会場中が湧き立ち、解説席にいつの間にかいた原作と比べると若干マイルドにも見えるフライングスタート噛ました陰険眼鏡総督の解説を尻目に、目立たぬようにひと纏まりになっていた幼女集団の中で、アタシはあちゃーという顔をしている神楽坂にひっそりと問う。

 この中ではどうにも状況をよく理解していそうなのはコイツだけに見えた所為だ。

 アタシとしてはてっきり、ナギスプリングフィールド杯ということで赤毛親父のポスターがそこら中に貼り巡らされているから大人Ver.の実態を隠ぺいしていたのだと思っていたんだけどな?

 なんかさ、会場中というかさ、あのゲーデル野郎も含めて『もう一度現れた』っぽいことに興奮しているように聴こえたのは、気の所為じゃねえよなぁ?

 

 

 

 

 

 『ふげっ、ぶごっ、ひゅぐっふ! ちょ、ちょっとラカンさんッ!? 開始早々その戦法は卑怯が過ぎるぐんばっ!?』

 

 『フハハハハハハ! お前の“変身”を待つつもりは毛頭ねぇ! 悔しかったらタイムラグ無しで魔法を込める手段を構築していなかった己を呪うんだな!』

 

 『大人げない! 大人げなさすぎますラカンさん! しかし負けて堪るかっ! こんなこともあろうかとォッ!』

 

 

 

 

 

 「あー……」

 

 

 神楽坂は呆れたような、諦めたような、妙な貌で周囲を見回し。

 この場に居るのが龍宮・桜咲・朝倉・6号だけだということを確認し――?

 

 

 

 

 

 『解放(エーミッタム)! ・天の光は総て星(スターライトォ・アデルパ)ァッ!』

 

 

 

 『ほほう、遅延術式による魔法の時間差発動……そして完全光化魔法、ですか。面白い真似をしますねネギ選手は』

 

 『知っているのですか雷電もとい解説のクルト総督!?』

 

 『噂に聞いたことがある程度ですが、なんでも闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)が創り出した幻の術式だとか……。

  魔法と同化し高位精霊と同等の性質を備えるという闇魔法の究極奥義です。それを光魔法で兼ねるとは……』

 

 『闇と光が合体してすごく強そうに見えますね!』

 

 『まさにそれですね』

 

 

 

 『ちっ、やっぱり隠し持ってやがったか! 展開させないつもりで撃っても隙がねぇたぁ可愛くねぇガキだな!』

 

 『お褒めに預かりまして光栄です。……さて、ここからは僕のターンです』

 

 『……そいつはどうかな?』

 

 

 

 

 

 「6号ちゃん、パス」

 

 

 と、6号へと説明責任を譲渡した――って、おい。

 

 

 

 

 

 『来たれ(アデアット)!』

 

 

 

 『なっ、クっクルト総督っ!? あれが、あの伝説のッ!?』

 

 『そうっ! アレがジャック・ラカンのアーティファクトッ|千の顔を持つ英雄《ホ・ヘーロース・メタ・キーリオーン・プロソーポーン》ッ!! ……しかしどのような武器だとしても所詮は物理技、精霊に対応できると言えるかどうかは……っ』

 

 

 

 『……刀? しかしそれだけで倒せる程、僕の魔法は拙くは、』

 

 『そしてぇ、これが俺様流! 対術式兵装対応(・・・・・・・)剣技!』

 

 『えっ』

 

 

 

 

 

 「よろしいのですか?」

 

 「いやだってわたし解説キャラじゃないし」

 

 

 なんだその理由。

 

 

 

 

 

 『見様見真似! 斬魔剣弐の太刀ッ!』

 

 『ぐっはぁああああッッッ!!?』

 

 

 

 『ネ、ネギ選手が真っ二つにぃいいい!?』

 

 『えー……』

 

 

 

 

 

 「ではせんえつながら」

 

 

 と、語り出す6号。

 今更だが彼女の外見は、アタシらよりも少しだけ年上の見た目なので若干お姉さん的な空気を醸し出していた。

 そんな気がする。

 

 

 

 

 

 『――っ、ぐぅ! なんの此れしきッ!』

 

 『ハッ、やっぱり平気かよ。が、甘ぇ……!』

 

 

 

 『うわぁ……、分離したはずのネギ選手が無理矢理身体を両側から押さえて再生しましたよ……』

 

 『再生力特化、でしょうか……。いや、それにしたってそんな無茶がいつまでも続くとは……』

 

 

 

 

 

 「麻帆良で言う処の半年前。ネギくんはイギリスへと舞い戻りました。これはご存知ですよね?」

 

 

 ああ、そういえば……。

 アタシがより鮮明に覚えているのは『原作』を読んだ時の記憶の方だが、確かこっちの『本流』ではネギ先生はアタシらが3年に上がる前に一度、家出染みたエスケープを図っていたような……。

 なんだったっけ、確か2-Aが学年で1位を取れなかったから教師を辞めることになった、とかいう話だったか。

 ――……そもそも教育実習みたいな立場だったのに首が掛けられる麻帆良ってどうよ?って、その時思っていた気がする。

 ついでに言うと『アタシら』の成績をそのまま『先生の手柄』に換えられているみたいで、それを後から知ったときは普通にイラつかせられたな。コレは烏丸にも愚痴っていたから、よく覚えているわ。

 ……で、それがどうして此処に繋がる?

 

 

 

 

 

 『斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ!斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ!斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ!斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ!斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ!斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ!斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ!斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! 斬魔剣弐の太刀っ! もひとつおまけに斬魔剣弐の太刀ぃっ!』

 

 『ちょおま』

 

 

 

 

 

 「出戻りしたネギくんは卒業した魔法学園に戻ることを恥だと思ったのか、その足で魔法界へと密入国したんです」

 

 

 おい。

 

 

 「その果てに元老院辺りに唆されたのか、連れ戻しに魔法界まで赴いた烏丸さんたちが追い付いた時には拳闘八百長で連勝を重ねる大人Ver.ネギくんが」

 

 

 なんだその頭が痛くなる展開……。

 

 

 「そして、それをストップさせたのが颯爽と現れたレイヴーン・ブラック。鴉を模した仮面を被った彼が勝利することで、ネギくんは魔法界から麻帆良へと帰る決意を決めたのでした」

 

 「……何処から突っ込めばいいのかわからねぇ……」

 

 

 こめかみを抑えて頭痛を訴えるアタシに「鼻で嗤うといいですよ?」と付け加える6号。

 笑っても頭痛が治まるわけじゃねえんだからな?

 

 

 「ちなみに件のネギ・スプリングフィールド最終試合にお披露目となった、彼のフォトシリーズ【最後の姿Ver.】は現在でも非合法な界隈ではトレードも留まる事を知らぬ人気っぷり。拳闘ファンを自称するお嬢様方の社交場(サロン)では向こう3年はこの【祭り】が止め処なく燃え盛っており、彼の話題が下火になることはもうしばらく御座いません。ぷげら」

 

 「おいちょっと本気で待て」

 

 

 こめかみを押さえ、手の平を向けて説明をストップさせ、6号の口にした内容を吟味する。

 ……え? 今なんて言ったのこの娘?

 

 

 「フォト……?」

 

 「こちらになります」

 

 

 と、突き出されたのは、大人Ver.ネギ先生がバニーでスク水な恰好をした――目を疑いたくなる写真であった。え、誰得。

 

 

 「……こ、コレ、出回ってるのか? なんで?」

 

 「ですから、最後の姿がコレです」

 

 

 罰ゲームか何かだろうか……。

 それにしたって酷い。

 これが公になってんだとしたら、確かに表立ってあの姿(大人Ver.)で出歩きたくはねぇよなぁ。

 

 そんな感想を抱いて、改めて会場で拳闘(バト)ってる2人へと視線を戻す。

 

 

 

 

 

 『……ま、参りました……』

 

 

 

 

 

 ――刀を構えて仁王立ちのおっさんを前に、土下座で降参しているネギ先生の姿が其処に在った。

 

 ………………ちょっと目を離した隙にもう負けてるだと……っ!?

 

 え、いや待て待て何があったんだよオイぃっ!?

 

 

 





~斬魔剣弐の太刀
 原作ではクルトとの邂逅後に振るって見せたけど、アレ絶対普通に試合でも使えたよね?
 コミックス読むと次の巻で既にクルトに斬り払われたネギがいて、あの拳闘の大バトルなんだったのかと問いたくなるの


~スク水バニーネギ(外見ナギ)
 詳しくは『ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた』の20話辺りをチェック!(宣伝



遅れに遅れて申し訳ない
ネギマジが推薦文貰ったみたいなんで久しぶりに書いてみた
はて、面白さが足りない気がする

そして恐らくこの先シリアスが続く予定
書きたくねぇ…
…書かずにそらをUQ世界へぶっこむ二次でも始めちまおうかな(暴走

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