千雨は凡人(ただ)の女子中学生です   作:おーり

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魔法世界篇をやるんならやっとくべきかなーって(棒
前話に入れ忘れた感じの内容です


魔法淑女、脱げる…?

 

『オスティア記念式典警備兵選抜、百キロ横断箒レース!

 ルールは簡単! アリアドネーの市街を抜けて魔獣の森を迂回し、十個のチェックポイントを通過し、ペアでスタート地点へと戻ってくる! ただそれだけ!

 但し、30m以上の飛行は厳禁! しかし妨害は自由!

 直接攻撃系の呪文は学院の校則により制限されているからこそ、効果の認められる妨害は捕縛・幻惑・催眠、そして武装解除のみ!

 結果として凄惨なる『脱がし合い』のゲームになること間違いなし! の『女子校』ということもあって近隣住民には頗る好評な横断レースである!』

 

 

「そんなレースに私まで参戦することとなりました。がっでむ」

「……今のナレーションって、ミソラ?」

 

 

 アリアドネーで学ぶこと既に2週間、ちょくちょくカンニングペーパー代わりに烏丸先生の魔法講座を挟んでもらっている身で恐縮ですが、私はどうやら学院内では優秀な部類のようです。

 そんな折に開始された選抜試験。

 外様である私たち麻帆良組はスルーしてオスティア行きの船に相席してもらえれば良かったのですが、学院で学ぶ以上留学生も例外ではないとのこと。まあお客様扱いのはずの麻帆良生を、諸外国の文化の奔流とも呼べるお祭りに刳り出したら面倒事に巻き込まれました、等という事態には学院側もしたくは無いでしょうしね。いえ、決して問題が必ず起こると言っているわけでは無いのですよ。しかしかつての江戸時代の伊勢参りや紀元前のローマの様に、人口の集中が何かしらの問題も同時に孕みかねないソースが存在するというのも歴史が語る圧倒的事実。此処は淑として判定を受け入れるほかは無いのです。

 あとコレット、今のナレーションは間違いなく烏丸さんです。

 

 

『おっと、ばれたか』

「なんで広域念話でそんな発言をしたのかはわかりませんが、今ので学院内の女子からのイメージは圧倒的にアウェーですよ? というか貴方用事とやらは終わったのですか」

 

 

 念話が届く、ということは近場に居るということですよね?

 

 

『いんや? まだ調整ちゅー。でも高音さんとかゆえきちが脱げレースに出るって言うから! 思わずアリアドネー中に配奇兵を散りばめさせちゃった!』

「なんですかハイキヘイって……」

『魔法で作ったゴーレムみたいなやつ。低い魔力で大勢活用できて、映像をハイビジョンで色んな所へお送りできるんだぜ?』

「今すぐ撤廃しなさい覗き魔!」

 

 

 無駄に技術力が上がってます!

 ていうかオスティアからそれらを扱っているんですか!?

 

 

『えー? 各地の電光掲示板やご家庭にリアルな映像をお届けしたかったのにー』

「それで泣きを見る婦女子があまりにも多すぎます。本気でやめてください」

『ちえー。じゃあ学院内だけで済ませるわ。評価がきっちりと下せるようになー』

「そ、それをされると落ちこぼれとしてはちょっと恥ずかしいんだけどー」

 

 

 相方となるコレットがおずおずと手を挙げます。

 私がフォローするので大丈夫ですよ。

 

 

『おお、キミがうさちゃんな同級生かー。ゆえきちと仲良いんだってね?』

「は、はあ……。あの、ところでこの人誰? ユエのお兄さん?」

「あんな奴と血が繋がっているとか魔法世界が崩壊してもあり得ないのです」

『あれ、ゆえきっちゃん辛辣すぎじゃね?』

 

 

 そうなる原因を現在進行形で作っているのは何処のどいつですか。

 それといい加減にSOUND ONLYは止めにしたらどうですか?

 文句を言いたい人物は私だけではないのです。

 

 

「烏丸さん!? 貴方は一体何を、」

『おっと、サボりが見つかったわ。そんじゃまた後ほど』

『こらーカラスマー! マスターキーで何を遊んでいるん――』

 

 

 通話に対応していた手のひらサイズのアンノ●ンが、謎の女の子の声を最後に音声を一切発しなくなりました。

 通話を交換した高音さんの振り上げた憤慨は行き場をなくし、見ていてちょっと痛々しいです。

 

 

「………………」

「お、お姉さま……?」

「ふ、ふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふ……!」

「ひぃっ!?」

 

 

 あ、これ本気で怒ってるですね。

 

 

「あ、の、お、と、こ、はぁーーーーーーっ!? ワタクシを本気で怒らせたようですわねっ!? メイっ、文句の言わせぬ結果を捻り出してなんとしてでもオスティアへと行きますわよっ! そしてにっくき烏丸を焼き鳥にしてやるのですわっ!」

「お、お姉さま落ち着いてくださいぃーーーっ!」

 

 

 ……あー、まあ、いい具合に火が付いたようで何よりですね。

 で、美空さんはなんで出場しようとしないのですかね?

 

 

 

     ×     ×     ×     ×     ×

 

 

 

風花(フランス)武装解除(エクサルマティオー)!」

「にゃんノ! 熱波(カレファキエンス)武装解除(エクサルマティオー)!」

 

 

 二者がほぼ同時に放った術式の射線が、互いを撃ち抜く。

 が、効果が発揮されたのは片方のみ。

 口調のイントネーションにやや不具合の見られる女生徒の制服が弾け飛び、辛うじて無事であったレースのインナーと、それに包まれていたはずの豊満な白い双丘が顕わとなる。

 振えて弾むその柔肌を拝して歓声が、期待通りの光景を目の当たりにした通りを往く男性らから大きく沸き立った。

 それを咄嗟に羞恥で隠そうと、身を隠せる布を必死で探す彼女を尻目に、打ち勝った方の少女は悠々とスピードを上げて箒に跨り過ぎ去っていった。

 

 

「すごいすごい! 本当にユエの言う通りにやったら抜けれたよー!」

「油断は禁物ですコレット! 先ほど以上の大物がこの先に待ち構えていますよっ!」

 

 

 無事であったペアのコレットと夕映が通りを箒で飛び抜けて行けば、その先には夕映の言う通り。

 褐色肌のお嬢様と、麻帆良からの留学生代表が、激戦を繰り広げていた。

 

 

 

     ×     ×     ×     ×     ×

 

 

 

「……えー、いきなり地の文入って草不可避、という奴かと思われますが、解説の烏丸さん。あんた何口走ってんですか」

『いや、やるだろ? 目の前で艶やかなキャットファイトが始まったら実況入れるだろ?』

「何処の閃乱カ●ラっすか」

 

 

 ちなみに実況はワタクシ春日美空とココネたんでお送りしておりまーす。

 いやぁー、あんな脱げバトルに突っ込んでゆくような精神構造は持ってないっす。

 特にココネたんなんかを衆目に晒したりなんかしたら、後で鮫茶先生にどんなお説教を戴くことか。

 自分の身が可愛いのもありますけどね? あたしとしてはわっざわざオスティアとか行く目的もないですしー。

 ゲートが不通で帰れないとかって言っても、この地に骨を埋めればいいんじゃないっすかね(諦観)。

 

 

「つうか、なんであのお二方ガチのバトルに入りかけてるんすかね? 今んとこ捕縛系で応酬しているっすけど、すぐにでも魔法の射手をぶっぱしそうでちょい怖」

『さー? キャラが被っていて危機感でも感じたんじゃねーの?』

「まっさかー」

 

 

 ……いやいや、まさかね? え、マジじゃないよね?

 

 

『とっとと道をお開けなさいっ! ワタクシの目的のあの男ためにも、貴女なんかに負けるわけにはいかないのですからっ!』

『あ、あの男……? ――はっ! まさか貴女も(ピ―)様に……!? それならば……! 此処で負けてはセブンシープ家の名折れ、今こそ愛のために、負けるわけにはいきませんわーーーっ!』

『なんですって……! 愛……!?』

 

 

 あ、良かった。全然違った。

 ていうか、高音さんにエミリィさん。キャラ似ているお二方共々、色々今回はぶっ飛んでますなー。

 お、其処にゆえきちあーんどコレットのご登場っ。

 

 

『――加速(アクケレレット)

『えっ!? ユエっ、戦わないのっ!?』

『高音さんの黒衣の夜想曲は防御に特化しているうえに捕縛も出来る超高度な触手です。真っ向から撃ち合うのでは分が悪すぎるので、低速飛行で人の間を縫って突き進みます。事前に教えた空間把握術式を最大範囲に展開させてください』

『りょ、りょうかーい!』

 

 

 なんか聞いたことのない術式口走ったけど、

 

 

『一時的に脳処理速度を倍加させて自身の意識圏内の障害物を回避させるつもりか。人間に元々備わっている空間認識能力を強化する、身体強化魔法の部分強化版だな』

「く、詳しいっすね」

『つーか、俺が前に教えた奴だわ、あれ』

 

 

 あんたの功績かい。

 

 

『っ! ユエさん! お待ちなさいっ!』

『あっ、に、逃がしませんわっ!』

 

 

「っと、実況の合間に抜けて行ったゆえきち&コレットペア、トップに躍り出ましたー! 市街地を抜け脱出してゆく2人にやや遅れて、エミリィ・ベアトリクスコンビと高音さん・愛衣ちんコンビが順繰りに追いかけまーす!」

『コンビと聞くとお笑いみたいだな、あいつら』

 

 

『『聞こえてますわよそこの男ッ!?』』

 

 

 相互間の通信領域ぱねぇわ。

 どんなゴーレム使ってんの、烏丸っち。

 

 

『しかし、改めて見るとゆえきち箒の扱い上手いな。映画になった某魔法少年に匹敵するレベル』

「(魔法少年? って、あのパチもん臭いアレっすか。)あー、それは確かに。しかし本場の魔法学院に匹敵可能な技術力とかって、一体何処で修業していたんすかねー」

 

 

『――地獄の一丁目です』

『ユエ?』

 

 

 なんかぼそっと聞こえましたよ?

 

 

『地獄とは人聞きの悪い。旨い肉を狩れる代わりに強くなれる、最高の環境じゃないか』

「そこもあんたの功績かい」

『飴と鞭って奴だ』

 

 

『茨の鞭でしたけどね』(震え声)

『顔色悪いよユエ!? 大丈夫!?』

 

 

 つーか通信で漫才すんじゃねーっすよ。

 漫才の合間に後方のペアも追いついてきたご様子。

 魔獣の森を迂回中に、バトル勃発の予感かな?

 

 

『追いつきましたわよユエさんっ! いざ、尋常に勝負ですわっ!』

 

 

「委員長ことエミリィさんがゆえきちに勝負を仕掛けましたねー」

『なんでつっかかってんだあの娘?』

「彼女の剣幕からしてそれなりに因縁がありそうっすけど……」

 

 

『貴女があの(ピ―)=(ピ―――――――――)様と仮契約をしているなどと、認められるものですかッ!』

 

 

 わー、かなりどうでもいい因縁だったー。

 

 

「ていうかさっきからエミリィさんの台詞にところどころ違和感がすげぇんすけど。どうなってるんすか?」

『聞かせちゃダメな個人情報は情報規制がされるべきだろう』

「アンタの仕業かい」

 

 

 なにこの無駄に洗練された無意味に高性能な技術力。

 見事にネギ君の名前だけ聞こえないように、リアルタイムで音声調節しているとか……どんだけなのさ。

 つうか、エミリィ委員長には教えない方が良かったかなぁ、ネギ君関連の事実……。

 麻帆良のいいんちょと鉢合わせたらどういう化学反応が起こるんだろうねー。チョータノシミー(棒)。

 

 

 

 




~江戸時代のお伊勢参り
 当時最大級のホストクラブがあったのがその頃の主に婦女子に人気だった理由だそうで
 そりゃあお金も落とされますわ


~配奇兵
 適当な名称で名付けられた某魔法の鍵で形成された極小規模な人工魔獣
 形態は手のひらサイズのアン●ーン。攻撃受けると仲間を呼んで反撃に移ります
 多数集まるとイエッツラーでそれなりの魔法も扱えるように改造されているので、見かけたら喧嘩を売らずにスルーしましょうね?(マジキチスマイル


~パチもん臭い映画化した魔法少年
 時系列的には実はパチもんなのはネギのhおや?こんな時間に誰か来ry



結末はキンクリ
え、タイトル詐欺?
すまない、俺の執筆力ではこれが限界のようだ…

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