Gジェネ・・・新作でないかな?
ジェネレーションシステムの中枢へと向かったネェル・アーガマ改は、システムの暴走の原因であるバルバトスの熾烈な攻撃の中で被害を受けながらも撃破に成功した。
しかしバルバトスの撃破と同時にジェネレーションシステム中枢が爆発を起こし始め、艦長のゼノンはマーク達と増援として出現したユニコーンガンダムと黒いユニコーンを回収して脱出を図った。
爆発する外へと通じるルートの中を全速力で突き進むネェル・アーガマ改。激しく揺れるブリッジで懸命に進行方向を指示するゼノンのおかげで、ネェル・アーガマ改は無事ジェネレーションシステムから脱出する事が出来た。
だが、脱出したのもつかぬ間……ネェル・アーガマ改の進行方向の空間が歪み出し、ゼノンは最大戦速で離脱するように指示を出すが、既にネェル・アーガマ改は歪みの引力に引かれていた為、ネェル・アーガマ改は歪んだ空間へと吸い込まれてしまった。
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「むっ、ううん……」
意識を取り戻したゼノンは目を開けて周囲を見渡してみた。どうやらネェル・アーガマ改は宇宙空間を漂っている様で、ゼノンはブリッジクルーに声を掛けてみた。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ」
「うっ、ゼノン艦長……」
「大丈夫か、ニキ。他の皆は大丈夫か?」
ゼノンは隣の副長席でグッタリしている【ニキ・テイラー】の肩をゆすってニキを起こし、他のブリッジクルーである通信担当【ラ・ミラ・ルナ】。操舵担当【ビリー・ブレイズ】にも声を掛けた。
「う~ん……あれ…私…生きてる?」
「どうやらなんともないみてぇだな…」
ゼノンの声に目を覚ましたミラとビリーは、フラフラとしながらも立ち上がり、ゼノンの方を見た。見たところ怪我のない二人の様子にゼノンは安堵する。
「それにしても…ここは何処だ?ミラ、至急現在の座標を調べてみてくれ」
「はっ、はい!分かりました」
ゼノンの指示にミラはすぐさまブリッジのコンソールを操作してネェル・アーガマ改のいる現在の座標を調べ始めた。そしてゼノンは艦長席のコンソールを操作してMSデッキのマーク達に連絡を入れた。
「マーク、マーク!無事か?」
『………うっ、ゼノンか……どうなったんだ?』
「どうやら無事なようだ……そっちは大丈夫か?」
『まあ、何とか…全員MSに乗っていたから大丈夫だと思う』
「今、ミラに頼んで現在の位置を割り出してもらっているところだ。そちらの状況が一段落したらブリッジに集合してくれ」
『了解した』
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MSデッキに通信を入れてきたゼノンに答えたマークは、一先ずフェニックスガンダムのコクピットハッチを開いて外に出てみた。身体に感じる浮遊感に今いる場所が宇宙であると認識しながらもマークはその身を乗り出して地上に降りてみると、トールギスⅢとリ・ガズィ・カスタムにユニコーンガンダム、ビギナ・ロナとガンダムMk-Ⅴに黒いユニコーンが捕まれている場所に戦友達が集まっていた。
MSの足下にラナロウ、エイブラム、エルフリーデ、レイチェルがおり、エリスは銀色のロングヘアーの女性【エターナ・フレイル】にバルバトス戦での身を挺した時に怪我を負ったのか治療を受けていた。
「あっ、マーク」
「エリス、怪我のほうは大丈夫なのか?」
「大丈夫よ、怪我の方はそれほど酷くはないわ」
「かすり傷程度で済んだのはフェニックスゼロが貴女を護ってくれたからよ。感謝しなくちゃね」
マークの問いにエリスは平気だと答え、彼女の怪我の治療を施しているエターナは軽い怪我で済んだのは愛機であったフェニックスゼロがボロボロになりつつもエリスを護ってくれたおかげであると話す。
エターナの言葉にエリスは自分の愛機がいるハンガーを見てみると、そこにはバルバトス戦で大破状態のフェニックスゼロが置かれていた。エリスはボロボロの愛機に「助けてくれてありがとうね、ゼロ」と言って感謝の言葉を贈った。
「ところでユニコーンガンダムと黒いユニコーンに乗っていたパイロットはどうしたんだ?」
「それなら今、シェルド君とマリアちゃんが機体から降ろしているところよ」
マークの質問にエターナが答えると、二機のユニコーンのコクピットからシェルドとマリアが姿を現し、続いてユニコーンガンダムから白いパイロットスーツを着た人と黒いユニコーンから黒いパイロットスーツを着た人が降ろされ、パイロット二人は床に寝かせた。
「このパイロットスーツは、バナージ君やマークさんが着ていたのと同じやつですよね?」
「ああ、ユニコーンガンダムは特殊な機体だからな…スーツなしで生身で乗ったりしたら大変な事になる…」
「それよりこの人達を医務室に連れて行きましょう。先程から呼びかけても返事が無いんです」
「分かったわ。ラナロウ、エイブラム。あなた達はこの子達を医務室に連れて行くのを手伝ってくれませんか?」
「おう、分かった」
「了解した」
ユニコーンガンダムと黒いユニコーンから出てきたパイロット二人の着ているスーツは、かつてユニコーンガンダムが存在していた世界で出会った【バナージ・リンクス】と、マークがフェニックスガンダムに乗る前に乗っていた“こちら側”のユニコーンガンダムに乗っていた際に着ていたパイロットスーツと同じモノだった。
ユニコーンガンダムは使用している基礎フレーム全てにサイコフレームを組み込んだ【フル・サイコフレーム】を搭載している為、機体追従性が他のMSとは比較にならない程である。しかしその追従性によりパイロットに掛かる負担や、急制動などの掛かるGが尋常ではない為、機体に乗るには特殊パイロットスーツを着なくてはならない。
シェルドの質問にマークは答えると、マリアは降ろした二人のパイロットを医務室に連れて治療を施した方が良いと言い、エターナはラナロウとエイブラムに二人を医務室に連れていって欲しいと頼み、ラナロウとエイブラムは二人のパイロットを連れ、エターナとマリアは一緒に医務室へと向かった。
「黒い方も同じタイプのパイロットスーツだったってことは、この黒いユニコーンはユニコーンガンダムの後継機か何かなのか?」
『……それは……RX-0-2【バンシィ】…という…機体です…』
『!?』
医務室へと向かうエターナ、マリア、ラナロウ、エイグラムと謎のパイロット二人を見送った後、マークは二機のユニコーンのパイロットスーツの特徴が似ていることから、黒いユニコーンは同型か後継機か何かではないかとエリスと話をしていると、何処からか聞き覚えのある声がMSデッキ内に響き渡った。
「今の声は……アプロディアか?」
『はい…私…です…』
エルフリーデは先程の声の主がアプロディアではないかと言うと、マーク達はバルバトスの攻撃によって大破してしまったハルファスガンダムからアプロディアの声が聞こえ、マークとエリス、エルフリーデとシェルドはハルファスガンダムの方へと向かった。
「アプロディア、生きていたのか?」
『どうにか…ですが……しかし…ハルファス…ガンダムの…機能の…一部が…停止…しようと…して…います…このまま…では…何処かの…端末に…私を…』
「端末?ケイッ、ケイは何処ッ!?」
「ん、どうかしたのかい?」
マークはアプロディアが生きていたのかと質問すると途切れ途切れではあったがアプロディアは答えた。そしてハルファスガンダムの機能の一部が停止しようと話すアプロディアに、エリスはハルファスガンダムから別の端末に移せばアプロディアは助かるのではないかと考え、整備士である【ケイ・二ムロッド】を呼んだ。
エリスの声に他のMSのバルバトス戦での破損状況をチェックしていたケイが顔を出した。エリスはケイを急いで呼び、アプロディアの今の状況を説明した。
「事情は解ったよ。さあマーク、シェルド!あんた達も手伝いなっ!!」
「おっ、おう」
「はっ、はい!!」
アプロディアの事情を聞いたケイは、シェルドとマークに手伝うように怒鳴ると、二人は急いでケイの指示通りに動き出した。
ケイはこのネェル・アーガマ改のベテラン整備士であり、姉御肌で気が強い性格ではあるが、彼女の整備のおかげで数々の戦場でマーク達は救われている為、皆に慕われている。そのせいかリーダーであるマークですら逆らえない………
ケイの指示通りにハルファスガンダムのコクピット内の端末に幾つものケーブルを接続し、ケイは手持ちのコンソールを叩いてハルファスガンダム内に残っているアプロディアのデータを吸い出し、別の端末に転送した。その横でケイの指示を受けて大急ぎで動き回っていたマークとシェルドが息を切らせていた。
「これでとりあえずは大丈夫……かな?」
『ありがとうございます。もう少し遅かったら私は完全に消えていたでしょう』
タブレット型の端末に移されたアプロディアはケイにお礼を言うと、端末から立体映像として姿を現した。
「それよりアプロディア。さっき言っていたバンシィという名前……あれがあの黒いユニコーンの名前なのか?」
『はい。あの機体はユニコーンガンダムの二号機として開発されたもので、ユニコーンと同じ“デストロイモード”が使用できます』
マークの質問にアプロディアはバルバトス戦でユニコーンガンダムと共に現れた黒いユニコーンがユニコーンガンダムの二号機である【バンシィ】と呼ばれる機体であることを説明し、バンシィもユニコーンと同じデストロイモードが搭載されていることも教えてくれた。
「なるほど……とりあえず詳しい話は後にして、一緒にブリッジに来てくれないか?今、俺達がいる場所が何処なのかを確かめなきゃならないんだ」
『解りました。それでは急ぎブリッジに向かいましょう』
マークはゼノンのいるブリッジに一緒に来てくれと頼むとアプロディアは了解してくれ、立体映像が消えた。マークはアプロディアの入っている端末を持ってブリッジへと向かった。
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マーク達がブリッジに向かっている頃……二機のユニコーンから降ろされた二人のパイロットはエターナ達に医務室へと運ばれていた。医務室の扉が開くと、そこには一人の少女が待っていた。
「あっ!エターナお姉ちゃん」
「あらカチュア。もう起きても大丈夫なの?」
「うん。もう大丈夫だよ」
医務室には【カチュア・リィス】が待っていた。戦闘艦に小さな少女…というのは場違いな気がするが、彼女は“とある理由”でネェル・アーガマ改に乗っており、バルバトスとの最終決戦時には自室で待機していたが、ジェネレーションシステム中枢からの脱出の際の激しい揺れにより室内で転んでしまい、頭を強打してしまった。
脱出後、カチュアは頭を押さえながらも医務室にやってきた所にエターナがカチュアに治療を施し、暫くした時にMSデッキからエターナを呼ぶ通信が入った。そしてカチュアはエターナを送り出し、医務室で待っていた。
医務室に運ばれてきたユニコーンとバンシィのパイロットはベッドに寝かされ、エターナは二人の状態が知りたいのでヘルメットを取り外した。
「えっ?この人は……」
「なっ、マークだと!?」
白いパイロットスーツの人のヘルメットを外してみると、そこにはマークがいた。しかしよく見ると、ぱっと見た感じはマークにソックリだが、顔つきなどが今より若く見え、何処かしら幼さが残っていた。
「そっ、それじゃあ…こちらの人は……」
マークに似た人物がいるということは…とマリナは黒いパイロットスーツの人のヘルメットに手をかけ外してみると、そこにはエリスに似た幼さが残る少女の顔があった。
「おい、おい…これってどういう事だよ…」
「あの時の戦闘の際、二機の動きがマークとエリスの機動と酷似している部分が多くあったが……」
「それじゃあ、この二人は…マークさんとエリスさんのクローンみたいなものなんですか?」
「それはまだ分からないわ…とにかくこの二人の治療が先だわ。詳しい詮索はその後よ。マリアちゃん、手伝ってくれる?」
「はっ、はい」
マークとエリスに似た人物に驚くラナロウだったが、バルバトス戦でのユニコーンとバンシィの動きなどはマークとエリスを相手に模擬戦をしていたような感覚があったとエイブラムは話す。
エイブラムの推測にユニコーンとバンシィに乗っていたパイロットはマークとエリスのクローンではないかとマリアが言うと、まずは治療を施す方が先とエターナはマリアに手伝いを頼み、ラナロウとエイブラムに医務室から出て行くように指示を出した。
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『これは……ジェネレーションシステムの擬態コーティングされた地球ではありません…』
アプロディアの声がブリッジ内に響き渡り、マーク達は唖然となった。
あの後、マークはブリッジに戻り、タブレット端末に移したアプロディアをネェル・アーガマ改のレーダー機器に接続して周囲の状況を調査してもらった。
その結果、ネェル・アーガマ改から見えている地球は、かつてジェネレーションシステムが身を隠すために展開していた擬似コーティングで自身を隠蔽していた地球ではないことが判明した。
「それじゃあ、あそこの地球は本物の地球なのか?」
『はい』
「しかし、ネェル・アーガマ改のデータベースと周囲の地形データを照合してみた結果、何処にもスペースコロニーなどは見当たりません……」
「う~む……本物の地球にコロニーが存在しない世界…ガンダムの存在する世界だとしたら一番有力なのは“ターンエーの世界”なのだが…」
マークの問いをアプロディアは肯定し、ニキはネェル・アーガマ改に記録されたデータベースから可能な限り条件を絞って検索をかけてみたが、月と地球以外にあると思っていたスペースコロニーが存在しないと話す。
ニキの話を聞いたゼノンは、地球と月が存在し、スペースコロニーが存在しないのなら、ターンエーガンダムの存在していた世界ではないかと推測する。
『それは違うと思います』
「えっ?どういうことだ?」
『この世界には資源衛星になるような物が見当たらないのです。もしガンダムの存在する世界なのなら、そういった衛星の一つくらいはあると思ったのですか……それに……』
「それに?」
『地球の衛星軌道上に明らかに私達の知っているモノより古い技術で作り出されている物体があるんです』
ゼノンの推測にアプロディアはターンエーガンダムの世界ではないと言い、ガンダムの世界でよく見られる資源衛星のようなモノが見当たらず、地球の周囲の衛星軌道上に存在する物体が、明らかに時代遅れなものであると話す。
『それと……この映像を見てください』
さらにアプロディアは見て欲しい映像があると言い、メインモニターに映像を映した。そこには見慣れた月の映像が現れた。
「これは月じゃないか。これがどうかしたのか?」
『一見この映像を見るとただの月なのですが……ある場所の映像を最大望遠で拡大したものがこちらに…』
様々なガンダムの世界で見慣れた月の映像にマークはどうかしたのかとアプロディアに問うと、アプロディアは月のある部分をネェル・アーガマ改のカメラを最大望遠で拡大した映像を表示した。
映像には棘棘した物体が妙な形をしているのが映っていた。
「ん?月面に何か妙なものが映っているな……」
『はい。この物体は映像から解析した限りですが、この構造物は月面から約1000m以上の大きさであると推測されます。さらにこの構造物は人為的に作られたものではないと思われます』
「人為的ではない?すると人以外の何かが月にいるって事か?」
『そこまでは分かりませんが……現時点では情報が不足しています…』
月面に映っている構造物が人ではないもので作られているのではないかとアプロディアが説明すると、ビリーが人以外の何かが月にいるのかと聞いてみる。
しかしさすがのアプロディアでも得られる情報がネェル・アーガマ改を介してのもので、明らかな情報不足であると話す。
アプロディアの話を聞いていたゼノンは顎に手を乗せて暫く考え、そして目を開けて皆に向かって話をした。
「とにかく、このままいつまでも宇宙を漂っているわけにはいかん……バルバトス戦での艦の修理も補給も考えねばならん」
「では?」
「うむ。とりあえず地球に降りるとしよう。そこで現状を確認しつつ今後の方針を考えようと思う。それに月の建造物の情報も得られるかもしれん」
アプロディアの話を聞いたゼノンは、一先ず地球に降下してネェル・アーガマ改の修理やMSの補給などの出来る場所を探そうと皆に話す。
ゼノンの決定に現時点ではそれしかないとマーク達は思い、ゼノンに向かって頷き、ゼノンは艦長席に座った。
「ブリッジよりネェル・アーガマ改クルーに告げる!ジェネレーションシステム中枢からの脱出の際に出現した空間の歪みに吸い込まれ、現段階で今いるここが我々の知る世界であるかどうかは分からない。だが、このまま宇宙を漂っていては埒があかないと判断し、地球への降下を決定した」
ゼノンは艦長席から通信機をネェル・アーガマ改の艦内放送に繋げ、艦内にいる戦友たちに現在の状況と地球降下の決定を伝える。
「これより本艦は地球へと進路を取り、到着次第地球への降下を開始する。それまで全クルーは所定の位置にて待機するように……以上!」
艦内放送を終えたゼノンは通信を切り、艦長席に深く座った。その姿に副長席にニキが座り、ビリーとミラも所定の位置に座る。
「機関始動、最大戦速!!地球に向けて進路を取れ!!」
ゼノンの指示にネェル・アーガマ改の機関が始動し、地球へ向けて進路を取った。
ユニコーンとバンシィに乗っていたのは、まあGジェネOWでのオリジナルキャラ作成で作ったマークとエリスに似た人だと認識してくれれば幸いです。