マブラヴ・オルタジェネレーション   作:京橋

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 リアルが忙しく、小説書く時間が少なく、遅くなりました。

 今回からトータルイクリプス編へと入っていきますww


 今後も一週間で更新できるか不安ですが、失踪しないように頑張りたいと思います





第十四話 XFJ計画、いざアラスカへ

 

 

 

 

 

 

 マーク達ジェネレーションズのメンバーが香月 夕呼博士の手によって独立権限を手にしてターンエーガンダムの捜索とワールドシグナルの発生原因とこの世界にどのような影響を与えてしまっているのかの調査のためにネェル・アーガマ改が世界へと出発して、半年後……

 

 

 

 香月はマーク達から交換条件で受け取ったパイロット数名とMS、そしてジェネレーションビルダーの小型機を使って世界中から多大な利益を得ることに成功していた。

 

 MSの使用しているパーツや武装などを、ジェネレーションビルダーを使って戦術機用に製造兼改造を行い、現存している戦術機の性能アップができるかどうか幾つか試作型を作り出し、横浜基地はMSの技術を取り込んだ戦術機の運用試験を帝国軍と斯衛軍と共同で行っていた。

 

 そんな時、2001年某月……戦術機空挺輸送機【アントノフAn-225 ムリヤ】はとある場所に向かって飛行していた。

 

 その輸送機には国連軍の制服を纏った【篁 唯依】は手元にある【XFJ計画】と書かれた資料を眺めながら今回の任務を聞かされたあの日の事を思い出していた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝国斯衛軍・戦術機中隊の【白き牙(ホワイト・ファングス)】中隊はBETAの巣であるハイヴの最深部にある反応炉の破壊を目的に進軍していた。

 

 白き牙の編成されている戦術機中隊だったが、その編成には【94式戦術歩行戦闘機・不知火】の他に【97式戦術歩行高等練習機・吹雪】の姿があった。

 

だが、その三機の吹雪の背部には他の戦術機には見られない【鏡】、【剣】、【玉】の名を冠する装備が装着されていた。

 

 ハイヴ内に張り巡らせられている巨大トンネル群【スタブ】からなる地下部分から構成されている坑道を進んでいる戦術機部隊だったが、その数がたった一個中隊の戦力で挑んでいたのだ。

 

幾度もなくハイヴの破壊とBETA掃討を行なっている人類の大反抗を試みていたが、その殆どが失敗に終わっている。

 

 そこへ一個中隊で挑むなど無謀にも言える任務に帝国斯衛軍きっての猛者揃いである白き牙部隊にとって極度の緊張状態を強いられていた。

 

 この任務に当たり、白き牙部隊の中隊長になる程の成長を遂げた【篁 唯依】は、かつて訓練生時代の恩師である【真田 晃蔵】が搭乗していた【94式戦術歩行戦闘機・不知火・壱型丙】に搭乗していた。

 

『ホワイトファングゼロより各機、前方からBETA群の存在を確認。前方11時方向、距離約6000!』

 

 門(ゲート)突入から4316秒、戦域管制者であるコールサイン【ホワイトファングゼロ】からBETA群の存在を通達して来た声を聴いた唯依の網膜センサーに映し出される戦域マップに赤い光点が坑道奥から徐々に接近してきていた。

 

「ホワイトファング1より各機、ただちに跳躍中止!第一小隊、前に出ろ!隊形を傘壱型(ウェッジ・ワン)から楔弐型(アローヘッド・ツー)へ!!」

 

 唯依の指示に従い、部隊全機は跳躍をやめて地上に着陸し、各小隊はそれぞれのフォーメーションを組む。

 

「第一着弾と同時に第一小隊は1500まで進出し攻撃。第二、第三小隊はそれぞれ距離100を保ちつつこれを支援ッ!!」

 

『了解ッ!!』

 

「各小隊の吹雪も各々の装備の使用を許可する……攻撃、開始!!」

 

 攻撃開始の声に反応して第三小隊の【92式多目的自立誘導弾システム】を積んでいる不知火三機の肩からミサイルが一斉射され、吹雪・玉【サムブリットムストライカー】の背部左側に装備されている8連ミサイルポットのミサイルも発射しつつ、右肩の大砲【プラズマサボット砲トーデスブロック改】が火を噴いた。

 

 何十本のミサイルと大砲の弾が接近中の要撃級の群れに着弾すると大爆発を起こすと同時に第一小隊の不知火が突撃砲で先の砲撃を抜けて来たBETA群を処理し、吹雪・剣【キャリバーンストライカー】の背部右側に装備されている【対艦刀・シュベルトゲベール改】を振るうと、要撃級の前腕衝角ごと切り裂き、別の要撃級には背部左側の【大型ビームサーベル・ガラドボルグ】で貫きながら切り裂いた。

 

 第二小隊も同様に第一小隊を援護しつつ、吹雪・鏡【スペキュラムストライカー】の背部の大型可変翼と高出力スラスターからなる驚異の運動性と機動性の向上で普通の跳躍ユニットを使用するより能力が向上し、要撃級の攻撃を回避しつつ突撃砲で要撃級と戦車級を殲滅していく。

 

『旅団規模の敵増援を探知!12時方向、距離約3000……H12広間(ホール)H227横坑(ドリフト)へ移動中!振動と音紋を確認……突撃級です!』

 

「よしッ、ホワイトファング各機へ!例の新兵器を使うぞ、準備にかかれ!!」

 

『了解!!』

 

 戦域管制からの報告を聞いた唯依は、自身ともう一機の不知火・壱型丙を中央に据えたX型の特殊な陣形に変更。そして持っていた突撃砲を投棄すると機体の右肩に固定された大型砲の安全装置を解除して迫りくる旅団規模BETA群を見据える。

 

 不知火・壱型丙に装備された新兵器こそ、かつて帝国技術蔽所属の巌谷 榮二が開発を計画していた【試製99型電磁投射砲】だった。

 

 実は彼女らにハイヴ攻略とは別にもう一つ任務を課せられていた。それはこの試製99型電磁投射砲と、三機の吹雪の背部ユニットに装備されている試作兵装のテストだった。

 

『接続問題なし、安全装置解除!』

 

『敵前衛、危険領域に到達しました!!』

 

 不知火・壱型丙の持つ電磁投射砲に火が入ると共に甲高い充電音が響き、戦域管制と僚機の通信が唯依の耳に響く。

 

「……撃えぇぇぇっ!!」

 

 起動回避が間に合わない地点まで敵を引き寄せたところで唯依はトリガーを引いた。その瞬間、遠雷に似た響きと閃光が横坑内を満たし、ローレンツ力で加速された1200㎜砲弾が放たれ、接近中のBETA群は砲撃を受けた瞬間、消滅したかのようにモニターから消え去った。

 

「すっ、凄い…」

 

「はっ!?……奴らの足は完全に止まった!全機兵器使用自由、一匹残らず片づけろッ!!」

 

『了解ッ!!』

 

 突撃級の群れを正面から撃破した電磁投射砲の威力に他の白き牙部隊の衛士らはその威力に唖然とし、唯依自身も暫く呆けていると我に返り己の未熟さを嘆くと瞬時に思考を切り替え、部隊に指示を出す。

 

(この威力…試作兵器など実戦では不安材料以外のなにものでもないが、これなら…いけるっ!!)

 

 新兵器の凄まじい威力に放心してしまい、未熟と口にした唯依だったが、電磁投射砲の砲撃で突撃級の強固な装甲殻を飴細工のように破壊し撃破した事に高揚感を感じていた。

 

 そして同時に突撃級を正面から撃破した光景を見た時、かつて自分を救ってくれた恩人の操縦する赤い機体【ガーベラ・テトラ改】の持つビームマシンガンで突撃級を正面から撃破した時のことを思い出していた。

 

 次々と部隊の仲間が生き残ったBETAを駆逐していき、数を減らしていく。新兵器の威力も新兵装のテストも大成功、後は反応炉を破壊すれば作戦完了……と思ったその時だった。

 

 唯依の網膜モニターに警告ウィンドが表示され警報が鳴り響いた。唯依の乗る不知火・壱型丙の後方百数mの壁が崩れ、そこから無数の要撃級と戦車級が出現した。

 

「しまった…偽装横坑(スリーパードリフト)だと!?」

 

 新たに出現したBETA群に唯依は仲間が孤立してしまわないように指示を出す。

 

「第一小隊後退!第二、第三小隊は後退を援護!ホワイトファング3は左翼をカバーッ!!」

 

 部隊に指示を出した唯依に迫る要撃級に至近距離で電磁投射砲を発射、粉々に砕け散った要撃級の前腕衝角の破片が舞い上がる。飛び散る破片にも目もくれず、他の部隊が孤立しないように電磁投射砲の弾幕を張るが、突然トリガーを引いても弾が出なくなってしまった。

 

「なっ!?砲身過熱!?冷却装置が!!」

 

 モニターに出た“砲身過熱”のアラートが鳴り、砲身の異常個所を調べてみると銃身下に設置されていた冷却装置に先程撃破した要撃級の前腕衝角の破片が突き刺さり冷却できなくなってしまっていたのだ。

 

 機能停止してしまった電磁投射砲はもはやデッドウェイトに成り下がってしまい、そこへ要撃級が前腕衝角を振り下ろしてくる。唯依は電磁投射砲を盾にして攻撃を防ぐと、短刀を抜刀して反撃しようとした時だった。

 

 唯依機の不知火の目の前をビームが通り過ぎ、要撃級は抉られて倒れてしまった。唯依はビームの飛んできた方を見ると、そこには【超高インパルス砲・アグニ改】を構えた吹雪・玉がいた。

 

 ところが、突然コクピット内の機械が次々と機能を停止していき、唯依の目の前に写っていたハイヴ坑道の映像が消えていき【仮想戦闘プログラム・“ヴォールク19”終了】の文字が浮かび上がった。

 

「……無様な……」

 

 システムが任務失敗と判断したのだろうか、仮想戦闘が終了し、静寂が包むコクピット内で唯依はため息をつきながらシミュレートマシンから出ていく。

 

 今までの戦闘は過去1978年に行われたパレオロゴス作戦でミンスクハイヴ攻略を行なったヴォールク連隊が命がけの反攻作戦で得た“ヴォ―ルクデータ”から作成されたシミュレート訓練だった。

 

「肝心な時に動作不良……これだから新型は困りものです」

 

「違う。要撃級の破片で冷却装置をやられたんだ」

 

 唯依と同じように別のシミュレートマシンから出て来た同じ山吹色の衛士強化装備を身に纏っている【雨宮中尉】が愚痴をこぼすが、電磁投射砲の破損状況を見ていた唯依は動作不良の原因を説明する。

 

「では、防御面に問題がある…と?」

 

「いや、あそこまで敵に肉薄を許してしまえば防御力以前の問題だ。99型砲の威力に浮かれ偽装横坑を全く警戒していなかった。あの程度の事で心を乱しているようでは、どのみち反応炉到達など程遠い……」

 

「仮に警戒していたとしても、中隊規模の突入…しかもあの状況で100%の発見は不可能です。中尉にそれができるのなら、帝国はとっくの昔に佐渡島を取り返していますよ」

 

 中隊長を預かる身である唯依は己の未熟さを嘆く。そんな唯依に雨宮中尉は苦笑しつつも気負いしている唯依を励ます。その言葉に唯依は「上官をバカにするな」と返すが、心の中では雨宮中尉に感謝していた。

 

「それにしても、あの吹雪に装備されていた兵装……あれが噂の?」

 

「ああ。帝国軍で開発されている“三種の神器”を模して造られた追加兵装だ。最も、まだ仮想段階の状態だが……もう少ししたら試作型が完成するらしい」

 

 雨宮中尉の質問に唯依は今回の仮想シミュレーターで白き牙中隊の中で特殊兵装を装備した吹雪の武器について説明する。

 

 吹雪に装備されていた背部パックはマーク達がこの日本から離れる際に研究用に提供されたMSであるストライクEの機体性能を見た横浜基地の香月 夕呼は、ストライクEのバックパック装備であり、各種兵装を変えることのできるストライカーパック…これに目を付けた。

 

 このストライカーパックを戦術機に流用できれば、光学兵器や跳躍ユニットでは出来ないような高機動戦闘……様々な状況でバックパックを交換することで戦術機の汎用性をさらにアップできるのではないかと考えだした。

 

 そこで試作されたのが古代日本由来の三種の神器、八咫鏡・八尺瓊勾玉・天叢雲剣に準えて【スペキュラムストライカー】【キャリバーンストライカー】【サムブリットムストライカー】の三種類の背部ユニットの開発を行った。

 

 鏡の名を冠するスペキュラムストライカーは四つのウイングユニットとスラスターで跳躍ユニットと組み合わせることで驚異的な推進力と高機動戦闘ができるバックパック。主に【突撃前衛(ストーム・バンガード)】や【迎撃後衛(ガン・インターセプター)】に適した装備。

 

剣の名を冠するキャリバーンストライカーは、大型の対艦刀と大型ビームサーベルによる接近戦闘用バックパック。主に【強襲前衛(ストライク・バンガード)】など切込み担当に適した装備。

 

 玉の名を冠するサムブリットムストライカーは、戦術機サイズで光学兵器を実装した砲撃重視の遠距離戦闘用バックパック。主に【砲撃支援(インパクト・ガード)】、【打撃支援(ラッシュ・ガード)】、【制圧支援(ブラスト・ガード)】など砲撃支援担当に適した装備。

 

 この三つの装備は横浜基地で発案・設計が行われ、帝国軍と斯衛軍からの要請を受けた香月は試作型として三基の換装ユニットを帝国軍に提供された。

 

「しかし、この三つの換装ユニットですが、一体誰が考えたんですか?明らかに何世紀先を行っている兵装ですよね?」

 

「さあな……だが、あの武装に似ている機体を使用している人達の事なら知っている」

 

「えっ?そうなんですか?」

 

「ああ、雨宮中尉はジェネレーションズという部隊名の事を知っているか?」

 

 横浜基地で発案・設計された事を雨宮中尉は知っていたが、横浜基地にマーク達から受け取ったMSのパーツ製造装置であるジェネレーションビルダーの小型機が横浜基地にある事は知らず、横浜基地に二機のMSが保管されていることも知らない。

 

 そして唯依は雨宮中尉にジェネレーションズとの出会いと初陣で自分と同期の仲間たちを助けてくれたラナロウの話をした。

 

「なるほど、明星作戦や京都防衛戦でそんな事が……」

 

「あの人たちの使用している機体は本当に凄いの一言だった」

 

「でも中尉の“あの機体”も随分凄いと思いますよ……別の意味で」

 

「……だな」

 

 シミュレートルームから更衣室に移動しながら唯依は初陣であった京都防衛戦での戦いや、明星作戦で目の当たりにした事を簡潔に雨宮中尉に説明する。だが、雨宮中尉の言った“あの機体”の話題に出た瞬間、唯依はただ苦笑するしかなかった。

 

 

 

 その後、唯依はシミュレートマシンでのテストで汗をかいた体をシャワーで洗い流しながらある事を考えていた。

 

(確かにあの換装ユニットは現存する戦術機との接続を容易にするために共通化を図って開発が進んでいる……飛躍的に性能をアップできるし、戦術機サイズの光学兵器の使用もできる装備もある……だが)

 

 シャワーからの温水を浴びながら唯依はテストで出撃した三機の吹雪の試作バックパックについて考えていた。

 

 確かにストライカーパックを模した武装は戦術機よりも性能がよく、状況に応じて使い分けができるだろう。しかし、帝国軍と斯衛軍の発注した仕様のスペキュラム、キャリバーン、サムブリットムの性能に戦術機が対応できているかと言われれば不安がある。

 

 実は以前に今でも現役で稼働している帝国軍の撃震にスペキュラムストライカーを装備させて飛行訓練を行なってみたが、スラスターの出力を上げすぎたのか撃震が耐え切れずに空中分解してしまうという結果を残した。

 

 その他にも様々なテストを行い、あの仕様の換装ユニットを扱えるのが第二世代後期から第三世代の戦術機でなければ扱うのが難しい事が判明した。

 

(それに99型砲も不知火もまだまだ問題点が多い代物だ……武御雷の配備が限られている現状……不知火以上の戦術機を作り上げなければ日本に未来がない……)

 

 武御雷……それは京都防衛戦で現れた機体で、2000年にようやく完成した斯衛軍専用の別名“零式”。現在日本にある戦術機の中で究極の接近重視を目的に開発された機体だったが、その過激すぎる設計が原因で配備が限定されてしまっている。

 

 その理由は瑞鶴の開発コンセプトである“少数精鋭のため、生産性・整備性を犠牲にした高性能機”をさらに追及した事で不知火より高性能の機体になった。

 

 さらに外装には格闘戦能力向上のために装甲エッジ部分及びマニピュレーター先端部へのスーパーカーボン製ブレードなど新技術が導入されたが、主機出力や即応性を極限まで上げた結果、機体制御が困難になり、熟練衛士じゃないと操縦できない機体になってしまった。

 

 しかも、その過激すぎる開発コンセプトが仇になり、専用の整備士や生産を行うには多大なコストが掛かる為、量産には向いていないデメリットがあった。

 

「篁中尉、巌谷中佐から出頭命令です。至急、第七ブリーフィングルームまでお越しください」

 

「…分かった、すぐ行く」

 

 シャワールームに巌谷からの使いの声に我に返った唯依は自分を呼んでいると聞き、使いの者に返事を返し、すぐにシャワールームから出ると第七ブリーフィングルームへと向かった。

 

 

 

 

「篁 唯依中尉、参りました!」

 

「うむ。99型と新型換装ユニットの試験……ご苦労だった、篁中尉」

 

 第七ブリーフィングルームへとやって来た唯依の前に仮想テストでの資料を眺めていた巌谷が顔を上げた。

 

 彼は先日の帝国軍上層部との会議で不知火の改修は難しいと判断し、外国機導入を検討するべきだ…という意見が出始めた事を唯依に話し出した。

 

 不知火は第一世代の撃震から第二世代戦術機を飛び越して第三世代の戦術機を…という国防省からの要請に日本戦術機メーカーは頭を抱えながら作り出した戦術機であった。

 

 第二世代の戦術機生産の経験のない日本にいきなり第三世代戦術機を作れという無茶な要請に一先ず第二世代最高傑作と言われていた【F-15イーグル】を【F-15J陽炎】として生産ライセンスを獲得し、陽炎から得たノウハウを基に情報を集めた。その甲斐があってかどうにか1994年に不知火の量産一号機が開発された。

 

 しかし、現地配備された不知火の高い性能に高評価を受けた反面、開発時の高い要求性能を獲得するために拡張性を犠牲にした設計にしたため、運用を続ける内に改善点や問題点も数多く発見されてしまった。

 

 その為、基本設計の根本から改善しなければならず、佐渡島ハイヴからいつBETAの進行が始まるか分からない現状で、何度見直しを繰り返してもさらなる要求条件を満たすことは難しいと判断し、外国で使用されている戦術機を導入するべきだという。

 

「何をおっしゃるのです!外国機導入など問題外です!!我が国には独自の戦術に基づいた戦術機運用理論があります!!それは先達の血と汗の結晶で……」

 

「くっ、はははははっ!!そう来ると思ったよ…相変わらずだな、“唯依ちゃん”よ!」

 

 戦術機に最も想い入れが強い唯依は「外国機導入は反対」と力説するが、そんな唯依に巌谷は相変わらずだと大笑いする。

 

「よく考えろ。なぜ俺が結論を先に言わなかったと思う?」

 

「あ……」

 

「その様子だと、また今日もいつもの反省癖全開だったんだろう。お前は親父さんにそっくりだが、そういうところはまだまだ修行が足らんなぁ」

 

「申し訳ありません中佐…己の未熟さに恥じ入るばかりです……」

 

「おいおい、せっかく二人だけなんだ、昔みたいに“巌谷の叔父様”でもいいんだぞ?」

 

 顔を真っ赤にする唯依の姿に、先程までの真剣な表情から柔らかな表情になった巌谷は笑みを浮かべながら話す。二人のやり取りはただの上官と部下ではなく、まるで親子のようなやり取りだった。

 

 そして一息ついた巌谷は真剣な表情に戻し、唯依に続きを話し出した。

 

「……実はな、前置きしたのには理由があった。篁中尉」

 

「はっ」

 

「貴様の戦術機に対する知識と技能…そして国産機に懸けるその想いを見込んで特別任務を与える」

 

「特別任務…でありますか?」

 

「そうだ…貴様にはアラスカへ飛んでもらう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アラスカへ飛んでもらう……その言葉を聞いた唯依は巌谷から聞いたXFJ計画の話を初めて知り、そして日本側の責任者として赴任した瞬間だった。

 

「XFJ計画……日本と米国との共同戦術機開発…か」

 

『唯依姫、その“あらすか”という場所にはまだ着かないのですか?』

 

「こら…姫はやめろと言っているだろう。もう少しだから我慢しろ」

 

『しかし、こう何時間も寝たまま動けないとなると体が鈍ってしまいますよ』

 

 唯依が耳にしているインカムから聞こえる声の主に叱りの声を言う唯依だったが、声の主は聞く耳を持たないように一方的に話を続ける。

 

「中尉殿!!見てくださいよ!!広がる大自然!大きな川!!何か釣れるんですかね!?」

 

「はぁ…本郷少尉、貴様も少し黙ってくれないか?」

 

「はっ!申し訳ありません中尉殿!!自分、恥ずかしくも興奮してしまいました!!」

 

 輸送機の窓から見えるアラスカの広大な自然に興奮する男にため息をしながら注意する唯依。

 

 彼の名は【本郷 彰(ほんごう あきら)】少尉。唯依と共にアラスカに赴任することになった衛士で、不知火・壱型丙の強化改修プランと同時期に密かに計画されていた【吹雪・弐式】のテストパイロットである。

 

 彼も明星作戦で帝国軍として参加していた衛士で、優れた操縦技術を評価され、巌谷からの推薦でこの任務に就いた。だが、その性格が熱血系男子を体現したかのような人物で、帝国軍の部隊内からも“喧しい奴”や“暑苦しい男”として扱われていた。

 

 

 

 この二人?と共に同じ任務に就いた唯依は「この先、大丈夫だろうか?」と少し不安な部分を残しつつも窓の外を眺めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







 はい、今回オリジナルとしてGジェネ熱血キャラである彼をオルタの世界にいたという形で参加してもらいました。GジェネFでは草尾 毅さんが声を当ててましたが、この小説では関 智一さんが声を当ててると思ってください(笑)

 ちなみに三種の神器として出て来たストライカーですが、これはアストレイで出て来たライゴウガンダムのストライカーをまんまパクりました(笑)
 Gジェネ未登場ですが、日本と言ったら三種の神器ってことでこれしか思いつきませんでした、すいません……






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