目覚めたら某有名ゲームの悪役だったけど、正直言って困るんだが   作:プルスサウンド

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普通に難産でひっひっふーが遅くなりました。
短期でチャート組んでたおじさんにチャートをちゃーんと変更させるのが大変だったわよ。

プロットはしょせん作者の意思に過ぎないとわからされてしまったのだわ(アホ顔ダブルピース)

つまり、工事完了です…(達成感)





人生あんまり深く考えない方が楽ゾ!

 

 

 

「あぁ~~~もう!!!!!」

 

 ジルさんが落とした銃を拾ってくれたので、普通にお礼を言ったらがっくり脱力された。

 なんで?

 

「貴方ねぇ!何でそういうことするの!!」

「え、あー、銃を落としてごめんなさい…?」

「そこじゃないわよ!っていうかやっぱり分かってないじゃない!!何なのよもう!!!」

「えぇ…」

「おいおいジル、どうしたんだ?落ち着けよ」

 

 荒ぶるジルさんをカルロス氏がなだめると、彼女はマントルまで突き抜けそうなほど深いため息をついた。

 でも本当に心当たりがないから、彼女にどう返せば良いのか分からなくて困る。何か悪いことをしてしまったなら謝りたいんだが。

 

「……その銃よ」

「この銃がどうかしたのか?」

「ああ、確かにここまでカスタムされてるのは珍しいな」

 

 手の中の銃をまじまじと見る。確かに少し変わったハンドガンだと思ってはいたが、何か……あれ?

 今さら気付いたが、これグリップんとこに思いっきりスターズのマークが刻印されてる。

 ヤバイ。あかんこれはあかん。

 

「サムライエッジっていう、スターズの支給品なんだけどね。それはウェスカーが設計した専用モデルなのよ。彼しか持ってないの」

「ほぉ。アルフはそれ、警察署で拾ったのか?」

「拾えないはずだわ。銃の持ち主が死んだ直後、死に場所の洋館が爆発した。だからそれは持ち主と一緒に瓦礫の下にあるはずよ」

「……予備くらい署にあるだろ」

「詳細は(はぶ)くけど、死ぬ前の彼はスターズを裏切って逃げるつもりだったの。だからでしょうね、後で署にあった予備を確認したら、しっかり持ち出されていたわ」

「なるほどな」

 

 ふむふむと頷くカルロス氏。

 眉間を押さえて再びため息をつくジルさん。

 何も言えねぇ自分。

 

「でもね……それを持っていても、私は貴方がウェスカーだと思えないのよ」

「あ、はい」

「他にもいろいろと理由はあるけれど、まず彼が生きていたら、少なくとも私を助けようとするはずがないってのもあるわ」

「それは…」

「だから、限りなくウェスカーに似て非なる貴方が何者なのか教えて。今ならどんな荒唐無稽な話でも大丈夫よ?」

 

 だって2ヶ月前まで私、ゾンビウイルスみたいな非現実的な物が存在するなんて、思ってもみなかったもの。

 

 そう言って、ジルさんは自分の両頬をぱちんと叩くと、自信ありげに笑った。

 

 

 

 まさかこんな事になるとは、2ヶ月前の自分に言っても信じなかっただろう。ジル・バレンタインから正面切ってウェスカーではないと言われるなんて。

 

 あの頃の自分は、その正体がアルバート・ウェスカーだと看破されることを恐れていた。性格的にも彼のようには成れないし、成りたいとも思わない。彼のように扱われても困る、と思っていたのだ。

 だから逃げた。2ヶ月にも及ぶ現実逃避にアリエルまで巻き込んで。犯罪者とはいえ、感染者でもない男を殺し、名前から家まで全てを巻き上げた。

 

 どうせ後で死ぬから良いや、と思っていたからそんな事ができたのだろう。そもそも、これは自分の人生じゃないと思いたかった。

 自分がやっていない事と、求めてもいない力で追われる立場になるのが納得できなかった。そんなものはいらないから普通に暮らし、普通に誰かと話ができる立場が欲しかったが、それは無理だと分かって自棄を起こしていた部分もある。

 

 それでもあの子(ネメシス)に言ってしまったように、自意識を持って生きるならば、人は立場を含めて肉体(わたし)から逃げることなどできないと分かっていた。

 

 自分はどこから来たのか。なぜここに居るのか。

 名前や顔だけでなく、思い出の大半を忘れているであろう自分はどんな人物だったのか。

 なぜ、死んだのか。本当に前世は存在するのか。

 今の自分は果たして何者なのか。

 

 何も分からない。

 分からないまま、流れでアリエルの保護者という立場を奪い、そのまま仮初めの平穏を享受した。

 それはおおむね普通に暮らせて、普通に誰かと話ができる生活だった。このままずっと街が終わる日まで、そうやって暮らせると思っていた。

 

 まだ起きないあの子を見る。

 何の憂いもない寝顔で、ゆるんだ口のはしっこからはヨダレが垂れている。

 それは平穏の象徴だった。

 

 自分はこの後、どうしたいのかが分かった。

 この子が大人になるまで見届けたい。もし自分がウェスカーではないと、彼ではない自分という立場を得られるならば。欲を言えば大手を振ってこの子の保護者を名乗り、また普通に暮らしてみたいと思う。

 無理だろうけれど。それならば、せめてきちんとした場所に預けて、普通の人生を送らせたい。

 見届けられなくても良いから。

 

 そのためにも、精算しなければならない事は多い。

 

 

 

「かなりバカげた話になると思う。もしかしたらジルさんはかなり不愉快になるかもしれない。それでもまず、聞くだけ聞いて欲しい」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 私という意識が目覚めたのは2ヶ月前。

 場所はアークレイ山にあったアンブレラの研究所。私は服に穴が開いた格好で、血塗れになって床に転がっていた。

 

 分かっていたことは、本来なら私という人格は目覚めないまま、本人がそのままウイルスで超人として蘇生するつもりだった事と、そのために何をしたのかという概要くらい。

 

 ここまで聞けば分かるだろうけど、つまりこの体はアルバート・ウェスカー本人のものだ。それが銃を持っていた理由にもなる。

 

 ただし私に彼の記憶は無い。本を読んで得た知識のように、ジルさんの名前やおおまかな事情くらいは分かっていたが、それだけ。

 

 こんな非現実的で証明しようの無い事を、信じてもらえるとは思えなくて嘘をついていた。ただ、私にとってはこれが真実で、他に話しようがないのは本当だ。

 

 

 

「……そうね。なんだかすごく非現実的だけど、ものすごく納得しかできないわ」

 

 言われてしまえばストン、と腑に落ちた。

 きっと洋館事件やゾンビパニックに直面していなくても、双子の兄弟ですと言われた方が信じられるほど、似ていない部分は本当に似ていなかったから。

 

 彼は外傷が原因なので厳密には異なるが、犯罪を犯した者が多重人格だった場合の資料は見たことがある。

 精神疾患を持つ犯罪者の責任能力がどこにあるのか、判断力はどうなっているのかという問題は検察官だけの話ではない。警察官であるジルもプロファイリングのために学んでいた。そのケースに近い状態なのだろう。

 

「えっと、だから…その」

「そういえば、アリエルはどうしたの?まさかウェスカーの子ども?」

「あー、そこもきちんと話さないと。困るのはこの子だし…」

 

 そして言いづらそうに話されたのは、爆弾のハッピーセットみたいな内容だった。さすがのカルロスも驚いたのか、腕を組んで目を見開いている。

 

「というわけで、私自身も決して真人間というわけでは無くてですね…はい」

「だから街を出たらアリエルを養護施設に預けたいって言ってたのね」

「まあ、そんな感じです。カウンセリングを含めてきちんとした治療を受けさせる必要がある以上、この事も全て話さなければならないと思いまして」

 

 しおれたホウレン草みたいな雰囲気を出しているこの男が、殺人や死体遺棄などできるようには見えないが、やってもいない事をしたと言い張る利益がないのなら、本当にやっているのだろう。

 

 正しくあるならば、子どもを襲うような性犯罪者でも殺すべきではなく裁きを受けさせるべきだ。同時に彼が人を殺し、盗みを働いた事も裁きを受けるべきである。

 証拠が充分で、全てが罪状として認められたならばかなりの刑罰になるだろう。それを分かっていて、彼は自白している。

 

「あの、だからジルさんにはアリエルの味方になってもらいたくてですね……私はこんなんですから、自由の身になることは無いでしょうし」

「私は裁判官じゃないし、ここは法廷じゃないわ。それに『貴方には黙秘権がある。なお、供述は不利な』……止めとくわ。貴方なら分かってるでしょうし」*1

 

 それでも彼が少女を助け、カルロスと共にジル・バレンタインを助けたことは確かで、だから救いがたい悪人とは思えなくて。

 ならば私くらいは彼の良心を信じたい。

 

「まずは生きて、この街を出ましょう。貴方の全ては、きっとそこから始まる」

「……」

「清廉潔白とは言えないのは傭兵やってる俺も同じだから、どうこう言うつもりはない。だが、俺の死んだダチは犯罪者で服役していたところをU.B.C.S.にスカウトされてな……お前みたいに良いヤツだったよ」

 

 

 

 

 

 彼はうつむいたまま両手で顔を被い、静かに降る雨のような声で礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
ミランダ警告の一部。被疑者からの破棄による自白が通例となっている。




 
・おじさん(うっかり)
アリエルの今後のためにもほとんど全てゲロった。

滅菌作戦エンド用の短期プレイを予定していたが、大幅にチャート変更したためプレイスタイルを見直した人。

成り代わりという存在が根拠にしている魂的なブツをイマイチ信用できない勢。普通の人でも普通に生きてるだけで記憶は捏造されることがあるし。
そもそもどうして脳味噌を変えた状態で人格を維持できるんですか?自分が転生という妄想にとりつかれていない保証はありますか?自分は本当に正気だと胸を張って言えますか?

とか考えて落ち込んだりもしたけれど、私は元気です。


(作者に成り代わりネタを否定する意図は)ないです。



・ジルさん(しっかり)
アンブレラ黒幕説を持ち帰ったら癒着した警察の上層部から精神をボコられた勢。
だからこそ、ここまで共に危機を乗り越えた仲間に「信じようとする姿勢」くらいは示したかった。

彼女にミランダ警告の一部を言わせたのは洋ドラ視聴者の性癖。全文を言わせたかったが長いんじゃ。
詳しくはwikiでも見てくれ。性癖。



・カルロス氏(にっこり)
人生は自分のためにある勢。
小児性愛の性犯罪は再犯率が高いので、まあ殺っちゃうのは分かる。

影が薄いが親友のマーフィー君は公式の存在。
ニコライに感染の疑いで射殺されていたあの人。



・幼女さん
おじさんにアサリのクラムチャウダーを作らせる夢を見ている。
アサリが無いからってまた買いに行かせた。






■先日の怪文書の続きみたいな何か

RE:3をホラーアクション百合ゲーにしたらニコライ某は隠しヒロインやぞ!

・お金に一途で主人公ジルを甘ちゃんだとバカにする、仲間を仲間と思わない嫌な女。
・正規ルート(カルロスちゃん)では普通に敵。
・最後に的外れな命乞いをして、無様に失敗する。


【挿絵表示】


・隠しルートで凄い頑張って攻略すると拝金主義からNTRことができそうな女。
・手当てイベントで脱ぐと、えっちな古傷を見せてくれそうな女。
・しかし好感度カンストしても、うっそりと笑いながら「お前にはまだ早い」と言って、なぜその傷が出来たのかは絶対に明かしてくれなさそうな女。
・ジルを眩しいものを見る目で眺めてそうな女。
・でもやっぱり最後に死んで、ジルに一夜の傷を残しそうな女(生死不明)

この百合ゲー、正規ルートの明るく頼れるカルロスちゃん(最年少)も、資料集めとかイベントこなすと経歴の不明ぶりや偽名整形疑惑とかいう闇の深い要素が漂ってくるやつ~^^


誰か書いてくれ頼む(他力懇願寺)




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