目覚めたら某有名ゲームの悪役だったけど、正直言って困るんだが   作:プルスサウンド

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感想欄でネメシスくんより賢くない申告をされている方が多くて笑いました。
かく言う私も見分けがつきませんのでね。

もちろんおじさんも、本人を並べるならまだしも、顔写真だけで比べさせたら間違えます。


カルロス大勝利回





しょせんはコミュ障の浅知恵だった

 

 

 

 ニコライ某はお金が欲しい。

 カルロス氏はワクチンが欲しいし、プ○ウスよろしくネメシスが病院に突っ込んだら困る。

 自分も同じだ。

 

 んで、ニコライ某は「ワクチンをカルロスからもぎ取るの大変だし、ネメシスの戦闘データが欲しいから、倒しきる前に溶解液を使うのは止めようね!(どうせ最強のネメシスで全員ぶっ殺せばワクチンも手に入る)」と思っている様子。

 

 じゃあ自分とカルロス氏が仲間ではなかったら、もっと言うと自分の正体がアルバート・ウェスカーだと判明すれば。

 ニコライ某が何を言おうと、カルロス氏は「ジルさんを苛めた悪いヤツだから見捨てておっけー^^」となるはずだ。そしたらワクチンを持ち逃げしたり、ニコライに従うふりして自分ごと溶解液でドバー!するって選択肢も取れるだろう。

 

 自分だってカルロス氏が撤退するなら、ネメシスをトレインしながらニコライ某をぶん殴りに行くし、彼が溶解液ドバーするならネメシスと揉み合いになって、まあ、封じる役をやるつもりだ。

 どっちみちネメシスは、ここでどげんかせんといかんからね。

 

 ウェスカーとして名乗り出た動機は「このままだとニコライにワクチンを持ってかれてしまうから、ここで二人を倒す。ニコライからは彼が集めていた戦闘データを、カルロスからはワクチンをゲットし、自分が返り咲くための糧にしてやる!」みたいなのでええじゃろ。

 今考えたけど。

 

 で、アリエルの保護者してた理由は「回復と潜伏に便利だったから!」みたいな。ワクチンを探していた理由も、彼女を隠れ蓑にうんたらかんたらどうのこうの、で良いか。

 

「さて、私としては誤魔化す必要がなくなった以上、お前たちからワクチンと戦闘データを回収させてもらおう。私が復職するためにな!!!」

 

 よし完璧!やっぱ自分は頭が良いな!

 それに、ニコライ某もたまには役立つじゃないか!

 

 

 

 

 

 

 

「アルフ………お前って馬鹿だなぁ」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 止めろよ…精いっぱいカッコつけたんだぞ。

 

 そんな可哀想なヤツに対するような声でしみじみと言うんじゃない。

 恥ずかしいだろうが。いやほんと恥ずかしいから止めてくれ。泣きそうになるから。

 

 気付いてしまったんだが、今の自分はすごい勢いで黒歴史を製造してる最中なんじゃないか?

 

「おいニコライ。アルバート・ウェスカーってあんなアホなのか?スターズの連中を騙しながら隊長やってたヤツなんだろ?」

「えっ!?あ、いや、俺は直接の面識が無いから知らんぞ……上司は抜け目無いヤツとか言ってたが…」

「アレが抜け目ないように見えるか?どう見ても抜け作(マヌケ)じゃないか…」

「た、確かに…でも耳紋が一致したのは本当だが」

 

 あ"~~~^^ つらいのだ!やめるのだ!

 カルロス氏!!!やめるのだ!!!!!

 

「さっきから黙って聞いていれば下らんことを。私がマヌケだと?ふざけるな!」

 

 本当にアルバート・ウェスカーなんだよ!!!

 信じろよそこは!!!!!

 あと自分はマヌケじゃないです!!!!!!

 

「耳が赤いぞ…無理するなよ」

「っ!」

「それですぐ耳を隠すなんて正直者だな偉いぞ!こっからお前の耳の色なんて分かるわけ無いだろバーカ!」

「……」

 

 

 

 あ"あ"あ"も"う"や"た"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!

 

 

 

「……」

「おい何か言えよアルフレッド。無線の使い方を忘れたか?」

「ウェスカーだ」

「まだ言うか。じゃあ証拠を出してみせろよ。どうなんだ?ん?」

「この髪は茶色く染めてるが、実は金髪だ」

「へぇ~~~?ウェスカーって金髪なのか?ニコライ」

「資料によるとウェスカーは金髪だ」

「ほぉん、どうせジルから聞いたんだろ。じゃあニコライの上司はお前を知ってるらしいが、ならお前もその上司を知ってるはずだろう?な、ニコライ!」

「あ、ああ………面識はあるはずだ。この前も会ったと言っていたからな」

 

 え、知らんし。

 え?え?え?

 えーと、アルバート・ウェスカーの知り合いは…誰だ?バーキン博士?

 バーキン博士って研究者だし、ニコライ某を雇うタイプじゃないと思うんだが。

 いや、ほんと誰?

 

「知り合いは多くてね。しかもニコライと私は面識がなかったんだ。上司の名前を教えてくれればすぐ分かるんだが」

「らしいぞ、ニコライ」

「……上司の名はドレブニーアだ。珍しい名前だからすぐ分かるだろう」

 

 わ" か" ん" な" い" て" す" !!!

 

 原作におらんやろソイツ!!!!

 

「あ~ドレブニーアか、ドレブニーア…優秀なヤツだ。ドレブニーア博士だな」

 

 アンブレラに居るんだからたぶん博士。

 絶対に博士だ。

 博士じゃろ。

 博士にちがいない。

 博士であってほしい。

 

「……嘘だ。ドレブニーアという社員は存在しない」

「クソがァ!!!!!」

 

 もうあかん。あかん。

 だめだこれは。

 終わり!!ウェスカーごっこ終わり!!!ガワは本人なのに失敗しました!!!!!

 世の中クソだな!!!!!!!!!

 

「なあなあ!後でどれだけウェスカーに似てたか、ジルに判定してもらおうぜ!」

「ごめんなさいゆるしてくださいなんでもしますから」

 

 死体蹴りが酷すぎる。

 しぬ。あかん精神がしぬぅ。

 つらい……………つらい………………シテ…コロシテ…

 

「ナンデ ワカッタ?……」

「最初は混乱したが、何でまたそんなこと言い出したのかを考えたらまあ、予想はついた」

「はぁ…」

「自分を敵に見せかけて、俺に見捨てさせるつもりだったんだろ?そんで俺が逃げたら、ニコライの言うとおりに戦うつもりだった」

「……はい」

「なあ、自信はあったのか?」

「はい?」

 

 何の?

 

「そのデカブツを倒せる自信だよ」

 

 え~~~?そんなん分からんし。

 でも、やるしかないでしょうが。

 相討ちになっても。

 

「そりゃあもちろん。私のパワーは知ってるだろう?」

「さすがスーパーマンだ」

「その例えやめてくれ後生(ごしょう)だから」

 

 カルロス氏はしばらく笑うと、ため息をついた。

 

「ニコライ。取引成立だ」

「やっと茶番が終わったか」

「だが、アルフが完全にネメシスを沈黙させたら、溶解液で処理させろ。どうせ持ち帰りたくてもポケットに入りきらないだろうあんなデカイのは」

「……まあ、良いだろう」

「そういうことだアルフレッド!!ソイツをスーパーパワーでぶちのめせ!!!」

 

 あ、はい。頑張ります。

 

 

 

 

 

 

 

 と、いうわけで始まりましたネメシス戦。

 

 動き始めたネメシスは、元気良く咆哮を上げております。

 

 

 

 「uG Y Aa AaA A A AAaA!!!」

 

 

 

 クソうるさい。迷惑防止条例違反だぞ。

 

 接近してスコップでぶん殴って止める。ごいん、と凄まじい音がしたけどスコップは無事だった。

 地味に凄い。

 

 確かこれ、ホームセンターで2本買う時に1本しか店頭になかったので、在庫確認してもらったら倉庫でホコリを被っていたのが出てきたんだっけ。店頭にあった方は庭の整備で折れてしまったが、こちらは歪みもないままずっと使えている。

 メーカーは…東なんとか重工、だったような。

 

「おっわ!」

 

 鉤爪攻撃を避けたつもりがぶち当たる。

 相手の腕が伸びたのだ。クッソ痛いが治れば痛みも消えるのだから良しとしよう。

 カルロス氏の死体蹴りより痛くないからな……。

 

 「GwAa AaA !!!!」

 

 しかしネメシスのパワーは凄い。

 ぶん殴ったコンクリの床が割れてるもんな。

 自分がやってもヒビが入るだけだし。

 ま、その代わり自分の方が素早いから大丈夫だけど。

 

 しかし頑丈さもかなりのようで、さっきから何発も頭を殴っているが、あまり効いている様子がない。肉の内側深くに包まれた機械部分も無事のままだが、アレが壊れたら刷り込み命令により病院に行くらしいので、壊れない方が都合が良いか。

 

 さて、殴ってダメならば、カルロス氏から山ほどもらっていた手榴弾を使うことにする。

 

「ほら、おたべ」

 

 もちろん投げて避けられたら困るから、噛み付いて来たタイミングで餌やりだ。ざまみろ!

 

 「GygygYwaA AA!!!」

 

 手榴弾の味がお気に召したようで、地面を叩いて大喜びのネメシスさん。あんまり嬉しいものだから、両腕を伸ばしてぐるぐる回し始めた。

 

「ぉ"あ"あ"あ"っ"っ"っ"!!!」

「アルフッ!」

 

 じゃあその腕を避けたろ!とジャンプしたところをもう片方の腕でぶん殴られて、溶解液のタンクにバチーン!と叩き付けられる。

 

「動けるか!?」

「大丈夫大丈夫…おおぅ……いてて…」

 

 体重の違いはパワーではどうにもならないのが悲しいな。

 

「おいカルロス。アイツの体組織も寄越せ」

「んなもん自分で交渉しろ」

 

 タンクから落ちた時に下半身の感覚が消えていたから背骨が逝っている気がしたが、少し我慢してたらすぐに感覚が戻ってきたのでヨシ!

 というか、痛いのは嫌いだが連戦で慣れてしまった感じがある。嫌な適応だな。

 

 

 

 「GgGWaA AAa aAaAA A!!!!!!」

 

 

 

 5個くらいご馳走したら、流石に警戒して近寄らなくなった。しかもキレ散らかして大音量で叫びを上げている。

 衝撃波が凄すぎて、タンクの電気系統がショートしたくらいだ。

 

「あ?」

 

 で、叫びが終わったと思ったら、タンクの下にある穴からゾンビがぽろぽろ落ちてきた。

 

「おいニコライ、タイマン勝負じゃなかったのか」

「フン、俺は知らん。大方、まとめて溶かすためにストックされていた廃棄物が、さっきのショートで落ちてきたんだろうよ」

 

 あーなるほどね。解説のニコライさんありがとうございます。

 

 まあネメシスが暴れ回っているような場所だ。

 一般通過ゾンビさんなんか巻き込み事故でぼんぼこ倒される。自分も邪魔なゾンビはぼんぼこ殴るし。

 

「なんでコイツら物資をこんなに持ってるんだ…」

 

 で、倒されたゾンビの懐から救急スプレーや手榴弾、弾薬の箱がポロリする場合があった。

 恐らく彼ら自身が生前に、ゾンビと戦うつもりで抱えていた物なのだろう。運が悪いと生臭い体液にまみれているが、使えない事はないのでありがたく頂戴する。

 

「逃げるなコラ!」

 

 そんで近接戦を嫌がるネメシスは、なんとタンクの後ろの壁を走り始めた。設備全体が円形なので、ぐるぐる回られて面倒臭い。

 しかも太いトゲ針を飛ばしてくるし。ウイルスたっぷり入ってそうなヤツ。

 

 ただのハンドガンはろくに効かないし、ジルさんに持たされたデカい銃…たぶん何とかランチャーみたいな名前のヤツは弾が遅く、遠くを狙うと着弾するまでに避けられる。牽制に使えるほど強力だが、外せば弾が勿体ない。

 ショットガンとか借りとけば良かったかもしれないなぁ。

 

 あ!

 

 

 

 「A"a"AA"a" a" AaA"a"!!!!」

 

 

 

 当たるだけマシかと思ってハンドガンを頭に撃ち込んでいたが、タンクの後ろに隠れたネメシスに当て損ねた弾が、赤く光るパネルに当たる。

 すると電気系統がショートしたようで、感電したネメシスがボトっと落ちてきた。

 

「よっしゃ!!!」

 

 とりあえず痺れて動けないネメシスの頭に手榴弾をありったけ捩じ込む。無くなったらスコップでザクザク刺すように殴る。

 何かはみ出てる、赤いブヨブヨした肉が弱そうだな!たくさん殴ってやる!

 

 

 

 「o"a"O"A" A"a"A"!!!」

 

 

 

「ん"お"っ"!」

 

 悲しいかな、仕留めきれなかったようだ。

 復活したネメシスに脇腹を抉られた。

 沈黙の臓器と名高い肝臓も、外傷の痛みには黙っていられないようで、つまりはちゃめちゃに痛い。内臓はマジで止めろよ痛いんだよお前…。

 

 ……よし、治った。でも何だか腹が減った。

 エネルギー不足なのかもしれない。

 

「明らかに抉れていた腹が治ってやがる!ははは!最高だ!!ネメシスそいつを必ず殺せ!!!死体を回収する!!!!!」

 

 スピーカーでやべぇ言葉を投げ付けるの止めろや。精神攻撃かよ。

 

「ニコライ…お前、死体欲しがるとかキモいな」

「撃ち殺すぞカルロス貴様」

 

 まあ、ウイルスに適応してる人間なら死体でも研究には使えるだろうしなぁ。

 

 あーあ。仕方ないとは言え、目覚めた初日に恐れていたような状態になってしまったな。原作のウェスカー氏は政治力もあるから上手く好き勝手していたが、自分にゃ無理だカモられる。

 というか、上手い立ち回りができるなら陰キャやってねぇんだわ。

 

「手榴弾のお代わりもあるぞ」

 

 ぐるぐる走り回るネメシスが、タンクに取り付いたら感電させて落とし、動けない隙にタコ殴るのを繰り返す。

 地上を走ってる間は飛び掛かってきたり腕で薙ぎ払いしてくるので、被ダメだけで考えたら走り回っている時の方が楽なのかもしれないな。

 

 やがて向こうもダメージが蓄積してきたのか、少しずつ動きが鈍ってくる。

 あと少し。

 

 そう思ったのがフラグだったのか、タンクから落ちたネメシスの様子が変わっていた。

 

 

 

 「ア"ァ"ア"ァ"ア"ア"ア"ア"ァ"!!!!!!」

 

 

 

 

 




 
・黒歴史を生産したおじさん
自分をツッコミだと思い込んでいるボケ。
使わなすぎて、アルバートモデルのサムライエッジの存在を忘れている人。ラストエリクサー病だから仕方ないね。
知らない相手に嘘を吐くのは可能だが、親しい相手には普通にバレるタイプ。

勉強面での頭は悪くない。心理学とか精神医学の知識も雑学程度ならある。
でも人の心が分からない()から、どうあがいてもコミュ障ムーヴは治らない。
悲しいなぁ…



・カルロス氏
ボケもツッコミも器用にこなせる
倍近く年上のおじさんを容赦なくからかった人。

俺のベストにワクチンを捩じ込んでおいて、後から欲しいヤツのふりをするのは無理があり過ぎる。
きみはじつにばかだな。

ネメシス撃破が無理そうなら、ニコライを撃ち殺してからタイレルに連絡して、三人を病院から避難させるつもり。



・解説のニコライさん
なんで俺は漫才に巻き込まれたんだ。

アンブレラでの上司は、公式で手紙のやりとりがあるセルゲイ大佐ということにしておいた。しかしおじさんからすれば大佐は「イワン連れてるタイラント素体の人」だったし、登場はロシア支部の話だと思ってたから正解できなかった。

自分は謙虚だから5000兆ドル欲しいって思ってる人。



・ネメシスくん
良い子でスタンバってました。

とても賢いので、カルロス鑑定だけでなくヒヨコの雌雄も鑑定できるし、ニコライ・ジノビエフと斎○洋介の区別もつく。



・ドレブニーア博士(ドクター)
趣味で採用した名前。
先にご報告しておきますが、4月末あたりは絶対に更新できませんです。はい。



次回予告:普通に楽しい8月の幼女をはさみます。




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