目覚めたら某有名ゲームの悪役だったけど、正直言って困るんだが 作:プルスサウンド
アレ公式で世界が繋がってたのかたまげたなぁ。
もうバイオの暗黒メガコーポはフランクさんのクローンで生物兵器作れば良いと思うよ!
感想欄ネメシスくんの方が応援されてて草
確かにネメシスくんからすれば、任務内容の難易度がサイレント上方修正されてるからフザケルナ状態やな!
UBCSの件もアレやし、やっぱアンブレラは糞クライアントってはっきりわかんだね(責任転嫁)
ほぼ野郎しか出てこない回。
脇腹に怪我を負っていたミハエル隊長は、しかしそれを感じさせない足取りで出迎えてくれた。我々が出発する前より顔色が良いのは回復のおかげか、救助任務の達成が近いからか、その両方か。
傭兵というネガティブな意味合いも含む肩書きを持ちながらも、彼やカルロス氏は善性が強い人物だ。ジルさんと同じように、救える命を想ってか表情が和らいでいる。
「お手柄だな。良くやってくれた。さあ出発するから座ってくれ」
ようやっと抱き上げることのできたアリエルは、熱は下がっていないが寝息は穏やかになっていた。
小さな身体から鼓動を感じる。
生きている人間のにおいがした。
生きている。
「お嬢さんも良い子で待ってたぞ。起きたら褒めてあげないとな」
「ええ。ありがとうございます」
「さて、君は
「はい、この子に必要なので」
「切実だな。条件は覚えているか?」
「この子が死から起き上がった場合、最低でも寝かせるのを邪魔しない。代わりに私が何らかの理由で脱落しても、そちらはこの子を見捨てない」
「同行時の注意は…ああ、やらかしてジルに言われてたんだから、大丈夫だな」
「はい。情けない話ですが…」
「俺に言わせりゃ戦場で素人が生還できたんだ、立派なもんさ」
というわけで日付も変わりしばらく経った真夜中に、ジルさんとミハエル隊長、その他の隊員と民間人が乗った電車を見送った。終電はもう一本後ってやつだな。
彼女とは「ラクーンシティの外で会いましょう」と約束をした。自分は守れないかもしれないが、アリエルが代わりに約束を果たしてくれるだろう。
というかもし脱出したとしても、外で
ここ数時間、素の状態で人の善性に晒され続けたせいか「
じゃあ今ここで訂正できるかと言われたら無理だけども。明らかに白人の名前じゃない「マダオ」は名乗ると怪しさだいばくはつだし、もちろん「アルバート・ウェスカー」は使えない。というかどちらも自分にとって、結局は他人の名前だからなぁ。
ま、家主の名前を借りる必要があるのも最優先課題を達成するまでだから、それまではってことで先送りするしかあるまい。
こんな後ろ向きの自分と違い、カルロス氏なんか凄いぞ。
ジルさんに心配された時に「死ぬわけないだろ!俺が死んだら世界の損失だぜ!」みたいなこと言ってたからね。
少々フラグ的に危ういが、同時に主人公力がかなり高まっておられる……さすがやな!
再びアリエルを詰めたリュックを背負い、装備を整える。積極的に戦う役割ではなくなったので、基本的に余分な装備は外す方向だ。
具体的に言えば、斧と斧と斧と斧を外して携帯するのはナイフに変更。
大斧は持ってるし、もはや相棒と言って良いスコップは外せないが。
ちなみにバード確保の任務に選出されたのは二名。もちろん一人はカルロス氏で、もう一人はタイレル・パトリックという隊員だ。
ぶっちゃけニコライ某が同行者じゃなくて安心した。
「隊長とカルロスから聞いてるぜ。よろしく」
「お世話になります」
「同年代に丁寧な言葉遣いされるとサブイボが立つから勘弁な」
彼も気の良い人物でした。
後でドン引きされたけどな!
「薪割りみてぇにゾンビの頭カチ割ってやがる…」
「パワーだけなら即戦力ってジルからは聞いてたが…マジでパカンって音がするのな」
地下鉄から出発したが、やる事はあまり変わらない。
遠距離攻撃の二人が主戦力で、時おり弾幕を抜けてきたゾンビを自分が切ったり叩いたり、という感じだな。
もちろん背中に気を使いながらだが。
地下鉄から目的地まではさほど離れていないようで、少し歩けば直ぐに到着した。
しかしその目的地は病院ではなく警察署。何故。
「なぁ、バードは研究者だろ?なんでまた…」
「情報によるとスターズのオフィスに居るんだとさ。早くとっ捕まえろってお達しだ」
「確保って救助の意味じゃなかったのか?」
「良いか、バードはアンブレラの機密を……」
「……なるほど、嫌な任務だなぁ」
なるほどなぁ(聞き耳:自動成功)
このように署の入り口へ向かいながら小声で会話をする彼らだが、まあ部外者が居れば普通には話せないこともあるわけで。
「カルロスさん、どうかしたのか?」
「あ、ああ…大丈夫だ何でもない」
「すまんなアルフ。必要な事ならきちんと教えるから」
だもんだから彼らは今、お仕事関係のお内容についてはおロシア語でお話していた。もちろん自分に社外秘が漏れないように、という配慮だな。
しかし残念ながら、なんとウェスカー氏はロシア語もご存知だったようで、実は自分もめちゃくちゃ聞き取れている。
もちろん首をかしげて誤魔化していますがね。
いや、我ながら驚いてるんだよ。
英語が使えるのは納得だけど、何故にロシア語も?ってね。多国籍企業の幹部やるならこれくらいは必要スキルなんですか?え、怖い。
というか、ウェスカー氏ってアンブレラでの年収はいくらだったんだろうか。ちょっと気になる木。
「あ、あれは…」
署の入り口に近付くと、警官がゾンビに襲われかけているのが見えた。
カルロス氏が咄嗟に銃撃し、ゾンビは倒れ伏す。しかしパニックになったのか、逃げた警官は署の入り口に鍵を掛けてしまった。
あちゃー、という顔をしてタイレル氏が解錠作業に取り掛かる。カルロス氏の方はゾンビの装備を見て、何か思い付いたような顔でポケットを漁り始めた。
「スターズのIDか…使えそうだ」
彼が引っ張り出した身分証のカードには、ブラッド・ヴィッカーズと書かれていた。ゾンビはスターズの隊員だったようだ。
つまり「洋館事件の生き残り」である。
何と言うか、彼も裏切りの被害者だったと分かると、やるせない気持ちになってしまうな。
おこがましい事ではあるが、申し訳なさも感じる。
「おいアルフ、顔色が悪いぞ」
「いやぁ、スターズで思い出したんだけど、ここ警察署だからね。また死んだウェスカーさんに間違えられて、面倒なことになったらやだなぁ…って」
「ああ、ウェスカーってスターズの隊長だっけ」
「そうそう、その隊長さん。ジルさんと何かトラブってたみたいで、彼女と初めて会ったときにずいぶん睨まれたよ…」
「ありゃま、そりゃ災難だったな」
やがてタイレル氏が解錠に成功し、警察署に踏み込む。
しかしそこには誰も居なかった。警察署って放送によると避難場所になっていたはずだが、もうここの民間人の輸送は終わっているのだろうか?
「さっきの警官、どこ行ったんだ?」
「分からん…が、コレを使おう」
受け付けに設置されたパソコンを弄っていたタイレル氏が、どこぞへ続くシャッターを上げた。
「とりあえずそこを開けたから、カルロスは署内の様子を見てきてくれ。俺はここでもう少し調べる」
「任せろ。バード確保の手柄は俺のものだな」
「HAHAHA!今回は譲ってやるよ」
同行者でしかない自分はタイレル氏の目の届く場所で待機である。開発者の身柄を目前にもどかしいが、アリエルの安全が最優先だ。
パソコンにかじりつく彼を横目に、使えそうな医療品が無いか探してみたが、あるのは怪我人のための物ばかりだ。
避難場所に指定されていたのだから、少し期待していたのだが。
アリエルは再び咳するようになっていたので、仕方なく起こして咳止めを飲ませることにする。
咳を舐めてはいけない。続けば体力は奪われるし、激しくなると肋骨が折れたりするのだ。普通に怖い。
「ほら、シロップ飲めるか?」
「ん……」
あまり喋らせるわけにもいかず、咳が落ち着いてからすぐに寝かせた。本当は薬である咳止めだけでなく、効果の強いハーブも使い続けるのはあまり良くないと思うのだが、致し方ない。
しばらくするとタイレル氏が「スターズのオフィスに向かう」と言った。受け付けのパソコンでできる事は限られているし、先行しているカルロス氏とも合流したいそうだ。
もちろん着いていく。
カルロス氏があらかたの敵を片付けてくれたようで、廊下は血塗れになっていた。
天井から不自然に釣り下がる死体を見て、嫌な記憶が蘇る。
そう……みんな大好きリッカーさん。
思わずリュックを腹側に抱え直した。
タイレル氏もゾンビや銃撃の仕業にしてはおかしな死体を見て、警戒を強める。
「うっわ………」
「化け物までいやがるのか」
とうとうカルロス氏が片付けた物らしき、リッカーの死体が発見された。
脳味噌が剥き出しってリアルだとキッツいな。
でもそんな造形より、天井を這い回って遠距離攻撃してくるという点で、アリエルを背負った自分の天敵である。おファック。
しかしカルロス氏はよほど丁寧に掃除をしてくれたようだ。警戒しながらも、治安の悪いヘンゼルとグレーテルよろしく点在する死体をたどるうちに、すんなりとスターズのオフィスまで到着する。
「アンブレラが次々と研究者を殺してるんだぞ!良いから早くスターズを寄越して私を助けろ!」
で、ドアを開けたらコレだよ。
パソコン越しに、カルロス氏がとんでもない内容で怒鳴られていた。
とんだリモート会議である。
・おじさんの能力
情報部で大活躍していたウェスカー氏なら、ある程度メジャーな言語くらい分かるやろってことで。
多国籍企業の幹部だし。
ゾンビの頭を割ってもステップで返り血を避ける特技を身に付けたおじさん。
ぬるって動きで避けるのでご安心ください。
・カルロス氏
隊長がロシア系なんで、ロシア語を多少は使えるようになった…という独自設定を生やされた男。
同行者おじさんのフィジカルやべぇなって思ってる。
・タイレル氏(RE3のすがた)
隊長がロシア系なんで以下略。
別に嫌悪感とかではないが、普通におじさんのことを人間ちがうやろ!と疑い始めた。
でもメンタルは普通に人間なんだよなぁ。
・マービン先輩
おじさんにより多少タイムスケジュール消化が早まっていたおかげで、ピタゴラスイッチ的に助かった人。
しかし積み重なる疲労とストレス、ゾンビと化した同僚に謝罪されるショッキング体験のせいで一時的に発狂し、どっかに逃げ込んでいる。
この後どうなるのかは不明。
もしかしたら立ち直り、たった一人だけの先輩として、後に訪れる新人をしっかり歓迎してくれるかもしれないし、そうはならないかもしれない。
・ジルさん
MK5ならぬMC5
→マジで地下鉄が