咲 -saki- 二人の少女のハイスクールメモリー   作:レイ・シャドウ

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廻が愛宕洋榎を洋、荒川憩を憩ちゃんと読んでいるのには一応訳があります。
それはおいおい明かして行きますので、今回はご容赦ください。
…憩ちゃんがなんかいくのんみたいな口調になってしまったような…関西弁は難しい!!


閑話 インターミドル決勝 - A few years ago-①

これは…高校麻雀界を湧かせ、新時代を築こうとする少女と、その影に隠れてしまった少女。

二人の少女の過去最後の決戦の軌跡である…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜夏〜

「照。」

 

「…廻?どうしたの、わざわざ私の控え室なんかに来て…」

 

インターミドル個人戦決勝直前。照は選手用待合室にいた。

この日は予定が決勝戦しか入っていないため試合までは少し時間がある。集中力を高めることを兼ねて一人で静かに時を過ごそうと思い読書をしていると、彼女の最大の友でありまたライバルでもある存在が丁度いいタイミングでやって来た。ただ決勝戦は個人に待機部屋があるので、照は廻が来ることに少し疑問を覚えていた。

 

「親友の様子を確かめに来ただけだよ。ハイテンションなのも照と決着をつけれると思うとドキドキして…ついついね。それにしても、やけに落ち着いてるね。やっぱりあんまり緊張とかしてない?」

 

「あぁ…そういうこと。緊張はしてる。インターミドル決勝だよ?今までここまで勝ち上がった強豪にプラス貴女までもいる。緊張どころかトバされないか、不安よ。」

 

若干苦笑している廻を正面に見据え、照は緊張する素振りすら見せず飄々と答える。

 

「能力のある人があまりに謙虚すぎるのもどうかと思うけど…。照はかなりのポーカーフェイスだから本心が読み取れないし。…で本心は?」

 

しかし、彼女は妙なところで単純で…

 

「どうやったら貴女を効率良くトバせるかな…ってハッ!?」

 

廻の単純な誘導尋問に引っかかり…

 

「なんだとーこらー!」

 

「めふひ、ひはひ(廻、痛い)」

 

「随分舐めたこといってくれるわね、てーる?」

 

ほっぺたを思いっきりつねられる目に会った。

 

「ひはふほー!ほへはほーへいほはははほー!(違うよ〜!これは孔明の罠だよー!)」

 

「最近やっと覚えたネット用語で誤魔化さないの!」

 

決勝直前とは思えないほどの和気藹々とした茶目っ気のある雰囲気。そんな中…

 

「おうおう、お二人さん。今日も相変わらずイチャイチャしてんな〜。」

 

「羨ましいことこの上なしやねぇ。洋榎ちゃんウチとあれやらへん?」

 

残り2人の対戦相手が大阪弁を話しながら照の控え室にやって来た。

 

「年下ならあんたやなくて絹だけで十分や。それにウチはレズやのうてノーマルや。あんな百合百合しい雰囲気は真っ平御免やわ。」

 

「えぇ〜そんな殺生な〜。巷でウチ聞いたでぇ。あんた、この間妹の絹ちゃんと喧嘩したんやろ?丁度ええやん。」

 

「え?洋、絹ちゃんと喧嘩したの?」

 

「憩の情報網はどないなっとんや…。その…絹が一向に自分の意見を変えようとせんのや。ウチの意見も聞かずにな。あいつも妙なところで頑固やから、段々水掛け論になって来てもうて…」

 

「そう…喧嘩の内容は何?」

 

自分にも形は違えど、姉妹喧嘩という部分に思い当たる節があるようで、若干顔を曇らせた照がそう聞くと…

 

「阪神の4番は誰がふさわしいか。」

 

「「しょーもな!!!!」」

 

廻を除く二人が声を揃えてそう言った。

 

「しょーもないことあらへんわ!オープン戦で調子良かっただけの助っ人に4番は無理や!絶対日本人の方がええ!って言うてんのに、絹は絹で4番は外国人や!今回は当たりや!の一点張りやし…そんな重要案件が一週間前からずっと平行線辿っとるんや。」

 

「えぇ…そんなんどーでもえぇと思うんやけどぉ。あんたが決められる問題じゃあらへんし。チャンピオンはどう思うん?」

 

「野球、興味ないから分かんない。」

 

「いや、そっちやのーてぇ…」

 

「うーん、廻はどー思う?あんた、野球好きやなかった?」

 

少しでも自分に味方をつけるためなのか、洋と呼ばれた少女は廻に重要案件?の話を振るが…

 

 

「阪神…四番…うわー、広島ファンの私にはロクな思い出が…。」

 

「………なんか、ごめん。」

 

話が逆にこじれるだけだった。

 

 

 

宮永照・伊奘諾廻、荒川憩・愛宕洋榎。

彼女らがインターミドル個人戦決勝まで残った4人だ。

照と廻は同じ中学校であり、同じチーム。団体戦では既に優勝を決めており、団体戦V3を成し遂げたばかりだ。個人戦も照がV2を達成中で、3年連続優勝に拍車がかかる。廻も2年連続準優勝、下克上に期待が膨らむ。

そんな彼女らの快進撃にストップをかけようとするのが、残りの二人。

愛宕洋榎は西日本でも一、二を争うほどの打ち手。荒川憩も、唯一の二年生ながら同レベルの打ち手だ。

因みに、宮永照と伊奘諾廻は所謂牌に愛された子と呼ばれ、先天的な才能でここまで登って来ている。よって根本的な地力では、後の二人の方が上だ。ネット麻雀などの実力が考慮される麻雀では恐らく、後の二人の方が力の差を見せるだろう。

荒川憩と愛宕洋榎は自身の麻雀の実力のみで波いる強豪を打ち倒して来た実力者。故に異能な能力というものはないから、雀卓だとどうなるか分からない。下馬評では、4人とも拮抗している。

決勝戦まで残り30分。彼女らは何を胸にこれからの決勝へ臨むのか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お菓子あるけど…皆食べる?」

 

「お、えーやん!決勝直前にお菓子パーティか、乙やな〜!」

 

臨む…のか?

 

「あんたら、そんなことして大丈夫なん?決勝前にそんな余裕ぶっこいとって、ウチに捲られても知らんよぉ?」

 

「…憩ちゃん、今のあの2人に何言っても無駄だと思うよ。全集中がお菓子に注がれてまるで話聞きそうに無いもん。」

 

「でしょうねぇ。まるで、獲物を見つけた野獣の目してますもん…。」

 

「廻。お菓子出せそうな物持ってない?」

 

「紙皿ならあるけど?」

 

「頂戴!」

 

「…何でそんなもんが入っとるんですぅ?」

 

「照がお菓子を持参するのは何時ものことだからねぇ。何人で居ても分配できるよう、袋ごとカバンに常備してるってだけ。一枚でいいの?」

 

「袋菓子だし…全員に等分したいから4枚でお願い。」

 

お菓子が等分されて、たわいもない会話が繰り広げられ始めている。控え室はまるで、誰かの家の私室のようなアットホームな雰囲気を何処と無く醸し出していた。

 

「…仮にも決勝試合開始30分前やのにぃ、こんなことしよって大丈夫なんやろうかぁ?」

 

まぁ、一応マトモなことを言う人もいたが…

 

「外におっても、マスコミに追われるだけや。どのみち集中なんて出来へん。四人しかおらんし、誰かにマスコミをなすりつけるのも気が引ける。それよかまだ静かなこっちの方がええやろ。」

 

「…そやけどぉ。」

 

年功序列、結局なんだかんだで年上の意見は反対できない憩である。

 

「まぁ、いいじゃん。全国終わったら、二人ともすぐ戻るんでしょう?なら、この時間くらいは会話の時間にしてもバチは当たらないと思うよ?」

 

「まぁ、姐さんがそー言うならえぇか…。けど、時間だけは守ってや〜。」

 

「そこは抜かりなし!ほら、憩ちゃんも座って座って!」

 

「…釈然とせんけど、まぁ、失礼しますぅ。」

 

因みに憩が呼ぶ姐さんと言うのは、廻への呼称だ。なぜそう呼んでいるのかは具体的に分っていないが、本人曰く「なんか雰囲気がお姉さんっぽいやろ。分かる?え!?分からん?…信じられんわぁ。チャンピオンへの対応見よったらわかるやろ!」だそうだ。

 

「さっきの様子だと、絹ちゃんは元気にしてるみたいだね。」

 

「当たり前や!ウチの妹やで。そう簡単にくたばってもろうたら困るわ。

まぁ、何や…今は大げんかになっとるけど…。」

 

「…大げんかの前にくだらないという前置詞が足りないけど。」

 

「…なんか言ったか?」

 

「くだらないという前置詞が足りないと(いや、なんでも無い)」

 

「…照、また本音と建前が逆になってる。」

 

「…………は!?」

 

グリグリグリ………

 

「いいんですかぁ、あれほっといてぇ?」

 

「因果応報・自業自得。少し痛い目にあってた方が彼女のためよ。それより、憩ちゃんは今んとこ高校どうするの?まだ二年生だけどインハイ、考えてないことは無いでしょう?」

 

「そうですねぇ…強豪校には行きたいですけど、ウチの実家が病院ですから〜。仮に推薦が来ても家の手伝いもありますんで練習参加できないかとぉ。なんで近場で中堅校である程度融通の聞く所とかを考えてます〜。姐さんは?」

 

「私?私…はね…えっとね…」

 

「?」

 

言いづらそうにしている廻に対して疑問を覚えていると…

 

「ウチは、姫松高校から推薦もろたから姫松や!南大阪地区になるから憩とはこっちに来ん限り別々やけどな。」

 

愛宕洋榎の乱入が入った。

 

「洋榎ちゃんには聞いてへんと思うんやけどぉ…」

 

「というか洋、照はどうしたの?」

 

「あー、せや。それを言いに来たんや。流石にうちの攻撃に降参してそこで頭抱えとるわ。まぁ、これに懲りてもう余計なことは言わんやろ。」

 

「あ…そう。」

 

洋榎が指差した方を見ると、確かに頭を抱えてうずくまっている照の姿があった。

 

「痛い………」

 

廻がため息をつきながら立ち上がり、照に近づき…

 

「自業自得、洋にお菓子を取られなかっただけマシだと思うよ。」

 

とだけコメントした。

 

「む〜…最近廻が厳しい。」

 

「お生憎様、私はこんな人よ。」

 

照の発言をかるくあしらい、廻は戻ろうとするが…

 

「…何、照?」

 

照が廻のスカートの裾をギュっと掴んで離さない…。

 

「…………」

 

「さっきも言ったでしょう?自業自得だって。甘やかすのは良く無いよ。」

 

「…分かった。ごめん…廻。…うぅ」

 

スカートの裾を手放し、すっかり意気消沈して若干涙目を浮かべる照。

 

「はぁ…」(ナデナデ)

 

「…………廻?」

 

「何でかな、やっぱり、何処か貴女には甘い部分があるのかな…。そんな悲しい顔をしたら、私まで悲しくなるよ。照…」

 

「廻…」

 

「照…大好きだよ。」

 

「…うん。私も」

 

母娘のような関係からいきなり、恋人の雰囲気に変貌…その光景を無理矢理見せつけられている残りの大阪2人組はと言うと…

 

「…なぁ憩、そのジュース苦ない?

砂糖いらへん?」

 

「お生憎様やぁ。寧ろ洋榎ちゃんにこの砂糖やるわ〜。血糖値は上がり過ぎてもあかんけど下がり過ぎてもあかんのんよぉ。医者志望からのありがたい助言やでぇ。」

 

…何故か口から砂糖が吐き出され、それを互いに押し付け合うという珍妙な行動を繰り広げていた。

 

「余計な心配おおきにな。あと砂糖はいらんわ。血糖値は高うなってもあかんやろう?…冗談はさておき、いつまでまさぐりあっとくつもりなんやろか、あの二人?」

 

「ほおってたら、いつまでもやってそうで怖いわぁ。いざとなったら…洋榎ちゃん、あん中入ってく度胸あるぅ?」

 

「無いな。冗談抜きで殺されるで。ただ、本来ならそろそろ時間やし、動いた方がええねんやけど…」

 

そう言い終わったのちに洋榎がスピーカーの方に目を向けると…

 

『後10分で、インターミドル決勝戦開始です。出場される選手は、会場へ向かってください。』

 

という音声が流れた。

 

「ほらなっ。」

 

「…ほらなっや無いやろぉ。はぁ…このままやと不戦勝やで。後味悪いわ。」

 

洋榎と憩がそんなやり取りをしている横では…

 

「んじゃそろそろ行こっか、照?」

 

「ん…負けないから、廻。」

 

「それはこっちの台詞!照こそ、最後の逆転には注意しなよ?」

 

「油断はしない。最初から全力でかかるから!」

 

「「…あれ?」」

 

いつの間にか立ち上がり、今にも対局室に向かわんとする二人がいた。

 

 

「ん、洋、憩ちゃん、行かないの?そろそろ始まるって。」

 

「…いや、廻?あんたいつの間に現実戻って来たんや?」

 

「ホンマですわぁ…。ウチらどうやってあんたらを連れて行こうか協議しよったくらいよぉ。」

 

先程からの態度の変貌に、ついつい気の抜けたような声をあげてしまう洋榎と憩。

当然だろう。ラブラブな空間を醸し出していたかとおもえば、いきなり戦闘態勢に入っているのだから。

 

「ん?どゆこと?」

 

「…抽象的過ぎてわからない。具体的にお願い。」

 

二人の間にハテナが漂い始める。

 

「…もうええわ。これ以上うまいこと説明できる気がせーへん。憩は?」

 

「同じくやねぇ。というより、洋榎ちゃんの説明が一番的を得ていたと思うからこれ以上脚色のしようが無いわぁ。」

 

「「??」」

 

相変わらず二人の頭の上には、クエスチョンマークが漂い続けている。

 

「んじゃ、行こうか。憩。」

 

「OKやぁ。ほな、先行くで〜、照さんと姉さん。」

 

「「………」」

 

2人がいったことにより、その場にはハテナが浮かんだポカーンとした表情の2人だけが残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数分後〜

第63回全国中等学校麻雀選手権大会個人戦決勝会場

立てかけられた看板の横にある荘厳な扉…廻は、仁王立ちでその場に佇んでいた。照は先に入ると言って早々に行ってしまったので、今頃既に卓についているだろう。

 

(これが中学での最終決戦か。)

 

入学してからというもの彼女は一度も、宮永照を負かしたことが無い。宮永照は、公式戦及び練習試合でも無敗の強さを誇り、誰が相手であろうと、油断慢心なく打ち続けた。結果、廻はいつも二位という結果に甘んじていた。まぁその結果も彼女の強さを物語っているのだが、やはり人間的心理として一位を取らないと満足できない部分もある。

 

(…私は、無意識に照の背中を追い続けてたのかもしれない。)

 

廻自体も、中学ではほぼ負けなしだ。インターミドル2年連続準優勝の成績がそれを顕著に物語っている。

だが、いつも一位には叶わなかった。それが実力か、或いは運かは本人でもわからない。

 

(いつも照には叶わなかった。去年もその前も私は二位。だけど、今回は…………)

 

 

「私が…勝つ!」

 

自分に気合を入れるようにそう大声で言いながら、廻は取っ手に手をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜照side〜

廻は何時も私と同じところにいた。麻雀部でも、私に唯一ついて来られたのは廻だけだった。

何度トバされ、何度惨敗を喫したのかもわからないくらいに対局をしても、廻は私を離れることはなかった。こんな経験、私は初めてだった。

 

(だから、貴女は私の特別…。)

 

東京に転校して来た当初、私の無愛想な性格と、麻雀の実力、そして転校生というレッテル…それが合間って誰も私に声をかけない、完全にクラスメイトから無視されているような状況が少しの間続いたことがあった。

こんな状況の中でも廻は周りの目を恐れず、私に声をかけてくれて、親友になってくれた。転校して来たばかりで友達もいない…孤独だった私にはそれが何より嬉しく、ありがたかった。同世代で、脇目もふらずに甘えられる存在…そういうものが心の何処かで欲しかったんだと思う。

 

一度、彼女に聞いてみたことがある。どうして、あのとき私に声を掛けたのかと。

 

「あの時の照…完全に心が壊れそうだった。私から見ても分かったし、自分でも似た経験があったから…照に誰一人話しかけようとしないから話しかけたら何か変わるかもしれないと思って。」

 

…妹との喧嘩、両親の別居、慣れ親しんだ長野から見知らぬ東京への転校、そして家族の崩壊。当時そんな意識はなかったが今、顧みれば私の精神はその時ボロボロだったと思う。

 

そして、今度は違う質問を問うた。

どうして、私にそんなに構ってくれるのか…。

そう言うと、廻は笑顔で…

 

「そんなの、簡単だよ。

だって私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女が好きだもん。

性格も、仕草も全部。

理由になってないかもしれないけどね。」

 

その後、私がどう返したかは覚えていない。断片的な記憶だからあやふやな部分も多い。だけど…今も昔も変わらない思いはある。

 

 

(私も、廻が好き…)

 

 

だからこそ、この場で決着をつけよう。

Winnerとloser、二極対立のみ存在するこの決戦の地にて互いの集大成をぶつけよう。そして…

 

(私が勝つ!!!)

 

私は、これまで以上に勝ちへの執念を心に灯した。

 

 

 

 

 

ー全国中等学校麻雀選手権大会決勝ー

・喰いタンあり、後付けあり、喰い替えなし。

・東南戦25000点持ち30000点返し。

 

東家 宮永 照 (西東京都代表 三年)

南家 荒川 憩 (北大阪府代表 二年)

西家 伊奘諾 廻 (西東京都代表 三年)

北家 愛宕 洋榎 (南大阪府代表 三年)

 

「よろしくおねがいします。」

 

「よろしゅうな。ええ試合にしよーや、3人とも。」

 

「よろしくお願いします。悔いの残らないように全力で行く。」

 

「よろしくお願いしますぅ。先輩方に囲まれての唯一の二年やけどぉ、トバされんように努力しとりますわぁ。」

 

上から、廻・洋榎・照・憩の順だ。

 

「言うとれ、憩。そのうち化けの皮が剥がれて点棒荒稼ぎする気やろ?好きにはさせへんで。」

 

「またまたぁ、冗談がお上手やなぁ洋榎ちゃんは〜。」

 

「照!今日こそは勝つ!!」

 

「…負けない。私は、負けない!!」

 

 

互いの意地とプライドを掛けた勝負が今、始まる。

 

 

 

 

 

東一局

ドラ{八}

 

〜洋榎side〜

{三四八九1358①⑧⑨東発}

 

うーん、どないしよーか…。配牌見た感じやと純チャン、鳴き無しで平和くらいか。大型手は期待出来へんな。初っ端やから仕掛けるべきところでも無いし、最初のツモり牌次第で決めようか。

東家でも無いし、取り敢えず字牌切りやな。チャンピオンがダブ東重なると痛いけど、まぁチャンピオンは東一局は動かんしな…。打牌東でええやろ。

 

 

 

〜side out〜

 

side 憩

{二七八479①②④⑤発発中}

 

発でポンして、鳴いて発、混チャンかなぁ?{④⑤}切りで悟られるかもしれんけど…速攻上がりが出来れば別に気に病む必要も無いしねぇ。チー連打しておいて、流される前に和了。姐さんの九連が何時火を吹くか分からん以上、流さないと…。

 

 

 

照side

{12466778②③⑥⑦⑦} {中}

 

オリかな…。照魔鏡を使うには東一局はオリなければいけない…。廻相手には使う必要性も無いけど、他2人がどんな能力を持っているかが分からない。守備に回ろう。

 

打牌{②}

 

 

 

〜6巡後〜

(無事に{発}はポン出来て、何とか聴牌にも近づいて来とるけどぉ…)

 

(結局ツモり牌に期出来へんし、降りたんやが…)

 

(流局に持ち込ませようと合わせ打ちを多めにやったのだけど…)

 

{■■■■■■■■■■■■■}

 

((廻[姐さん]の動きが無い…))

 

廻 捨て牌

{中中③二8}

 

(鳴き無しで聴牌気配も無い…。九連狙いなんか?いや…でも萬子でのチンイツ、九連だとしても{二}は残すやろうし、中の対子落としなんか明らか異常や…。何を企んどるんや?)

 

(中の対子落としも異常やけどぉ…何よりも萬子を4巡目に捨てとる言うのがまた悩まさせられるわ…。九連は面前で揃えないと役がつかないから、常人なら九連狙いで使う種類の牌は万一の時のために不要牌でもとっとくもんやとおもうんやけど…)

 

(…不味い。九連狙いで{二}切り。他2人は迷ってるみたいだけど、この捨て牌で私は答えが出ている。…廻は)

 

「立直!」

 

打牌{6}

 

(九連宝塔…九面待ちしてる!!通称 純正九連宝塔、別名 天衣無縫。廻は自分の代名詞とも言えるこれを…初っ端からやる気か…

厄介なことに、待ちが多く直撃すればトビ…。ここは親被りになったとしてもツモ和了させないと終局してしまう。どーすれば…)

 

(六巡目リーチかい!?早いわ!うちかてオリ選択したばっかやのに。どないしようか…一応廻の能力から萬子残しとけば大丈夫や思うけど…。)

 

(うわぁ…姐さん早すぎやろぉ。これで大型手来られたらえげつないことなるわぁ。初っ端やし振込して流れ渡しとうないし…折角一向聴まで来たんやけどなぁ…)

 

それぞれの陰謀や考えを秘めている間にも対局は進む。

そして…

 

 

{一一一二三四五六七八九九九} {五}

 

「ツモ!!!天衣無縫 8000・16000!!!先手は頂いた!」

 

先手を取ったのは、(チャンピオン)ではなく女王(ブリュンビルデ)だった。他にとっては、ツモ和了で首の皮一枚で繋がったと言った所か…

 

卓を囲む四人の雀士。ただ、その中に勝者は一人のみ…。誰が泣き、誰が笑うのかこの時はまだ神のみぞ知るばかり、誰も知らない。全ては、運命の赴くままに…。

 




長くなりそうなので二部構成です。
どうでしたでしょうか。一応試合前〜東一局まで、まとめたのですが…。
内容が薄いのは作者の文章力所以です。申し訳ないです!
一応一年編を終わらせたのちに②及び、人物紹介に入らせていただこうかと思います。
ではよろしくお願いします!!

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