咲 -saki- 二人の少女のハイスクールメモリー   作:レイ・シャドウ

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インターハイ決勝です。
なんと言うかグッダグダですし、美穂子さんがこんな描写でいいのか…
というより、久さん一年生のときの長野県に原作キャラが少なすぎだよ〜!



第七局

インターハイ予選決勝

東南戦 東一局

東家 福地 美穂子 (風越女子 一年)

南家 伊奘諾 廻 (清澄 一年)

西家 北上 千里 (東城山学院 三年)

北家 一二三 綺音 (風越女子 二年)

 

ドラ{九}

廻 {四五六八九九九⑤⑥⑦56南} ツモ{七}

 

(初っ端からドラ3確定ですか…。しかも、ドラ三つ重なっての二向聴。東家と北家が同じ高校ですから、バレない程度の狙い撃ちをしてくる可能性も視野に入れなければ行けない以上、迂闊には出れまでんが…まだ東一局ですし、いざとなったら後々に挽回出来るでしょう。攻めますか…)

 

打牌{四}

 

(さーて鬼が出るか蛇が出るか…面倒にならなければいいんですがね。)

 

 

ー5巡後ー

(結局特に何も無く聴牌にこぎつけてしまった…。)

 

{五六七九九九⑤⑥⑦567南}

 

(3色とドラ3…立直和了で3000/6000の跳満手…早々に引導を渡した方が得ですね。賭けましょう。)

 

「立直!」

 

5巡目と割と早めの立直宣言。

 

(流石だね〜、早い!早々にリーチかけて逃げ切る気かな〜。)

 

打牌{東}

 

(5巡目での聴牌…。しかもそのうちツモ切りは3回、ということは最初の段階で二向聴スタート、捨て牌に和了の特急券とも言われる字牌や役牌がないので、それを重ねて来たという可能性もありますが…。場にも、私の手牌にもドラがないのが気になりますね。振込だけは気をつけましょう。)

 

打牌{一}

 

(一発…ならずか、勿体無い。)

 

打牌{中}

 

6巡目終了段階では何も起こらず、よって廻の一発も無くなった。動きを見せることはしばらくないだろうと会場も、実況席も思っていたが…

 

「ロン!立直三色ドラ三 12000!」

 

{五六七九九九⑤⑥⑦567南} {南}

 

案外、試合の変動は早かった。

 

 

「早速大型手のロン和了だ!東城山学院、北上千里。早速伊奘諾に対して跳満振込!これはどう見ますか、伊奘諾プロ?」

 

「北上はツモり牌が自分の必要な牌、増してや彼女の手牌は二向聴まで行っており、降りるという選択をなかなか下せられなかった。その上、場には字牌があったので恐らく、伊奘諾の和了牌である南にまで目を向けられなかった。自分の先入観だけで南は無いと思い込んでしまい、手痛い反撃を受けた…と言った所か?」

 

「あれを回避するにはどうすれば…?」

 

「まだ序盤だから、下りるという選択肢が最善だったと思うね…。血気はやって攻めたいという気持ちもわからなくはないが、オリればツモられても、親ではないから取られる点数は1/4に減るし、その間に他家が振り込む可能性もある。流局ならば1000〜3000点支払いで良かったわけだから。」

 

「選択ミスが、運命を分けたと?」

 

「序盤だから、運命を分けたとは言い切れないが、選択ミスだったことに違いはないね。恐らく、流れは伊奘諾に行きかけているから…これは自分だけでなく他家にとっても痛いと思う。」

 

 

 

 

(東城山が振込か〜。

面倒なことを…流れが女王に移りかけてる。一発ツモされなかっただけましだけど、これは…手牌次第では安手にしてでも早急に流す必要がありそう。次の親番で、連荘されたら面倒だからね。)

 

(よし!和了できた。しかも初っ端から跳ね満とかラッキーだわ。一発つけばもっと良かったけど…贅沢は言えないか。取り敢えず、ここから親番だし、この気に乗じて連荘して突き放したいかな。)

 

 

 

 

 

東二局

東家 伊奘諾 廻 (清澄 一年)

南家 北上 千里 (東城山学院 三年)

西家 一二三 綺音 (風越女子 二年)

北家 福地美穂子 (風越女子 一年)

 

ドラ{⑶}

 

〜一巡目〜

「ポン!」

 

{中横中中}

 

「ん?」

 

 

 

(一巡目から私の捨て牌の中を対面がポン…か。親が重なっての連荘と私の高打点がやはり脅威と見たのかな。それで速攻の役牌流しに来ていると。無難だけど、流されたらそれはそれで厄介なんだよね〜。はてさて、どう動くべきか…。)

 

〜side 一二三〜

 

(取り敢えず、和了ることに専念しよう。打点に関しては後あと考えればいいや。もし連荘されて東城山が飛ばされたら何より…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風越部長の私の顔が立たない!!!!!!)

 

一二三 綺音、意外に社会的な体面を気にするタイプである。

因みに、仮に今のままの状態で終局した場合だと、決勝戦点数一位の廻と総合得失点差が廻に次いで二位である福路 美穂子の全国出場が決定する。即ち、綺音が出場することは不可能。外聞や、体裁を気にする彼女にとってはなかなかの死活問題である。(心からそう思っているわけでもないから、時々記者への返答が蔑ろになるときはあるが…)

 

(ヤバイ。今まで余裕ぶっこいていたけど、流石にそろそろ動かないと…)

 

表面は平静を装っているが、心の中では焦りと葛藤でいっぱいいっぱいな彼女であった。

 

「チー!」

 

{横二三四}

 

一二三 手牌

{一八347⑤⑥} {横二三四}{中横中中}

 

(幸い、塔子が多いおかげでチーや順子は作りやすい。中のノミ手だから1ものすごく安手だけど、無いよりまし。このまま、流れに乗られてはこっちが困る。ここは流さないと「ツモ!」いけな…え?)

 

「4000オール 満貫です。」

 

{3⑤⑤⑤} {横二二二}{88横8}{横⑨⑨⑨}

{3}

 

Side out

 

東二局終了時点でのそれぞれの点。

伊奘諾 廻 49000

北上 千里 9000

一二三 綺音 21000

福地美穂子 21000

 

「ふぅ…他家の安上がりを避けて、なんとか早々に上がれた〜。よかったよかった。」

 

和了した側はコーヒー飲みながら、そんなことをつぶやいている余裕があるが、された側としてはこれ程嫌なことはない。

 

(不味い…。流れが完全に伊奘諾に行ってしまってる。しかも、さっきから跳満と親満で二回連続12000…打点が高い!仮に次の局で東城山が満貫以上に振り込んだらトビ終局だ。やっぱり安上がりでも早急に上がらないと!!)

 

 

東二局一本場

Side 美穂子

(張りました…ね。)

 

{二三三三} {3横33}{横777}{横⑧⑧⑧}

 

河に{白}をすてつつ、私は考察を始めた。

 

(一二三先輩に関しては、今考えることではないでしょう。問題は、伊奘諾さん。女王が無名校に行ったと中学麻雀界で大騒ぎになった時は本人の実力が落ちたのでは、と失礼ながらに思ったのですが…。)

 

チラッと伊奘諾さんの方向を見て

 

(少なくとも、実力は相違ないと言うより、若干上昇傾向にありそうですね。聴牌速度や手の大きさとを省みると、最悪次局…いや、この局での東城山のトビもあります。厄介どころの問題じゃ無いですね…。速攻で上がれれば苦労は無いのですが…)

 

私の上がり牌は{二}の単騎待ち。

場には出てないのですが、私の捨て牌を見て合わせ打ちされたら、上がるどころか振込かねない…。

対子と暗刻があったし、ポン材が出されたから対々ノミ手の安上がりで伊奘諾さんの親を流そうと思ったのだけど…早計でしょうか?

 

「立直!」

 

また立直宣言!…いや、この捨て牌は!!

 

 

 

「ロンです!!タンヤオ、対々の7700!!」

 

 

「!?…………はい」

 

私の…上がり牌!

 

 

 

廻 捨て牌

{北3七8①⑨⑧横二}

 

 

 

 

 

 

「風越女子高校一年 福地美穂子!伊奘諾廻の親での連荘を阻止!立直宣言牌をあっさりロン和了だ!」

 

「廻の悪い癖がでたな。」

 

「…伊奘諾プロ?廻の悪い癖とは?」

 

「…あまり公にするのもよろしく無いのだが、まぁいいか。伊奘諾 廻は確かに雀士としての実力はプロ級だ。これは、実の親であるから贔屓しているのではなく、プロ雀士の目線から客観的に見ても恐らく10人中9〜10人がそう答える。ウチのチームに聞いてみても同じだろう。ただ、奴には雀士としては非常にあってはならない致命的な欠点が存在する…。何度も治すように言ったんだがな…」

 

「致命的な…欠点ですか。それはどういう?」

 

「奴は流れに乗った時に短絡的に自分自身で和了を目指そうとし、一点に集中してしまう。簡単に言えば、他人の捨て牌が目に入らなくなって、ひたすらツモり牌だけで和了を目指そうとするんだ。」

 

「な!?それでは、先ほどから立直を多用しているのは…。」

 

「…奴は一回戦から全て立直和了で終了している。いや、奴が鳴いた試合なんて俺は見たことないからほぼ全ての局、立直和了してるな…。字一色とか緑一色目指す時は別だろうけど、あんな役満早々出るようなものでもないし、それにあなただって考えればわかるだろう?ただのタンヤオドラ1でも、立直一発がつけば満貫に化けるんだ。高打点をポリシーに置いている伊奘諾廻が、それを考慮しない手があるまい。だが…」

 

 

 

 

「それ故に、一度流れを断ち切られたら…取り戻すには、相当な時間がかかるだろうな。」

 

 

 

 

〜side廻〜

「……」

 

{一二三四五五五六六七七八九}

 

 

ドラは{③}なので絡まないが、和了していれば清一色、一気通貫、平和で親の倍満24000。直撃で終局、仮にツモ和了でも東城山が1000点だから、かなりのハンディギャップを相手に負わすことができた…。

だが、現実はどうであろう?立直をしたところで風越の一年生に振込…。自分にあったはずの流れが全て流れた。

自分が最強なんて自惚れているつもりは毛頭ない。でも…

 

 

「照…。こんな時、貴方はどうしてたっけ?」

 

自分が有利なはずなのに、私は何故だか虚無感と絶望感しか残っていない…。

流れを持って行かれたからか?それとも、久々に振込んだからか?

何でだろう?自分のことなのに…

 

 

 

 

 

 

 

自分が一番分からないよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜久side〜

「廻!?」

 

長年過ごしてきたわけでも、競い合ってきた訳でも無いけど…あんな廻を見たことが無い。自信喪失、そして目に光が灯っていない…。

福地美穂子への振り込みが廻をああさせたのは明らかだが、親番を流されたからと言ってリードは保ったまま。何でそこまで落ち込むのか、私にはわからなかった。

 

 

(どうか…持ち直して!)

 

私には、そう願うことしかできない…。こういう時はどうすればいいのか

 

 

私はわからなかった。

 

 

〜side out〜

 

 

 

ーそして時は過ぎー

 

「ツモ。500 1000です。」

 

「南三局、北上千里がタンヤオのみの安上がり。勝負は、オーラスへと突入します!」

 

 

伊奘諾 廻 40500

北上 千里 11000

一二三 綺音 21000

福地美穂子 27500

 

それでも、廻は流れを戻そうと必死に頑張った。福地美穂子の安上がりや、ノーテンでの支払いを受けたものの、一時は30000点台に落ちた点数を、ここまで引き上げた。

 

(…ここで私が上がれば全国に行ける!照と決着をつけるためにも、安上がりでいい。早急に決着をつける!!!)

 

 

しかし、ここで一人が動き出す。

今まで、一つの動きも見せず眠れる獅子と化していた『暁星』が牙を砥ぎ、女王に標的を定めた。

 

 

 

オーラス

東家 一二三 綺音 (風越女子 2年)

南家 福地 美穂子 (風越女子 1年)

西家 伊奘諾 廻 (清澄 1年)

北家 北上 千里 (東城山学院 3年)

 

「ダブル立直!」

 

開始早々西家から響き渡る立直の掛け声。

オーラスでのダブル立直。早速の仕掛けに会場はざわめき立ち、大半の客は既に伊奘諾廻がこのまま全国を決めると楽観視するものが多かった。

実際振り込んだとはいえ廻は首位キープ、尚且つここで3位の一二三綺音に振り込んだとしても、三倍満や役満でなければ問題は無いのだ。順位が一二三に負けていても、得失点差で全国へと駒を進められる。

誰もが、この場を伊奘諾 廻のものだと思っていた…。

 

 

 

…それが動き始めるまでは。

 

 

 

 

 

 

 

〜side 廻〜

流れがやっと戻ってきた…。

 

{二三四六七八123②③④⑤}

打牌 {南}

 

ダブル立直のみの安手。{②⑤}ノベタンとはいえ、場には出ていない上に一巡目だから誰も何が安牌かわからない。

これなら誰かが振り込むでしょうし、仮に振り込まなくても自分に実害さえなければ得失点差で全国へ行ける。

 

 

「ポン!」

 

 

一二三 手牌

{■■■■■■■■■■} {南横南南}

打牌{発}

 

親のポンですか…ダブリーしている今、警戒しようとしても出来ないけど、大型手でなければ問題は無いかな。

 

 

 

 

 

〜side out〜

 

ー東京都ー

「…その油断が命取り。」

 

「照、何か言ったか?」

 

「…………何でもない。菫、この状況を、貴方ならどう見る?」

 

白糸台高校のレギュラー部員専用の部室には、衛星放送を用いて全国のインターハイなどの予選大会が見られるようになっている。

団体、及び個人戦にて全国出場を決めている照は少し前に新規でレギュラーに加わった弘瀬 菫とともに、長野県インターハイ予選決勝を見ていた。

 

「どうって言われてもな…。一応、女王が他3人を圧倒とは言わずともリードしているとしか言いようが無いのだが…」

 

「その一応というのは?」

 

「なんと言えばいいか分からないが…油断しているとでも言えばいいのだろうか?オーラスでダブル立直だから、何処と無く安心感があるというのも分からないでも無いが…。」

 

「そう。私も同じ事を思ってた。結局勝負事に関してはどんなに圧倒的優位に立っていても、油断したらその時点で負ける。スロットだって競馬だって、パチンコだってそう。だから私は、最初から最後まで油断だけはしないようにしている。どれだけ大量得点差がついていても、足元をすくわれては元も子もないから。」

 

「…それで、女王は現段階で全国出場を決めたようなものだから、力を抜いているということか?」

 

「そこまでとは言い切れない。だけど油断しているのは確か。しかも…。菫、親の手牌を見て。」

 

「親の手牌?南のポンに東、西、⑤…。字牌と{⑤}だと!?もしかしてだけど照!」

 

「今まで一切動かなかった風越の部長が動き始めた。それも手元にかなりの大型手を携えて…。このままだと、この試合は恐らく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…トビ終局。」

 

 

 

 

 

ー長野県ー

「ポン!」

 

 

 

 

 

{■■■■■■■} {南横南南} {横東東東}

打牌 {⑨}

 

(東と南。点数的に大四喜もしくは字一色狙い?捨て牌に字牌は三元牌しか出てないからあり得る…。字一色はないかもだけど。)

 

(!?動き始めましたか一二三先輩!…援助するなとは言われましたが、先輩の全国出場を決めるためです!申し訳ないですが、小言は後からいくらでも聞きます!気づいてください!)

 

美穂子 打牌

{西}

 

〜side 一二三〜

(!?…たっく。美穂子分かっててやったね?後で色々付き合ってもらうからね。)

 

露骨な援助に若干苦笑しながらも、後輩が差し伸べた手に…

 

「ポン!」

 

しっかりとしがみつく。

 

 

{■■■■} {横西西西}{南横南南}{横東東東}

 

(よっし、これは勝てる!)

 

皆に見えない位置で、私は密かにガッツポーズをした。

逆転への布石が整いかけている…。後は、女王の自滅を…待つのみ…かな。

チラッと女王の方をみて、私は心の中にそう刻みこんだ。

 

〜side out〜

 

 

 

(完全に大四喜狙い…。しかも、後は{北}のみか。ここでツモらなければ、まだなんとかなる!既に一向聴まで辿りついてるみたいだけど、

 

「何でよ……………。」

 

廻のツモり牌は{北}。

 

(何で、このタイミングで…北が…。最悪だよ。大四喜に振り込めって言っているようなものだよ。ダブリーなんてかけなければ…)

 

「ただ安直にかける立直って怖いね。そう思わない?女王。」

 

「……」

 

「ねぇ、女王、包って知ってる?」

 

「責任払い………」

 

手の震えが止まらない…。廻はこれを出せば責任払いが確定する…。

責任払いとは、麻雀におけるルールのひとつで、ある特定の役の和了が発生した時に、その役を確定させる副露を許したプレイヤーに対して課される罰則のこと。中国語で包とも言うので、恐らく一二三はこっちを使っているのだろう。

 

立直をかけているので出すしかない。だが、これを出せば責任払いが成立してしまう。先に上がれれば問題はないが、それができるとも限らない。

故に、出したくなくても出さざるを得ないのだ。

 

廻 打牌{北}

 

「ポン!」

 

「ヒッ!?」

 

責任払い確定。これで一二三にツモ上がりされると廻が-48000となる。

ただし廻、もしくは他家が上がった場合この限りではない。

ただし、廻の中にそのような自信は全くなかった。彼女の中にはツモられて、捲られてトバされるビジョンしか見えていない。

 

(一個前の福地さんの字牌へのポンは絶対このための布石。両者ともそれを分っているから福地さんはオリる…。東城山の北上さんは前の局で安手和了したけど、今回は動かず。しかも、風越部長の三副露の段階で合わせ打ちしてるからオリ確定。つまり実質、風越部長と私の戦いと言うことになってるけど…)

 

(女王以外はオリ…。今回は美穂子のキラーパスに救われたけど、個人的には最後まで自分の力で挑戦してみたかったかな。全国で美穂子と同卓になる可能性なんてたかが知れてるし、自分のコンディション調整も視野に入れて言っておいたんだけど…ま、予選を勝ち抜かないとインターハイには行けないから結果的には文句は言えないんだけどね。さて…これからどうするか。)

 

 

 

 

 

 

 

 

「福地、一二三がインハイかな。」

 

「そうでしょうか、伊奘諾プロ?確かに包の責任払いは発生していますが、伊奘諾選手はダブリーでの聴牌{②⑤}ノベタン。しかも、{⑤}自体は場に出ていない生牌なわけですから可能性がないとは言えないのでは?」

 

「結局、勝負事って言うのは、勝ちへの執念を見せたものには其れ相応の報いが来る。逆もまた然り。一二三は、絶対に和了すると言う確固たる意思を持ってこの場に臨んでいるのだろうが、伊奘諾は和了できればいいや、と言う軽々しい気持ちで臨んでいるのだろう。これでは、同条件下ならば意志の強い方に軍配が上がる。ま、何が起こるかわからない麻雀である以上あなたの可能性も否定することはできないがね。」

 

(しっかし、完全に去年の二の舞だな、これでは。廻のメンタルが崩壊しなければいいが…。転ばぬ先の杖だ。いざという時のために対応策は練っておこう。)

 

 

 

 

〜あれから3巡後〜

場が膠着している。

互いに和了牌が来ない上に、残りの2人は現物を落として行っているので、双方がツモる、もしくはロンするかオリている側の安牌が無くなるまであまり場も動きようが無いのだ。

 

(和了牌が一向に来ない。場には一つも出てないから、山に残っているか誰かが持っているのだろうけど…)

 

(不味いわ。大四喜の責任払い聴牌まで漕ぎ着けたのに和了牌が出て来ないなんて…)

 

彼女らが想定する最高と最悪、それは双方の和了牌を後の2人が全て持っていることだ。振り込みを極端に警戒し、完全に安牌だけを捨てる…それの意味するところは、『流局』すなわち今までの猛攻が全てパーになる。

逆に廻からすれば『流局』にたどり着いた瞬間、立直という呪縛から解き放たれ再起を図ることが可能だ。どちらがさで最悪かは日の目を見るより明らかだ。

 

(はぁ…目先の欲に駆られてダブリーなんてするんじゃなかった。幾ら常に大型手狙いの私でも安手で流すことだって出来たろうに…)

 

今更になって廻は後悔するがもう遅い。時は戻らない、それが自然の摂理だ。

 

(大四喜聴牌…去年のあれとデジャヴを感じる。同じ過ちを繰り返すのかな…私は。)

 

(これで来なければ本当に不味い…。頼む!!来い!和了り牌!)

 

「はぁ…………」

 

 

照、ごめん…私インハイ行けないや。

だって…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(来た!!!)

 

{⑤} {北横北北}{横西西西}{南横南南}{横東東東} {⑤}

 

「ツモ!!!大四喜。包により、親の役満48000直撃!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう和了されたから…。




次回は、廻や将生が言っている去年のあの時の描写を行うかオリキャラ紹介をやるかで悩んでおります。
そこで活動報告にアンケートとしてそれを書いておきますので回答をお願いします。ご協力よろしくお願いします!

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