IS -香港のダイヤモンド-   作:7seven

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第九話 多忙な生徒会役員

さて、今月末には学年別トーナメントが開催される。

学年別トーナメントっていうのは、まあ名前の通りの催しだ。学年ごとにIS模擬戦のトーナメントを行う。以上。1年はまあ専用機持ちにしか関係ないとも言えるが、3年にはスカウト、2年には1年間の修練の成果を見るためという目的の元、割と各国から来客がある。

中にはVIPが来る場合もあるらしい。大抵の仕事は忙しすぎるため全校生徒が手分けをして行うが、VIPの中のVIP、つまり大企業の社長一行とか、国のお偉い方とかの接待は俺達生徒会の仕事らしい。

 

「やだ。面倒くさい」

「こら、アイリーン。だめでしょ?」

 

ミカエルにたしなめられてしまった。入会する際にきちんと断っておいたのに、解せぬ。俺が不満げな顔をすると、更識が思いついたようにこう言った。

 

「それとも、開会セレモニーの方担当する?」

「何それ」

「その名の通りよ。生徒会が、おもてなしの意味をこめて、開会式で出し物をするの。去年は私がミサイルの迎撃をやったわ」

 

なるほどな。まあ更識のISは射撃型とか格闘型って分類しにくいもんだったはずだから、まあ迎撃っていう曖昧なジャンルになってもおかしくないか。何よりミサイルの迎撃はISの実力を世界に見せ付けた、篠ノ之束製作の第一世代型IS「白騎士」のデモンストレーションだったしな。

10年前のとある日。日本へ向けて2341機の制御不能となってしまったミサイルを迎撃し、更にその有り得ない戦闘力を持ち得る白の武装を得ようと、もしくは破壊しようと各国が戦闘機207機、巡洋艦7隻、空母5隻、監視衛星8基を送り出し、その白銀に輝くIS「白騎士」と搭乗者を捕えようとしたが、彼女はひとりの命をも奪わず全ての戦力を奪い去った。今では白騎士事件と呼ばれているそれを、ミサイルの迎撃は想起させ、結果、IS学園最強の冠である「生徒会長」の実力を見せつけるための見世物であり、学園は安全だと再確認させるためのものだったんだろう。

 

「基本的に、ISを使っての出し物になるけど」

「……接待しないで済むんなら、やる」

 

この学園内の最強の冠は、今や二分されている。「生徒会長」と「実働部隊隊長」。昨年見せ付けた生徒会長の実力の次には、2柱のもう1本を、ってことか。……まるで俺にこっちをやらせることが目的だったかのように見えるのは気のせいにしておこう。

 

 

**********

 

 

学年別トーナメントへ向けて、ちょうどあと1週間だ。学園内にはいくつかIS競技用アリーナがあるんだが、開会セレモニーの予行練習ってことで、ここ最近、学園内で一番小さい第5アリーナを放課から2時間、まるまる占領している。ちなみに2時間もアリーナにいると寮の門限に100%間に合わないが、これに関してはアリーナ占領もだが生徒会権限を使用している。千冬さんをも黙らせる生徒会権限、恐るべし。

まあ、本番は一番大きな第3アリーナが舞台なんだが……まあいい。ちょうど開催前日にリハーサルがあるらしいからな。俺は面倒臭がりだが、やる時はきっちりとやるタイプだ。中途半端だけは俺のプライドみたいなものが許さない。

 

「そうそう、そう言えばこの話、もう聞いたかな? 今年の学年別トーナメントは、2人組によるタッグバトルになるそうよ」

「は? 更識何それ、聞いてない」

「先月、クラス対抗戦があったでしょ? あの時の『機密事項』と、今年度の全学年における第三世代型専用機の多さ。これらから、生徒はもっと自衛の手段を学ばないといけないってことで、より実践的な模擬戦になるように、だそうよ」

 

『機密事項』。これは、俺達生徒会、それから学園の教員、そしてあの時1組対2組の試合をしていた第2アリーナにいた生徒だけが知り、なおかつ箝口令の敷かれている事件のことを指す。

無人のIS……あれにより、各国家の機密とも言える第三世代型ISのデータ取りのためにIS学園に来ている生徒-まあオルコットや凰などがそこに該当するだろう-は、必ずしも安全とは言えないと明らかになった。俺の仕事が増えたのもそこが原因だな。

 

「なるほどな……詳細は後でミカエルに聞くとして。リハーサル、もう1回」

「りょーかい」

 

あれ、でも俺とか更識とか、国家代表がそんなもんに出ていいんだろうか。代表候補生も出てるからいいのか? ……いやいや、よくねえだろ。そのへんもきっちり聞こう。

 

それからしばらくリハーサルをしていると、アリーナの外で人払いをしているはずの本音が転がり込んできた。あの本音が焦ってるなんて珍しい。

 

「あーちゃん!! 第3アリーナで、乱闘騒ぎになってるって……!!!」

「乱闘?」

「せっしーとりんりんが危ないって!」

 

オルコットと凰が? 曲がりなりにも一国家の代表候補生であり、専用機をもらうあのふたりが危険な状態?

 

「わかった。今向かう」

 

今使っているこの第5アリーナは幅こそないが、縦長で、更に天井がない。雨天時はあまり好まれないアリーナである。ピットゲートさえくぐるのが面倒な俺はそのまま上昇し、上から出て第3アリーナへと向かう。勿論第3アリーナの入口にはISによる強襲から生徒を守るために、ISを着用した状態では入場できないようにするゲートが設置されているから、そこではISを解除しなければならないのが難点だけど。入口をくぐり、一番近いCピットに入り、ピットゲートから飛び降りる。そこはまさに、惨状だった。

砂埃が鬱陶しい。砂塵が落ち着いた頃、見えたのはそれぞれのIS「甲龍」「ブルー・ティアーズ」が中破しているながらも戦闘を続行しようとする凰、オルコット。

そしてダメージは受けながらもそのふたりに比べれば微細で、涼しい顔をしながら漆黒のISを駆る、ドイツ代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒと、IS「シュヴァルツェア・レーゲン」がいた。ボーデヴィッヒは欧州連合の第3次イグニッションプランに出品されている「レーゲン型」の特徴のひとつであるワイヤーブレードでふたりを絡めとり、一方的な暴虐を続けている。どう見てもふたりの機体は操()()()()()()域へと到達している。このままではISは強制解除される。俺が模擬戦で強制解除まで攻撃するのとはわけが違う。ボーデヴィッヒは、殺すのを厭う様子がない。

 

「まったく……あれほど暴れるなって言ったのに。仕事を増やすな。またお前らか」

 

俺は右手に≪ディープ・ミラー≫を展開し、戦闘に介入しようとする。その時、俺に向かって、いや正しくは俺の先にいるボーデヴィッヒに向かって、白い何かが突っ込んできた。あれは……IS「白式」を纏った、織斑一夏だ。

 

「うおおおおおおおおおお」

 

奴の目には友人を傷付けられて頭に血が上っているのか、ボーデヴィッヒしか映っていない。来たところを見ると、どうやらアリーナの観客席を守るシールドを≪零落白夜≫で切り裂いてやってきたようだ。……おい、だから俺の仕事を増やすんじゃない。

 

「落ち着け織斑。ボーデヴィッヒもいい加減にしろ」

 

俺の身長を遥かに超える大きさの盾型万能物理シールド≪ディープ・ミラー≫を振り回し、突っ込んでくる織斑の手をはたき、攻撃をやめないボーデヴィッヒに殴りかかった。こいつの硬さと重さはいろんな意味で折り紙つきだからな。ボーデヴィッヒの気をこちらに向けるには十分だったようだ。

 

「織斑、そこのふたりを安全なところに運ぶように」

「え、でもブルックスさんは……!」

「足手纏いだからさっさと行って」

 

その時、デュノアの声でプライベートチャネルが送られてきた。その一瞬後に織斑にも送られてきたようで、ふたりを抱えて一旦離脱する。俺も3歩左にずれると、ボーデヴィッヒに向かって弾雨が降り注いだ。弾丸から見るに≪ヴェント≫2丁。デュノアだ。

 

「ほう、面白い。フランスの()()()()()IS()ごときでこの私に歯向かうとはな。では、世代差を見せ付けてやるとしよう」

「未だ量産化の目途が立たないドイツの第()()()()ISよりもよっぽど動けるだろうからね」

 

ISを纏っていない俺には見向きもせず、ボーデヴィッヒはデュノアの方へ向かって≪瞬時加速≫をしようと身をかがめる。はあ、だからさあ。

 

「はいはい、ストップ」

 

盾型の万能物理シールドでありながら、重さ、硬さ、大きさで十分鈍器としても使える≪ディープ・ミラー≫でボーデヴィッヒを止める。あのなあ、睨まれてもさ、暴れてるお前が悪いんだよ。

 

「千冬さんからも何か言ってよ。ボーデヴィッヒ、私が言っても聞かないし」

「やれやれ。生徒会権限でどうにかしろ。……と言いたいところだが、流石にアリーナのシールドを破るレベルの模擬戦は学園としても許可できん。この決着は学年別トーナメントで着けるようにしろ」

 

いつの間にか現れていた千冬さんに俺が気付かないわけがない。……IS用の近接ブレードを生身でぶん回してるけど、やっぱ相変わらず人間離れした人だ。……俺はいいんだよ、俺男だし。見えないつった奴は覚悟できてんだろ。

 

「教官がそう仰るなら」

「織斑、デュノアもいいな?」

 

頷くふたりに、千冬さんも頷き、学年別トーナメントまで一切の私闘を禁止すると言い放った。最初っからそうしてくれれば、俺の仕事も少ないんだけど。……はあ。戻る前にISが中破したふたりの様子でも見るか。織斑がさっき、Aピット内に運んだはずだ。

 

 

「オルコット、凰、どうだ?」

「た、助けてくださらなくても、あれぐらい、勝てましたわ……」

「勝手に乱入、しないでよね」

「それだけ喋れれば問題ないな。織斑、凰を背負って」

「こうか?」

 

ISを解除した織斑が、凰を背負う。その時悲痛な叫びが凰から上がった。

 

「言い忘れてた。今全身の打撲がやばいだろうから、優しく」

「……ブルックスさん、もうちょっと早く言ってくれ」

 

俺もオルコットを背負い、織斑を医務室に誘導する。出血多量とかって事態にはなってないから、医務室でいいだろう。

 

「それじゃあ僕、何か飲み物をもらってくるね」

「デュノア、迷うなよ」

 

大丈夫だよと怒られた。まあデュノアはしっかり者だから大丈夫だろう。そのまま織斑を医務室へ誘導し、医務室でベッドにふたりを下し、医務室の先生にすぐ手当をしてもらった。一応今アリーナにある監視カメラでミカエルはふたりのISの具合を映像で確かめていると千冬さんから聞いているが、あんまりにも酷いと来週の学年別トーナメントへの参加は難しくなってしまうだろうな。折角の専用機持ちなんだが、まあこれは自業自得だ。

その時、廊下の外から地鳴りのような音が聞こえてきた。一体なんなんだか。近付いてくる地鳴りはそのうち医務室のドアを吹っ飛ばした。いや本気で、ドアが宙を舞った。その先にいるのは、全部学園の1年生。……おい女子であれ吹っ飛ばせるのか。生身で。吹っ飛ばしたやつは将来千冬さんクラスになれるわ。違う意味で。

 

その女子達は織斑とデュノアの名を呼び、何かの紙切れを渡した。えーと……ああ、学年別トーナメントがタッグバトルになったっていう告知の紙か。要は、織斑かデュノア-学園でたったふたりの男子(仮)と組もうと、やってきたわけか。どうしてここにいるって知ってるのかは置いといて。

 

「はいはいうるさい。ここ医務室だから静かにして。そういう交渉はもっと広いところでやって」

「いや、悪いなみんな。俺はシャルルと組むんだ。だから諦めてくれ!」

 

俺が女子を締め出そうとしたときに、織斑がそう言い放った。さっきデュノアが困ったような顔で織斑を見てたってことは、もしかしてシャルルの実態を織斑は知ってるのか。まあ確か今同室のはずだし、いつかはそうなる予感がなかったわけじゃないけど。

織斑のその言葉に、男同士(仮)で組むなら、と引き下がっていく女子達。はあ、女子高同然のここは大変だなあ。いろいろと。そういや俺もなんとかしねーとな。出るなら出るでペア探すべきだろーし、出ないなら出ないなりにいろいろある。

 

「一夏っ! あんた、あたしと組みなさいよ!! お、幼馴染でしょうが!」

「いえ一夏さん、ここはわたくしと!!」

「ダメだよ、ふたりとも」

 

そこに現れた第三者、もといミカエルと山田先生だ。おかしいな、どっちも女性なんだけど、異様にミカエルがかっこよく見える。身内の贔屓目もあるかもしれないけど、山田先生とセットだからっていうのが大きいんだろうか。でも身長も織斑と同じぐらいあるし、いつでも白衣とパンツルックが決まってるからそう見えるんだろう。……自分の研究室にこもると裸同然のくせにな。ISスーツ姿ならまだわかる、けど下着姿とかは解せぬ。

 

「さっきふたりのISの状態を確認してきたよ。残念だけど、ダメージレベルがCを超えちゃってる。代表候補生なら、これが意味することはわかるよね? 今は修復に専念しよう?」

「教員としても、万全でないISでの参加を許可することはできません。7月に入るとすぐに臨海学校もありますし、それまでISを休めておきましょう」

 

オルコットと凰は、しぶしぶ頷いた。織斑が首を傾げてたのは見てないことにしておこう。確か機体とダメージレベルの話は授業でもう取り扱ったはずだけどな。

 

 

**********

 

 

千冬さんが私闘禁止令を出してから、早5日。ついに、明日が学年別トーナメントの開催日だ。いつも通り午前の授業を受けて、午後は生徒会が中心となって、明日の受付であったり、VIPではない人の接待であったりを担当する生徒に、それぞれ仕事別で分かれて仕事の確認であったり事前準備であったりを行っている。かくいう俺もトーナメント表製作係を担当する。

 

「えーと。昨年まで使ってたらしい、トーナメント表を自動で作成してくれる機械が、今年のルール変更、つまりタッグマッチにうまく対応してくれなかったから、今年は悪いけど全員で手分けして、手作りしてください。ペア登録の締切が明日の朝イチ、8時までだから、8時までに登録できなかった人達にクジを引いてもらって、急造ペアを作るのも私達の仕事だから」

 

ちなみに更識は受付、虚さんは接待、本音は実況の係を担当している。

 

「あ、そういえば、生徒会は開会セレモニーで忙しいから、誰か代わりにまとめ役がほしいな。学年は気にせず、立候補ない?」

 

ざわざわと集まっている会議室がざわめくが、一向に挙手はない。困ったもんだ。その時、控えめに挙手が。その手の持ち主は、デーレンダールだ。他に、挙手はない。

 

「他に立候補ない?」

 

俺がそう群衆もといトーナメント表製作係の面々に投げかけると、一気にしーんと静まり返った。お、おう。デーレンダールでいいんだな?

 

「んじゃあ対立候補がいないから彼女で決定で。デーレンダール、前出て」

 

一番前の席に座っていたデーレンダールは見惚れそうなほど美しい所作で歩き、俺の横まで来た。相変わらず、後ろで結われたチョコレートのような色をした髪は長い。

 

「自己紹介」

「1年2組、アルマ・デーレンダールです。よろしくお願いします」

「じゃ、ここからはデーレンダールが進行執って」

 

俺の無茶振りにもデーレンダールはこくりと頷いて、俺の渡した資料をもとにすらすらと手際よく会議を進める。優秀だなあ。

競技が行われるのは各学年で違うアリーナだから、学年別で代表者を作ってそこを中心にトーナメント表を作るために各アリーナの中継室、実況の横で試合を見守り、その勝敗を見てトーナメントを手作りしていく。またできたトーナメントをPCでアリーナ内、受付付近のモニターに表示・反映させるのも仕事だ。そのために中継室にいる時間のタイムテーブルの作成なども順調に終わり、あっという間に会議は終了した。

 

「お疲れ、デーレンダール」

「アイリーンもお疲れさま。アイリーンは開会セレモニーに出るの?」

「ああ、一応出るよ」

「そう。今日もリハーサルなんでしょ? 頑張ってね」

 

ペア登録の方は、生徒会は開会セレモニーの関係で忙しいから、各学年の先生に受付をお願いしている。うちの学年では山田先生。聞いた話によると、デーレンダールはベイカーと組むらしい。どちらも専用機は持たないながらも射撃、格闘をバランスよく扱うドイツ、アメリカの代表候補生だ。トーナメントでも上位に食い込むこと間違いなしだろう。

ちなみにイタリアコンビこと、フェラーラとベルナルドーネはイタリアコンビでペアを組むらしい。ベルナルドーネの専用機である第二世代型IS「テンペスタS01」は一足早く、初めて互いを認識した、デュノア達が転入してきた日の3日後には届いており、またフェラーラの専用機、イタリア製第三世代型IS「テンペスタⅡF01」も2日前に届いたそうだ。フェラーラはともかくとして、ベルナルドーネは間違いなく専用機で参加することになるんだろう。ここもトーナメントで上位確実だな。俺も出場できるっぽいし、是非対戦したいところだ。……まあ是非も何も、イタリアコンビを打ち負かせるような操縦者がこの第1学年にいたかどうかって話になるわけだけどな。

 

会議室に誰もいなくなったことを確認して、電気を消して後にした。さてと、これから生徒会が集まり次第第3アリーナでリハーサルを行って、んであとは機体の整備でもしてさっさと寝るか。

 

 

**********

 

 

リハーサルも終わり、機体の整備も終わった。整備つってもそんな大がかりなことをしてるわけじゃない。そもそもミカエルがIS学園に来てから大体2日に1回、間が空いたとしても5日に1回は見てるから、そんな短時間で壊れるような戦闘とかもしてないから特に時間はかからない。ここ最近リハーサルや練習で寮の門限になかなか間に合わなかったが今日は間に合って、のんびりと食堂でかきあげうどんをすすっている。

簪に勧められたかきあげうどんは今でも好きだ。でも季節的に、もしこの食堂にクーラーがついてなかったら食えないだろうなと思う。まあ寮だけじゃなく、学園内の施設はすべて冷暖房完備だけど、今もう梅雨でじめじめしてるからな。日本の梅雨はミカエルから聞いてたけど、思った以上にしつこい。

 

「アイリーン、隣いい……?」

 

噂をすれば影、か。簪が俺と同じくかきあげうどんを持って話しかけてきた。その横には本音もいる。聞く話によると、本音の家、布仏家は代々更識家に仕える一族なんだそうだ。本音と簪もまた、メイドと主人の関係にあるらしいが、しかしそうは見えないほどフレンドリーだ。まあ更識と虚さんもそういう関係には見えないからな。

 

「いいよ」

「ありがとう」

「あーちゃん、ありがとー」

 

席に着いて、しばらくずるずるとうどんをすする。その時、唐突に簪が口を開いた。

 

「アイリーンは誰と組むことにしたの?」

 

時期に合う質問が飛んできて、先日からずっと織斑やオルコットから聞かれているのと同じ返答をする。

 

「秘密」

 

山田先生にも言わないようにわざわざ頼んである。山田先生もなんだかんだ言ってちゃんと先生なんだから、生徒のお願いぐらい聞いてくれるだろう。

 

「簪は本音とでしょ。頑張れ」

「うん! かんちゃん、絶対にあーちゃんと対戦しようね!」

「うん、頑張ろう」




初めての予約投稿にチャレンジします!うまくできるかしら(ドキドキ)

※「テンペスタS01」「テンペスタⅡF01」の説明は戦闘シーンで出た時にまとめてやります。

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