最強を目指す剣士の境界線   作:三代目盲打ちテイク

6 / 14


 各務原の麓にある関所は、橋を持っている。山の上の関所と違う別の関所で、山から降りてきたものをすぐに三河郊外に入れないように、二次審査する場所だった。

 そこには人影が三つ。

 一人は、中年過ぎの、細い男。

 一人は、同い年くらいの、体格のいい男。

 もう一人は、二人目の背後に控えた少女だった。

 三人は、三河の町を背後にして立っている。

 そこにやって来る二つの影。中年過ぎの、猫背の男と、何やら緊張した様子の少女。

 

「おや、松平四天王の内、榊原・康政と本多・忠勝の二人がお迎えとはね。――俺らもまんざらじゃないってことか。

 井伊はどうしたよ? 榊原、ダっちゃん」

 

 彼、酒井の言葉に、榊原と呼ばれた細い初老が、白髪を掻き上げ、

 

「それがな、酒井君、実は井伊君が――」

「井伊については他言無用だ。忘れたか榊原」

 

 と、忠勝と呼ばれた体格のいい初老が、榊原に視線を向けずに言う。

 榊原は、迷うような素振りを見せて、口をつぐんだ。

 その代わりに忠勝が半歩前に出た。

 

「――見せろ」

 

 瞬間。忠勝の後ろにいた少女の姿が消える。

 

「は? おいおいおい、お前の言う“見せろ”って、大体ろくなことじゃ――」

 

 台詞が終わるよりも早く、背後に二つの円弧を描く影が来た。

 一つは先ほど消えた少女が結んだ髪が描く軌道。

 もう一つは、抜かれた刃を示す銀の軌道だ。

 動きは止まらない。

 だから、酒井も、己の身を動かした。

 

 

 酒井の判断は一瞬の中で連続する。

 風の動きだけで、先ほどの少女が来たこと、悠理が動いていないことは解った。

 いちいち目で確認するほど落ちぶれてはいない。

 ……おいおい、一応護衛って名目何だから俺を守ろうよ。何で見てるだけなんだよ。

 ……で、後ろのは、戦種(スタイル)は近接武術師(ストライクフオーサー)か。メジャーだがこれは――。

 酒井には覚えがあった。十年前に、確かにこの少女に会ったことがある。

 本多・忠勝の娘、正純の知り合い。本多・二代。

 だが、酒井は生憎と名前は覚えてはいなかった。十年前に少しだけ会ったことがある少女の名前など憶えていようはずがない。

 ……昔から鋭い動きしてたよなあ! 槍とかいつも持ってたな……!

 感じるのは、明らかな攻撃の気配。

 後方の風の動きは大きい。それは捕縛の動きではない。捕縛の動きならば、もう少し風の動きは静かになる。大きいのは攻撃をしようとしているからだ。しかも、考えられた攻撃だ。

 それに対応しようと動き出した時、ようやく動くもう一つの気配。

 護衛である、悠理がようやく動いていた。大きく踏み出し、前へと出る。

 ただし、それは酒井が期待したような動きではない。背後の少女、二代をどうにかしようという動きではない。

 実際のところ、酒井を助けようという気は悠理にはない。

 そもそもな話、悠理如きの助けなど必要ないだろうと考えている。

 未だ十数年程度しか生きておらず、実戦経験のない少女と、実戦を離れて老いたとは言え、何十年も生きた上に経験豊富な武蔵の学長先生(グランヘッド)で松平四天王の一人。

 加勢する必要があるとは到底思えない。むしろそう考えると加勢すべきは二代の方だ。実力の差があることは明白であるのだから。

 だからこそ、悠理は己自身の目的の為に動く。

 ただ真っ直ぐに、行けー、という風に拳を握り娘を焚きつけている本多・忠勝の前へ。

 そして、大きく息を吸い、

 

「結婚してください!!」

 

 時が止まった。

 

「ぺたり」

「きゃーー!?」

 

 悲鳴が上がった。

 

 

 場所は三河郊外、二十畳程度の、厨房とカウンターを持つ空間。すなわち酒や軽食を出す食堂。

 そこの畳敷きでは十年ぶりに再会した旧友と若者二人が集まり盛大に騒いでいた。普通ならば近所迷惑だろうというほどに。

 かんらかんら、と野太い笑い声が外まで響いている。しかし、今の三河に、それを迷惑に思う人間はいない。

 

「いいかあ、悪い記憶しかない昔なんざ忘れて心機一転、左遷させられて子供みたくいじけてたお前と武蔵に家出してた悠理に対して、ようやく我らが会おうと言い、昔なじみの場所まで用意したというのに――」

 

 卓を囲む、酒井と忠勝と榊原、それと悠理と二代。

 忠勝が酒を飲み干した中徳利(ちゅうジョッキ)を卓に叩きつけつつまずはといった感じに悠理に言う。

 

「悠理よ、決闘してください、を、結婚してくださいって言い間違えるか!? 普通!! じゃあ、結婚するか!?」

 

 忠勝が一際大きな声で言う。無論結婚云々は冗談である。既婚者である忠勝が酔った勢いでいった冗談である。

 その言葉に羞恥で真っ赤になる悠理。

 そして、だらしなく緩む。

 ……本多・忠勝と結婚。……毎日戦えていいかも。

 とか、考えて、

 

「不束者ですが、よろしくお願いします」

 

 三つ指ついてよろしくお願いします、と頭を下げていた。こいつも酔っているらしい。

 

「おいおい、うちの副長、本気にしちゃってるよ。どうすんだよダっちゃん」

「本気にすんなよ、冗談だ、冗談。

 それから、酒井、お前、昔と同じで戦闘中に相手の尻触るか!?」

 

 何だ、冗談か、と幾分落ち込んだ感じの悠理をスルーして忠勝が言う。

 そう、あのあと酒井は悠理の間違いプロポーズのせいで、若干動きの止まった二代の尻を触ったのだ。

 

「あのな、フツー再会したお偉いご友人様に娘つっかけさせないだろ。二代だっけ? 強くなったもんだ。それをマジにけしかけるなんて、ダっちゃん相変わらず頭おかしいだろ。

 というか悠理が普通に護衛としての役割果たしてれば、やる必要はほとんどなかっただろうよ」

 

 ほとんどどころかやる必要は百パーセントなかった。

 つまり完全無欠の故意なのだが、それだと問題なので責任を悠理へ。

 

「二代、やっぱ強いね。勝負しない?」

 

 その悠理は二代と話していて酒井など無視である。

 やはり梅組なんだと改めて納得の酒井。

 

「やっぱりガン無視だよこの子。しかも、なんか戦う約束までしてるし。

 だから、連れてきたくなかったんだよ」

「いいじゃねえか、酒井。元気なのは若者の特権だぞ。それより――」

「そうだねえ。そうだというのに、あの頃の榊原ときたら」

「何でその流れで私に振りますか!」

「やかましい」

 

 声を上げた榊原を忠勝が打ち落として、酒井に、

 

「酒井、そんなことより我がいいたいのはだな、自分勝手だから学長なんぞに左遷――」

「はいはい、ダっちゃん、昼から酔って話をループさせんなよ。

 つうか、学長はいいぞ? 女の子と話がしたいとき、女教師と話をしたいとき、若造全員整列させて朝礼やりつつ心の中では超軍隊指揮官ごっこをやりたいとき、如何だよ学長職。

 なあ、榊原!」

「だから、何故そういう時に私に回しますか君は」

 

 言うと、酒井と忠勝は二人揃って榊原を見て、

 

「――お前、ホントに昔っから反応が悪いな!」

 

 散々な言い方である。

 だが、笑いが笑いを誘い、笑いの合唱。とても良い雰囲気ではあった。

 そこに悠理との話を切り上げた二代が横槍を入れる。

 

「父上、何やらさっきから榊原様が虐げられている気がするので御座りますが……」

「二代、気がするじゃなくてされてるんだよ」

「ああ、二代、お前、十年前の我らのノリとか、覚えとらんか。

 まあ、我も、まさかこうまでソッコーで当時リフレイン状態になるとは思わなかったが……」

「Jud.、ですので改めて紹介を」

 

 

 剣を学ぶ本多・二代にとって父、忠勝を含む松平四天王は特別な存在だ。

 現在、三河には怪異やら何やらのせいで、人が少ない。しかも、人間の重臣として残っているのは忠勝や榊原だけで、他は自動人形ばかりだ。

 更には、本多家も今では、郊外に小さな屋敷を持つだけの有り様で、中央側は久しく、内心では怪異などを警戒しっぱなしだ。

 ……それなのに父上達や悠理は豪胆で御座る……。

 松平四天王の人気は未だ高い。ここにはいない井伊・直政や忠勝、榊原は三河に残った人々の顔役だ。

 そして人々は、酒井のことも口にする。実質的な松平四天王のリーダーと。

 二代は昔会っていたことがある。話もしたことがある。だが、それは十年以上も前のことでよく覚えていない。そのため、ただの猫背のオヤジとばかり思っていた。

 対して悠理については覚えている。最近まで、月に一度は文を交換していたからだ。

 悠理との出会いは十年以上も前で実のところ酒井よりも記憶にない。だいたい一年ほどの付き合いで、すぐに武蔵に行ってしまったのだから当然だろう。

 当時の悠理について覚えているのは、あまりにも無茶苦茶で、よく父のところに来ていたということくらいだ。

 ただ、別れる時に、一応、一年の付き合いはあったのだから文くらい出すと言って別れた。それから毎月一回は必ず文が届いた。律儀にも毎月同じ日にだ。途切れたことはない。

 そのため当時のことはよく覚えてはいないが、手紙によって悠理のことはわかっていた。

 だが、酒井だけは、抜けていた。

 今、その本人が目の前にいるが、

 

「じゃあ、俺、酒井・忠次ね。わかってると思いたいけど、君のお父さんよりマジ偉いから。

 俺と君のお父さんは地元組で、そっちの榊原と、ここにいない井伊は、小四からの編入組。

 で、学生時代は殿先生、――元信公が学長兼永世生徒会長で、俺が総長、君のお父さんが特攻隊長」

「副長って言って下さいよ馬鹿学長。忠勝様は今でも三河特例の聖連認可の特殊予備役副長れすよ!

 左遷させられていじけてただ老いぼれていっただけの学長とは格が違いますですよ!」

「わかってるなお前!」

「Jud.!」

 

 意気投合しだす悠理と忠勝。

 見れば悠理の手にもなぜか中徳利がある。中身はほぼ空で少しだけ残っていた。

 顔も赤い。つまり完全に酔っている。

 ならばとりあう必要はないと酒井が、

 

「無視するけどいいよね。んで、井伊が副会長で、この榊原が口先だけの男でなあ」

「何を言いますか馬鹿学長! 書記で文系としての能力がありましたよ! 学長には到底できないことができてますよ」

「そうですとも」

 

 意気投合しだす悠理と榊原。

 そうだっけなあ、と、忠勝と酒井が頷く。まずは、忠勝の方が、

 

「確かに文系能力はあったよな、榊原」

 

 そう言って、学園祭のときに罰ゲームで小等部の時に榊原が書いた詩“明日の某ら”を朗読したことを語る。

 ウケてたと言うが、忠勝だけである。

 それに酒井は、

 

「だよねえ、今となってはいい思い出だよね」

 

 と、小等部の時に、癇癪玉投げて遊んで、下校中の榊原が気絶した時のことを語る。

 それにより榊原は口端を歪めて、こめかみに青筋を浮かべていた。

 二代は何も言わない。大人の話題だと、切り捨て、我関せずとしていた。悠理と話せれば簡単なのだが、生憎忠勝が飲ませた酒によって酔っ払ってしまっている。仕方ないので、態度で示していた。

 しかし、大人の方から話題を振ってきた。

 酒井が楽焼きの日本酒ピッチャーを掲げて、笑みを浮かべて問う。

 

「ダ娘君、そろそろ体育会系親父の洗脳も解ける年頃でしょ? 反抗期でしょ? そこでさ、君、うちの教導院来ない? 悠理がいるとはいえ君みたいなのかなり欲しいなあ俺」

 

 ダ娘、と二代が困惑して答えられないでいると、悠理が酒井にしなだれかかる。

 その際、形の良い胸が押し付けられて、酒井の表情が緩んだ。

 

「何ですか、うわひてすか、わたひといふものが、ありながら」

 

 呂律が回っていない。かなり酔っているらしい。とりあえず言ったことは、何ですか、浮気ですか、私というものがありながら。である。

 

「君、何言ってるか全然わかんないよ。まったく。

 あ、ごめんね、ダ娘君。それに本多・正純もいるよ。来てくれるなら彼女も心強いんじゃないかなあ」

「ああ、あと、よそりくってさ」

 

 ああ、あとよろしくってさ。と言っている。

 

「君、もう喋らない方がいいよ」

「……正純とは中等部以降、顔を合わせておりませぬが、悠理から話は聞いています。今は、副会長をしているとか」

「Jud.、うちには珍しい真面目な副会長だよ」

 

 で、どうよ、と酒井。

 そこに忠勝が、

 

「――少し待ってろ酒井。今、三河は武蔵や他国とは交流不許可だ。去年なら違ったが、今年は無理だ」

 

 だが、

 

「三河から露払いとしていつも警護隊の先行艦がでるだろう? 回廊の安全確かめるための。

 ――今回は二代が管理する。今や三河の警護隊は二代が総隊長だからな」

「ほぇ~、二代も偉くなったんだねぇ」

 

 酒井に水がぶ飲みさせられてる悠理が言った。

 

「偉くなったって、我と同じ副長だろお前も」

「うん、お揃い」

 

 それで笑う忠勝と悠理。酔っ払いとの話は進まなくて困る。

 それを酒井が指摘する。

 

「おお、で、だ、安芸まで言ったら、好きにしろ、と言ってある。これから先、世が動く、娘くらいは好きに動かしたてやりたいからな」

 

 へぇ、と酒井が感心したかのように呟く。

 

「松平家最強、いや、極東の東国側において“東国無双”と言われた本多・忠勝が選んだ逸材が遂に動く、か。

 いいよなあ、育てて面白かったろう? どんだけ期待してんだホントに」

「お前、我、褒めてるようで二代にしか興味ないな」

「当たり前でしょ。引退決めつつまだ副長やっているジジイより若い子の方が騙しやすいし」

「相変わらず外道ですね馬鹿学長。前まで“西無双”立花・宗茂狙ってたってし。結局、三征西班牙の大友で襲名されちゃいましたけど。そんなに私じゃ頼りないですかぁ」

 

 ヨヨヨと泣き崩れるマネをする悠理。

 当然酒井は無視。二代は自分に確かな力があるか不安になっていてそれどころではない。忠勝、榊原は興味なし。

 

「まあ、悠理はおいといて。――結局、井伊が来ないようだが、どうしたんだ?」

「井伊君は――」

「井伊は、所要で出ていてな」

 

 忠勝が榊原の言葉を断ち切る。

 それと同時に二代が顔を上げたのを酒井は見た。彼女の顔は、そうなのかと言いたげな目をしている。

 当然、思うのは、

 

「……極秘か?」

 

 Jud.、と、忠勝が言った。その時、店の外から足音が響いてきた。

 入って来た足音の主は座敷の上がり口で足を止める。

 そこにいるのは、長身の侍女服姿の自動人形だ。耳の位置から上に伸びる黒の角型感覚が特徴的だ。

 それを見た酒井は、手にしていた中徳利を思わず取り落とし、悠理は、すぐさま正座へと戻った。

 

「げえ、鹿角……!」

「鹿角様!?」

「Jud.、――どなたかと思えば酒井様と悠理様ですか。

 酒井様は左遷からのこのここんなところにやってきて、若い未来ある少女に対して何もサービスせずに酒飲みとは、大した大人だと判断できます。

 悠理様は大きくなられましたね。それに修練も続けている御様子で。あの頃とは見違えるようだと判断できます」

「――相変わらず、あからさまに扱いに差があるぞ、おい」

「Jud.、まさか、ダメ人間と未来ある若者が等価だと? 寝言は寝て言って下さい。

 それに悠理様は自動人形である私にもわざわざ毎月必ず文を出して下さいますので、当然のことかと。

 私如きを武蔵に招きたいとも言って下さります。忠勝様に仕える身ですのでお断りしていますが、能力を買っていただく、というのは、率直にもうしますと、良い気分と判断出来ます」

 

 鹿角の言葉に酒井は悠理へと視線を動かし、

 

「君、そんなことしてたの?」

「Jud.、私、鹿角様好きですから。あの半眼と冷たい声で罵られるともうゾクゾクが止まりません」

「…………いやいや、君、あんなおっかないの武蔵に欲しいの?」

 

 酒井の記憶の中の鹿角はかなりおっかない。そんなのが武蔵に来た日には自分の安息はなくなってしまうだろうとまで考える。

 

「Jud.、武蔵さんと私の心労が減る可能性が高いですし、何よりも、単純に、罵ってくれそうな人が増えますから」

 

 駄目だこりゃ、という風に酒井は匙を、比喩ではなく、本当に投げて、忠勝へと向き直る。

 

「で、ダっちゃん、相変わらずこの女ダっちゃんとこ?」

「しょうがねえだろ。コイツが一番うちの女房の料理再現出来るし、女房の剣筋再現出来るし、礼儀作法とかも出来ててなあ……」

 

 Jud.、と鹿角が頭を下げる。

 

「現在は、私が二代様の基本師範を務めております。二代様も年頃の女性だというのに、忠勝様ときたら風呂に入ろうとか焼き肉屋行こうとか、かなり駄目ですので。――情けない」

「ああ、昔からダっちゃんのダは駄目人間のダだからねえ」

 

 酒井が言ったその瞬間、眼前、右目と左目の正面三センチの位置に、鋭いものが突きつけられた。

 竹櫛と針のように細い剣だ。

 焼き鳥を刺していた一本の竹櫛が、宙に浮き、右目に向けられ、剣が左目に向けられていた。

 見れば、鹿角が右手を肩の高さに突き出し、悠理が剣を突きつけていた。

 

「忠勝様はこんな駄目でも当家の主です、愚弄はおやめ下さい」

「忠勝様は駄目人間でも馬鹿学長とは人間としての格が違うので、愚弄はやめろ」

「ダっちゃん、この女、相変わらず“自分はいい、他人は駄目”の鬼ルールかよ。

 で、悠理は護衛のクセに守るべき相手に剣向けてどうするんだ」

「我、口喧嘩は弱くてなあ」

「私、尊敬した人を馬鹿にされるのが嫌いでして」

「別に、この性格は自動人形としては基本的なものなので問題ありません。

 尽くすべき人以外には、その人の身体を重力制御で左右することは出来ませんが、間接的に咎めをすることは可能ですので、以後、お気をつけ下さい」

 

 言葉と共に、竹櫛が皿に降りて他の櫛と並んだ。悠理も剣を腰の箱に戻した。

 それと同時に、鹿角が一礼して告げる。

 

「そろそろ二代様の船の準備をお願い致します」

 

 Jud.Jud.と忠勝が立ち上がり、二代も一礼して身を立たせた。

 

「――では、我はここまでだ、この先、しっかりやれよ」

 




感想ご意見など御座いましたら、気軽にどうぞ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。