魔法少女まどか☆マギカ [新編]救済の物語(完結) 作:曇天紫苑
いつかのどこか、あるところに、一人の女の子がいました。
やさしいやさしい女の子は、星から来た生き物とけいやくをして、「みんな」を幸せにしました。
女の子は、まわりの「みんな」が幸せになれた世界を、あいしていました。たいせつだと思っていました。きぼうだとかんじていました。
けれど、その中で。たった一人だけ幸せになれなかった子が居ると知ったとき……
女の子は、こころをこわして怪物になってしまいました。ぜつぼうをふらせるかいぶつになってしまいまいた。
でも、怪物になっても女の子は女の子でした。
「みんな」を幸せにしたい。
私を好きだって言ってくれる「みんな」を、「みんな」を、幸せにしたい。
そうおもって、女の子は世界のぜんぶを飲み込んで、しあわせな楽園をつくりました。
だれもかれもが笑っていける。だれもくるしまない、すてきな世界をつくりました。
だけど、女の子がたった一人だけ幸せにできなかった子は、一番に幸せになってほしかった子は、世界のどこにもいませんでした。さがしたって、なにをしたって、あの子とは二度とあえないことを知りました。
あの子が、ちがうじかんへ消えたと知ったのは、何もかもが終わったあとでした。
たいせつな人が、手の届かない所にいっちゃった。その時の女の子にわかったのは、それだけです。
女の子はなきました。ほむらちゃん、ほむらちゃん。たいせつな人の名前をよびながら、なきました。
ないて、ないて、ないて。らくえんのなかでえいえんになきつづけるまいにち。
そんな時、まほうのかみさまが女の子をむかえにきてくれました。
女の子は、うらみも呪いも無い、すてきな楽園に導かれました。
女の子は、すくわれました。
だからこそ、今度こそ。
女の子は、世界に戻ってきました。
たった一人だけ幸せに出来なかった子を、幸せにする為に戻ってきたのです。
そう。他の全てを捨ててでも、何もかもに嘘を吐いてでも、今度こそ、暁美ほむらを救う為に。
+----
言葉にも出来ない、概念の空間。そこに彼女、救済の魔女は居た。
彼女は、窓の前に立っている。その窓はリボンによって何重にも封じ込められて、開けようとしても、ピクリとも動きはしない。
だが、彼女はそのリボンに触れた。すると、リボンは何の抵抗も無く手の中へ沈み込み、飲み込まれる。窓を縛っていた物は、何も無くなった。
封印の溶けた窓を、彼女は素早く開き、その奥へ手を伸ばす。
奥へ、奥へ、奥へ。何かを探すかの様に、彼女は手探りの感覚で窓の中へ手を突っ込んでいる。
やがて、何かを見つけたのだろう。彼女の動きが一瞬だけ止まると、ニヤリと笑い、高らかに声をあげた。
「円環の理……ううん、鹿目まどかっ! さあ、戻って! 貴女の居場所は、此処じゃない。貴女の戦場は、此処じゃない!」
何かを掴んだのか、窓の向こうに有る物を引っ張り出そうとしている。中々に動かし難い物なのか、多少力んだ声を出している。
一生懸命に彼女が腕に力を入れていると、その腕が不気味に輝き、宇宙の様な黒色に変じた。
「今までずっと、ずっと戦い続けてきた貴女の心、その想いと願いは、私が受け継ぐからっ……私が、貴女の希望になるからっ!」
彼女の身体が、宇宙の様に輝く黒い塊に変わっていった。桃色の髪も、健康そうな肌も、目の色でさえ、全てが肉の塊に『戻っていった』。
ぞる、ぞるっ。そんな、不気味な音を立てている。彼女の身体は人型である事を止め、ただ、崩れた口だけが人間の物として声を放っていた。
「私にはもう家族も友達も居ない! 私はもう死んでる! そんな私より、鹿目まどか、貴女の方がほむらちゃんの傍に居るべきだからっ!」
人である事など一つも残さなくなった、その時。
彼女はより一層、力を入れた。
「だからっ……戻って、来なさいっ!!」
叫んだ瞬間、彼女の姿が、『鹿目まどか』という名の少女の物へ変わる。
肉の塊であった事など嘘の様に姿を変じると、何の躊躇いも無く、全身全霊をその片手に籠めた。
「う、ああっ!!」
ぞる、と音がする。
そして、彼女は窓の中に居た物を引っ張り出した。
窓の中から出てきたのは、一人の少女だ。驚くべき事に、肉の塊だった少女と同じ……鹿目まどかの姿をしていた。
それは、人々から円環の理と呼ばれ愛される存在だった。今は目を瞑って意識も無い様だが、その姿だけでも、見る人に安らぎと慈悲の心を恵んでくださるのだ。
そんな眠れる円環の理は、彼女に引っ張られた勢いによって、暁美ほむらの胸元へと飛び込んだ。
円環の理が、暁美ほむらの手の中に預けられた事を合図にして、世界は、宇宙の如き暗黒に飲み込まれて、変わる。変わっていく。
もう、誰にも止められない。
+----
「ここは……」
気づけば、私の身体は何処かに浮いていた。
宇宙の中にでも溶け込んだ様な、黒い世界だ。空間と呼ぶべき場所でもなく、私の身体だけが在る状態になっている。何も無い、私以外には誰も居ない。
いや、居る。私の腕の中には、まどかが居た。神々しい気配を振りまき、真っ白い服を着込んだ彼女は、眠る様に目を瞑っていた。
決して離さない様に、そっと、でも強く抱き締める。万が一にも、こんな寂しい場所に取り残す訳には行かない。
一体、何が起こったのか。私には何となく理解出来た。この世界が書き換えられていく、いいや、飲み込まれていく感覚は、私にとっては覚えの有る物だった。
「そういえば、ほむらちゃんがこれを見るのは、三度目だっけ?」
この空間の何処かから、声が聞こえてくる。まどかの、救済の魔女の物だ。
「……一応、悪魔としての記憶も有るから、そうね」
円環の理に裂かれても、私の中には悪魔として現世で活動した記憶が有った。その事を少し不思議に思いつつ、彼女の言葉に肯定を返す。
「私にとっては、初めての光景だよ」
すると、この何も無い場所に黒い人型が現れて、長身痩躯の少女の姿を作り出す。忘れる筈も無い、これは、環之小鳥ケンナの物だ。
整い過ぎた顔を見せると、彼女は私の腕の中に居るまどかを見て、悪戯が上手く行った悪童の様な顔をする。
彼女はその手の中に蓋が砕けた鳥籠を持ち、二つの紋章が表裏に刻まれたソウルジェムを回転させていた。更に、その中央には宇宙を思わせる黒い球体が鎮座している。彼女によって、全てが吸い上げられているのだ。
「ちゃんと、まどかを掴んでなきゃ駄目だよ」
「……ええ、分かってるわ」
救済の魔女……いや、今はケンナだろうか。彼女のアドバイスを受けて、私は腕の中のまどかをしっかり抱く。
どんな荒涼とした砂漠であっても、此処までの寂しさは無いだろう。全ての外側に属する所には、あらゆる物が存在しない。
「ふふ、ちゃんとまどかを戻せたね。良かった」
ケンナが嬉しそうな声を出し、自分の手元に有るソウルジェムを愛おしげに撫でた。まるで自分が撫でられている様な錯覚に、私は背中にくすぐったい物を覚える。
彼女は、現世にまどかを返してくれた。救済の力によって世界を支配し、その中に居る円環の理、それ自体を引きずり降ろしてきたのだ。まさに悪魔の所行、いいや、邪神の御業と呼ぶべきだろうか。
どちらにせよ、私が行った事を、彼女は更に昇華させた。
「ケンナ……」
「ほむらちゃんを敵に回すなんて、嫌だったもん。まどかを聖人みたいに思わないで。私だって、ワガママで人を振り回す事くらい有るの。その為だけに、私は世界を飲み込んだんだから」
何処か得意げな顔をしていて、全く悪びれない調子が見て取れる。私の様に自らの態度を変えたりもせず、彼女はまどかのまま、全てに対して叛逆して見せたのだ。
思わず、息が漏れる。何て強い精神の持ち主だろう。世界の全てが敵に回っても、彼女は笑い飛ばして意志を貫くに違いない。
勝てないな、と感じさせられた。
「ありがとう……さ、帰りましょうか」
手を繋ぎたくて、ケンナに手を伸ばす。彼女を放っておく気なんか無かった。まどかが二人も居るなんて、それは何て楽園なんだろうと思った。
「ううん、それは駄目」
でも、ケンナは首を横へ振って、私から少し離れた。
「え?」
「ごめんね」
どうして、謝るの。そう思った瞬間、巨大なガラス窓が私とケンナの間を遮った。まるで、現世と冥界の境界線だ。それは絶望的なまでに通り抜けられない壁となり、私達を引き裂いている。
決して開かない様に、窓は完璧に閉められていた。私の手は誰を掴む事も無く、ただ、異常に硬いガラスへと触れる。
まどかが何を考えているのか、私には分かってしまう。この領域に至った私には、理解出来たのだ。
「っまどか!」
まどかは……一人で戦おうとしている。私と、私の腕の中に居るまどかを助ける為に。
それは、いけない。まどかを幸せにする為に、他のまどかを犠牲にするなんて。本末転倒だし、何より私が許せない。
「早く……! そこに居ちゃだめ!」
「駄目だよ。誰かが、円環の理を守っていかないといけないから」
「そんなの……!!」
「ほむらちゃんも、魔女にはなりたくないよね」
ぐ、と。呻き声が漏れた。
そうだ、私が悪魔になったのは、インキュベーターの働きを止める為でもあった。まどかを戻す代わりに円環の理が機能を止めてしまうなら、何の意味も無い。
「だ、だからって! 貴女にそれをする理由は無いでしょう!! 此処を開けて、私がやるわ!」
「有るよ、理由。だって、ほむらちゃんに記憶を残したのはまどかの思いが原因だもん。貴女に幸せで居て欲しかったなら、鹿目まどかは貴女の記憶から消えるべきだった」
窓越しに、彼女は自嘲的な笑みを浮かべる。
「私は、ほむらちゃんが喋ってしまった事とはいえ、結果的にインキュベーターに付け入る隙を作ってしまった。貴女が悪魔になったのは、確かに貴女自身の気持ちで、貴女自身の意志。だけど、その責任の一端はまどかにだって有るの」
「……それが、せめて誰かに覚えていて貰いたいって、そう願う事の何が悪いって言うの!? まどかは、あの子は何も悪くないわ! あの子はただ、勇気を振り絞って私達を救ってくれただけ。悪いのは全部、弱くて、愚かで、考え無しの腑甲斐無い私よ! まどかの居ない世界に耐えられなかった、私が!」
「そう言うと思ってた」と彼女は呟き、クスクスと声を漏らしている。その中に寂しそうな意志を聞き取った私は、何とかして窓を壊そうと叩く。
思い切り腕を叩きつけても、この窓には傷一つ入らない。私が無駄な努力をしている姿を、ケンナは目を細めて見ていた。
「ほむらちゃんはそう思うよね。でも、私も貴女と一緒。大切な人を悪者にして、『私は何も悪く無い』なんて言うくらいなら、どんなに言葉でも、どんな誤魔化しでも、どんな理屈だって構わないから、自分の落ち度だと思った方が良いかな、って思うの。それって、いけない事なのかな?」
ケンナは自分に対する怒りを滲ませながら、私には優しい事を言ってくれた。
「だからって、貴女はどうなっても良いって言うの……? 冗談じゃないわ! 私の事を理解したなら、貴女は、私が何で悪魔になったのか、知ってる筈でしょう!」
「うん、知ってる。でもね、これは、私の本当の願いなの。本当の決意なんだよ」
意志の強さを感じさせる瞳を輝かせ、彼女は目一杯に私への愛情を表現してくれた。
そこには、自分の事なんか全て捨て切って、ひたすら私達を救おうという感情を燃やす姿が有ったんだ。自己犠牲なんて次元の話じゃない。ただ、息を吸う様に、当然の様に救済を果たそうとしている。ただ、それを見るだけで辛い。
「鹿目まどかはワルプルギスの夜で死ぬ運命だったけど、それはもう覆された。鹿目まどかには未来が有るの、恋愛をしたり、勉強をしたり、友達と遊んだり、子供だって産める。そんな未来を得られる権利が有るんだから」
「貴女にだって……っ!」
「ううん。私にはもう、それは無いから。魔女の私には、未来なんて無い。でも、まどかにも、ほむらちゃんにも未来は有る。だったら、未来の無い私が、二人の未来を切り開けるなら、それは、とても幸せな事だと思うの。だからね、私が居なくなったって、それは犠牲じゃないんだよ」
「っあ、あなたって人は……!!」
絶句してしまった。いや、彼女がそういう事を考えているのは薄靄めいた思考の中でも予想は出来ていたけれど、実際に言葉として聞かされると、それは圧倒的な意味を私へと直撃させる。
自分を死人だとして、現世に生きる事を真っ向から否定した。そんなケンナの姿は、生涯で一番に距離を感じる物だった。
だが、認めない。私が持っている全てを使い尽くしてでも、窓を割って向こう側に居る彼女を連れ戻さなければならない。
片腕でまどかを抱きながらも、拳をガラスへ叩きつける。窓は一向に割れない。なのに、手に来る衝撃は酷い物で、苦痛の悲鳴が漏れる。
「うぐっ、うぅっ! ……貴女にはっ! 関係の無い話でしょう!? 貴女は、あのまどかじゃないんだから!」
「関係なくないよ。だって、私も円環の理の一部で、かつて鹿目まどかと呼ばれていたから」
「だからって……!」
「二人の輝かしい未来に罪という名前の壁が落ちてくるなら、それは私が引き受ける。ほむらちゃんの罪も、まどかの罪も。その行いも。全部、私が引き受ける。私が、全部背負うよ」
決意の言葉を聞いて、私は一心不乱にガラスを壊そうとした。
強く叩き過ぎて拳から出血が起きたが、気にする程の余裕は無い。
「それで、貴女に全部擦り付けて、幸せになれって言うの!? 私なんかの為に、貴女を……まどかを犠牲にしろって言うの……!?」
それを聞いたケンナは、意外そうに目を丸くして、それから即座に表情を邪悪な物とした。私が悪魔としての態度を見せた時と同じく、尋常ならざる世界を見せつける様にして。
「勘違いしちゃいけないなぁ、ほむらちゃんっ。私は、環之小鳥ケンナだよ? ふふ、まどかって誰の事かなぁ?」
嘲笑混じりに、鬱陶しいくらい粘り気の有る話し方だった。まどかには欠片も似合わず、不気味な事この上無い。
「ほむらちゃんにだって欠片も似合わないけどね」
言われつつも、察する。これは、きっと私の真似だ。そういえば、ケンナの黒髪も私を真似した物だったか。私に憧れてくれるなんて、嬉しいけど、今はそんな場合じゃない。
「人の事を強がりって言った癖に、あなただって、人の事は言えないでしょうに……!」
「そうかも、えへへ」
相変わらず態度を全く変えないケンナ。だけど、その態度の端に寂しげで、苦痛を隠す様な弱々しさが感じ取れたのは気のせいではあるまい。
強がりな子だ。彼女がまどかである以上、本当は辛いに違いない。それを殺して、私の救済を行うとは。
私は、そんな事を望んでない。ケンナ……『まどか』をこんな悲しく寂しい場所に取り残して、私は人間のまどかと一緒に過ごすなんて。その様な救済は欲しくない。
でも、分かってしまった。私だって、まどかの気持ちを無視して、まどかの幸せになれる世界を望んだじゃないか。今、ケンナが私に対して行っている事と、私がまどかにした事は、本質的には何も変わらない。
「さて、と。そろそろ行くね」
言葉を止めてしまった私に向かって、ケンナはお別れの言葉を告げて、軸足から回転する様にして背を向けた。
「待って! だめよ、そんなの、駄目っ! 行かないでっ……!」
私は考える事を捨てて、何とか彼女を止める為に声と腕に全力を注いだ。何度も何度も叩いて、腕は潰れる様な痛みを放ち、必死に叫び過ぎて声は上手く出なかったけど、そちらに意識を裂く余裕は無かった。
背を向けたまま、ケンナはゆっくり歩き始めた。まるで私の言葉なんか聞こえていないかの様な、でも、名残惜しそうな足取りで。
「さよならは、言わないよ。私は、ううん……まどかは、ずっとほむらちゃんと一緒に居るから」
「やめて、やめてぇっ……!」
どんなに言っても、ケンナは足を止めてくれなかった。
そして、ケンナの足下が消えていく。離れて、世界に溶けていく大切な人の姿。かつて円環の理が生まれた時にも見た物だったが、決して慣れる物などではない。
少しずつ遠ざかりながら、消える。遂に私の片手に力が入らなくなり、だらりと垂れ下がった。
まどかを離さない様に抱き抱えつつも、私は崩れ落ちて窓に縋り付いた。
「幸せになってね……ほむらちゃん、まどか」
「まどかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
血が滲む程に窓枠を掴んだが、腕の中に居るまどかの存在が行動を躊躇させる。
もし窓を割ったとして、この先へ飛び込んだら、自分の存在がどうなるかは分からない。私なんか消え去ろうと死のうと構わないけれど、まどかを付き合わせる事は、出来ない。
このまどかを此処に残して行く訳には行かないから、腕を放す事すら出来ない。
八方塞がりだった。私は何も出来ないまま、腕の中でぐっすり眠るまどかを抱いて、ただ、それだけだ。
「貴女の頭のリボン、元々、私が持っていた物だから。いつか、返しに来てね」
ケンナの姿が完全に消える寸前、不思議と響く小さな声を届かせてきた。
その意味を飲み込む前に彼女は世界に溶けて、私の意識は急速に白くなっていく。この場から、現世に戻ろうとしているのだろう。
絶対に落とさない様に、まどかを捕まえておく。彼女まで失ったら、私はもう生きる価値を失ってしまうと思った。何としてでも、彼女だけは現世に連れて帰らなければ。
必死に意志を強く持ちつつも、絶望感は消えない。結局、私は、世界に溶けていくまどか……ケンナの姿を、ただ見つめる事しか出来なかったのだ。
-解説-
一番上のは、本作における救済の魔女の設定です。
……彼女の言動に怪しい部分を見つけた方、鋭いですね。
『その責任の一端はまどかにだって有るの』
この台詞は、監督の「暁美ほむらに記憶を残したのはまどかの(中学生の女の子としては当然の)未練で、失敗だった。そういう意味では新編はまどかの罪と罰の物語」という発言から来ています。ですが、私個人としては作中で暁美ほむらの台詞として出た物と似たような事を考えています。「まどかは何も悪くない、悪いのは私だ」と、暁美ほむらなら言うだろうし、私もそう思っていますよ。彼女がもう少し思慮深ければ、叛逆は起こらなかったかもしれなかった。その点は、彼女の甘さと弱さだと思います。そんな点も含めて、彼女の事は凄く好きなんですけどね。
……あ、ちなみに。私は『人を殺したキャラクターは相応の過程や反省が無かったら幸せになってはいけない、人を殺したら主人公側に立ってはいけない』という考え方に関しては、『まどかマギカ』的には良い考えだと思いますが、他の作品じゃどうかなぁ、という感じです。例えば、脚本のあの方が書いた作品とか……逆に言えば、まどかマギカにおいては『登場人物が故意に誰かを殺す』という展開はほぼ無いよ、って事なので、それに関しては安心しても良いかもしれない。ただし、多分、「人殺しどころか狂人が幸せになって、常人が不幸になる終わり方でもOK」なタイプであろう、脚本のあの方が書かなければ。
私は、その、『人間の精神から一歩二歩、いや千歩くらい踏み外したくらいが登場人物としては面白いよね症候群に感染している』と言えば、どういう方向性なのかは察していただけるかと。
季刊エス4月号の新房監督インタビューは虚淵先生達が居ない分なのか、ガイドブックより監督の考えがはっきり出ているので、賛否の別れる物だと思います。特にまどかと暁美ほむらのファンには厳しい内容になるかと。私は、結構好きなんですけどね。